中学校部活動の地域展開 調査概要

中学校部活動の地域展開 調査概要

facebookでシェア
LINEでシェア
Xでシェア
リンクをコピー

第1回 全P教育施策アンケート調査 調査概要

中学校 部活動の地域展開について

1,004人の皆様から貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

全国PTA連絡協議会
調査概要、要約や提言文書などは、このページ … 結果概要 ≫  各質問の層別集計などは、調査詳細① ≫  国への要望などパブリックコメントや本調査へのご意見などは、結果詳細② ≫
 ページの下部へ移動します。

調査の趣旨

PTAを取り巻く環境変化のみならず、教育を巡る情勢が大きな転換点を迎える今、一番の当事者である子どもたちと、その保護者の思いや意見などを施策の立案者に伝えることは重要です。

このため、当協議会では、本年9月に調査研究委員会を設置し、全国の保護者の皆様を直接の対象としたアンケートや、各PTA団体を対象とした活動の実態調査などを進めていくこととしています。

今般、スポーツ庁より『「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」骨子及び別冊資料』が示され、本案に関するパブリック・コメント(意見公募手続き)が実施されています。

この際、「中学校部活動の地域展開」に関する緊急アンケート調査を実施し、全国の保護者や部活動関係者など皆様の認識やご意見等を把握するとともに、取りまとめの上、当協議会よりパブリック・コメントに対し意見を提出することとします。

調査の仕様

実施主体
一般社団法人 全国PTA連絡協議会 調査研究委員会
調査スケジュール
調査期間 2025年
10月31日(金)〜 11月10日(月)
結果公表
意見提出
2025年
11月13日(木)
調査対象
18歳以上の成人
  • 保護者や教職員、部活動関係者を想定
調査形式
  • インターネットを経由した無記名アンケート調査
  • 質問数:6問(所要時間:3〜5分程度)
    質問内容の詳細は
    結果詳細 ① 質問項目
集計方法
  • 無回答や不明回答は除外
  • 結果の整理・分析には ChatGPT を使用
回収数
全国41都道府県より1,004件
第1回 全P教育施策アンケート調査 仕様書
「中学校部活動の地域展開」に関する緊急アンケート調査の実施について
第1回 全P教育施策アンケート調査 仕様書
仕様書
ダウンロード
ご参考
  1. 「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」骨子及び別冊資料に関する意見募集の実施について(パブリック・コメント) ≫
  2. 「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」骨子 ≫
  3. 「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」別冊資料 ≫
  4. 部活動の地域展開・地域クラブ活動の推進等に関する調査研究協力者会議 ≫

調査結果(概要)

国における方針の認知状況

質問:
国では、「学校部活動の地域展開」という方針が示されていますが、ご存知ですか。
国における方針の認知状況
選択肢%
方針の内容をよく知っており理解している 22.5%
方針の内容は知っているが詳しくは理解していない 42.7%
方針について聞いたことはあるが内容は知らない 20.7%
まったく知らない 14.1%

居住地域における検討の認知状況

質問:
学校部活動の地域展開」について、お住まいの地方公共団体において、どのような検討がなされているかご存知ですか。
居住地域における検討の認知状況
選択肢%
よく知っている 6.9%
だいたい知っている 23.3%
あまり知らない 43.8%
まったく知らない 26.0%

教育的意義や効果への影響

質問:
地域クラブに転換した場合、学校部活動の教育的意義や効果はどのように変わるとお考えですか。
【向上する・低下する・変わらない・もともとない】
教育的意義や効果への影響
選択肢n
スポーツ・文化芸術活動に関する技術が向上する 466 223 300 15
スポーツ・文化芸術活動の楽しさや喜びを知る 72 206 415 11
体力の向上や健康の増進につながる 335 209 450 10
学年やクラスの垣根を越えたつながりをもつことで、縦横の友情が深まる 499 141 353 11
一つの目標に向かって努力することで、自主性、協調性、連帯感が育成される 401 158 435 9
課外の居場所となることで、登校する意欲や動機付けとなる 297 182 490 34
愛校心を育くむ 98 334 521 50

地域展開についての賛否

質問:
「学校部活動の地域展開」について、どのようにお考えですか。
地域展開についての賛否
選択肢%
賛成 19.4%
どちらかと言うと賛成 31.9%%
どちらとも言えない 25.8%%
どちらかと言うと反対 15.3%
反対 7.6%

