FAQ … PTA会費やPTA会計
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Question
会費の使途
- 学校経費とPTA会費による負担の考え方は、どのようなことですか?
- 公費と私費の負担区分に関する決まり事はありますか?
- PTA会費でなく、私費(個人)負担を原則とすべきものどのようなことですか?
- PTA会費の使い道として適切なものはどのようなことですか?
- PTA会費の使い道として、不適切なものはどのようなことですか?
- 部活動費は、PTA会費の使い道として適切ですか?
- 慶弔費は、PTA会費の使い道として適切ですか?
- 公務員である教員が、PTAから慶弔費を受け取ることは違法ですか?
- 転退職するなどの教員に、PTAとして餞別を渡すのは、公務員の倫理規定などに違反しないのですか?
PTAの収益
PTA会費の繰越金
- 適正なPTA繰越金の額はいくらでしょうか?
- 繰越金を見直したいのですが、どうすれば良いでしょうか?
- 繰越金が適正範囲を超えた状態です。どうすれば良いでしょうか?
- 繰越金を取り崩す際は、どのような点に注意すれば良いですか?
- 繰越金の額が毎年増えています。問題ないでしょうか?
学校徴収金
- 学校徴収金とは、どのようなことですか?
- PTA会費を学校徴収金として集金するには、どうすればよいですか?
- 業務委託契約(準委任契約)とは、どのようなことですか?
- 学校給食費の公会計化とは、どのようなことですか?
PTA予算での学校への寄付・寄贈
- 寄付・寄贈に関して法律的ではどのようなっていますか?
- 寄付・寄贈に関連する法令はどのようなものがありますか?
- 寄付・寄贈に関する教育委員会からの通達などはありますか?
- 寄付・寄贈に関する市区町村の取り組み事例はありますか?
- 寄付・寄贈が可能なケースと判断できる基準はありますか?
- 任意加入の会員から徴収された会費である事とは、具体的にどのような事ですか?
- PTA予算への明記に明記されている事とは、具体的にどのような事ですか?
- 寄付・寄贈の対象が適切である事とは、具体的にどのような事ですか?
- 寄付・寄贈の形態が適切である事とは、具体的にどのような事ですか?
- PTA備品として利用している物を、学校でも利用することは問題ですか?
- 地域と連携した資源回収やバザーからの寄付・寄贈に問題がありますか?
- 寄付・寄贈で注意すべきことはどのような事ですか?
- 寄付・寄贈として不適切なケースは、どのような事ですか?
- 寄付・寄贈にあたって注意すべき点はどのような事ですか?
Question & Answer
会費の使途
- Q.
- 学校経費とPTA会費による負担の考え方は、どのようなことですか?
- A.
- 公立学校は公の機関ですから、公費による運営が基本です。
学校現場でいう公費とは、一言で説明するなら市区町村の予算で、財源は税金です。多くの自治体では、教育委員会からの連絡(予算の令達)によって学校予算が決定します。私費は、保護者が支払っているお金で、公費に対する名称です。学校現場ではあまり私費という用語使われず、補助教材費や制服代などの具体的な使途、または学校徴収金、保護者負担金などと呼ばれています。公費と私費のわけ方については、法律で定められているものではないため全国統一の基準はありません。
全国の自治体によって様々というのが現状です。2024年5月4日_301
- Q.
- 公費と私費の負担区分に関する決まり事はありますか?
- A.
- 公費と私費の負担区分については、1974年に都道府県教育長協議会がまとめた「学校教育に係る公費負担の適正化について」では、下記の様な、経費事例別負担区分が示されています。
直
接
教
育
活
動
費公費
負担と
すべき
経費- 学級、学年、学校単位で共用または備え付けとするものの経費
- その他管理、指導のために要する経費
私費
負担と
すべき
経費- 児童・生徒個人の所有物に係る経費で、
第一に学校、家庭のいずれにおいても使用できるもの
第二に学級、学年特定の集団の全員が個人用の教材・教具として使用するもの
(例)教科書以外の個人用図書、ノート、文房具、補助教材、学習用具など - 教育活動の結果として、その教材・教具そのもの、またはそれから生ずる直接的利益が児童・生徒個人に還元されるものに係る経費
(例)学習教材、校外施設学習の食費、遠足・修学旅行費等
間
接
教
育
活
動
費間接教育活動費は原則として公費負担とすべきである。
ただし、教育研究団体等の負担金や分担金の扱いについては、特別な配慮が必要であると思われるので、次のような基準を設ける。- 学校が構成単位となっている研究団体については、その負担金・分担金(学校割となる分)は公費負担を原則とする。
- 特定の個人で構成される研究団体についてはその負担金.分担金(個人割となる分)は個人負担を原則とする。(公費による援助は事業費に対する補助とする。)
- その他の研究団体等については、その性格を検討の上、1,2の原則に照らして負担区分を判断するものとする。
2024年5月4日_302
- Q.
