通学路等の安全確保 取組事例

通学路等の安全確保 取組事例

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登下校時の見守り活動は、学校を中心に、地域全体で取り組むことが重要です。

通学路等の安全確保 取組事例

通学路等の安全確保
登下校時の見守り活動は、学校を中心に、保護者やPTA、地域住民、行政、警察、民間企業、地域団体等が一致団結して連携・協働し、地域全体で取り組むことが重要です。取り組みを実施している、あるいは今後取り組むことを検討している皆様に向けた文部科学省「地域における通学路等の安全確保に向けた取組事例集」からの抜粋です。

地域における通学路等の安全確保

地域ぐるみの見守り活動と効果

登下校時の見守り活動は、学校を中心に、保護者やPTA、地域住民、行政、警察、民間企業、地域団体等が一致団結して連携・協働し、地域全体で取り組むことが重要です。 見守り活動
出典:文部科学省「やってみよう!登下校見守り活動ハンドブック」

取組事例について

本ページに掲載する9つの取組事例は、文部科学省総合教育政策局による「地域における通学路等の安全確保に向けた取組事例集」(2021年3月)からの抜粋です。
文部科学省では、事例集ついて次の様に述べています。
本事例集は、2020年度「地域における通学路の安全確保の方策等についての調査研究」において実施した通学路の安全確保の方策等に関する都道府県、市町村へのアンケート調査結果を踏まえ、現在通学路の安全確保に向けた取り組みを実施している、あるいは今後取り組むことを検討している自治体やボランティア等に対して有用な知見となるよう、各自治体が実施する具体的な取組をヒアリング調査によって深堀し、とりまとめたものです。
なお、本事例集を踏まえた、通学路の安全確保の方策に向けた最終的なとりまとめは「地域における通学路の安全確保の方策等についての調査研究」調査報告書をご覧下さい。
出典:文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

取組事例の概要

地域ぐるみの学校安全整備推進事業

スクールガード・リーダー、スクールガード)に関する取組事例
スクールガード・アドバイザーと学校セーフティウォッチャーの活動
マンパワーとIoTを組み合わせ、新しい見守り活動へチャレンジ
スクールガード・リーダーと学校応援団による見守り活動
村全体で子どもの安全を見守る体制の構築を目指した取組

住民の自発的な取組による、地域一体となった通学路の安全確保の取組事例

“通学路安全対策調査” による危険箇所の情報収集と対策の実施
住民主体による、地域一体での見守り活動

小学校単位での登下校時の見守り活動に関する取組事例

大学生も活躍する、御室こども見守り隊の活動(京都府京都市立御室小学校)
“子どもの視点” を重視する、夕日寺スクールサポート隊の見守り活動(石川県金沢市立夕日寺小学校)
コミュニティ・スクールを活用し、活動が活性化したオレンジベスト隊(鳥取県湯梨浜町立東郷小学校)

地域ぐるみの学校安全整備推進事業

千葉県千葉市

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行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
政令市981,738人 271.8km2 3,612人/km2 113校

スクールガード・アドバイザーと学校セーフティウォッチャーの活動

  • 「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」として委嘱事業であった2002年度から補助事業に変わった現在に至るまで長期間事業を継続している。
  • 登下校の見守り活動を実施する「学校セーフティウォッチャー」と、学校への巡回・評価、学校セーフティウォッチャーに対する指導・助言を行う「スクールガード・アドバイザー」が活動している。
  • 活動者、市、学校、学校支援地域本部(地域学校協働本部)等が積極的に連携を取りながら取組を進めている。
開始時期
経緯等
2002年度 地域ぐるみの学校安全体制
整備推進事業を開始
活動者数 スクールガード・アドバイザー:13名
(元警察官1名、元校長12名)
学校セーフティウォッチャー:25,149名
(保護者、PTA、地域住民、学校支援地域本部等)
活動学校 市内全小学校・中学校・特別支援学校・市立高校
行政から
の支援
スクールガード・アドバイザー:帽子、腕章、ネームタグ
学校セーフティウォッチャー:腕章
※横断旗、ビブス等の装備品は各学校から提供
活動の内容
  • 「青少年育成委員会」が設定されている中学校区を1つの区域とし、登下校の見守り及びスクールガード・アドバイザーによる巡回を実施している。
  • 見守りの対象は主に小学生だが、中学校区をカバーすることで小学校の通学路もカバーしている。特別支援学校、市立高校も巡回の対象としている。
  • 学校セーフィウオッチャーは主に活動する小中学校へ登録し活動する。スクールガード・アドバイザーは各育成委員会4から6区域を担当する。
  • 「スクールガード・アドバイザー連絡協議会」を年1回開催し、情報交換及び学校セーフティーウォッチャー活動の充実を目指し、講師の指導を受ける。
  • 青少年育成委員会や学校支援地域本部との連携、情報共有を密に実施している。学校セーフティウォッチャーの登録者は、学校支援地域本部における見守り活動実施者と重なる部分が大きい。
活動の工夫

