上部団体としてのPTA連合会 PTAの組織構造と役割
PTA連合会とは?
PTA組織の構造
PTA活動を取り巻く社会環境は大きく変化しています。多くのPTA団体で取り組まれている事と思います。PTA活動を見直し、続けるべき活動、アップデートが必要な活動について、PTAに関わる保護者や教員が話し合う機会を設け、より良いPTA活動に向けた取り組み行う事が必要だと考えます。
ここでは、学校のPTA(単位PTA)の上部団体にあたるPTA連合会についてまとめています。
多くの保護者の皆様は、子どもたちが通う学校以外のPTA団体とは直接的な関わりがほとんどなく、PTA連合会は遠い存在かもしれませんが、PTA連合会の仕組み、活動目的や事業内容について理解しておくことが、単位PTAでのより良い活動をどうあるべきかの答えにつながると考えています。
階層的に見たPTA組織
単位PTA
一般的に教育界では、各学校単位のPTA組織を、単位PTA(単P)と呼び、PTAへに加入意思を表示した保護者や教員は、単位PTAの会員となります。PTA組織の基本となるのは、単位PTAです。各校のPTA規約に基づき運営されています。
単位PTAでは、組織の目的の一つである「子どもの健全な成長をはかるために」のために会員が相互に協力して、子どもたちが通う学校の子どもたちのために活動をしています。
PTA以外にも、保護者だけで組織された、保護者会などの組織形態もあります。
いずれの場合でも、子どもたちは、PTA会員ではなく、みな平等にPTA活動の支援対象です。
市区町村郡のPTA連合会
単位PTAが、各自治体(市区町村郡)単位で集まって作られた組織がPTA連合会です。
市区町村郡のPTA連合会の構成単位は、単位PTAとなり、一般的には、○○市PTA連合会(市P/P連)などと呼ばれています。
規模が大きい(単位PTA数が多い)連合会では、地域で複数のブロックにわけるなどにして、ブロック単位での活動と、連合会の活動を並行して行う連合会もあります。
都道府県のPTA連合会
市区町村郡PTA連合会が、各都道府県単位で集まって作られた組織がPTA連絡協議会です。
都道府県のPTA連合会の構成単位は、市区町村郡のPTA連合会となり、一般的には、○○県PTA連絡協議会(県P/P協)などと呼ばれています。
規模が大きいPTA連合会では、ブロック単位での活動も行う連合会が一般的です。
全国組織のPTA団体
都道府県のPTA連合会には、さらに上位の全国組織があり、小中学校の場合は、公益社団法人日本PTA全国協議会、高校の場合は、一般社団法人全国高等学校PTA連合会があります。
他にも、幼小中高関連のPTA組織は、校種別などに下記のようないくつかの全国組織があります。
- 一般社団法人全国国立大学附属学校PTA連合会(全附P連)
- 全国国公立幼稚園・こども園PTA連絡協議会
- 全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会(全知P連)
- 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会
- 日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会
- 全日本私立幼稚園PTA連合会
サポート事業には、会員限定の事業もありますが、会員登録のない皆様でも利用しやすい情報共有や、PTA活動支援、IT導入支援を主体とした事業やサービスを提供しています。
連合会の組織名称と対象校種
PTA連合会は、市区町村郡、都道府県、ブロック、全国単位で連なっており、略して「P連」と呼ばれています。PTA連合会の名称例
- ○○市PTA連絡協議会
- ○○区立小学校PTA連合会
- ○○PTA協議会
日本PTA全国協議会(日P)
2023年12月27日現在、札幌市、仙台市、新潟市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の15政令指定都市のPTAは、都道府県のPTA連合会とは別の団体として日Pの会員となっています。
全国では、20の政令指定都市があり、上記以外の政令指定都市は、さいたま市、静岡市、浜松市、堺市、岡山市です。
以下、都道府県のPTA連合会の表記には、政令指定都市のPTA連合会を含めた内容で表記します。
会費(分担金)の例
