⑬ コンプライアンス … 会費と会計

⑬ コンプライアンス … 会費と会計

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PTA運営の課題と向き合うためのガイド ⑦

コンプライアンス … 会費と会計

領収書・監査・公費私費・寄付寄贈

全国PTA連絡協議会
 
PTA運営の課題と対応 解説 ①〜⑭

担い手・負担軽減

ガイド ① 担い手不足対応と負担軽減には ≫

担い手不足の根っこを整理し、「減らす」「分ける」「入口を広げる」で運営を回し続ける考え方をまとめています。

ガイド ② 活動量と時間負担を見直すPTA運営は ≫

活動量そのものよりも、時間・手間・調整コストが増える構造に注目し、見直しを進めるための整理です。

ガイド ③ 任意加入の説明と加入意思の確認 ≫

PTAが任意団体である前提に立ち、加入・退会・未加入への配慮を「説明できる運用」に落とし込みます。

ガイド ④ 活動見直しとスリム化 手法と注意点 ≫

「減らせば楽」の落とし穴を避け、判断軸・説明・関係調整を含めた見直し(スリム化)の進め方を整理します。

運営の工夫(コミュニケーション・DX・多様性・引き継ぎ)

ガイド ⑤ コミュニケーション・クレーム対応 ≫

意見とクレームを整理し、初動・記録・窓口の一本化などで「個人が抱えない対応」を作る考え方です。

ガイド ⑥ PTAのデジタル化・DXの悩み ≫

目的→手段→ツールの順で、小さく始めて続けるDXを整理し、「困る人を増やさない」運用設計を支えます。

ガイド ⑦  多様な家庭状況に配慮したPTA運営 ≫

参加できない事情を前提に、摩擦を減らしながら「続く運営」へ組み替えるための整理です。

ガイド ⑧ 引き継ぎの標準化と運営の再現性 ≫

引き継ぎを「口頭と記憶」から「資産」へ変え、属人化を防いで再現性の高い運営に整えます。

目的・これから

ガイド ⑨ PTAはなぜ必要? 目的と存在意義の説明 ≫

PTAの目的を一文で言える状態を作り、説明が必要な場面で短く分かりやすく伝える観点を整理します。

ガイド ⑩ これからのPTAのあり方 ≫

任意加入を前提に、子どもの平等設計を守りつつ、可視化と多様化で信頼される運営へ進む方向性を示します。

コンプライアンス

ガイド ⑪ コンプライアンス … 任意団体 ≫

任意団体としての前提を、文書・手続・説明で揃え、誤解や不信が起きにくい運営に整えます。

ガイド ⑫ コンプライアンス … 個人情報保護 ≫

名簿だけでなく写真/SNS/外部ツールも含め、取得→保管→提供→廃棄→事故対応まで「流れ」で設計します。

ガイド ⑬ コンプライアンス … 会費と会計 ≫

会計を「信頼の土台」として、領収書・監査・現金管理などを説明可能な形に整え、担当が替わっても回る実務へ。

ガイド ⑭ コンプライアンス … 運営対策 ≫

学校との委任関係や契約、SNS、苦情・事故対応など周辺論点を補完し、責任の所在と記録で個人依存を減らします。

単位PTAの運営では、役員や委員の負担、活動内容、保護者との関係など、さまざまな悩みが生じます。本ページでは、当協議会の視点で、全国のPTAで見られる課題を整理し、現場の実情に配慮しながら、無理なく改善につなげるための考え方や工夫を紹介しています。
 ページの下部へ移動します。

はじめに

会計は信頼の土台

PTAの会計は、単にお金を数える作業ではなく、任意加入の団体として会員の納得と信頼を守るための仕組みです。
会費は保護者の私費であり、公費で賄われるべき学校経費との混線、領収書の欠落、現金の長期保管、承認の曖昧さが重なると、事故や疑念が一気に広がります。

しかもPTAは、年度ごとに役員が交代しやすく、引継ぎの質が会計の安全性を左右します。
仕組みが弱いと、会計担当者は常に不安を抱え、会員からは不透明に見え、学校との関係もこじれやすくなります。