学校セーフティウォッチャーへの「感謝」が活動の継続性に繋がる

  • 学校セーフティウォッチャーが “いて当たり前” の空気が課題の一つである。
  • そのため、教員への意識啓発とともに、学校セーフティウォッチャーを学校に招待して児童の発表会を見学したり、セーフティウォッチャーにお礼の手紙を読む会、給食を一緒に食べる会など、各学校が独自に取り組んでいる。
  • 日頃からの学校との関係づくりだけでなく、学校セーフティウォッチャーのモチベーションアップ、活動の継続にも繋がっている。

様々な主体とのコミュニケーションにより、地域全体での見守りを実現

巡回時には、学校教員とのコミュニケーションを積極的に実施するなど、市・地域学校協働本部等とのコミュニケーションを重視、スクールガード・アドバイザー、学校セーフティウォッチャーだけで見守るのではなく、地域全体で子どもたちの安全を見守る体制を構築している。

福岡県福岡市

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
政令市1,563,218人 343.46km2 4,551人/km2 145校

マンパワーとIoTを組み合わせ、新しい見守り活動へチャレンジ

  • 教育委員会指導部生徒指導課が所管課として、「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」での各校巡回、NPO法人による防犯教室などを推進しているほか、市民局の生活安全部では「IoTを活用した子ども見守り事業」を実施するなど、教育委員会と首長部局とが連携して通学路の安全確保に取り組んでいる。
  • 精力的なスクールガード・リーダーと大勢のスクールガードによって、市内公立学校全校(小・中学校、特別支援学校)を対象に地域ぐるみ事業の活動を行っている。
  • スクールガード・リーダー、スクールガードの高齢化・担い手不足や、マンパワーで対応できることの限界を、IoT等の技術でカバーしようという理念を持っている。
開始時期
経緯等
市内外での交通事故・事件の発生や
文部科学省からの要請等も2007年度より開始
活動者数 スクールガード・リーダー:警察官OB2名、
警備会社関係者1名、防犯関連NPO法人関係者1名
スクールガード:地域住民や保護者など29,200名
(2019年実績)
活動学校 市内公立学校全校
(小学校144、中学校69、特別支援学校8)
行政から
の支援
スクールガード・リーダーには、
謝金、保険加入等の支援
活動の内容
  • スクールガード・リーダーは各学校を年間1回訪問し、学校の内外を観察し、防犯の専門的な見地から指導・助言を行っている。各校についてチェックシートを作成し、校長の所見を書き加えたうえで教育委員会に提出している。
  • スクールガード・リーダーは、スクールガードに対して行う養成講習会において、子どもたちの防犯についての講師をしている。
  • 年間3回の「スクールガードリーダー連絡会」を開催しており、スクールガード・リーダーが各学校を巡回する中で得た情報や意見を集約・共有している。
  • スクールガード・リーダーには、防犯のNPO法人関係者もおり、年間数校で防犯教室の講師をしている。子どもたちが体を動かしながら、楽しく学ぶことのできる教室を提供している。
  • スクールガードは、通学路の見守り活動を中心に、各学校の特性に合わせて様々に活動している。無償のボランティアであるため、過負担にならない範囲での活動を行う。
活動の工夫

市民局の「IoTを活用した子ども見守り事業」とも連携

  • 市民局の防犯・交通安全課では協働実施事業者である九州電力送配電株式会社と協力し、2019年より、小学生に見守り端末を配布して位置情報を記録し、登下校等の安全確保に役立てるサービスを開始している。
  • 教育委員会も連携して事業推進し、既に市内全域でサービスを開始している。
  • 見守り活動員の高齢化、人材不足、時間的な制約といった課題を、IoTを活用することで補完していこうという目的がある。

スクールガードの心理的なハードルを下げる

  • スクールガードを大げさに考えず、日々の生活の中で自ずと犯罪抑止につながるような小さな積み重ねを行ってもらうことを重視している。
  • 「地域住民や保護者等、子どもたちの安全に関わっている全ての方々がスクールガードである」との認識を多くの人にもっていただくことができるよう、各学校を通じて、保護者や地域の方々に啓発している。

埼玉県加須市

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
112,764人 133.5km2 845人/km2 22校

