端末やキャリアのフィルタリング、有料アプリ、ティーンアカウントなど目的にあわせて併用
子どものSNS利用を適切に管理するには
子どものSNS利用の管理
2025年12月現在、子どものSNS利用を管理するには、OSやアプリの制限機能(ペアレンタルコントロール)の活用と、家庭内ルールの策定を組み合わせることが主流です。1. 端末・アプリの機能による制限
保護者の端末から遠隔で設定できる無料の公式ツールが推奨されています。端末(OS)の機能
iPhone/iPadは、Apple スクリーンタイムで「コンテンツとプライバシーの制限」を設定し、アプリの利用時間やインストール、成人向けコンテンツへのアクセスを制御できます。Androidでは、Google ファミリーリンクを使用し、1日の利用上限時間の設定や、特定のアプリ(Instagram、TikTokなど)の使用禁止が可能です。
キャリアフィルタリング
各通信会社が提供するフィルタリングサービスにより、有害サイトやアプリの起動を強力に制限できます。2. SNS各アプリの年齢制限と管理
多くのSNS(Instagram、X、TikTok、Facebook)は、利用規約で13歳以上と定めています。年齢確認
2025年現在、海外では16歳未満のSNS利用を禁止する法整備が進んでいますが、日本では年齢による一律規制はなく、保護者が管理することが基本です。ペアレンタルコントロール設定
Instagramなどのアプリ内にも、保護者のアカウントと連携して利用時間やフォロワーを確認できる機能があります。3. 家庭内ルールの策定
技術的な制限だけでなく、トラブルを未然に防ぐための約束事が重要です。個人情報の保護
本名、学校名、顔写真、住所が特定される背景などは発信しない。利用場所・時間の固定
「夜〇時以降はリビングで充電する」「食事中は使わない」といったルールを決めます。相談の徹底
知らない人からの連絡や、トラブル(いじめや違和感)があった際は、すぐに保護者に相談するよう伝えておくことが大切です。フィルタリングの活用
① 端末(OS)のフィルタリング
端末やOS標準のフィルタリング機能(iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「ファミリーリンク」)は、キャリアフィルタリングを補完、あるいはそれ以上に詳細な管理を可能にする極めて有効な機能です。
キャリア側のフィルタリングが「通信内容の遮断」に強いのに対し端末(OS)側は「スマホ本体の使い方」を細かく制御できる点に強みがあります。
主な有効性とメリット
- 特定のゲームやSNSは1日1時間まで、といったアプリ単位の細かい時間制限が可能です。
- 夜間の使用を強制的に停止する「休止時間」の設定など使用時間や時間帯の管理が可能なため、睡眠不足やスマホ依存を防げます。
- アプリ内課金や新しいアプリのインストールを、保護者の端末から遠隔で承認・却下できます。
- 子どもが今どこにいるかをリアルタイムで把握できる位置情報の確認機能が含まれています。
- キャリアのオプション料金を気にせず、OSの標準機能として無料で利用可能です。
注意点と限界
- 時刻設定の変更やブラウザ経由でのアクセスなど、子供が制限を回避する方法(抜け道)が報告されており、OS側も随時アップデートで対応していますが、「抜け道」の存在があり、完全対策とはなりません。
- 保護者自身が設定方法を理解し、子どもの成長にあわせて調整し続ける手間がかかります。
- 設定を適切に見直さないと、一方的な厳しすぎる制限となり、隠れてスマホを使うなどの逆効果を招く可能性があります。
端末とキャリアのフィルタリング併用を推奨
- 端末(OS)のフィルタリングは、iPhoneでは「スクリーンタイム」、Androidでは「Googleファミリーリンク」を活用します。
② キャリアフィルタリング
キャリアフィルタリング(通信事業者によるフィルタリング)は、青少年の安全確保やスパム対策において極めて有効な機能です。2025年現在、インターネット上の脅威は高度化しており、未成年者が不適切なコンテンツや犯罪(SNSを通じたトラブル等)に巻き込まれるリスクを低減するために不可欠なツールとなっています。主な有効性と注意点は以下の通りです。
主な有効性とメリット
- 出会い系サイト、ギャンブル、暴力的なコンテンツなど、未成年者に不適切なサイトやアプリへのアクセスを制限し、有害情報を遮断します。
- 利用時間帯の制限やアプリの使用制限などスマホの使い過ぎ防止機能により、依存や生活習慣の乱れを防ぐことが可能です。
