改革事例 PTA NEXT
現場主義による組織改革とデジタル実装の記録
伝統をアップデートし、持続可能なPTAへ
- 本ページは、下地渉氏より提供いただいたスライド資料の内容をもとに、ウェブ掲載向けに再構成したものです。
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Before / After
否定ではなく再構築:古いOS(運営体質)を最新版へアップデート
旧来のPTAを否定するのではなく、運営体質(古いOS)を最新版へアップデートする発想で再構築、誰でも参加でき、参加したくなるような持続可能型PTAを目指しました。
| Before(旧来のPTA) | After(改革後のPTA) | |
|---|---|---|
| 運営 | アナログ・強制・属人的 「例年通り」の前例踏襲主義 |
デジタル・任意・仕組み化 誰でも参加できる持続可能なシステム |
| 事務 | 学校内での対面作業への限定 平日昼間の招集、紙ベースの連絡 |
業務端末整備でリモート業務可能に 時間と場所を選ばない新しい働き方 |
| 組織 | 負担の重いピラミッド型のトップダウン 特定の人に負担が集中する役員制度 |
会長3名制・サポーター制・役員公募 エントリーハードルの引き下げによる分散型PTAへ |
改革 ① 働く環境のDX
PTA事務を「場所を選ばない仕事」へ変える
就労環境の整備
- PTA事務専用のPC・スマートフォンを支給
- テザリングによってネット環境を確保
- デビットカード導入によりネット決済可能に
- クラウド化によるデータ管理の安全性確保
- 指示などはメール、LINEなどを活用
- 参集型からオンライン会議への移行
- 個人の環境に依存しない業務環境を構築
デジタル化と働き方を変え
PTA事務を業務改善
フルリモート移行
- 学校に来る必要のない「完全在宅勤務」
- 東北在住でも雇用継続
- IT化でセキュリティを強化
- 見える化へのトライアル
- さらなるツール導入で【脱属人化】
- 雇用の安定への寄与が期待される
誰でも雇用できる
誰でも参画できる体制づくり
ペーパーレス化
- 情報保存性と安全性を劇的に向上
- 保護者への連絡精度が向上
- 総会の回答率やビジョンの浸透に寄与
- 意見や周知状況をデータとして収集可能
- 配布コスト、作成コストが大幅に削減
情報を確実に届け
必要な時にいつでも見られる環境を提供
改革 ② 予算の適正化と会員への還元プロセス
不要な事業を削り、保護者の負担を直接減らす
年間納付額(会費+教育活動援助費+積立金)
¥12,600 → ¥8,400
-33% 世帯あたり年間 4,200円の負担減
段階的実施でハレーション予防
一気に減額するのではなく、数年かけて段階的に引き下げを実施。予算の余剰を検証しながら、現場の混乱を避ける【慎重かつ確実なプロセス】を採用。
「本当に必要な事業」へ集中投資
コロナ禍で中止になった事業をそのまま廃止とし、浮いた予算をデジタル化や子どもたちへの還元(卒業式イベントの開催)へシフト
改革 ③ 組織構造のフラット化と外部リソースの活用
「やりたい時に助けあうサポーター制」へ移行し「役員主導」からの卒業
専門部長の廃止
固定的な役職をなくし、参加する際のハードルを下げるプロへの外注
保護者の負担を削減することで、学校見学ツアーなど実のある活動へ変換「楽しい」を優先
子どもと一緒に活動できる時間を確保する設計改革 ④ 意思決定の仕組み化と人材育成サイクル
特定の誰かに頼らない、持続可能なリーダーシップ
1. 会長3名体制の導入
決裁権の分散
一人の判断ミスを防ぎ、合議制で透明性を醸成心理的負担の軽減
「一人で背負わなくていい」安心感が参加を促進持続性の確保
誰かが欠けても組織が止まらないリスクヘッジ意思決定プロセスの健全性
各会長がタイプの異なるフィルターとなることで、より隙の無い意思決定を可能にする
2. 就任までの「安心」プロセス
公募制
推薦委員による「お願い」を廃止し、自発的な挙手を待つインターン期間
1年間オブザーバーとして参加。適性や雰囲気を相互確認会長就任