- PTA会費でなく、私費(個人)負担を原則とすべきものどのようなことですか?
- A.
- 私費(個人)負担を原則とする経費は、学校の管理運営・教育活動に要する経費に属するもののうち、児童生徒の個人の所有物に係る経費や教育活動の結果として生じる直接的利益が児童生徒に還元される経費等は受益者負担、個人への還元等の観点から、個人負担によることが適当する経費です。
生徒個人の所有物にかかる経費
生徒が学校や家庭のいずれにおいても個人管理し使用可能な物に係る経費具体例
- 生徒個人の制服、体操服、実習服、鞄、名札、校章、生徒手帳
- 筆記具、ノート類等個人用学習用具、参考書、辞書類等
教育活動に必要なものとして生徒個々に直接的利益として還元されるもの
- 学校が行う教育活動の一環で必要となる教材、教具
- 生徒が参加して生ずる利益が生徒個人へ還元されるもの
- 生徒指導や進路指導上において生徒個々に直接還元される経費
具体例
- 授業、実習等において必要な教材費等における特定個人生徒に必要なものに係る経費
- 書道、絵画、調理、手芸等各種実習用教材費
- 修学旅行、遠足、校外学習、観劇、映画鑑賞等への参加に必要な経費
- 模擬試験料、資格検定料、個人または特定の複数人数、集団の進路指導に係る資料代等
- 行事保険料、農業、家庭クラブ関連経費
- 給食費(自治体により異なる場合もあり)
生徒の自主的活動に係る経費
部活動、生徒会活動、文化祭の開催に係る一定水準を超えた経費具体例
- 文化部や運動部など部活動の活動費、遠征費等
- 生徒の自主活動を行うにあたっての特別な施設や設備の整備とその維持管理経費等
2024年5月4日_311
- Q.
- PTA会費の使い道として適切なものはどのようなことですか?
- A.
- 以下の要件を満たす前提として、任意団体として、PTAが自主的に判断すべきものと考えます。
- 任意加入の会員が支払った会費
- 支出の対象や金額が会員の総意であること
PTA活動費
PTA主催、または共催の行事や活動に係る経費具体例
- PTA総会、講演会、研修会、懇親会、美化作業など各種活動に係る経費
- 広報紙発行に係る経費
PTA運営費
PTA運営に係る経費具体例
- PTA運営に係る資料やコピー代等の事務費、通信費、交通費、保険料などの運営費
- 備品や備品の保守管理費等
その他の経費
- 児童、生徒活動奨励費
- 慶弔費
具体例
- 卒業記念品や運動会参加賞等
- 会員への見舞金、香料、祝い金等
PTA団体としては、まず、任意加入の会員で構成された団体であること、活動内容や会費の使途についてもその構成員で決めて行くことが前提です。会費の使途などでは、議決の部分だけにフォーカスした相談もいただきますが、コンプラインス的に適切な団体であることがまず必要です。2024年5月4日_312
- Q.
- PTA会費の使い道として、不適切なものはどのようなことですか?
- A.