地域展開についての考え方

質問:
「学校部活動の地域展開」について、あなたのお考えに最も近いものを教えてください。(上位3つ)
地域展開についての考え方
選択肢%
人数が足りずにできなかった活動ができるようになる 32.8%
教員の働き方改革につながる 49.3%
プロの指導を受けることで技術が向上する 29.7%
指導が過熱する心配がある 8.2%
質の高い指導者等を必要な人数確保できない心配がある 19.7%
通える場所に子どもが希望する地域クラブが整備されない心配がある 37.1%
保護者の送迎や費用の負担が増加する心配がある 38.7%
経済的に余裕のない家庭の子どもは参加できなくなる心配がある 28.6%
学校部活動で得られてきた教育的意義や効果を、地域クラブ活動で得られるか疑問がある 21.7%
登校する意欲や動機付けが失われることで、不登校の生徒が増加する心配がある 5.1%
子どもたちの居場所が減る心配がある 4.4%
情報が不足し、生徒・保護者等の関係者の理解が得られていない 12.8%

国に伝えたいこと

質問:「学校部活動の地域展開」について、国に伝えたいことがあれば、自由にご記入ください。(200 文字以内)

いただいた394件の回答を対象に、ChatGPTを用いて、回答群で頻出した語句・懸念の傾向から主要なテーマ(①〜⑥)を抽出するとともに、テーマごとに主な意見を整理し、全体をまとめたところ、以下のとおり。
① 教員の負担軽減と働き方改革の意義
  • 教員の負担を減らし、子どもと向き合う時間を確保してほしい
  • 働き方改革が形骸化しないよう、待遇改善を並行して進めるべき
  • 顧問のなり手不足が深刻。制度と人材確保を同時に進めてほしい
  • 子どもの活動機会を減らさない形の改革を求める
② 指導者の質と確保への懸念
  • 地域で指導できる人材がいない。現実を見て制度を設計してほしい
  • 安全管理や指導力をどう担保するのか不安
  • 民間委託では教育的観点が薄れる可能性がある
  • 報酬・研修など育成制度を国が整備すべき
③ 費用・送迎・地域格差の拡大懸念
  • 家庭の経済力によって参加できる・できないが分かれる
  • 送迎が必要で共働き家庭には負担が大きすぎる
  • 地方では活動場所が限られ、移動や費用が大問題
  • 国や自治体が費用を一部負担する制度が必要
④ 教育的意義・子どもの成長機会の維持
  • 部活動は子どもが人間関係や協調性を学ぶ場でもある
  • 地域活動化で教育的価値が失われるのではないか
  • 教員と地域の連携で「育てる活動」を続けてほしい
  • 単なるスポーツ・趣味活動にならない仕組みを
⑤ 政策実施・体制整備への不安と課題
  • 理念は理解できるが現場が追いついていない
  • 誰が責任を持つのか不明確なまま進めないでほしい
  • 地域の体力や実情に応じた柔軟な運用を
  • 国や自治体が実施体制を整えてから始めるべき
⑥ 国・行政への要望
  • 国が責任を持って制度設計と支援を行ってほしい
  • 地方に丸投げせず全国的に公平な仕組みを
  • 人材育成・財源確保を国主導で進めるべき
  • 地域による格差を是正する明確な方針が必要
まとめ
  • 抽出した6テーマに共通して、「理念への賛同」と「現実への不安」との両方の側 面が見られる。
  • 都市部ほど理念・制度論が多く、地方ほど実務的な困難(人・費用・距離)への訴 えが強い。
  • 「国が支援と方向性を明示するべき」との要望が最終的な共通点となっている。

ご協力ありがとうございました。

回答者数の推移
回答者数
調査結果
別ページの記事
各質問の層別集計などは、結果詳細① ≫ 
国への要望などパブリックコメントは、結果詳細② ≫
本調査にいただいたご意見などは、結果詳細② ≫

考 察

  • 国における方針は一定認知されているが、居住地域における検討状況は「あまり」あ るいは「まったく」知られていない。【調査結果 ① ②】
  • 地域展開によって「スポーツ・文化芸術活動に関する技術が向上する」や「学年やク ラスの垣根を越えたつながりをもつことで、縦横の友情が深まる」との考えが多い。 【調査結果 ③】
  • 地域展開そのものについては「どちらかというと賛成」、次いで「どちらかとも言えない」との考えが多い。【調査結果 ③】
  • 地域展開は「教員の働き方改革につながる」とする一方、「保護者の送迎や費用の負担が増加する心配」「質の高い指導者等を必要な人数確保できない心配」との考えが多い。【調査結果 ⑤】
  • 国に伝えたいこととして、テーマを抽出した結果、「教員の負担軽減と働き方改革の意義」、「指導者の質と確保への懸念」、「費用・送迎・地域格差の拡大懸念」、「教育的 意義・子どもの成長機会の維持」、「政策実施・体制整備への不安と課題」、「国・行政 への要望」が示された。【調査結果 ⑥】