このページでは、会計処理の適正さ(領収書管理、監査、現金扱い)、公費と私費の区分、寄付・寄贈の基準を、具体例と図表で整理します。目的は、誰が担当しても同じ判断ができ、説明でき、引き継げる形に整えることです。

1. 会計の全体設計

迷わない仕組みづくり

会計事故の多くは、不正というより、判断基準がないままの善意と忙しさから起きます。
まずは、会計の全体像を紙1枚で説明できる状態にします。

まず決める3つの前提

1. 目的整合
規約の目的に合う支出だけを会費で行う。学校運営に必要な費用の恒常的な肩代わりは避ける。
2. 公平性
会員の私費を原資にする以上、特定の人だけが得をする支出、特定の立場に偏る支出は慎重に扱う。
3. 説明可能
誰が見ても、必要性と手続きが説明できるように、承認・証憑・記録を残す。

年間の会計サイクル

年度末の決算だけを頑張るより、月次の小さな締めを積み重ねる方が、ミスも不正も早期に止められます。

年間サイクル(例)

4月 予算執行開始/口座名義・権限確認/引継ぎ
5〜2月  月次締め(残高照合・証憑整理・未払未収の確認)
9月 中間監査(可能なら)
3月 年度末締め(未払処理・次年度繰越の整理)
4月 監査→決算報告→総会承認→公開

役割分担と権限分離

会計のトラブルは、ルール違反よりも、役割が曖昧で一人に情報と権限が集中した時に起きやすくなります。会計担当者を疑うためではなく、善意の人が疑われない状態をつくるために、最低限の分離を決めます。

可能なら、支出の提案、承認、支払実行、記帳、残高照合を、同一人物に集めない設計にします。
人数が少ない場合でも、必ず第三者が見える工程を残します。

作業 主担当 確認者 記録として残すもの
予算案の作成 会計 会長・役員会 予算案、役員会議事メモ
支出の起案 各担当 会計 支出伺い、目的メモ
支出の承認 会長 副会長または役員会 承認記録、議事録
支払の実行会計 会長または副会長 振込控え、決済明細
記帳 会計 監査 出納帳、科目別一覧
残高照合 会計 監査 照合チェック票
この表は例です。大切なのは、誰が何をするかを固定し、交代しても同じ形で回ることです。

承認ルールを数値化する

口頭で「いいよ」で進めると、後から会員説明ができません。
金額と性質に応じて、承認者と必要資料を変えるだけで、揉めやすさが大きく減ります。
区分 金額目安 承認者例 必要資料例
定型・少額 〜5,000円 担当+会計 購入目的メモ+領収書
通常支出 5,001〜30,000円 会計+会長 支出伺い+領収書+明細
高額・例外 30,001円〜 三役+役員会 比較見積もり+議事録+証憑一式
学校関係・寄贈 金額に関わらず 役員会+総会 自治体手続き確認+議事録+承認記録
この表はあくまで例です。重要なのは、例外を例外のまま放置せず、条件を決めることです。

支出伺いの最小テンプレ

承認を口頭だけで済ませると、後から説明ができず、担当者の負担も不信も増えます。 用紙は立派でなくてよいので、最低限の項目を統一します。
  • 支出名(何に使うかを短く)
  • 目的(PTAの目的とのつながりを一文で)
  • 対象(誰のための支出か、特定者利益にならないか)
  • 金額(概算で可、上限も書く)
  • 予算科目(どの枠から出すか)
  • 購入先(候補、比較が必要ならその理由)
  • 承認者(誰がいつ承認したか)
  • 証憑(領収書+明細+目的メモを必須に)
例外支出ほど、支出伺いが効きます。 例外は例外のまま放置せず、次年度に条件としてルールへ落とします。
事例:行事の当日買いで承認が曖昧 当日に不足物品を買うこと自体は起こり得ますが、後から誰が承認したのか分からないと疑念が残ります。対策として、当日買いの上限額、承認方法(会長へ電話、チャット承認など)、証憑セット(目的メモ必須)を規程化します。