- 学校の管理運営・教育活動に要する経費で、学校共通の教育水準維持に必要な経費は公費負担とし、学校徴収金より支出してはならない経費です。
職員の人件費・旅費
- 職員の給与・各種手当、非常勤職員等の報酬・賃金
- 教育活動や学校管理運営に要する教職員の旅費
具体例
- 非常勤講師の報酬、代行員、介助員等の賃金
- 職員の公務に係る手当
- 公務に係る旅費
教育活動費
- 学習指導要領に基づく教育を行うために必要な経費
- 生徒指導、進路指導等に必要な経費(学校として体制整備のための経費)
- 生徒の心身の健康、安全に必要な経費・教務活動や学校運営・維持活動に必要な経費
- 授業に位置付けた生徒会、文化祭、体育祭の開催のための必要最低限の経費
具体例
- 授業、実習等の教科活動、学校行事等特別活動のために職員に必要な教具、教材等
- 授業、実習等の運営に係る共用的なもの、または不特定多数の生徒に必要なものに係る経費
- 進路指導や生徒指導に係る共用スペース等整備、成績管理等に係る情報管理等事務に必要な物品や消耗品費等
- 保健室に常備する救急医療薬等
- 学校の施設や設備等の範囲内
学校施設整備・維持管理
学校施設の建設や、維持修繕、保守管理に必要な経費具体例
- 校舎や体育館、グラウンドやプール等の学校施設の整備に係る経費や維持修繕経費
- 校内や敷地内の環境整備に係る経費
設備整備・維持修繕
学校の設備や備品の整備、保守管理や修繕に必要な経費具体例
- 学校施設内の給排水設備等設備整備や維持・保守に係る経費
- 備品の整備や修理に係る経費
管理運営経費
光熱水費等の学校の管理運営に必要な経費具体例
- 電気、水道、ガス、灯油等燃料代など学校の管理運営に係る必要な経費
2024年5月4日_313
- Q.
- 部活動費は、PTA会費の使い道として適切ですか?
- A.
- 部活動費の金額や対象のとなる児童や生徒の範囲にもより、以下の要件を満たす前提で、各PTA団体が自主的に判断すべきものと考えます。
- 任意加入の会員が支払った会費
- 支出の対象や金額が会員の総意であること
2024年5月4日_321
- Q.
- 慶弔費は、PTA会費の使い道として適切ですか?
- A.
- 多くのPTAのPTA規約や細則などに「慶弔費」に関する項目を備えているPTAは多いと思います。一方で「慶弔費」を廃止するPTAもあります。
慶弔費を廃止する理由として、次のような見解があります。- 親睦及び相互扶助の精神に基づくなど意見もあるが、PTAは互助会組織ではない。
- 卒業記念品代など保護者の一部にあたる会員が費用を負担することで保護者の分断を招くものである。
また、慶事については、T会員である教職員のみが対象であり、同じ会員であるのにシングルの保護者の慶事は、対象外の場合が一般的です。高松市教育委員会の学校徴収金等取扱マニュアル(2022年12月)の「PTA会計」の項目には、以下のよう記載もありますので、PTAが会員に対し、慶弔を行うことに疑問はありません。PTAの活動内容は、総会、会報の発行、会員等の研修・親睦・慶弔など、構成員の交流や 向上を目的とする「組織内活動」と、児童生徒の健全な育成を目的として教育環境の改善を行う「学校支援活動」に分類されます。慶弔は、祝って喜ぶ慶事と、悲しんで供養する弔事の両方を示しており、冠婚葬祭を意味しています。日本の冠婚葬祭では、祝儀や香典で気持ちを示す慣習が広く認知されていますが、慶弔の方法も出席、電報、贈り物などもあります。
任意の団体であるPTAとしての会員に対する慶弔のあり方について、議論してみても良いと思います。2024年5月12日_331
- Q.
- 公務員である教員が、PTAから慶弔費を受け取ることは違法ですか?
- A.
- PTAとは、Parent Teacher Associationの通り、保護者と先生の会(団体)です。
各PTAには、規約があり、その中の慶弔規定により、慶弔費が支払われています。
教員が、自らの意思で加入したPTA会員であり、PTA会費を個人負担して払っているのであれば、団体の構成員となります。教員は公務員ではありますが、会員として規定による弔慰金を受け取ることには問題がないと考えます。国家公務員には国家公務員倫理法がありますが、地方公務員にはありません。
地方公務員倫理法という法律はなく、市町村立学校に勤務する教職員の場合、その自治体で定めた服務規程に従うものとなっています。2024年5月11日_332
- Q.
