全国学力調査 2024

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全国学力調査 2024

全国PTA連絡協議会
国立教育政策研究所 全国学力・学習状況調査の結果について(令和6年度)の引用を元にした内容です。

2024年度の調査結果

全国学力・学習状況調査(以下、全国学力調査)は、国語と算数・数学の2教科のテスト(記述式含む)と、学習環境等についてのアンケートで構成され、小学校6年と中学校3年の全児童生徒を対象に、4月18日に実施されました。

集計学校数

  • 調査をできないやむえない事情があり、4月19日〜30日までに調査を実施した学校を含む
小学校
小学校、義務教育学校前期課程、特別支援学校小学部
校種 対象学校数 実施学校数
公立 18,529校 18,495校
(99.8%)
国立 75校 75校
(100.0%)
私立 246校 130校
(54.1%)
合計 18,850校 18,730校
(99.2%)
中学校
中学校、義務教育学校後期課程、中等教育学校前期課程、特別支援学校中学部
校種 対象学校数 実施学校数
公立 9,347校 9,323校
(99.7%)
国立 80校 80校
(100.0%)
私立 801校 1,252校
(32.7%)
合計 10,228校 9,665校
(94.5%)

全国(国公私)の平均正答数・平均正答率とテスト時間

小学校
国語 算数
9.5/14問
(67.8%)
10.2/16問
(63.6%)
45分45分
中学校
国語 数学
8.8/15問
(58.4%)
8.5/16問
(53.0%)
50分50分

平均正答率上位だった都道府県(公立小学校)

国語
秋田県:72.9%、石川県:71.4%、福井県:70.7%、青森県:70.0%
算数
東京都:68.1%、福井県:67.5%、石川県と京都府:66.9%。
国語と算数
東京都、石川県、福井県:69.0%、秋田県:68.7%

2024年度 全国学力・学習状況調査の結果(概要)

全国学力・学習状況調査の結果については、国立教育制作研究所のサイトをご覧ください。

学力テストでなく学力調査

全国学力調査は、メディアなどで「全国学力テスト」と呼ばれることもありますが、子どもたち一人ひとりに点数をつけ、成績に反映させるテストではなく、教育施策に生かしたり、各教育委員会・学校で自分の地域や学校の子どもたちの課題を分析し、教育環境や授業の改善などにつなげるための重要なデータの一つとされています。

全国学力調査の目的(文部科学省)

  • 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
  • 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
  • そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。

単元テストとの違い

多くの学校で利用されているカラーテストとも呼ばれる業者による単元テストと、全国学力調査は、異なる点があります。もちろん、テストの目的が違うため、異なる点があるのが自然なことです。

単元テストには、解答の制限時間に関する制約は弱く、一般的にはできるまで問題を解くのが一般的です。一方、全国学力調査では、小学校は1科目45分、中学校50分の制限時間があります。
単元テストは、最初の問題から順に解答するのが一般的ですが、全国学力調査は、問題を一通り見て、解ける問題と解答時間を考えながら取り組む必要があると言われています。

2019年度の全国学力調査までは、主に知識に関して問う「A問題」と、主に活用を問う「B問題」に分かれていた問題が、知識と活用を一体的に問う出題形式に変更されたこともあり、教科書の知識を習得し、その範囲の出題である単元テストに慣れていても、全国学力調査では、知識と活用を一体的に問う出題形式に対する経験値も必要とされています。
また、日常生活と絡めながら知識・技能を習得させること、またデータを言葉と数を使って表現する力を小学校段階から身に付けさせることが重要あるとも言われています。

全国学力調査の点数をあげるには

メディアなどで、都道府県別のランキングが発表されたりすることもあり、保護者としてはお住まい地域の点数が気になると思います。
少しでも点数を高くすることを考えるなら、知識と活用を一体的に問う出題形式に慣れること、制限時間での解答処理に慣れることは対策のひとつだと思いますが、前記の全国学力調査の目的や、以下の中教審特別部会の「義務教育の在り方ワーキンググループ」の中間まとめ(2023年12月)などを見ると、点数対策には疑問があります。

  • 自立した学習者の育成のため自分に合った学び方をしっかり身に付けることが大切
  • ICTを効果的に活用しつつ、学びの主導権を適切に委ねることにより、子どもたちが自らの学びを「自分事」として捉え、自発的に他者と関わり、学びを深めていく学習活動を展開

小6と中3を対象にした全国学力調査とは別に実施されてる地方自治体が行う独自の学力調査では、小5と中2(1年後に全国調査)を対象とする調査が大半で、2018年に独自調査を行った32都道府県教育委員会のうち、5年生を対象としていないのは、石川県と京都府、中2は、石川県と奈良県のみでした。

国立教育政策研究所 全国学力・学習状況調査の結果 問調査抜粋版(令和6年度)の引用を元にした内容です。

質問調査結果から

勉強時間(学校の授業時間以外)

質問内容

平日の勉強時間:学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、勉強をしますか?

休日の勉強時間:土曜日や日曜日など学校が休みの日に、1日当たりどれくらいの時間、勉強をしますか?

