働き方改革を進めるには、
保護者として課題の共有や取り組みへの協力も必要です!
学校における働き方改革
学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることです。学校における働き方改革を進めるには、保護者として課題の共有や取り組みへの協力が必要です。
学校における働き方改革
働き方改革の目的
学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、 自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることです。
学校における働き方改革に対する各自治体の取り組みは、「学校における働き方改革」+「自治体名」などで検索可能です。地域により「教員の働き方改革」「教職員の働き方改革」などの場合もあります。
学校における働き方改革における課題を、保護者として共有し、取り組みに対する協力も必要です。
文部科学大臣メッセージ
永岡大臣、簗副大臣、井出副大臣、伊藤大臣政務官、山本大臣政務官が出席した、2023年8月29日の「学校における働き方改革推進本部」において、永岡桂子文部科学大臣は「子どもたちのための学校の働き方改革 できることを直ちに、一緒に」という大臣メッセージを発出し、国が先頭に立って改革を進めると強い決意を伝えました。
このメッセージは、前日の28日に中央教育審議会質の高い教師の確保特別部会から永岡大臣に手交された「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」を踏まえ、これまでの取組の進捗や今後の取組予定について議論を行い、発出されたものです。
- 国が先頭に立って改革を進めます。
教師を取り巻く環境整備の加速化に向け、大幅な教職員定数の改善や支援スタッフの大胆な配置充実など、これまで以上に力強く教育予算を確保します。
- 学校・教育委員会は、できることは直ちに実行を。
中教審の提言では、各主体において求められる対応が整理されておりますので、今からできることは直ちに着手いただきますようお願いします。
- 保護者・地域住民の皆様へ。
教師が教師でなければできない業務に集中し、教育の質を向上させるためには、学校・家庭・地域の連携分担や学校の働き方改革が必要であり、皆様の力がこれまで以上に求められています。
ご理解とご支援をお願いします。
出典:文部科学省 学校における働き方改革推進本部(2023年8月29日)
永岡文部科学大臣メッセージの全文
文部科学大臣メッセージ
〜子どもたちのための学校の働き方改革 できることを直ちに、一緒に〜
学校における働き方改革「元年」と言える2019年から約4年、皆様のご尽力のおかげで、教員勤務実態調査では在校等時間が減少しましたが、依然として長時間勤務の教師が多い実態も明らかになっています。
この改革の目的は、働き方の改善により教師が学ぶ時間を確保し自らの授業を磨くこと等を通じて、子どもたちにより良い教育を存分に行うことができるようにすることです。
今後は、2024年度からの3年間を集中改革期間とし、政府全体として質の高い公教育の再生に向け、働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実を一体的に進めていきますが、教師を取り巻く環境をより良いものとすることは待ったなしであるため、直ちにできることに関し、文部科学大臣としてメッセージをお伝えします。
1.国が先頭に立って改革を進めます
教師を取り巻く環境整備の加速化に向け、これまで以上に力強く教育予算を確保します。教師の処遇については、約50年ぶりの抜本的改善に向け今後議論を深めていきますが、今からすぐ取り組めることとして、大幅な教職員定数の改善や支援スタッフの大胆な配置充実、教師のなり手の確保に向けた取組を進めます。
また、国・地方自治体・各学校が行う業務の精選・見直しを国が率先して示します。今回の中央教育審議会の提言でも、学校行事の真に必要なものへの精選・見直し、登校時間の見直し等が例示されています。「やめようと思っても、様々な理由によりやめられない」との声は私にも届いていますが、働き方改革そしてその先のより良い教育につながる取組は、文部科学省として全力で応援しますので、このメッセージを業務改善に向けた旗印としてご活用ください。
2.学校・教育委員会は、できることは直ちに実行を
働き方改革は国だけでは進みません。改めて、一人一人の教師の勤務時間管理及び健康管理、業務分担の見直し等の責任を有しているのは各校長であり服務を監督する各教育委員会であるということを、すべての校長先生及び教育長の方々にご確認いただきたいと思います。