- 転退職するなどの教員に、PTAとして餞別を渡すのは、公務員の倫理規定などに違反しないのですか?
- A.
- PTAとは、Parent Teacher Associationの通り、保護者と先生の会(団体)であり、会員である教員も保護者も互いに会費を出して運営する自治的な組織です。
各PTAには規約があり、会員の総意により、社会的儀礼の範囲内で餞別が支払われていること自体は、法に抵触するものではないと考えられます。国家公務員とは異なり、地方公務員に対する地方公務員倫理法という法律はなく、市町村立学校に勤務する教職員の場合、その自治体で定めた服務規程に従うものとなっています。職員の倫理規定に「関係業者等の接触に関する禁止事項」が定められていることが一般的で、金品や物品の贈与を受けることが禁止されています。ここでいう「関係業者等」は、金銭上の取引において便宜を図ることを禁止するためのものであり、教員の餞別を明示的に禁止するものではないと考えられます。
2024年5月11日_333
PTAの収益
- Q.
- PTAバザーを開催していますが、その収益に税金はかからないのですか?
- A.
- 税金はかかりません。
一般に、収益事業を営む場合は、法人税の課税対象となります。
PTA活動の主たる事業は収益事業ではないため、年1~2回程度開催の範囲ならば、PTAバザーは、法人税法の「継続して事業場を設けて行われるものをいう。」という規定にはあたらず、申告納税は不要となります。法人税法第2条(定義)13項(収益事業)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。2024年5月11日_411
PTA会費の繰越金
- Q.
- 適正なPTA繰越金の額はいくらでしょうか?
- A.
- PTAの一般会計における繰越金の適正規模についての見解は、考え方や地域の事情によっても異なります。
当協議会では、適正な繰越金の額は、各委員会からの活動費の戻しを含め、翌年度のPTA会費集金までの活動費が基本的な金額と考えます。具体的には、会費集金や入金などのタイミングにもよりますが、年間の活動費の2〜3ヶ月程度が、最低限必要な金額ではないでしょうか。もちろん、不測の事態への対策費用、目的のある積立金などは、各団体の活動内容に応じて判断し、最低必要な金額に上乗せしたものを適正な繰越金と考えてはどうでしょう。
適正な繰越金の範囲については、団体毎に活動内容や不測の事態への考え方が異なり、一律的な金額や比率でなく、各団体が毎に議論すべきもの考えます。今後の活動内容を踏まえ、団体内でよく話し合うなどして、PTAとしての適正な繰越金ついての合意形成が重要です。2024年5月20日_611
- Q.
- 繰越金を見直したいのですが、どうすれば良いでしょうか?
- A.
- 繰越金は引き継がれてきた部分もありますので、過去の経緯などの確認が必要でしょう。
具体的には、以下のような経緯も踏まえ、今後の各団体の活動内容を展望しながら、団体内でよく話し合うなどの合意形成が必要でしょう。- 何かしらの目的や意図があって、繰越金を増やしてきたのか、または、特に理由がなかったのか。
- 過去に適正な繰越金の額についての議論があったのか。
2024年5月20日_612
- Q.
- 繰越金が適正範囲を超えた状態です。どうすれば良いでしょうか?
- A.
- 適正範囲を超えた繰越金が既にある場合は、何らかの形での是正が望まれます
例えば、年度単位に発生した繰越金となった金額を計算し、一定額以上の金額となる場合は、当該年度の会費支払者に返金することも考えられます。長期間に渡って少しずつ繰越金が増えてきたなど、返金対応が適切とは言えない場合は、下記も選択肢です。
- PTAとしての備品(パソコンなど)を整備
- 地域の方も参加できるPTA講演会やイベントなど開催
- 子どもたちが長期に渡って使える、学校経費で購入できない備品を整備(音楽活動には楽器、スポーツ活動には用具など)
2024年5月20日_621
- Q.
- 繰越金を取り崩す際は、どのような点に注意すれば良いですか?
- A.
- 金額が大きい場合は、単年度で一括処理せず、長期の計画を策定するなどして、単年度予算規模度と繰越金の取り崩し額のバランスをとる事が重要です。
例えば、適正な繰越金の範囲を超えた金額が、10年間で増えた場合には、10年かけて少しずつ取り崩していくことも一つの方法でしょう。多額の繰越金があるのは、過去からの会費の蓄積であり、取り崩した繰越金の使い方には、子どもたちはもちろん、地域も含めた還元などの配慮が望まれます。2024年5月20日_622
- Q.