  • 学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に教わっている時間、インターネットを活用して学ぶ時間も含む

勉強時間の推移(2018年〜2024年/H30〜R6)

学校の授業時間以外における児童生徒の勉強時間は、小中とも2021(R3)年度以降、平日、休日いずれも減少傾向です。
今回の調査では、1日1時間以上勉強をするのは、平日で49.0%、休日で63.4%となっています。
平日の勉強時間
平日の勉強時間
休日の勉強時間
休日の勉強時間

勉強時間別の教科平均正答率

※グラフは正答率を表示し上部の数値は%単位、□内の数値は相関係数
平日の勉強時間別の教科平均正答率
平日の勉強時間別
休日の勉強時間別の教科平均正答率
休日の勉強時間別 勉強時間
相関係数

二種類の測定値のの直線的な関連の強さを表す指標で、ー1〜+1の範囲ので表示され、右上がりの関係を正相関、右下がりの関係を負相関といいます。

0.8〜1.0 強い 相関係数
0.5〜0.8 中程度
0.2〜0.5 弱い
0〜0.2 ほとんどない

テレビゲーム、SNSや動画視聴

質問内容

普段(月曜日から金曜日)1日当たりどれくらいの時間、テレビゲームをしますか?

  • テレビゲームには、コンピュータゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む。

普段(月曜日から金曜日)1日当たりどれくらいの時間、携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴などをしますか?

  • 携帯電話やスマートフォンを使って学習する時間やゲームをする時間は除く。

テレビゲーム、SNS・動画視聴時間の推移

テレビゲームをする時間は小・中学生とも横ばい、SNS・動画視聴の時間は、小学生は横ばい、中学生は微増です。
今回の調査では、1日3時間以上テレビゲームをするのは、12.5%、SNS・動画視聴をするのは、20.5%となっています。
テレビゲーム
テレビゲーム
SNS・動画視聴
SNS・動画視聴

テレビゲームの時間別の教科平均正答率

※グラフは正答率を表示し上部の数値は%単位、□内の数値は相関係数
テレビゲーム時間別の教科平均正答率
テレビゲーム時間別 凡例
SNS・動画視聴時間別の教科平均正答率
SNS・動画視聴時間別 凡例

テレビゲーム、SNSや動画視聴と児童生徒の過ごし方

平日の勉強時間と平日の就寝時刻について、テレビゲームとSNSや動画視聴3時間別に表示しています。
  • テレビゲームには、コンピュータゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む。
質問内容

勉強時間:学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、勉強をしますか?

  • 学習塾で勉強している時間や家庭教師の先生に教わっている時間、インターネットを活用して学ぶ時間も含む

就寝時刻:毎日、同じくらいの時刻に寝ていますか?

テレビゲームとの関係

普段、1日当たりテレビゲームをする時間で、2グループ(3時間以上と3時間未満)にわけて比較しています。
テレビゲームをする時間が3時間以上であるグループ(児童生徒の約30%)は、勉強時間が短く、毎日同じくらいの時刻に寝ていないという傾向が見られます。
平日の勉強時間
平日の勉強時間
平日の就寝時刻
平日の就寝時刻

SNSや動画視聴

普段、1日当たりSNSや動画視聴をする時間で、2グループ(3時間以上と3時間未満)にわけて比較しています。
SNSや動画視聴をする時間が3時間以上であるグループ(小学校児童の約21%、中学校生徒の約32%)は、勉強時間が短く、毎日同じくらいの時刻に寝ていないというテレビゲームと同様の傾向が見られます。
平日の勉強時間
平日の勉強時間
平日の就寝時刻
平日の就寝時刻

社会経済的背景 × 主体的・対話的で深い学び

家庭の社会経済的背景(SES: Socio-Economic Status)が低いグループほど、各教科の正答率が低い傾向が見られます。中でも「課題の解決に向けて自分から取り組んだ」に取り組んだ児童生徒は、SESが低い状況にあっても、各教科の正答率が高い傾向が見られます。
  • 「課題のの解決に向けて自分から取り組んだか」以外の「主体的・対話的で深い学び」に関する回答でも同様の傾向があるとしています。
質問内容

授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいましたか?
① 当てはまる ② どちらかといえば当てはまる ③ どちらかといえば当てはまらない ④ 当てはまらない

家にある本の冊数
① 0〜25冊 ② 26〜100冊 ③ 101冊以上

  • 社会経済的背景(SES: Socio-Economic Status)の代替指標と使用

各教科の正答率との関係

例えば、中学校数学では、低SESグループ(本が0~25冊)で主体的・対話的で深い学びの質問に「①」と回答した生徒 の箱ひげ図の箱は、中SESグループ(本が26〜100冊)で 「③④」と回答した生徒及び高SESグループ(本が101冊以上)で「③④」と回答した生徒の箱より上の位置 (正答率が高い位置)にあります。

中・高SESグループ(本が26冊以上)の箱ひげ図のうち、低SESグループで「①」と回答した児童生徒の箱ひげ図の箱(赤枠表示)の第1四分位、または第3四分位を下回っているものの箱は青枠で表示されています。箱ひげ図の上の数値は、正答率です。
小学校国語
小学校国語
① 当てはまる ② どちらかといえば当てはまる ③ どちらかといえば当てはまらない ④ 当てはまらない
小学校算数
小学校算数
中学校国語
中学校国語
中学校算数
中学校算数
箱ひげ図

箱ひげ図はデータのばらつき具合を示すのに用いられ。箱ひげ図は四分位数を用いてデータの散らばりを表します。四分位数とはデータを小さい順に並べて、4等分したものです。小さい値から数えて、総数の1/4番目に当たる値が第1四分位数、真ん中に当たる値が第2四分位数(=中央値)、3/4番目にあたる値が第3四分位数となります。

箱ひげ図の中央の線は、平均値ではなく中央値を表します。ひげの両端は、それぞれ最小値、最大値を表すのが一般的ですが、上下から10%点をひげの両端として描いている箱ひげ図もあります。

全国学力・学習状況調査

保護者と地域
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