これまでの取組で効果の見られた好事例は相当蓄積されており、徹底した実行に移すべき時です。提言では、例えば、標準授業時数を大幅に上回っている教育課程編成の見直しをはじめ各主体において求められる対応が整理されておりますので、各学校の課題を踏まえ、今からできることは直ちに着手いただきますよう、お願いします。
3.保護者・地域住民の皆様へ
デジタル化の進展など急激に変化する時代の中で、今学校は、子どもたちが主体的で創造力豊かに次代を生きる力を育てるため、教育の質の向上に取り組んでいます。教師が教師でなければできない業務に集中してこの課題を達成するため、学校・家庭・地域の連携分担や学校の働き方改革が必要であり、皆様の力がこれまで以上に求められています。
更なる連携・協働のためには、国や地方自治体がメッセージを発するとともに、学校が保護者・地域住民の皆様とより積極的にコミュニケーションを図ることが必要です。その際、業務の優先順位を踏まえた思い切った精選・見直しや教師と保護者・地域住民の皆様との役割分担の見直し等の相談についても、ご理解とご支援をいただければ幸いです。
令和5年(2023年)8月29日 文部科学大臣 永岡 桂子
教員の働き方改革への取り組み
取り組みまでの経緯
2013年
OECDによる国際教員指導環境調査で参加国34か国のうち日本は、教師の勤務時間が最長で、かつ授業時間が短く、学業以外の事務・会議・部活動などでの時間が長いことが判明しています。
2016年
文部科学省の教員勤務実態調査結果では、中学校教員の約6割、小学校教員の約3割の残業時間が過労死ライン(おおむね月80時間超)を超えていました。
また、教員の月平均残業時間は平日と休日をあわせて約42時間となり、1965年度調査に比べ約5倍に増大、看過できない教師の勤務実態が判明し、改革への取り組みがスタートしました。
2017年
松野博一文部科学大臣は、中央教育審議会に「学校における働き方改革に関する総合的な方策について」を諮問し、以下の緊急提言がなされています。
- 校長及び教育委員会は、学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること
- すべての教育関係者が、学校・教職員の業務改善の取り組みを強く推進していくこと
- 国として、持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること
2018年
安部内閣での働き方改革関連法を成立、翌年施行。
労働基準法等改正では、時間外労働の上限は月45時間かつ年360時間とされ、反企業や労務担当者には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
自民党の教育再生実行本部の部会が提言
教員の長時間労働を抑制するため、労働時間を年単位で管理する「変形労働時間制」の導入を盛り込んだ中間提言をまとめ、授業のない夏休み期間に合わせて教員が長期休暇を取るなどしてトータルの労働時間を削減する変形労働時間制の導入を提しています。
前提として、夏休みなどの間の研修や部活動のあり方も見直すべきであり、また、給特法*については、勤務時間管理の意識を薄れさせているとして見直しの検討を続けるとしています。
参照:日経新聞 教員に変形労働時間制 自民部会が提言、年単位で管理(2018年5月16日)
2019年
改正給特法*の公布
同法の施行は2021年4月。改正により、公立学校の教員に「変形労働時間制」を適用が可能になりましたが、実際に導入するか否かは各自治体に任せられており、都道府県や政令指定都市による条例制定が必要になります。
2021年
一部の自治体で、公立学校教員への「変形労働時間制」の導入がスタート。
2022年
文部科学省の教員勤務実態調査では、国が残業の上限として示している月45時間を超えるとみられる教員が、中学校で77.1%、小学校では64.5%で依然として長時間勤務が常態化していることが判明。
2023年
教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して、中央教育審議会から「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」の提言 ≫ がなされています。
*給特法
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の略称。
教員の勤務態様の特殊性をふまえて、公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律。1971年制定。
インターネットテレビによる政府広報
未来を担う子どもたちのために 学校の先生も働き方改革(動画7分11秒)です。
学校の先生は、授業のほかにも、休み時間や放課後の指導、夜間パトロール、部活動など多くの仕事を担っており、その長時間勤務が課題となっています。
多忙な先生方の業務負担を減らすために、地域で行っていることとは?