- 繰越金の額が毎年増えています。問題ないでしょうか?
- A.
- 適正な繰越金の範囲ついて、よく話し合うなどの団体内での合意形成がされていることが前提です。
合意形成がない場合には、金額以前の課題として取り組みが必要です。
合意形成の上で、必要とされる繰越金の額に向けての増加であれば、問題ありません。
適正範囲を超えて増えている場合は、必要以上のPTA会費額の設定であるとも考えられ、PTA会費を減額することも選択肢です。2024年5月20日_623
学校徴収金
- Q.
- 学校徴収金とは、どのようなことですか?
- A.
- 校徴収金とは、保護者が学校に納入する費用、学校の指定により購入する物 品の費用、旅行業者へ支払う修学旅行費用、希望者が受験する模擬試験等の受験料など、保護者 が負担する学校教育活動の費用のことです。
言い換えれば、教育活動において必要となる経費の内で、保護者が学校教育の充実・発展を願い、受益者負担の考えに基づいて負担している経費で、公費ではなく、学校の預り金です。その管理と取扱いは、教育活動の充実・発展という所期の目的を達成するために、包括的に学校長に信託されているものであり、各学校はこの負託に応じるために最大限の努力を行う責務があると考えます。2024年5月4日_701
- Q.
- PTA会費を学校徴収金として集金するには、どうすればよいですか?
- A.
- PTA会費徴収や預貯金通帳の保管など、PTAに関する業務の一部を学校に委任している場合には、業務委託契約(準委任契約)を作成するなど、PTAから学校へ委任内容を明確にしておく事が重要です。
PTAが取得した個人情報(会員情報)を学校(第三者)に提供しない限り、学校によるPTA会費徴収は不可能です。学校への個人情報の提供は、個人情報保護法における第三者提供の例外規定となる業務委託であることを明確にしておくこと必要です。業務委託契約にあたっては、PTA総会などで保護者の合意を必ず得るようにしましょう。2024年5月4日_711
- Q.
- 業務委託契約(準委任契約)とは、どのようなことですか?
- A.
- 委託者が発注者の業務を第三者である受託者に実施してもらう場合、業務委託契約を締結します。民法上の委任・準委任・請負のいずれかを問わず、広く「業務委託契約」という名称が使用されることが多いですが、同じ「業務委託契約」という名称であっても、その実態が、委任・準委任であるか請負であるかによって、受託者(ここでは学校)の負う義務の性質が変わります。
委任契約とは
委任契約は、 当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる契約です(民法643条、旧民法643条)。委任契約と準委任契約の違い
委任契約と準委任契約との違いは、 委任契約は、法律行為を委託する契約であるのに対し、準委任契約は、事実行為(事務処理)の委託をする契約です。
法律行為の例としては、契約を締結するための意思表示における代理人契約等があげられえます。
一方の事実行為は、理論上は無限に想定しえます。たとえば、セミナーでの講演、広告宣伝業務、調査業務などです。これらを事実行為(事務処理)委託する契約は、準委任契約と整理されます。
実際の取引においては、委任契約よりも、準委任契約の方が、広く用いられている契約形態であると考えられます。委任契約と請負契約の違い
請負契約は、当事者の一方がある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによってその効力を生じる契約です
委任契約(準委任契約)との最大の違いは、 請負契約は、仕事の完成が、契約内容となっている点です。
たとえば、セミナー講師を受託し、セミナーのアンケートによる評価が悪くても契約違反になりません。
よくある誤解として、「委託者は、請負にした方が有利であり、受託者は準委任にした方が有利であるため、可能な限り、このように交渉するべき」というものがありますが、あくまでも、請負に該当するのは仕事の完成を約するもの、準委任に該当するのは善管注意義務をもって事務処理を約するものです。PTA会費徴収に関しては、以下のような性質があり、準委任契約に親和的と考えられます。
- 達成するべき結果を明確にすることが難しい。
- 達成するべき結果は、受託者が適切な業務提供をしても達成できないことがあり得る。
2024年5月4日_721
- Q.
