これからのPTAのありかた

PTA活動の課題と今後の変化
これからのPTAは、強制的な参加や負担の重い活動から脱却し、以下のような組織に変化していくと見られています。従来のPTA活動に対する課題
多くPTAで、これからのPTA組織のありかたが検討されてきた背景には、共働き世帯の増加や価値観の多様化が進むなど、従来型のPTA活動に対するさまざまな課題解決が急務であるという状況があります。- 共働きやひとり親家庭の増加、三世代家族の減少など、社会環境の変化で活動スタイルの見直しが必要
- アナログからデジタルの時代となり、コミュニケーションのあり方やライフスタイルが大きく変化、PTA活動でもDX化は必須
- 任意加入、役割の強制、個人情報保護、会計処理などPTA活動におけるコンプライアンス的な課題の解決が急務
- 前例踏襲で目的が不明確となっている活動や、時代に合わない非効率な活動と考えられる活動の見直しが必要
これからのPTAの主な特徴
こうした課題を解決するため、多くの学校や地域で、様々な改革が検討・実施されていますが、多くは以下に集約されると思います。1. 任意加入の徹底
- PTAが本来任意加入の団体であることを明確にし、保護者や教職員に対する加入意思確認の実施
- 強制的な全員加入の仕組みをなくし、入会も退会も自由であることを前提とした運営
- 加入・非加入によって、子どもや保護者が不利益を被ることがないような配慮
2. 活動のボランティア化・スリム化
- 活動ごとに参加者を募集するサークル制(ボランティア制やエントリー制)の導入
- 活動目的を再検討し、必要とされている活動を実行できる組織運営に切替
- 必要な参加者が集まらない場合は、活動縮小、一時休止や廃止も視野
3. ICTツールの活用による効率化
- 会議をオンライン化、AI議事録を活用することで、時間や場所的な制約を軽減
- 連絡手段をLINEや専用アプリなどに移行、タイムリなー配信と情報共有を効率化
- 広報紙をデジタルツールに切替、ペーパーレス化を進め、配布の手間とコストを削減
4. 多様な組織への移行
- PTAという名称や組織形態にこだわらず、学校や地域の実情に合った、より柔軟な組織へ移行
- PTAを解散し、保護者のみの会や、学校と保護者の有志が連携する形に移行
- サークル制(ボランティア制やエントリー制)、サポーター型の運営、コア型の運営など組織形態の変更
- CS(コミュニティスクール)や、PTCA(Parent, Teacher, Community Association)などとの協業:
多くのPTAで、改革に向けた取り組みがなされていますが、解決方法は一つではありません。自分達の地域や学校として必要な改革や取り組みは何かを、当事者意識を持っての検討が求められています。
PTA活動のアップデートにあたっては、PTA規約の見直しなども含め、保護者や教職員との十分な話し合いを重ね、慎重に進めていくことが必要です。
取り組み内容によっては、複数年次にまたがることもありますが、関係者による継続した関与も大切です。
こうした取り組みが進むにつれ、これからのPTA組織は「やらされ感」のない、保護者が自らの意思で楽しく関われる、持続可能な組織へと変わっていくと期待されています。
任意加入時代のPTA アップデートには?
「役員のなり手がいない」「会員数が減ってきた」
任意加入時代のPTAとしてよく聞くお話です。原因のひとつとして考えられるのは、
PTA活動の魅力を伝えられていない
PTA加入が任意である以上、対策が必要です。
活動内容に魅力を感じる

「何をしたいか」
「何をしたいか」と言われても、今まで毎年同じことを
引き継いできただけなので分からない。
「何をしたいか」のヒントは、
- 子どもたちの笑顔がみたい。
- 子どもたちが安心安全に学校生活を送れるようにしたい
- 子どもたちの教育環境をよりよくしたい
- 学び合う保護者同士のつながりを強くしたい
- 地域のボランティアや教員のサポートをしたい
「したい」のヒントはたくさんあります。
「何をしたいか」のヒントを探すには、
- 保護者アンケートをとる
- 子どもたちに聞いてみる
- 他校の事例を調べる
一つになれるようなアイデアを形にしていく
- 加入・参加したくなるPTAを目指す!