提出文書

提出文書
提出文書について
提出文書
提出文書
ダウンロード

提 言

まず初めに、今般のアンケート調査にご協力いただいた全ての方々に、心より感謝申し上げます。
11日間という短期間にもかかわらず、1,004件もの回答をお寄せいただきました。

自由記述を含む回答からは、教員の働き方改革の理念について理解が全国的に広がる一方で、教育の質や子どもの成長支援といった本来の目的が十分に見えにくくなっているとの指摘が多く寄せられました。

地方では特に学校が子どもの主要な居場所となっており、部活動の縮小が教育機会や地域の活力の低下につながることへの懸念が強く示されました。都市部では、活動機会の選択肢が多い一方で、費用負担や格差拡大の課題が指摘されています。
さらに、地域クラブ活動の受け皿づくりに必要な人材・施設・財源の確保が追いつかず、「地域任せは制度が機能しない」との声も多数を占めました。

保護者や地域住民が教育に関心を持ち、子どもの学びを支える当事者として関わることが、持続可能な改革の基盤になると考えます。そのためにも、国や自治体には、当事者たる保護者や子どもたちに対して、制度の目的や内容を丁寧に説明し、合意形成を図ることを求めます。

また、国には、当事者の意見を聴き理解を得ながら、教員数の確保、待遇改善、部活動指導員の育成、地域クラブの制度設計と財政支援を一体的に進め、都市部と地方の格差を是正するとともに、働き方改革と教育の質の両立を実現する制度設計を進めるよう求めます。

本調査を通じて、現場の皆様の「期待」と「不安」が直に伝わってきました。これらの声を定量的に可視化し、伝え、共有することは、全国を対象とした保護者組織の大切な使命のひとつと考えます。

今後とも、教育現場・家庭・地域の声を継続的に把握し、実態に根ざした調査と提言を重ねながら、子どもたちの健やかな成長を支える政策の発展と相互理解に寄与してまいります。

一般社団法人 全国PTA連絡協議会
代表理事 長谷川 浩章

その後の動向

NHK

国の有識者会議が開催(2025年11月27日)

中学校の部活動を地域で支える「部活動の地域展開」について、国の有識者会議は自治体が地域クラブを認定する新たな制度を盛り込んだガイドラインの案を取りまとめました。
私たち調査委員会でもオンラインでも傍聴をさせていただきました。

案には、少子化などが課題となる中、2026年度からの6年間を「改革実行期間」と定めて地域の実情を考慮しつつ、休日については原則すべての部活動で「地域展開」の実現を目指し、平日もさらなる改革を推進していく、また生徒が所属する中学校や大学、民間企業などと連携を図っていくことなどが盛り込まれています。

新たに設けられる地域クラブの「認定制度」については、以下のようなっています。

  • 部活動の教育的意義を継承して参加を希望する生徒を幅広く受け入れること
  • 参加費は可能なかぎり低く設定すること
  • 暴力や暴言の防止を含め、指導体制を整えるなどの要件を市区町村などが審査をして認定
画像出所:NHK 中学の部活動 “地域展開”で新ガイドライン案 国の有識者会議(2025年11月27日)  ≫

関連情報

調査研究やアンケート

保護者アンケート … 実施中

サービスや事業の一覧
facebookでシェア
LINEでシェア
Xでシェア
リンクをコピー
全国PTA連絡協議会は、本サイト等の内容およびご利用者様が本サイトを通じて得る情報等について、その正確性、完全性、有用性、最新性、適切性、確実性、動作性等、その内容について何ら法的保証をするものではありません。当サイトに掲載されている情報を利用することで発生した紛争や損害に対し、当協議会は責任を負わないものとします。
また、本サイトの一部には法律的な根拠を求めることが難しい内容も含まれております。このような内容については全国PTA連絡協議会としての見解となります。
全国PTA連絡協議会が提供している事業やサービスは、予告なく変更または中止する場合があります。
↑