- 通信事業者のネットワーク側で、既知のスパム発信元や疑わしいURLを含むメッセージを自動的に検知・ブロックします。
- 日本では2018年施行の法律により、18歳未満がスマホを契約する際のフィルタリング設定が義務化されており、信頼性の高い安全策とみなされています。
注意点と限界
- キャリアのフィルタリングサービスは、Wi-Fi接続時には原則として適用されません。特定条件下(専用のフィルタリングアプリを使用している場合、Wi-Fiルーター側のフィルタリング機能、キャリア提供のWi-Fiスポットなど)では、Wi-Fi利用時でも制限が可能です。
- 本来安全な、あるいは学習や業務に必要なサイトが誤って制限されてしまうことがあり、誤検知(過剰ブロック)が指摘されています。
- AIを用いたリアルタイムな攻撃(標的型メール等)の場合、ルールベースのフィルタでは完全に防ぎきれないケースもあり、最新の脅威に対する対策漏れも想定されす。
- 制限が厳しすぎると、利用者の情報収集やコミュニケーションが阻害され、フィルタを回避しようとする行動を招くリスクがあります。
成長にあわせフィルタリングを適宜調整、リテラシーを高める教育も併用
一方、フィルタリング機能だけに頼り切るのではなく、なぜフィルタリンによる制限が必要なのかを話し合うなどして、お子さまが理解を深めること、リテラシーを高める教育を併用することが引き続き重要です。
専用アプリやサービス
端末やキャリア制限にはない高度な管理機能
フィルタリング専用アプリやサービスは、OS標準機能やキャリア制限だけでは届かない「かゆいところに手が届く」高度な管理ができる点が非常に有効で、SNSを介したトラブルや巧妙なフィッシング詐欺が増加する中で、最も「守備範囲が広い」対策といえます。専用アプリやサービスならではの強み
Webフィルタリングの精度
OS標準機能よりもデータベースが細かく、学習、SNS、ショッピングなどのカテゴリ別に数億件のURLを精査してブロックします。レポート機能で、利用状況が可視化
「どのアプリを何時間使ったか」だけでなく、「どんな言葉で検索したか」「どのサイトを見ようとしてブロックされたか」を保護者が詳細なレポートで確認することできます。Wi-Fi環境下でも強力に作動
キャリアフィルタリングはモバイル回線(4G/5G)の利用時のみが対象ですが、専用アプリは自宅のWi-Fiや公共Wi-Fiに接続していても、端末内蔵の機能としてフィルタリングを継続します。マルチデバイス対応
1ライセンスで、スマホ、タブレット、パソコン(Windows/Mac)を横断して一括管理できるものが一般的です。注意点と限界
- 常にバックグラウンドで動作するため、古い端末やスペックの低い端末では動作が重くなったり、バッテリーの減りが早くなったりすることがあります。
- アンインストール対策として、子どもが勝手にアプリを消せないよう、保護者のパスワードが必要になる設定を必ず行う必要があります。
専用アプリやサービスの種類
主要な専用アプリやサービスは、「i - フィルター」「スマモリ」「コドマモ」です。スマモリは、使用時間の制限だけでなく、歩きスマホ防止機能や、子供の居場所確認に特化した機能を持っていましたが、2025年6月でサービスが終了しています。「スマモリ」では後継サービスとして「XKeeper」を案内してます。機能比較表
| サービス | i - フィルター10 ≫ | コドマモ ≫ |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 国内シェアNo.1 | AIによる自画撮り被害防止 |
| 得意分野 | 独自の膨大なDBによる |
SNSや画像検知にAIを活用 |
| 自撮り対策 | 特化した機能はなし | AIによる不適切撮影の検知ブロック |
| SNS見守り | ブラウザ版の制限が中心 | LINE等のいじめなどに関する危険なチャットをAI検知 |
| 対応OS | iOS , Android , Windows | iOS , Android |
| 料金目安 | 月額550円 | 月額790円 |
i - フィルター 10
2025年8月発売の「i-フィルター 10」では、従来の有害サイト遮断に加え、オンライン証券口座の乗っ取り対策など最新のセキュリティ機能も強化されています。
子どもが不適切なキーワードで検索した履歴や、ブロックされたサイトの履歴を細かく把握したい場合に最適です。
