学校における働き方改革 保護者として課題の共有や取り組みへの協力も必要です!
学校における働き方改革
学校における働き方改革の目的
学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、 自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることです。
学校における働き方改革に対する各自治体の取り組みは、「学校における働き方改革」+「自治体名」などで検索可能です。地域により「教員の働き方改革」「教職員の働き方改革」などの場合もあります。
学校における働き方改革における課題を、保護者として共有し、取り組みに対する協力も必要です。
文部科学大臣メッセージ
永岡文部科学大臣メッセージの全文
教員の働き方改革への取り組み
取り組みまでの経緯
2018年
安部内閣での働き方改革関連法を成立、翌年施行。
労働基準法等改正では、時間外労働の上限は月45時間かつ年360時間とされ、反企業や労務担当者には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
自民党の教育再生実行本部の部会が提言
教員の長時間労働を抑制するため、労働時間を年単位で管理する「変形労働時間制」の導入を盛り込んだ中間提言をまとめ、授業のない夏休み期間に合わせて教員が長期休暇を取るなどしてトータルの労働時間を削減する変形労働時間制の導入を提しています。
前提として、夏休みなどの間の研修や部活動のあり方も見直すべきであり、また、給特法*については、勤務時間管理の意識を薄れさせているとして見直しの検討を続けるとしています。
2019年
改正給特法*の公布同法の施行は2021年4月。改正により、公立学校の教員に「変形労働時間制」を適用が可能になりましたが、実際に導入するか否かは各自治体に任せられており、都道府県や政令指定都市による条例制定が必要になります。
2021年
一部の自治体で、公立学校教員への「変形労働時間制」の導入がスタート。2022年
文部科学省の教員勤務実態調査では、国が残業の上限として示している月45時間を超えるとみられる教員が、中学校で77.1%、小学校では64.5%で依然として長時間勤務が常態化していることが判明。2023年
教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して、中央教育審議会から「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」の提言 ≫ がなされています。教員の勤務態様の特殊性をふまえて、公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律。1971年制定。
インターネットテレビによる政府広報
未来を担う子どもたちのために 学校の先生も働き方改革(動画約7分)教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)
教師を取り巻く環境整備について
学校・教師が担う業務に係る3分類
中央教育審議会答申では、学校・教師が担う業務に係る以下の3分類が示され、文部科学省では、学校・教師が担う業務の考え方を明確化した上で、役割分担や適正化を推進するとしています。- 基本的には学校以外が担うぺき業務
- 学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
- 教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
教員の働き方改革のポイントを考える
教員の働き方改革を進めるうえでは、さまざまなポイントがあり、具体的なポイントについて考えてみます。教員の労働時間を正確に把握する
教員の働き方改革を進めるには、まず教員の労働時間を把握することがスタートです。すべての教員に出勤時間と退勤時間を打刻してもらい、データとして管理する必要があります。文部科学省が調査によると、ICカードやタイムカードなどで勤怠を正確に把握している自治体は、2020年で71.3%、前年度は47.4%ですので、大幅に増加しています。
業務そのものを減らす
教員の業務量が多すぎるため、働き方改革を進めるうえでは業務そのものも減らす必要があります。教員の業務内容を一度見直し、棚卸しする機会を設けることで、業務の廃止や簡略化、さらには学校・教師・保護者・地域が担うべきことを明確化する必要があります。
教員以外のスタッフを採用する
教員以外でも対応できる業務については、教員以外のスタッフが対応する仕組みも必要です。アシスタントや部活動の専門の指導員やコーチなどを新しく採用することで、指導の質の向上も望めます。
教員の職務内容を検討する
教員の職務内容を精査し、実際には教員でなくても対応できる職務をを分類、業務の分担を検討する必要があります。たとえば、学校行事の準備や運営、成績処理などが考えられます。ICTの活用