- 学校給食費の公会計化とは、どのようなことですか?
- A.
- 学校給食費の公会計化とは、学校徴収金として学校が徴収していた学校給食費を、地方公共団体の会計に組み入れる「公会計制度」を採用することです。
文部科学省では、教員の業務負担の軽減等に向け、学校給食費の公会計化を促進すると共に、保護者からの学校給食費の徴収・管理業務を地方公共団体が自らの業務として行うことを、「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」を作成(2019年7月)するなどして、促進していています。保護者が指定した口座から学校ではなく、自治体が引き落とすこととなるため、引き落とせなかった場合でも児童生徒が学校へ現金を持参したり、教職員が徴収に回ったりすることはなくなります。2024年5月4日_771
PTA予算での学校への寄付・寄贈
- Q.
- 寄付・寄贈に関して法律的ではどのようなっていますか?
- A.
- 地方財政法では、「地方公共団体は他の地方公共団体又は民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。」と定めています。
1967年(昭和42年)の東京都教育委員会の通達では、従来、父兄を主たる会員とするPTA、後援会、その他の団体から、学校後援のための寄付が行われてきた。こうした慣習は、おうおうにして、強制にわたる懸念もあり、一方このたびの措置により学校運営費が確保されることになるので、今後はこの種の寄付は受領しない。とあります。法からも「公立学校は住民に対し強制的に寄付金を徴収してはならない」という点は明白です。一方で、純粋な寄付行為には問題はありません。PTA予算での学校への寄付・寄贈での論点になるのは、PTAによる寄付行為が、任意加入の条件のもとPTA会員による自主的なものかどうかという点です。また、学校教育法 第5条は、「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。」となっており、寄付・寄贈の対象物にも配慮が必要となります。2024年7月2日_801
- Q.
- 寄付・寄贈に関連する法令はどのようなものがありますか?
- A.
- 地方財政法、地方財政施行令には、以下のような法令があります。
地方財政法 第4条の5
(割当的寄附金等の禁止)
第四条の五 国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定 する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共 団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。地方財政法 第27条の3第1項
(都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。地方財政法 第27条の4第1項
(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。地方財政施行令 第52条
(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
法第二十七条の四に規定する経費で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。一 市町村の職員の給与に要する経費二 市町村立の小学校、中学校及び義務教育学校の建物の維持及び修繕に要する経費、市町村立の小学校、中学校及び義務教育学校の建物の維持及び修繕に要する経費また、学校教育法にも、以下のような法令があります。学校教育法 第5条
(学校の管理、経費の負担)
学校の設置者は、その設置する学校を管理し、 法令に特別の定のある場合を除いては、 その学校の経費を負担する。2024年7月2日_803
- Q.
- 寄付・寄贈に関する教育委員会からの通達などはありますか?
- A.
- 東京都教育委員会の例では、以下のような通達があります。
各区教委教育長宛(抜粋)
寄付受領の考え方とその取扱いについて
従来、父兄を主たる会員とするPTA、後援会、その他の団体から、学校後援のための寄付が行われてきた。こうした慣習は、おうおうにして、強制にわたる懸念もあり、一方このたびの措置により学校運営費が確保されることになるので、今後はこの種の寄付は受領しない。区立小中学校PTA会長宛(抜粋)
PTA会員の各位には、新教育制度発足以来、長い期間にわたつて公教育の充実発展のために多方面にわたるご尽力をいただいてまいりました。とくに義務教育学校の整備充実につきましては、物心両面にわたり、多大なご援助を賜わり、漸く現在の水準まで高めることができました。これもひとえに各位のお力添えによるものと心から感謝いたしております。しかしながら、学校運営において、本来公費で負担すべき経費を私費に依存することは、教育の正常な姿でありませんので、都教育委員会は従来よりこの私費負担の解消に努めてまいりました。このたび、この問題の抜本的解決を目ざし、義務教育学校運営費標準を設定し、それに見合う財政措置をすることによつて、昭和四二年度を期して、公費で負担すべき経費の私費負担を解消することにいたしました。ついては、この趣旨の徹底をはかるため、関係各方面に対し、別添のとおり通知いたしました。各位におかれましても、この施策の趣旨について十分ご理解のうえ、PTA役員だけでなく、広く一般会員にもご伝達いただき、私費負担解消の実効があがりますよう、格別のご協力をお願いいたします。2024年7月2日_811
- Q.