iOS版ではOSの制限上、アプリごとの利用時間制限やフィルタリング機能に一部制約がありますが、多くの格安SIM(MVNO)やキャリアのオプションとしても採用されています。
コドマモ
最新のAI技術を用いた「自画撮り被害」の防止機能は、SNSを通じた性被害対策として、非常に注目されています。子どもが自分の裸などを撮影しようとするとAIが検知し、保存前にブロックし保護者に通知します。チャットのAI解析は、国内で唯一のサービスで、LINE等のSNSアプリ上での「いじめ」「誹謗中傷」「性犯罪の誘い」をAIが検知し、保護者に通知する機能を備えています。
愛知県日進市などの教育現場でも「コドマモ for School」が導入されるなど教育機関との連携も始まっており、信頼性が高まっています。
また、キャリア連携もあり、2025年8月からは、auの家族向け新プラン「U12バリュープラン」の標準機能として追加料金なしで利用可能です。
サービス選ぶ際のポイント
フィルタリング専用アプリやサービスは、キャリアのパック料金に含まれる場合もありますが、月額利用料がかかるのが一般的です。ご利用目的にあわせたサービスの選択をお勧めします。使用時間の管理のみで良い場合は、無料のOS標準機能(スクリーンタイム等)が選択肢となります。
Webフィルタリングは、i - フィルター、SNSや画像はコドマモ
i - フィルター 10を選ぶべき理由
- 小学生など、まずは有害なWebサイトとの接触を完全に断ちたい場合
- 子どもがどんな情報を検索しているか、興味関心の傾向を把握したい場合
- PC(Windows)も含めて一括管理したい場合
コドマモを選ぶべき理由
- 中高生など、SNS(LINE等)の利用が中心で、ネット上の人間関係トラブルが心配な場合
- 自画撮り画像を要求されるような性被害や、いじめの早期発見を重視したい場合
手軽に始めたい場合は、まずは無料のOS標準機能(スクリーンタイム/ファミリーリンク)を試すことをお勧めします。
より安全性を高めたいなら、Wi-Fi環境での確実なブロックは必須であり、専用アプリやサービスが有効です。検索単語のチェックの他、お子さまのトーク内容やコンテンツの危険性チェックなども判断ポイントです。
専用アプリやサービスを利用される場合は、お子さまに「監視されている」と感じさせないよう、使用状況を共有しながら「安全に使うためのツール」としての活用が理想的な使い方です。
ティーンアカウント※
2025年12月の時点では、InstagramなどのSNS各社は、18歳未満の利用者を守るための「ティーンアカウント」という保護機能を大幅に強化しています。また保護機能強化あわせて、年齢確認システムの厳格化も進められていますが、お子さまがスマートフォンなどを利用される際は、まず親子でルールを話し合うことが大切です。
- 「ティーンアカウント」は、英語圏のMeta社(Facebook, Instagramの運営会社)の制限機能で、英語でそのまま "Teen Account" と言います。他のサービスでは、TikTok … ペアペアレンタルコントロール、LINE … VOOMの制限などが同種の制限機能です。
「単なる設定」から「AIと保護者の目による、より確実な見守り」へ
2025年1月から日本国内での本格導入が始まったティーンアカウントの主な特徴と制限内容は以下の通りです。
1. デフォルト設定としてのアカウント制限
非公開設定
新規・既存を問わず、ティーンのアカウントはプロフィールが自動的に非公開になり、承認したフォロワー以外は投稿を見ることができません。
メッセージ制限
フォローしている人、または既につながっている人からしかメッセージを受け取れません。不適切なコンテンツの制限
AIによる判定などで、PG-13(13歳未満には不適切な可能性あり)基準のコンテンツ(暴力や自傷行為を助長するものなど)が表示されにくくなります。2. 利用時間と夜間の保護
スリープモード
夜10時から朝7時までの間は通知がオフになり、DMには自動返信が送られます。利用時間制限のアラート
1日の利用時間が60分を超えると、アプリを閉じるよう促す通知が表示されます。3. 保護者による管理機能(ペアレンタルコントロール)
年齢によって、設定を変更できる権限が異なります。16歳未満
制限を解除(アカウントを公開にする等)するには、保護者の承認が必須です。16歳〜17歳
自身で設定変更が可能ですが、保護者による管理機能(ペアレンタルコントロール)を有効にすることで見守り対象とすることもできます。未成年のSNS利用規制
子どもとデジタル機器
インターネットとの向き合い方
