ICTの積極的な導入で、業務の省力化はもちろん、属人化防止、教員同士の情報共有など、一般企業同様に大きな効果が考えられれます。変形労働時間制
変形労働時間制とは
変形労働時間制のメリット
一般的企業で、変形労働時間制を導入した場合のメリットは、- 残業時間を削減 … 繁忙期と閑散期に合わせて労働時間を調整
- メリハリのある働き方を実現 … 閑散期の労働時間を短くすることで、家族と過ごす時間や趣味に費やす時間増加
- 会社のイメージアップにつながる … ワークライフバランスが実現できる、柔軟な働き方ができるとといった点を、会社のアピールポイントに利用
学校現場で考えると、雇用主的立場である管理職や教育委員会にとって、変形労働時間制の導入は、今まで残業時間だった時間を勤務時間として扱うことが可能になります。
教員の過酷な労働状況が明るみになり、労働環境に関する裁判例や教員志望者への影響などがあり、少なくとも統計数値では、労働環境の改善見込まれ雇用側にとってはメリットと考えられます。
変形労働時間制のデメリット
一般的企業で、変形労働時間制を導入した場合のデメリットは、- 繁忙期の労働時間が長時間に … 所定労働時間を超えなければ残業扱いにならないため、労働者のモチベーション低下の懸念
- 人事担当者の手間が増加 … 通常の勤務体系よりも残業時間の計算が複雑になります。また、導入時には就業規則の変更や労使協定の締結など様々な手続きが必要
- 不公平感が生まれる可能性 … 特定の部署だけに導入している場合、社内の一体感に懸念
国立大学法人附属学校においては、変形労働時間制の導入が進んでいますが、以下のような声もあります。
- 繁忙期は定時が長時間化、しかも当然のように定時以上に働いている
- 夏休みは実質的に今まで通りなので、普段定時がのびているので確実に損
- 夏休みの短時間勤務は「せっかく出勤したので働いておこう」と完全に形骸化
公立教員への変形労働時間制の導入
- 繁忙期の連続労働日数は、原則6日以内
- 労働時間の上限は、1日10時間、1週間52時間
- 労働日数の上限は、年間280日
- 時間外労働の上限は、1カ月42時間、年間320時間
文部科学省による導入の意義
文部科学省による導入のイメージ(小学校)
参考:労働基準法による休憩時間
労働基準法第34条では、勤務時間が8時間を超えると休憩時間は60分確保する必要があります。勤務時間 | 休憩時間 | 始業〜終業時間 |
7時間45分 | 45分 | 8時間30分 |
8時間30分 | 60分 | 9時間30分 |
9時間00分 | 60分 | 10時間 |
年単位の変形労働時間制に関する条例の整備状況
休日の「まとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制に関する条例を2021年度までに整備済・整備される見込みである自治体は、都道府県は25.5%、政令市は5.0%となっています。(調査基準日:2021年9月1日時点)
改正給特法は、あくまでも各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるよう法整備された制度であるため、実施率の高低が望ましい、望ましくない状況を表すものではありません。
自治体による条例の整備状況
条例の整備状況 | 都道府県(47) | 政令市(20) |
2020年度に整備済 | 19.1% | 5.0% |
2021年度中に予定 | 6.4% | ー |
時期未定、整備予定 | 19.1% | ー |
整備を検討中 | 53.2% | 80.0% |
整備予定なし | 2.1% | 15.0% |
今後、考えていくべき事
変形労働時間制の導入は自治体の判断によります。2021年9月の調査時点では導入が進んでいるとは言えません。
課題として考えらるのは、業務量が減っていない現実があります。
学校閉庁日設定や、留守番電話設定などは進みつつありますが、学校・教師が担う業務に係る3分類が示され、教員の業務量を適切なものにする取り組みが始まっていますが、部活動の指導や児童生徒への時間外での対応などの業務についての課題が解消されているとは言えません。
さらには、教職員定数改善が先だとする意見もあります。教員の仕事は、ここまでといった線引きのできない仕事、すなわち職務内容に無限定性を持つ仕事とする考える人もいます。
繁忙期ではない長期休業だからこそ、教員は日頃の実践を振り返り学ぶことができる、その機会を奪ってしまう可能性も指摘されています。
改正給特法による教員の変形労働時間制は教員の働き方改革を進める上での施策の一つです。
教員の業務内容の見直しや業務量削減など、様々な働き方改革の取り組みと、本制度の両面から教員の長時間勤務を解消していくことが重要です。
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