いじめ認知件数は過去最多を更新 2024年

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いじめ認知件数は過去最多を更新 2024年

全国PTA連絡協議会
なやみいおう
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いじめの認知件数は、50,620件増の732,568件

2024年の文科省調査によると、いじめの認知件数は732,568件(対前年で50,620件増)となっています。
学校種別では、小学校が588,930件、中学校が122,703件、高校が17,611件、特別支援学校が3,324件となっています。

また、生命や心身などに重大な被害が生じた疑いがあったり、長期欠席を余儀なくされたりするいじめの「重大事態」は1,306件(同387件増)で、いずれも過去最多となっています。

こうのうち、4割近くは「重大事態」と把握するまで学校側がいじめとして認知していなかったということです。一方で、自殺した児童や生徒はあわせて397人で、過去3番目に多くなっています。

調査結果について、文科省は「いじめに対する積極的な認知が進んだ」ことが要因とみています。
下図は、1991〜2023年の、いじめの認知件数といじめの1,000人当たりの認知(発生)件数の推移です。

いじめの認知件数と1,000人当たりの認知件数の推移

いじめの認知件数と1,000人当たりの認知

小学校でのいじめの認知件数 96.50件(千人当たり)

下図は、1991〜2023年の、学校種別いじめの1,000人当たりの認知(発生)件数の推移です。

2023年度の1,000人当たりの認知(発生)件数は、小学校が、96.50件と1割近くで過去最高、他の校種も、中学校 38.10件、高等学校 5.50件、特別支援学校(特殊教育諸学校) 22.30件と過去最高を記録しています。

いじめの1,000人当たりの認知件数の推移

いじめの1,000人当たりの認知
  • 特別支援学校は、特殊教育諸学校
  • 1993年度までは公立小・中・高等学校を調査。1994年度からは特殊教育諸学校、2006年度からは国私立学校を含める。
  • 1994年度及び2004年度に調査方法等を改めている。
  • 2005年度までは発生件数、2006年度からは認知件数。
  • 2013年度からは高等学校に通信制課程を含める。
  • 小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程及び中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含む。
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より筆者作成

学校別 いじめの認知率

学校における、いじめの認知(発生)率は、83.6%
学校種別は、小学校が最も高く、91.1%、次いで、中学校 86.4%となっている。

この調査は、2013年度からのいじめの定義に基づき行われています。

校種別 いじめの認知率

学校種 学校総数 認知学校数 比率
小学校19,187 17,476 91.1%
中学校10,208 8,821 86.4%
高等学校5,585 3,411 61.1%
特別支援学校1,176 505 42.9%
36,156 30,213 83.6%

校種別×設置者別 いじめの認知率

校種 設置 学校総数 認知学校数 比率


国立72 70 97.2%
公立 18,870 17,270 91.5%
私立 245 136 55.5%


国立 77 73 94.8%
公立 9,331 8,359 89.6%
私立 800 389 48.6%



国立 19 11 57.9%
公立 3,994 2,728 68.3%
私立 1,572 672 42.7%





国立 45 20 44.4%
公立 1,116 484 43.4%
私立 15 1 6.7%
国立 213 174 81.7%
公立 33,311 28,841 86.6%
私立 2,632 1,198 45.5%
  • 調査対象は国公私立小・中・高等学校及び特別支援学校。
  • 小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程及び中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含む。高等学校の全定併置校や通信制併設校等は、全日制、定時制、通信制それぞれの数値を合計したもの。
  • 高等学校の全定併置校や通信制併設校等は、全日制、定時制、通信制をそれぞれ1校として計上。このため学校総数は学校基本調査の数値と一致しない。
  • 休校等の学校があるため,認知した学校数と認知していない学校数の合計は,学校総数と一致しない。
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より筆者作成

学校において認知したいじめの件数

児童生徒課長通知では、次のよう書かれています。

文部科学省としては、いじめの認知件数が多い学校について、「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた 取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価する。

いじめを認知していない学校にあっては、・・・
解消に向けた対策が 何らとられることなく放置されたいじめが多数潜在する場合もあると 懸念している。

学校において認知したいじめの件数
出典:文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

いじめの定義

児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義は、いじめ防止対策推進法の施行に伴い、2015年度から以下のとおり定義されています。

個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」とする。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。
これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。

いじめの重大事態

2023年度の重大事態の発生件数は、1,306件、前年度は919件でした。
うち、いじめ防止対策推進法第28条第1項第1号に規定するものは648件(前年度445件)、同項第2号に規定 するものは864件(前年度616件)となっています。

同法第28条第1項に規定する「重大事態」とは、以下のように定義されています。

第1号
「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に 重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」
第2号
「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席 することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」