今回は、その実例をご紹介します。
教師を取り巻く環境整備について
緊急的に取り組むべき施策(提言)
環境整備について
中央教育審議会では「教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指して」に関する、教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策で、次のように述べています。
- 「教育は人なり」と言われるように、学校教育の成否は教師にかかっている。教師は子どもたちの成長を直接感じることができる素晴らしい職業
- 我が国の学校教育の成果は高い専門性と使命感を有する教師の献身的な取組によるもの
- 教師の時間外在校等時間は一定程度改善したが、依然として、長時間勤務の教師が多い状況であり、持続可能な教育環境の構築に向けて、教育に関わる全ての者の総力を結集して取り組む必要・国、都道府県、市町村、各学校などが自分事としてその権限と責任に基づき主体的に取り組む
- 保護者や地域住民、企業など社会全体が一丸となって課題に対応する
- 改革の目指すべき方向性は、教師のこれまでの働き方を見直し、子どもたちに対してより良い教育を行うことができるようにすること。
教師が教職生涯を通じて新しい知識・技能等を学び続け、質の高い教職員集団を実現していくことは、我が国の学校教育の充実にとって極めて重要
本提言は、できることを直ちに行うという考え方のもと、緊急的に取り組むべき施策を取りまとめたものであり、これで終わりではない。今後、制度的な対応が必要な施策を含め、広範多岐にわたる諮問事項について更に議論を進める予定であるとしています。
参照:中央教育審議会 質の高い教師の確保特別部会(2023年8月28日)
学校・教師が担う業務に係る3分類
中央教育審議会答申では、学校・教師が担う業務に係る以下の3分類が示され、文部科学省では、学校・教師が担う業務の考え方を明確化した上で、役割分担や適正化を推進するとしています。
- 基本的には学校以外が担うぺき業務
- 学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
- 教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
出典:2023年8月28日 中央教育審議会 質の高い教師の確保特別部会
上記3分類に基づく14の取組などの詳しい情報は、
教員の働き方改革のポイントを考える
教員の働き方改革を進めるうえでは、さまざまなポイントがあり、具体的なポイントについて考えてみます。
教員の労働時間を正確に把握する
教員の働き方改革を進めるには、まず教員の労働時間を把握することがスタートです。すべての教員に出勤時間と退勤時間を打刻してもらい、データとして管理する必要があります。
文部科学省が調査によると、ICカードやタイムカードなどで勤怠を正確に把握している自治体は、2020年で71.3%、前年度は47.4%ですので、大幅に増加しています。
業務そのものを減らす
教員の業務量が多すぎるため、働き方改革を進めるうえでは業務そのものも減らす必要があります。
教員の業務内容を一度見直し、棚卸しする機会を設けることで、業務の廃止や簡略化、さらには学校・教師・保護者・地域が担うべきことを明確化する必要があります。
教員以外のスタッフを採用する
教員以外でも対応できる業務については、教員以外のスタッフが対応する仕組みも必要です。
アシスタントや部活動の専門の指導員やコーチなどを新しく採用することで、指導の質の向上も望めます。
教員の職務内容を検討する
教員の職務内容を精査し、実際には教員でなくても対応できる職務をを分類、業務の分担を検討する必要があります。たとえば、学校行事の準備や運営、成績処理などが考えられます。
ICTの活用
ICTの積極的な導入で、業務の省力化はもちろん、属人化防止、教員同士の情報共有など、一般企業同様に大きな効果が考えられれます。
変形労働時間制
労働基準法は労働時間の上限を原則として「1日8時間、週40時間」としており、教員も規制の対象です。一方で、労基法は1カ月や1年といった一定期間の平均で労働時間を計算する変形労働時間制も認めています。
変形労働時間制とは、労働時間が週40時間、1日8時間を超えても時間外労働としては扱われないという制度で、適応単位には、1週間単位の非定型変形労働時間制や、1ヶ月から1年単位などさまざまなものがあります。