2. 領収書と証憑管理

証拠があれば守れる

証憑は、会計担当者を守る防具です。
監査や引継ぎでの説明だけでなく、会員から質問が出た時に、短時間で誠実に答えられる状態を作ります。

証憑セットの基本

領収書 日付、金額、店舗、但し書きが読めること
明細 品目が分かるレシート、納品書、購入画面の印刷など
目的メモ 何の活動で、誰の承認で、どの予算科目か

目的メモの最小テンプレ(例)

支出名 広報紙 印刷代
活動 広報委員会
予算科目  広報費
目的 PTA活動報告の配布
承認 会長・会計(支出伺いNo.12)
支払 口座振込

領収書が出ない、情報が足りない場合

ネット購入や自販機、自治体施設使用料などで、領収書形式が不十分なことがあります。
その場合は、次の代替資料を組み合わせます。
  • 購入画面・決済画面の印刷(注文番号、金額、日付が分かるもの)
  • カード明細や振込控え(支払事実の証明)
  • 納品書、受領書、会議資料や配布物(支出の目的と成果の証明)

講師謝金と源泉徴収の注意

PTAが講師に謝金や講演料を支払う場合、源泉徴収が必要になることがあります。 会計処理としては、金額だけでなく、支払の性質を整理して証憑を揃えることが重要です。
  • 講演料や謝金は、名目が車代や調査費でも、実態が報酬であれば源泉徴収の対象になり得ます
  • 交通費や宿泊費は原則として報酬に含まれる扱いになり得ます
  • ただし、通常必要な範囲で、PTAがホテルや交通機関へ直接支払う形なら、報酬に含めなくてよい整理もあります
実務では、講師へ支払う金額の内訳、支払先、手配方法を事前に決め、請求書やメール合意も証憑として残します。
迷う場合は、税務署や専門家へ確認し、確認結果もメモで保存します。
事例:レシート紛失で精算できない 紛失時は、まず店舗で再発行や購入履歴の確認を試みます。
それでも無理な場合、例外扱いの上限額を決め、例外精算書に理由・承認者・代替資料を添付し、役員会で記録します。例外が続く場合は、運用が破綻しているサインとして、購入手順や立替の仕組みを見直します。

保管方法と保存期間の考え方

保管は紙でもデータでも構いませんが、誰が見ても同じ場所にある状態が大切です。
説明責任と事故対応の観点からも、複数年保存を基本にする運用が安全です。

保存期間の目安を決める

保存期間を曖昧にすると、引継ぎで捨てる人と残す人が出て、説明責任が弱くなります。
PTAの会計は任意団体であっても、トラブルが起きた時に遡って説明できる年数を基本にします。
  • 基本:7年を目安に保存(帳簿や領収書などの保存期間の一般的な考え方として、7年保存が示されています)
  • 寄付・寄贈、契約、紛争の可能性がある案件:より長めに保存(少なくとも決着後も一定期間)
  • データ保存の場合:削除防止、権限分離、バックアップの3点セットまで決める
保存期間は、PTA内規として明文化し、毎年の引継ぎチェック項目に入れておくと、実務が安定します。

電子化する場合の注意

スキャンして共有フォルダに置くと、引継ぎが劇的に楽になります。
ただし、閲覧権限の範囲、ファイル名ルール、削除防止(編集権限と閲覧権限の分離)、バックアップを合わせて決めます。

3. 現金と口座の管理

現金を減らすほど安全

会計事故は、現金を扱う場面で起きやすくなります。現金は、量と保管期間を最小化し、口座を中心に管理します。

口座・印鑑・権限の分離

  • 通帳、届出印、ネットバンクの認証情報を同一人物に集中させない。
  • 振込実行と記帳、保管と承認を、可能な範囲で分ける。
  • ネットバンクを使う場合は、ID共有を避け、権限付与の形で運用する。