役割や個人の特性を理解した状態で就任。ギャップによる離脱を防ぎ、即戦力としての活躍に期待3. 制度の最適化と定着に向けた「会則変更」
単なる運用ルールに留めず、総会を経て会則を3回改定。制度的な裏付けを完備し、人が変わっても仕組みが残るよう整備。また柔軟な制度変更や制定が是とする文化の醸成。
組織のためのルールではなく【子どもたちと会員のためのルール】を構築し検証するための組織形成
改革 ⑤ 任意団体化と子どもファースト
形式より「子どもを最優先し、会員に貢献する」組織へ
上部団体、前例、慣例ではなく、
学校に通う子どもたちと、保護者や先生たちの笑顔
連合会脱退の決断
分担金に見合うメリットが還元されていないと判断。支払っていた予算や労力を、直接自校の子どもたちへ使うために脱退を選択しました。
真の任意団体へ
「PTAに入らないとPTA主催行事に参加できない」という差別を撤廃。非加入世帯を排除せず、全ての子どもに等しくサービスを提供する公益性を確立しました。
子どもファースト
大人の事情や組織の都合で、子どもを悲しませない。すべての判断基準を「それは子どものためになるか?」に置き換え、シンプルに行動します。
改革 ⑥ 地域に開くネットワーク
組織の外に、実利のある連携を創る
近隣校との連携
ノウハウのオープンソース化
改革の失敗・成功事例を包み隠さず近隣校へ共有。悩める会長たちの相談窓口となり、地域全体のPTAを支える【小さなPTA】へ。自治会・地域
祭りへの「企画」参画
単なる寄付金のお付き合いから脱却。自治会の夏祭りなどの企画運営に参画し、人を動かす実働部隊として地域からの信頼を獲得。行政(那覇市)への提言
給食費完全無償化への貢献
給食費委員として 3年間活動参画し市の政策決定(無償化実現)を後押し。また各まちづくり協議会との連携を構築し、ノウハウを共有・提供している。これから(Future Vision)
PTA活動を「負担」から
学校・保護者・地域をつなぐ【架け橋】へ
80周年のその先へ。持続可能で、もっとやさしい仕組みをつくる。
透明化の加速
Kintone 導入による「見える化」
誰が承認しているか、お金がどう使われているかを完全可視化。監査にも対応できる形と責任を明確化することでブラックボックスをなくし、テクノロジー導入によって信頼と再現性を担保する。
やさしい仕組み
80周年の先に続く文化
「誰かが孤軍奮闘する活動」は続かない。合言葉は ALL FOR KIDS、 ALL FOR US … 皆で子どものために、皆で自分たちのために。
今は異端でも10年後に繋がり、地域のバトンを託せる土壌を整えていく。
行事のリデザイン
式典から思い出に残る「学校の誕生パーティー」へ
堅苦しい祝辞と来賓挨拶だけの周年行事から、子ども・保護者・教職員・地域・来賓の皆が笑顔で祝い、記憶に残る【体験】に。寄贈品も石碑や植樹ではなく、AEDや冷水器などの子ども達の安全を守る【実働部隊】の整備を目指す。
Just Do It.
筆者プロフィール
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教育のバックボーンと、 経営者の視点を持つ変革者 下地 渉2017年 学童 保護者会長2019年 公立小学校 PTA副会長 2020年 公立小学校 PTA会長 2022年 那覇市PTA連合会 副会長 |
教育一家の育ち
両親は校長先生、妹2人も教員環境で育ち、自身も教員免許を持つ。先生方の苦労や苦悩を肌で感じてきた原体験と教員の子どもとしての経験を持つ座右の銘
「できない理由」を探すより、「どうすればできるか」を考え、皆が意見し動けるチーム形成を理想とする。十分な議論と基本とし、現場での活動を象徴とするベンチャー起業と挫折
ゼロから事業を作る難しさと喜びを経験。失敗から学ぶ「修正力」と、限られたリソースで最大効果を出す経営視点をPTAへ。補助金事務局やコンサルタントとして、企業を支援してきた経験をもとに改革へ着手チームワーク重視
バスケットボールで培った「個の力を組織の力に変える」リーダーシップ。エースによるワンマンチームではなく、パスをつなぎチームとして勝利するチームを好み、独裁者でなくリーダーを目指す。