変形労働時間制は、当時の労働時間短縮の動きを受けて、1988年の法改正施行で導入され、制度の活用により、繁忙期と閑散期がはっきりと分かれる業態を持つ職業では、繁忙期には労働時間を増やし、閑散期にはその分労働時間を減らすことが可能となり、主に雇用者に配慮した制度だと考えます。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻を労働者の裁量に委ねる労働時間制度であり、労働時間は月単位で計算します。
月の労働時間が法定労働時間を超えれば残業代が生ずる制度です。
裁量労働制
裁量労働制とは、労働時間を実労働時間で算定せず、一定時間とみなして運用する制度です。
そのため、裁量労働制の下では実際には長時間の労働があったとしても、決められた範囲でしか残業代は生じません。
変形労働時間制のメリット
一般的企業で、変形労働時間制を導入した場合のメリットは、
- 残業時間を削減 … 繁忙期と閑散期に合わせて労働時間を調整
- メリハリのある働き方を実現 … 閑散期の労働時間を短くすることで、家族と過ごす時間や趣味に費やす時間増加
- 会社のイメージアップにつながる … ワークライフバランスが実現できる、柔軟な働き方ができるとといった点を、会社のアピールポイントに利用
学校現場で考えると、雇用主的立場である管理職や教育委員会にとって、変形労働時間制の導入は、今まで残業時間だった時間を勤務時間として扱うことが可能になります。
教員の過酷な労働状況が明るみになり、労働環境に関する裁判例や教員志望者への影響などがあり、少なくとも統計数値では、労働環境の改善見込まれ雇用側にとってはメリットと考えられます。
変形労働時間制のデメリット
一般的企業で、変形労働時間制を導入した場合のデメリットは、
- 繁忙期の労働時間が長時間に … 所定労働時間を超えなければ残業扱いにならないため、労働者のモチベーション低下の懸念
- 人事担当者の手間が増加 … 通常の勤務体系よりも残業時間の計算が複雑になります。また、導入時には就業規則の変更や労使協定の締結など様々な手続きが必要
- 不公平感が生まれる可能性 … 特定の部署だけに導入している場合、社内の一体感に懸念
業務の削減が実施されない限り、教員の側からは、表向きの残業時間を調整しているだけで、仕事量は変わらない。
国立大学法人附属学校においては、変形労働時間制の導入が進んでいますが、以下のような声もあります。
- 繁忙期は定時が長時間化、しかも当然のように定時以上に働いている
- 夏休みは実質的に今まで通りなので、普段定時がのびているので確実に損
- 夏休みの短時間勤務は「せっかく出勤したので働いておこう」と完全に形骸化
参照:Yahooニュース 変形労働時間導入の先行事例、国立大・附属学校で、働き方改革は進んでいるのか?(2019/09/25)
変形労働時間制の導入
2020年には、北海道と徳島県において、教員の1年単位の変形労働時間制の導入が可能となる条例案が12月の議会で可決されています。
変形労働時間制の具体的な活用例としては、一般的な教員の繁忙期である4月や3月に働く時間を増やす代わりに、夏季休業期間中の休日を3日間増やしたり、年末に働く時間を増やす代わりに、冬季休業期間中の休日を2日間増やしたりすることなどを想定しています。
2019年に公布された改正給特法による変形労働時間制のポイントは、公立学校の教育職員における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制」を推進することにあります。
文部科学省は、実際の条例等の整備や制度の適用については、新型コロナウイルス感染症の状況を含め、地域や学校の実情に応じて、各地方公共団体において判断するものとしています。
一方で、国会への請願など、公立教員への変形労働時間制導入に反対する教員の声には、以下のような意見も出ています。
- 現在の教職員の長時間労働を見えなくするだけで、働き方改革になっていない。
- 部活動・行事の準備・研修などもあるのに本当に夏休みを確保できるのか。
- 育児や介護など家庭の事情を抱えた教職員に十分配慮される保証がない。
- 終業時刻が遅くなることで授業準備などの業務が遅い時間帯に回され、退勤が今よりも遅くなってしまうことが懸念
- 教職員の長時間過密労働を解消するためには、少人数学級の実現や教職員定数の抜本的改善によって人を増やし、一人当たりの業務量を縮減することが不可欠である。
変形労働時間制の導入で、下記のような条件での勤務が可能となります。
- 繁忙期の連続労働日数は、原則6日以内
- 労働時間の上限は、1日10時間、1週間52時間
- 労働日数の上限は、年間280日
- 時間外労働の上限は、1カ月42時間、年間320時間
文部科学省では
導入の意義