- 加した子どもたちも保護者も楽しい
- PTAっていいかも、見方を変えてもらう
- 加入率アップ
- 活動内容の更なるアップデート
PTAの負担軽減と負担減シンドローム
PTAの負担軽減は、現代の保護者のライフスタイルに合わせた活動を目指す上で重要な課題です。
PTAの負担を軽減することには、保護者の負担を軽減し、参加者を増やすなどのメリットがある一方で、活動の縮小や学校との連携が弱まるなどのデメリットもあります。
軽減策を導入する際には、活動内容を安易に縮小するのではなく、デジタルツールの積極活用や、業務の外部委託検討など、効率化と活動の質の維持を両立させる工夫が必要です。
また、保護者だけでなく、学校や地域住民も交えた対話を通じて、それぞれの学校や地域に合ったPTAのあり方を模索していくことが重要です。以下は、PTAの負担軽減による一般的に言われるメリットとデメリットです。
メリット
保護者にとってのメリット
- 共働き家庭が増える中、PTA活動にかかる時間や精神的な負担が軽減される。
- 役員や委員の負担が重いことが原因でPTA活動を敬遠していた保護者も、負担が軽くなることで参加しやすくなる。
- 負担が少なくなることで、役員のなり手が見つからないという問題が軽減される可能性がある。
効率的な運営としてのメリット
- デジタル化が推進され、オンライン会議の導入やICTツールを使った情報共有により活動の非効率さが改善される。
- 業務負荷軽減につなが選択として、専門業者への外部委託が検討される。
- 前年踏襲の慣習から脱却し、本当に必要な活動に絞り込むことで、無駄な作業が減る。
デメリット
- 活動の縮小や質の低下が起こり、活動の形骸化リスクも生じる。
- 負担軽減が優先されると、PTA本来の目的である「子どものための活動」が十分に行えなくなる可能性がある。
- 学校と保護者の間で直接意見交換をする機会が減り、学校との連携が希薄になる恐れがある。
- 保護者ボランティアの確保が難しくなり、PTAが協力してきた運動会など学校行事への影響も考えられる。
- 役員や委員の人数を減らしすぎると、特定の人に権限や負担の集中が生じ、運営が不安定になるリスクがある。
- PTA活動を通じて生まれていた保護者間の交流機会が減少し、情報交換やコミュニケーションが減る可能性がある。
- 会費の見直しなど収入減の可能性もあるが、外部委託利用時には、別途費用が必要となる。
陥りがちな「負担減シンドローム」とは?
負担軽減が必要 !?
- 役員のなり手がいない。
- そもそも加入率も減少傾向だ。
- 負担が重いからPTAは引き受けたくない。
- そうだ!負担を減らそう。
- 地域のパトロール、PTA祭、会議、ベルマークなど
削れるものは廃止、縮小してみた。
その結果、
しかし、保護者から聞こえてきた声は、
「大した活動もしていないのに役員や委員に誘われる」
- 止まらない会員減少
- なり手不足は更に加速
たとえ入ったとしても役員をやりますか?
そもそも、ボランティアは、
ボランティア団体としての
やりがちだけど注意すべきこと
PTA活動のアップデートにあたり、やりがちだけどやってはいけない注意すべきこととして、まず、① コンプライアンス的課題の解決が必要となります。次は活動内容の検討となり、② 事業計画はすべて前年踏襲を見直し、結果が、③ 負担減シンドロームに陥らないような丁寧な議論と運営が必要です。
また、いくら魅力ある活動をしても、④ 広報活動が脆弱な場合、魅力ある活動も周知されません。これからのPTA活動をより良くするためには、魅力ある活動内容と適切な広報活動を一体として進める必要があります。
① コンプライアンス的課題が未解決
PTA活動におけるコンプライアンス的な課題を放置した結果、SNSなどで話題となった場合は、PTAのみならず、子どもたちが通う学校のイメージにも影響します。前年踏襲だからという理由には合理性がありません。できる所から着手し、課題解決につ取り組みましょう。
当協議会のホームページを含め、改革事例や成功事例、必要な文書テンプレート、ICTツール活用方法など、インターネットで入手可能な多くの情報がありますので、PTA活動のアップデートが必要な場合には、是非、参考にしてください。
以下は、よくあるPTA活動におけるコンプライアンス的な課題の一覧です。
組織運営
- 任意加入の不徹底(自動入会や全員加入、入会意思の未確認など)
- 非加入者への不適切な対応
- 役員や委員の選出における過度な同調圧力や活動の強制
- 活動参加や役職就任の強制(在学中に1度は◯◯をお願いなど)
- 人権問題にもつながりかねない免除理由の開示を強要
- 著作権の侵害(PTA広報誌やホームページなど)
- 肖像権の侵害(本人の許可なく子どもの写真掲載など)
個人情報保護
- 本人からの同意なく、学校から名簿情報を入手
- 個人情報保護法の対象事業者としての個人情報管理体制の不備
- 会費の学校徴収委託時の委任契約不備、保護者から第三者提供に関する同意なし
会計処理
- 寄付や寄贈の不明確な手続き(寄付採納手続未了や総会議決なしなど)
- 不適切な会計処理(会費での学校施設修繕や学校備品購入など)
- 適切な会計監査の実施(会計担当者による業務上横領もあり)
② 事業計画はすべて前年踏襲
前年踏襲自体には問題がありませんが、役員のなり手不足や会員減少となっている現状がある場合、前年踏襲してきた事業計画についても、聖域なき見直しが必要です。
学校との調整も必要ですが、まず保護者の立場を重視し、
「何をしなくてはならないか」ではなく「何をしたいか」の観点で考えましょう。
- 保護者は、PTAとして何をしたいのか?