現金出納の基本ルール

  • 小口現金は上限額を設定し、超える分は速やかに入金する。
  • 現金出納帳は、入出金の都度記録し、残高を合わせる。
  • 行事などで現金を扱う場合は、受領者2名体制とし、集計表と残高確認をその場で行う。

現金取扱いの安全フロー(例)

  1. 現金を受け取る(受領者は原則2名)
  2. その場で集計し、署名(集計表を作る)
  3. 一時保管は短期間(保管場所と責任者を固定)
  4. 速やかに入金
  5. 通帳の入金記録と集計表をひも付けて保管

立替精算のルールを統一する

立替が常態化すると、証憑の欠落や支払遅れが起きやすくなります。例外として扱い、条件を決めて運用します。
  • 立替は原則禁止、やむを得ない場合のみ可
  • 精算期限を決める(例:購入から2週間以内)
  • 精算に必要な証憑セットを固定(領収書+明細+目的メモ+承認記録)
  • 同一人物の立替上限額を決める(例:月1万円まで)
  • 例外が続く場合は、口座振込やデビット等の手段へ切替を検討する
立替が増えるのは、支払手段が弱いサインです。
仕組み側の改善として扱うと、担当者の負担も減ります。

会費集金は独立性を意識する

会費集金の方式は別テーマですが、会計処理の観点では、現金を減らし、取扱いの痕跡が残る手段に寄せるほど安全です。
手数料、名簿情報の取り扱い、未加入者への配慮、返金時の手続きまで含めて、規程に落とし込みます。
事例:学年委員が集金袋を自宅保管 悪意がなくても、紛失や盗難のリスクがあり、疑念が生まれます。
対策として、集金は短期間、保管場所と責任者を明確化、速やかに入金、集計は複数名、というルールを徹底します。

4. 監査と不正防止

疑わない仕組みを作る

不正防止は、誰かを疑うためではなく、善意の人が疑われない状態を作るための仕組みです。
会計担当者1人に権限と情報が集中すると、ミスも不正も発見が遅れます。

監査で必ず見る観点

  • 通帳残高と会計帳簿の一致(期末だけでなく月次でも確認できると望ましい)
  • 領収書・明細・目的メモのセット化(抜けがないか)
  • 承認記録の有無(支出伺い、議事録、承認者)
  • 現金残高の実査(実際に数える)
  • 例外処理の妥当性(レシート紛失、立替、寄付寄贈など)

月次の残高照合を標準化する

年度末だけの監査は、過去のミスを掘り起こす作業になり、心理的負担が大きくなります。
月次で通帳残高を照合し、未処理の支出や未払いを棚卸しするだけで、年度末が楽になります。

月次締めチェック(例)

  1. 通帳残高を確認
  2. 帳簿残高と一致を確認(差があれば原因を特定)
  3. 未払・未収の有無を確認(立替精算、請求書支払待ち等)
  4. 証憑の抜けを確認(目的メモの不足など)
  5. 簡易報告(会長・副会長・監査へ共有)

不正が起きやすい状態のサイン

  • 通帳と印鑑が同じ人の管理で、残高確認がされていない
  • 領収書が束で保管され、支出の目的が追えない
  • 会計担当者しか状況を知らず、質問しにくい空気がある
  • 現金が多く、行事後に残高が合わないことがある
事例:監査で残高が合わない

まずは、差額が出た月と取引を特定し、通帳の入出金と帳簿の記録漏れを照合します。次に、未処理の立替精算や、振込手数料、手数料差引入金など、よくある見落としを確認します。それでも解消しない場合は、事実を記録し、役員会で対応方針(再発防止、関係者ヒアリング、必要なら外部相談)を決めます。隠すほど信頼が壊れるため、記録と透明性が最優先です。

5. 公費私費の線引き

払うべき人が払う

会費の使途で揉めやすいのが、公費と私費の境界です。
公費と私費の負担区分は全国一律の基準があるわけではなく、自治体ごとに取り扱いが異なります。
それでも、基本の考え方をPTA内で揃えることが重要です。

3つに分けて考える

公費 自治体の予算、税金を財源とする学校運営の費用
私費 保護者負担金、教材費、制服代など、個人負担の費用
PTA会費 会員の私費であり、PTA目的のために使う資金