文部科学省「1年単位の変形労働時間制 導入の手引き」には、導入の意義として以下の記載があります。
本制度は、これを単に導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではありません。しかしながら、長期休業期間等において休日を集中して確保することで、教師のリフレッシュの時間等を確保し、ひいては児童生徒等に対して効果的な教育活動を行うことに資するとともに、教職の魅力向上に資することにより意欲と能力のある人材が教師を目指すことにつながることが期待されます。
学校における働き方改革には特効薬はなく、様々な取組を総力戦で進めることが必要です。本制度の活用は、勤務時間の上限に係る「指針」を踏まえた勤務時間管理の徹底、学校・教師の担う業務の明確化・適正化、教職員定数の改善や外部人材の活用等の条件整備などとともに、学校における働き方改革を総合的に進める一つの選択肢となるものです。
出典:文部科学省 公立学校の教育職員における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制 〜導入の手引き〜
導入のイメージ(小学校)
現状
勤務時間外の在校時間
- 小学校:約59時間/月、約800時間/年
- 中学校:約81時間/月、約1,100時間/年
- いわゆる超勤4項目以外の業務を行う時間を含めて、校内に在校している時間を基本とし、これに校外の業務時間等を加えた時間
超勤4項目
- 校外実習その他生徒の実習に関する業務
- 修学旅行その他学校の行事に関する業務
- 職員会議に関する業務
- 非常災害の場合、児童または生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合、その他やむを得ない場合に必要な業務
「指針」の遵守に向けた業務の削減
「指針」における勤務時間外の在校時間等の上限時間
業務を削減をした上で「休日のまとめ取り」の導入
「指針」における勤務時間外の在校時間等の上限時間(一年単位の変形労働性を導入した場合)
出典:文部科学省 公立学校の教育職員における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制 〜導入の手引き〜
参考:労働基準法による休憩時間
労働基準法第34条では、勤務時間が8時間を超えると休憩時間は60分確保する必要があります。
勤務時間 | 休憩時間 | 始業〜終業時間 |
7時間45分 | 45分 | 8時間30分 |
8時間30分 | 60分 | 9時間30分 |
9時間00分 | 60分 | 10時間 |
年単位の変形労働時間制に関する条例
条例の整備状況
休日の「まとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制に関する条例を2021年度までに整備済・整備される見込みである自治体は、都道府県は25.5%、政令市は5.0%となっています。(調査基準日:2021年9月1日時点)
改正給特法は、あくまでも各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるよう法整備された制度であるため、実施率の高低が望ましい、望ましくない状況を表すものではありません。
自治体による条例の整備状況
参照:文部科学省 令和3年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査(2021年12月)
今後、考えていくべき事
変形労働時間制の導入は自治体の判断によります。2021年9月の調査時点では導入が進んでいるとは言えません。
課題として考えらるのは、業務量が減っていない現実があります。
学校閉庁日設定や、留守番電話設定などは進みつつありますが、学校・教師が担う業務に係る3分類が示され、教員の業務量を適切なものにする取り組みが始まっていますが、部活動の指導や児童生徒への時間外での対応などの業務についての課題が解消されているとは言えません。
さらには、教職員定数改善が先だとする意見もあります。教員の仕事は、ここまでといった線引きのできない仕事、すなわち職務内容に無限定性を持つ仕事とする考える人もいます。
繁忙期ではない長期休業だからこそ、教員は日頃の実践を振り返り学ぶことができる、その機会を奪ってしまう可能性も指摘されています。
改正給特法による教員の変形労働時間制は教員の働き方改革を進める上での施策の一つです。
教員の業務内容の見直しや業務量削減など、様々な働き方改革の取り組みと、本制度の両面から教員の長時間勤務を解消していくことが重要です。