重大事態の発生件数の推移

重大事態の発生件数

重大事態の発生件数(学校種別)

小学校 中学校 高等
学校
特別支
援学校
合計
発生校数(校)506 444 2278 1,185
発生件数(件)548 491 2598 1,306
うち、第1号238 245 1623 648
生命17 43 150 75
身体49 44 240 117
精神153 134 1172 406
金品等19 24 61 50
うち、第2号391 320 1485 864
出典:文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

文部科学省では

いじめの問題に対する施策には、法令等以外にも、各自治体の教育委員会や学校に対する文部科学省の指針や通達があります。保護者としても、知っておくべき情報は少なくないと考えます。

いじめ問題に関する基本的認識

いじめについては、「どの子どもにも、どの学校においても起こり得る」ものであることを十分認識するとともに、特に、以下の点を踏まえ、適切に対応する必要があること。

1.「弱いものをいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識を持つこと。

どのような社会にあっても、いじめは許されない、いじめる側が悪いという明快な一事を毅然とした態度で行きわたらせる必要がある。いじめは子どもの成長にとって必要な場合もあるという考えは認められない。また、いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為もいじめる行為と同様に許されない。

2. いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと。

子どもの悩みを親身になって受け止め、子どもの発する危険信号をあらゆる機会を捉えて鋭敏に感知するよう努める。自分のクラスや学校に深刻ないじめ事件が発生し得るという危機意識を持つ。なお、いじめの件数が少ないことのみをもって問題なしとすることは早計である。

3. いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりを有していること。

いじめの問題の解決のために家庭が極めて重要な役割を担う。いじめの問題の基本的な考え方は、まず家庭が責任を持って徹底する必要がある。家庭の深い愛情や精神的な支え、信頼に基づく厳しさ、親子の会話や触れ合いの確保が重要である。

4. いじめの問題は、教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること。

個性や差異を尊重する態度やその基礎となる価値観を育てる指導を推進する。道徳教育、心の教育を通してかけがえのない生命、生きることの素晴らしさや喜びなどについて指導することが必要である。

5. 家庭・学校・地域社会など全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であること。

いじめの解決に向けて関係者の全てがそれぞれの立場からその責務を果たす必要がある。地域を挙げた取組も急務である。

  • 出典:文部科学省 学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント、いじめの問題に関する総合的な取組について(1996年7月)

学校におけるポイント
いじめの防止、早期発見、いじめに対する措置

学校として特に配慮が必要な児童生徒については、日常的に、当該児童生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の児童生徒に対する必要な指導を組織的に行う。

  • 発達障害を含む、障害のある児童生徒がかかわるいじめについては、教職員が個々の児童生徒の障害の特性への理解を深めるとともに、個別の教育支援計画や個別の指導計画を活用した情報共有を行いつつ、当該児童生徒のニーズや特性を踏まえた適切な指導及び必要な支援を行うことが必要である。
  • 海外から帰国した児童生徒や外国人の児童生徒、国際結婚の保護者を持つなどの外国につながる児童生徒は、言語や文化の差から、学校での学びにおいて困難を抱える場合も多いことに留意し、それらの差からいじめが行われることがないよう、教職員、児童生徒、保護者等の外国人児童生徒等に対する理解を促進するとともに、学校全体で注意深く見守り、必要な支援を行う。
  • 性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するいじめを防止するため、性同一性障害や性的指向・性自認について、教職員への正しい理解の促進や、学校として必要な対応について周知する。
  • 東日本大震災により被災した児童生徒については、被災児童生徒が受けた心身への多大な影響や慣れない環境への不安感等を教職員が十分に理解し、当該児童生徒に対する心のケアを適切に行い、細心の注意を払いながら、当該児童生徒に対するいじめの未然防止・早期発見に取り組む。
  • 出典:文部科学省 いじめの防止等のための基本的な方針(概要)

いじめ防止対策推進法

学校や地域のいじめの問題への対応が、「計画的」「組織的」に実行されます。

  • 各地域や学校で、いじめ防止等のための「基本方針」が策定され、法律や基本方針に基づいて取組が行われます。
  • 全ての学校がいじめの対策の「組織」を置き、いじめの未然防止から発見・対応に至るまでの「組織」が中心となって取組が行われます。

学校が、いじめの通報の窓口となります。

いじめかなと思ったら学校に連絡するなどの対応をお願いします。

「重大事態」には調査組織を設置します。

生命・身体に関わる事態について、専門家も交えた調査組織を置くなど、「重大事態」について事実関係を調査します。

出典:文部科学省 知っていますか「いじめ防止対策推進法」

子どものメンタルヘルス

保護者と地域
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