学校徴収金とPTA会費は別管理

教材費や修学旅行費などの学校徴収金は、学校運営に近い領域の資金であり、PTA会費とは性質が異なります。
混線すると、責任の所在、監査、情報公開の基準が曖昧になりやすくなります。

近年は、学校徴収金の徴収・管理を自治体業務として進めたり、学校を経由しない支払へ移行したりする方向性が示されています。PTA会費を学校経費の補完として扱わない整理は、コンプライアンス上の予防線になります。

  • PTA会費は任意加入の会員の私費であり、PTA目的の範囲で使う
  • 学校徴収金や学校経費に近い支出は、設置者や学校側の制度で対応できないかを先に確認する

会費で出すと問題化しやすい類型

学校の設備・備品・修繕費、教職員の旅費や人件費など、公費で賄われるべきものへの支出は基本的に不適切と考えられます。また、学校の備品をPTAが購入すると、所有・管理・事故時の責任がPTA側に残るおそれがあります。

判断に迷う支出は条件を明文化する

例えば、子ども全体の安全に関わる物品、学校と共同開催の行事費などは、PTA目的に合致し得る一方で、学校経費の肩代わりと見られやすい領域です。
迷う支出は、次の条件を満たす場合のみ検討する、と整理するとブレにくくなります。
  • PTAの目的と直接つながり、活動成果が説明できる
  • 特定の人だけが利益を得る構造になっていない
  • 予算に明記し、総会または役員会で承認されている
  • 学校側の予算や制度で対応できない理由が整理できている

判断ミニケース集(例)

迷いが出やすい支出は、よくある事例として先に共有すると、会議での感情論を減らせます。
最終判断は自治体の基準や学校状況も踏まえますが、PTA内の統一判断の叩き台として使えます。
支出例 結論の目安 理由の軸
学校設備の修繕や維持費 原則NG 公費で賄うべき領域になりやすい
教職員の人件費や旅費 NG 設置者負担が基本
学校清掃の外注 条件付 合意形成と事前の学校・設置者相談が必要
学校へ物品寄贈(空気清浄機等) 条件付 寄附採納、維持管理、責任整理が必要
役員への通信費補助 条件付 実費精算が原則、規程整備が必要
この表の条件付は、事前相談、予算明記、総会承認、議事録、証憑セットまで揃えて初めて説明可能になります。

公費・私費・会費の簡易判断(例)

学校の運営に必須の設備・備品・修繕か 原則公費(会費支出は避ける)
児童生徒の個人所有物・個人利益に直結か 原則私費(学校徴収金等で整理)
PTA目的に合致し、会員の合意と説明ができるか 会費支出を検討(承認・証憑・公平性)
企画の見直し
事例:先生への謝礼や餞別を会費で出したい 感謝の気持ち自体は自然ですが、会費は会員の私費であり、支出の公平性や説明可能性が問われます。
習慣的に続いている場合ほど、総会での明確化、廃止や縮小の検討、代替として子ども向けの活動に予算を振り替えるなど、目的整合で整理すると行き違いが起きにくくなります。

6. 寄付寄贈の判断

善意でも手続きが必要

学校のために何かしたい、という善意から、PTAが学校へ備品を寄付・寄贈したい場面があります。
しかし、寄付・寄贈は、手続きを踏まないと所有と責任の所在が曖昧になり、後からトラブルになりやすい領域です。

寄附採納を前提にする

学校への寄付・寄贈は、自治体が定める手続きが必要であり、寄付・寄贈の意思表示と、自治体の受諾によって成立する契約として、学校に寄附採納の処理をお願いする必要があります。
寄附採納ができない場合、PTA所有物となり、維持管理や事故時の責任がPTAに残る可能性があります。
  • 寄附採納とは、自治体(設置者)が寄付を受け取る手続きです。受諾されると、備品の所有と管理が学校側に移り、維持管理や事故時の責任整理がしやすくなります。