- 寄付・寄贈に関する市区町村の取り組み事例はありますか?
- A.
- 以下は、愛知県名古屋市の取り組み事例です。
学校に対する物品の寄附について
学校の建物、工作物及び物品については公費で整備するものですが、下記のとおり一定の条件を満たす場合には、寄附をしていただくことができます。寄附の条件
- 寄附者の好意による自発的なもので、それが学校の設置目的に適合し、教育活動に資するもの
- 既存の施設整備の使用に支障を生じさせず、かつ安全性が確保できるもの
- 維持管理に多額の経費が必要でないこと
- 学校の建物の維持及び修繕にかかる経費でないこと
- 他の学校との著しい格差を生じるような過剰なものでないこと
市立学校(園)への寄附にかかる教育委員会の考え方
下記のPDF文書が掲載されています。。- 名古屋市立学校(園)における寄附物品等の取扱について
- PTAから学校(園)への物品等の寄附にかかる基本的な考え方について
特に寄附していただきたいもの
本市では、南海トラフ巨大地震などへの対策として、「防災ヘルメット」の寄附を特に希望しております。学校への寄附をお考えの場合は、ぜひご検討下さい。詳しくは、名古屋市公式サイトをご覧ください。
暮らしの情報 ≫ 教育と文化と交流 ≫ 教育 ≫ 教育環境整備への取組み ≫ 学校への寄附 ≫2024年7月2日_813
- Q.
- 寄付・寄贈が可能なケースと判断できる基準はありますか?
- A.
- 子どもたちの教育環境を充実させたいと思うのは、どの保護者も一緒ですが、PTAから学校への寄付・寄贈は難しいと考えた方がよいでしょう。
PTAで寄付・寄贈を考えるには、いくつかの要件があります。具体的には、要件は以下の通りです。
- 寄付・寄贈の原資は、任意加入の会員から徴収された会費である事
- 寄付・寄贈の内容について、PTA予算に明記されている事
- 寄付・寄贈の対象が適切である事
- 寄付・寄贈の形態が適切である事
2024年7月2日_831
- Q.
- 任意加入の会員から徴収された会費である事とは、具体的にどのような事ですか?
- A.
- PTAへの入会にあたり任意加入の説明、入会意思の確認が行われ入会した会員から、徴収された会費であることが前提となります。
意思確認なしで入学と同時に加入、半強制的な状況下での加入によって徴収された会費の場合は、対象外です。
寄付・寄贈行為は本人の自発的な意思に基づいて行われるものであり、会員資格の問題クリアが必要です。2024年7月2日_833
- Q.
- PTA予算への明記に明記されている事とは、具体的にどのような事ですか?
- A.
- 寄付・寄贈を行う場合には、あらかじめ予算書に明記して総会での承認を得ることが必要です。
年度の予算が余ったから、何かを買ってしまうといった不明瞭な対応は避けるべきです。2024年7月2日_834
- Q.
- 寄付・寄贈の対象が適切である事とは、具体的にどのような事ですか?
- A.
- 学校教育法では「学校設置者が学校経費を負担する」、地方財政法では「本来公費で負担すべき住民への負担転嫁は禁止する」となっています。
具体的には、エアコンやオイルヒーターなどの空調設備や学校家具をはじめとする備品は、学校運営、教育活動にかかる経費として、原則として(学校の)設置者負担となっています。寄付・寄贈の対象を考える場合、学校が教育をするための最低限の設備や備品以外のものを検討すべきでしょう。
具体的には、周年行事の植樹などが考えられます。県や市などが公費で賄うべきと設定している基準以上の寄付・寄贈・学校を考える場合には、学校、教育委員会などに事前相談することが重要です。2024年7月2日_835
- Q.
- 寄付・寄贈の形態が適切である事とは、具体的にどのような事ですか?
- A.
