PTAを解散 地域を巻き込む「はなぞの会」へ
大津市立志賀小学校 はなぞの会
協力いただいたPTAの皆様、
大津市立志賀小学校 はなぞの会
PTAを解散。地域を巻き込む「はなぞの会」へ
志賀小学校PTAは、保護者の自主性と主体性を尊重した運営を目指しながらも立候補者により会の運営を担う役員や委員を組織することが困難な状況にありました。組織のあり方や委員定数について見直しが行われるなか、必ずしもPTA組織でなくても良いのではないかとの認識を持つに至りました。
コミュニティスクールの施策により、地域と両輪で子供たちを育てていこうということが市内で盛んになってきていた2018年10月、大津市教育委員会から、「PTA運営の手引き」が出されました。 これは、PTAの任意加入や、入会届の提出など、PTAの課題に適切に対応しなければならないということを学校管理職に周知するものです。
これをきっかけに、負担感を無くすと同時に、地域を巻き込んでいこうと、2020年、PTAを解散。地域団体も入会できる新しい組織、志賀小学校「はなぞの会」を立ち上げました。
ちなみに、会の名称は、志賀小学校が、創立期に戦前「花園小学校」という名前だったことの他、近江大津京に縁があり、志賀の花園としてうたわれたことなどが挙げられます。
地域住民にとって馴染みの深い言葉であり、校歌でも「文化のはなぞの」をつくることが歌われており、それらが由来となります。
保護者・学校・地域が連携
役員は、会長、副会長、会計の3名です。その他に、8名の運営委員がいて、イベントごとに、運営委員の中から都合に合わせて担当者が決まります。
保護者には、入会届を出してもらいます。コロナ禍で、これまで「はなぞの会」の周知が十分にできていなかったので、今年度、保護者全員に入会意思確認をしたところ、入会率が78%になりました。
「退会届の提出がない限り児童が卒業するまでは継続する」ということを新たに会則に入れました。転入者には学校から案内してもらっています。
子どもに関係する地域団体には、団体会員となっていただき、「横のつながり」ができました。
学校運営協議会にも地域の方に入っていただき、地域全体で子どもたちを見守っていこうという機運が高まっていきました。
先生方は、特別会員となります。団体会員と特別会員は、何かの時に協力をしていただく「サポーター」という位置づけで、会費はいただきません。また、卒業した保護者も特別会員となれるように今年から会則を変え、見守り活動などに、関わっていただいています。
月300円だった会費は、月150円に削減し、予算の使い道を明確にしていくなど、運営上、気になる点の改善も進めています。
「やりたい」を全力でバックアップ!
保護者の「やりたい」という気持ちを実現することに力をいれています。そのための予算も組んでいます。地域行事にブースを出したいなどの声があれば、全力でバックアップをします。
イベント当日のボランティアは、図書部、バレー部と、はなぞの会になってから新しくできた「志賀☆はぴ」のサークルメンバーに協力いただいています。先日は、「お化け屋敷」をやって大成功でした。
お化け屋敷の様子
広報紙は、学校や先生の様子を知りたいという声があるので作っています。これまでは、広報委員会が業者に依頼して作っていましたが、今年は、canvaを使って作成しました。前例踏襲ではなく、その時の担当者ができる方法でやるという考え方なので、来年は、また全然違うものができると思います。
広報紙
新しい形の「見守り隊」
地域の絆づくりにも貢献
文化祭
文化祭の目玉は、志賀学区の伝統的な「江洲音頭(ごうしゅうおんど)」です。次代に残していくことも目的の一つで、みんなが一緒に踊ります。
今後について
髙野さん
特定の人たちだけではなく、「私もできそう」「関わってみようかな」と、誰でも声を挙げられるようになればいいなあと思っています。
まずは、保護者間の交流を大切にしたいので、登校時に付き添って、同じように付き添ってきた保護者と話をするなど、なるべくたくさんの人に声をかけたいと頑張っています。
保護者からの悩みや困りごとを相談できるような、保護者間の交流ができる場も検討中です。
佐野副会長
はなぞの会の存在により、地域や保護者の方々のオモテに出てこなかった力を地域に向けて発揮することができればと思っています。
文化祭など、多世代が集って一つのイベントを作り上げる関りの中で生まれるものがあるのではないかという思いで続けています。
木戸地会長
人によって関われるタイミングは違います。組織がスリム化し、前例踏襲になっていないことで、新しい人も関わりやすくなりました。
その時々の人たちが、負担感なく楽しく関わっていることを、広報活動などで地道に伝えていきたいと考えています。
もしも、はなぞの会がなくなったとしても、子どもを思う気持ちがあれば、違う形で課題を解決していこうという動きが生まれてくるのではないかと信じています。
インタビューを終えて
保護者の自主的な「やりたい」を応援する「はなぞの会」。その活動は、学校から外に出て地域全体に広がっています。
負担感を無くすことと地域との連携にここまで舵を切った団体は少ないのではないでしょうか。
「子どもたちが大人になった時に、地域のために力を還元してもらえればと思っている」というお話もあり、子どもたちが育つ地域への大きな愛情を感じることもできました。
「お子さんの卒業後は?」と聞くと、全員が「これからも関わっていきたい」と答える一方、「やりたい人がいなければ、なくなっても仕方ない」とも考えています。
組織の継続ではなく、子どもたちのために、「できる人が、できる時に、できる方法で、できる分だけ、楽しく」というボランティアの原点を改めて確認させていただけたインタビューでした。