一般的には、上部の団体の運営資金の一部は、下部組織から会費で賄われています。各校の単位PTAが、市区町村郡のPTA連合会に加入している場合、PTA連合会の会費(分担金)として保護者から収められるPTA会費の一部をPTA連合会に支払う仕組みとなっています。
さらに、市区町村郡のPTA連合会が、都道府県のPTA連合会に加入している場合、収められた会費の一部を都道府県のPTA連合会に支払う仕組みとなっています。
最終的には、都道府県のPTA連合会が、日Pに加入している場合、収められた会費の一部から子どもたち一人につき年10円を会費(分担金)として日Pに納めています。
全国高等学校PTA連合会
対象校種が高等学校ですが、組織の構造は、日Pと類似しています。組織は、47都道府県と京都市をあわせ、48のPTA連合会で構成されています。また、全国9地区のブロック(北海道、東北、東京、東海、北信越、近畿、中国・四国、九州)で連合会を組織していて、48のPTA連合会は、このいずれかのブロックに所属するという形になります。
単位PTAの上部団体とは
一般的には、単位PTAがPTA連合会に加入する場合、階層的に最も近い市区町村郡のPTA連合会への加入となり、加入した団体における上部団体への加入状況が、単位PTAにも引き継がれます。
具体的には、単位PTAとして「市のPTA連合会には加入したいけれど、県のPTA連合会に加入したくない」と思っても、その市のPTA連合会が県のPTA連合会に加入している場合、県のPTA連合会は、日Pに加入しているので、市P連に加入している事は、単P → 市P連 → 県P連 →(ブロック)→ 日P とつながる組織の一員となります。
また「市のPTA連合会に加入せず、県のPTA連合会に加入したい」「日Pだけに加入したい」というケースも一般的には受け入れられていません。
当協議会の会員に関する考え方などは、会員登録についてをご覧下さい。
PTA連合会の役割、組織としての目的とは?
情報共有の機会を提供
地域や行政への情報発信や提言
公立学校の設置者は各自治体であり、地域における課題や取り組みなど、地域住民や行政に対するカウンタパートとして、PTA連合会の果たすべき役割は重要です。校長会や教育委員会との定期的な意見交換会を実施しているPTA連合会も多いと思います。
各単位PTAでは、地域性、土地柄や伝統があるなど、それぞれの学校ならではの個性を持っています。
特色ある取り組み、あるいは伝統的に行われている活動など、学校単位の取り組みとして、単位PTAだけでも対応可能なことも数多くあると思います。
一方で、PTA加入意思確認の実施、PTA会費による不適切な寄付、給食費の無償化、地域の安全、災害時の対応など、地域の課題への取り組みには、地域のPTA連合会の力が必要です。
さらに、いじめ問題、不登校問題、SNS利用リスク、教育費の負担軽減、教員の負担軽減など、より大きな課題については、都道府県のPTA連合会や全国単位のPTA組織が取り組むべき事柄です。
単位PTAだけでは解決が難しい課題や取り組みについては、PTA連合会がとりまとめ、地域や行政への情報発信や提言などを行うべきと考えます。
単位PTAの助成、会員への還元
加入団体からの会費(分担金)以外にも、地域のPTA連合会が、安全会や団体補償制度などを運営している場合、事務手数料や制度運営金などの収入がある場合もあります。
PTA連合会の運営費は必要ですが、運営費を除いた部分で、会費(分担金)の有効活用も求められています。
以下に挙げたものは一例ですが、PTA連合会が担うべき事業は多数あります。一方で、限られた予算の中で、地域の状況に応じた助成制度や還元方法などを含め、事業の選択も必要も必要となります。
- 子どもたちを対象とした地域イベント開催
- 保護者を対象にしたセミナー開催
- 単位PTA単位で参加するイベント開催(スポーツ大会など)
- 子どもたちに対する表彰事業(各種コンクールなど)
- 単位PTAの活動に対する表彰事業(広報活動など)
- 保護者や教員、単位PTAを対象としたアンケートの実施
- 単位PTAへのIT導入支援(一括契約や導入時の講習会開催や費用負担軽減策など)
- 単位PTAで共有できる備品の購入や管理(イベント用のトランシーバーなど)
- 地域のPTA連合会として推奨すべき事業(例えば先進的な取り組みで他の単位PTAへの波及が見込まれる事業など)を行う単位PTAへの助成