- もしPTA予算で学校備品を購入化することが常態化している場合は、PTAの側に寄付をしないという選択の余地がないと考えられ、純粋な寄付・寄贈行為とは言えない可能性が高くなります。
2024年7月2日_836
- Q.
- PTA備品として利用している物を、学校でも利用することは問題ですか?
- A.
- PTA備品として利用していることを前提とすれば、学校備品の寄付・寄贈とは別の考え方になります。PTAと強要する形で学校備品の不足をPTA備品で賄うという考え方もあります。
備品自体の運営はPTAですが、PTA会員である保護者や教職員以外にも利用いただくことで、子どもたちの教育環境も充実させる方法で、冷水機などはその対象のひとつでしょう。消耗品である消毒液やウェットティッシュなどの衛生用品をPTAで購入し、学校と共同で使用するなど、厳密に使用者が区別できない場合は寄付・寄贈とはいえませんが、日常的に学校運営に必要なもので、PTA活動においても利用する物品(事務用品、手洗い用石鹸、動植物の維持費用など)についても、寄付・寄贈状態が継続する場合には、公費・会費のどちらを充てるか学校側との十分な協議が必要です。備品として提供する内容にもよりますが、管理責任の面からは、PTAと学校の間で、管理責任など明記した書類を用意すべきと考えます。また、寄付・寄贈状態が継続する場合は、学校側との十分な協議はもちろん、PTAからの寄付・寄贈行為として疑念を感じる場合には、前年踏襲などとして片付けず、教育委員会などに確認することも必要でしょう。2024年7月2日_841
- Q.
- 地域と連携した資源回収やバザーからの寄付・寄贈に問題がありますか?
- A.
- PTA会費からでない寄付・寄贈ですので、PTA予算書明記など要件はありませんが、寄付・寄贈の対象や形態などに配慮した上で、開催要綱に収益の活用方法を明記するなどは必要でしょう。
寄付・寄贈にあたっては、PTA・地域の方々に関わらず、資源回収やバザーの参加者が本人の自発的な意思に基づいて参加していることが必須です。2024年7月2日_851
- Q.
- 寄付・寄贈で注意すべきことはどのような事ですか?
- A.
- PTAから備品を寄付・寄贈する場合は、自治体が定める手続きが必要です。具体的には、自治体に寄付・寄贈という意思を示し、自治体がこれを受諾することにより成立する契約を、学校にお願いし「寄附採納」の処理をしてもらうことが必要です。
寄附採納の手続きをしていない場合、PTA所有物の扱いになるため、将来の買い換えや修理、廃棄などはPTAの責任において行うことになります。特に、PTAによる寄付・寄贈の備品などで事故が起こった場合は、PTAが管理責任などを問われるケースもあるため注意が必要です。2024年7月2日_861
- Q.
- 寄付・寄贈として不適切なケースは、どのような事ですか?
- A.
- 下記の事例は公費で負担すべきものと考えられます。
- 学校の建物に対する補修工事
- 学校の設備や備品の修繕や更新(清掃やクリーニング、各種の修理費、カーテン等の買い替えなど)
- PTAが所属しない団体や運営しない施設の活動費や人件費など
- PTAが利用しない学校の印刷機やパソコンなど各種備品
- PTAの活動を対象としない学校賠償責任保険料(教育活動中の事故のみ対象)
- 校長会、教頭会などの諸会費
- 教職員のみを対象としたの研修図書費、校内研究費、参加費、謝礼など
- 授業で利用する施設利用料、楽器など備品の利用料、荷造り運賃など
- 学習教材の購入費、送料(教材費を別途徴収している場合)
2024年7月2日_863
- Q.
- 寄付・寄贈にあたって注意すべき点はどのような事ですか?
- A.
- 下記を確認しましょう。
どうしても必要なものは、管理責任も含め、PTA備品として購入することも考えられます。- 任意加入制度を導入していること
- PTA総会での承認
- 学校の設備や備品の修繕費(公費負担の対象)でないこと
- 学校運営にとって必須の設備や備品ではないこと(必須の設備や備品は公費負担の対象)
- 学校運営にとって必須の設備や備品ではないが、子どもたちのとって、必要であるもの
- PTAと共用の消耗品などを除き、寄附採納の手続きをすること
2024年7月2日_865