- 保護者は、どの活動なら参加してみたいと思うのか?
- 保護者がPTAに求めているる活動は何か?
③ 負担減シンドローム
PTAの負担軽減は、現代の保護者のライフスタイルにあったPTA活動を目指す上で、重要な検討課題です。
負担軽減を検討する際は、活動内容を安易に縮小するのではなく、ICTツールの積極活用を進め、効率化と活動の質の維持を両立させる工夫が必要です。
例えば、広報紙発行をとりやめ、その予算で、有料でも高機能で使いやすいPTA運営ツールを活用するなども考えられます。先進事例を参考にするなどして、それぞれの学校や地域の実情にあったPTAのあり方を模索していくことが重要です。
負担を減らした結果、魅力不足となってしまったPTAには加入したくありませんし、役員にもなりたくありません。
④ 広報活動が脆弱
PTA活動を活性化するためには、会員の一人ひとりが会員としての自覚をもち、相互に共通理解を深めてコミュニケーションを図ることが大切です。そのためには、PTAに関する的確な情報を会員に提供することが必要であり、そこに広報活動の重要性があります。
現代のPTAに求められるの適切な広報活動を行うためには、保護者負担の軽減と、誰もが必要な時に発信できる使いやすい仕組みが必要です。
具体的には、従来の紙媒体からデジタルへ移行することが必須であり、デジタル移行により多くの課題を解決できます。
- 印刷や配布の手間をなくし、PTA役員の負担を大幅に削減
- 保護者に必要な情報をタイムリーに発信可能
- 印刷費用が不要なためコストが削減、一方で、ICTツールの利用料が発生
- メッセージアプリなどの活用で、保護者から感想や意見の直接収集も可能
まず、自分たちのPTAを知ってもらう
- PTA用語でなく一般的な単語を利用し、PTA用語を使う場合には説明を付与
- 同じ保護者同士のお知らせなので、型式にとらわれず堅苦しいもの避ける
- 継続した広報活動を前提とした、飽きずに読み進められるような文章スタイル
PTAの目的と運営に関するわかりやい説明
- PTAの活動内容の紹介だけでなく、活動の目的や意義、活動の効果や成果も紹介
- 組織構成や担当者の紹介だけでなく、具体的な活動内容や活動の頻度なども紹介
- アンケート制度を常設し、改善提案などがれば、PTAとしての見解を都度表明
活動の可視化、見える化を心がける
- 文字だけなく、写真や動画を配信し活動内容をよりわかりやすく紹介
- 委員だけでなく、サポーターやボランティアとして協力いただいた保護者の意見を定期的に紹介
- イベント参加者のインタビューや子どもたちの様子など、PTAブログなど活用して配信
- PTA単独での利用が可能な学校連絡アプリ スクリレ ≫
- 無料で使えるホームページ作成 ジンドゥー ≫
- 会員との情報共有・意見交換が可能なLINEオープンチャット
- 本部運営に便利な機能(期間限定の無料特別プラン) Line Works ≫
- LINEオープンチャット、Comunii以外は、外部サイトが開きます。
PTA活動のアップデート