寄贈してはいけない、注意が必要な類型

  • 公費で賄うべき設備・備品の代替(恒常的な肩代わりになりやすい)
  • 維持管理費が継続的に発生するもの(修理、消耗品、保守契約等)
  • 安全管理や事故責任が重いもの(遊具、電気製品、大型備品等)
  • 学校運営の判断に直結するもの(防犯カメラ等は特に慎重)
事例:タブレットや備品をPTAで買って渡したい 購入時は良くても、故障時の修理、保険、更新、保守、台数不足時の追加などで、PTAの負担が継続しやすい類型です。
まず公費での整備状況と今後の計画を確認し、どうしても必要なら寄附採納を前提に、維持管理と更新の整理ができる場合に限って検討します。

実務チェックリスト

  • 会員の任意加入と会費の性質を踏まえ、合意形成ができているか
  • 予算に明記し、総会で承認しているか
  • 公費での対応可否を学校・設置者に確認したか
  • 寄附採納の要件、窓口、書式を自治体基準で確認したか
  • 所有者、管理者、維持費負担、事故時の責任を整理できているか
  • 議事録と手続き書類を証憑として保管するか

寄付・寄贈の判断フロー(例)

寄付・寄贈したい
   ↓
公費負担の対象ではないか確認
   ↓
維持管理・責任の重さを確認
   ↓
予算明記+総会承認(会員合意)
   ↓
自治体の寄附採納要件を確認
   ↓
学校と協議し寄附採納の手続き
   ↓
受諾後に引渡し・記録保管

寄付・寄贈で揉めやすいポイント

寄付・寄贈は善意の力が強い分、手続きや合意が弱いと、強制の疑い、責任の押し付け、維持費の負担などの火種になります。フローに入る前に、必ず次を確認します。
  • 任意加入の団体として、会員の自主的合意が取れているか
  • 自治体の寄附採納の要件、窓口、書式を確認したか
  • 受入後の維持管理費が重くならないか
  • 所有者、管理者、事故時の責任が曖昧にならないか
  • 売名や特定業者の利益誘導に見えないか
公立学校への寄付に関しては、強制的な寄付金徴収に当たらない整理が特に重要です。 曖昧なまま進めず、学校と設置者に早い段階で相談し、合意と手続きを証憑として残します。

透明性が最大の防御

会計処理の適正さは、会員の信頼と役員の安心を同時に守ります。
大切なのは、完璧な担当者を探すことではなく、迷いにくいルールと証拠が残る運用を作ることです。

具体的には、承認ルールの数値化、証憑セットの徹底、現金の最小化、月次の残高照合、実質的な監査が基本になります。さらに、公費私費の線引きは自治体差があるため、PTA内の判断基準を共有し、迷う支出は条件を明文化しておくことが重要です。

寄付・寄贈は善意が強い分、手続きと責任整理が不十分だと不信や行き違いにつながりやすくなります。
寄附採納を前提に、合意形成と証憑の保管まで含めて進めましょう。まずは月次締めと証憑セット化から始めるだけでも、会計は大きく安定します。

PTAの課題に、唯一の正解はありません。大切なのは、自分たちの学校や地域の実情を踏まえ、無理のない形を話し合いながら選んでいくことです。
本ページが、役員や保護者同士で考えを共有し、より良いPTA運営を進めるための一助となれば幸いです。
  • 本ページは、一般的な情報提供を目的としています。各校の規約・運営実態・自治体方針等により最適解は異なります。

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全国PTA連絡協議会は、本サイト等の内容およびご利用者様が本サイトを通じて得る情報等について、その正確性、完全性、有用性、最新性、適切性、確実性、動作性等、その内容について何ら法的保証をするものではありません。当サイトに掲載されている情報を利用することで発生した紛争や損害に対し、当協議会は責任を負わないものとします。
また、本サイトの一部には法律的な根拠を求めることが難しい内容も含まれております。このような内容については全国PTA連絡協議会としての見解となります。
全国PTA連絡協議会が提供している事業やサービスは、予告なく変更または中止する場合があります。
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