スクールガード・リーダーと学校応援団による見守り活動

  • 埼玉県において、学校における安全・安心や学習活動等をボランティアとして支援する「学校応援団」が開始されたことを契機に、スクールガード・リーダーによる活動を開始した。
  • スクールガード・リーダーは、県の要請もあり、市内全小学校に各1名ずつ配置されている。
  • スクールガード・リーダーの経歴には、元学校長、元警察官等の基準はなく、PTA役員や見守り活動経験者等、様々な住民が担っている。
  • 市内小・中学校には「学校応援団」として登下校時の見守り活動を実施するボランティアが登録されている。
開始時期
経緯等
2005年度埼玉県「学校応援団」の開始を契機に、
スクールガード・リーダーを導入
活動者数 スクールガード・リーダー:22名
市内22校に各1名ずつ配置
経歴は学校応援団経験者、PTA役員等様々
学校応援団による見守り活動登録者:
小学校1,021名、中学校183名
活動学校 市内全小学校 ※ただし、学校応援団は中学校にも登録
行政から
の支援
スクールガード・リーダー:ベスト(県より支給)、帽子、
腕章、ライト付きボールペン、メモ
  • ただし、市では装備品の支給に係り地域ぐるみの
    学校安全整備推進事業補助金を活用していない
活動の内容
  • 市内22のすべての小学校に1名ずつスクールガード・リーダーが配置されており、登下校時の見守り活動や学校との情報交換を実施している。
  • 活動方法や活動内容に特段の決まりごとはなく、スクールガード・リーダーが学校と相談するなどして決定している。
  • 毎年5月、10月の「挨拶強化月間」に合わせて、スクールガード・リーダー、教員、学校応援団が連携した見守り活動を実施している。
  • 学校毎に、見守り活動に係る研修会を実施している。
活動の工夫

感謝の会や学校行事への招待によりモチベーションアップを図る

  • 各学校において、自主的にスクールガード・リーダーや学校応援団への感謝の会を実施しているほか、スクールガード・リーダーを運動会や学芸会、卒業式等に招待する学校もある。
  • こうした取組は、活動者のモチベーションアップに繋がるだけでなく、子どもたちがスクールガード・リーダーを認識するきっかけともなる。

市報にスクールガード・リーダーを紹介し、活動のしやすさを向上させる

  • 過去、スクールガード・リーダーの活動が地域住民に十分に浸透していないという指摘があった。地域住民の活動への理解は、スクールガード・リーダーの活動のしやすさに直結する可能性が高い。
  • そこで、各校を担当するスクールガード・リーダーを市報にて紹介し、スクールガード・リーダーの認知度と活動のしやすさの向上を目指した。

山梨県道志村

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
1,632人 4.99km2 327人/km2 1校

村全体で子どもの安全を見守る体制の構築を目指した取組

  • スクールバスで通学している児童に対して、スクールガード・リーダーが車での見守り活動等を実施。
  • PTAの代表や学校長、駐在所、教育委員、教育委員会事務局を巻き込んだ「道志村児童生徒の登下校時見守り活動隊」を組織して見守り活動を実施。
  • さらに、保護者をはじめとして地域全体で見守りを行う体制を構築していくための出発点として、「活動している様子」を見せて行くような周知・PR活動を進め、住民の意識啓発に取り組んでいる。
開始時期
経緯等
村内の主要道路の交通量が比較的多く、交通事故が多く発生
していることや他県等における子どもが狙われた事件等の発生
をきっかけとして開始
活動者数 スクールガード・リーダー:1名

(教育委員OB)
活動学校 村内の小中学校(小中一体型)
行政から
の支援
スクールガード・リーダーに対する帽子、腕章を提供
活動の内容
  • 村内の小・中学生はスクールバスで通学していることから、SGLによる見守りは、スクールバスの後ろを自動車で追尾する形で実施している。
  • スクールガード・リーダー一人ではできることに限界があることから、地域全体での見守りの機運を高めるため、PTAの代表や学校長、教職員、駐在所、教育委員、教育委員会を巻き込んだ「道志村児童生徒の登下校時見守り活動隊」を組織し、学期に2回、スクールバスの停留所などでの見守り活動を行っている。
  • また、同隊の結成にあわせて様々な団体への見守り活動の協力を呼びかけており、建設業協会からはベスト30着の寄贈をうけるとともに、車両に見守り活動中のステッカーを掲示した、ながら見守り活動にも参加いただいている。
  • 日常的にPTAから挙げられた危険箇所について教育委員会で取りまとめており、10月に実施している合同安全点検で
活動の工夫

見守り活動を地域に周知して地域の意識向上を図る

スクールガード・リーダーが保護者や児童・生徒に知られることが重要となるため、始業式や運動会、文化祭などの様々な行事においてスクールガード・リーダーが出席するようにしている。

学校・教育委員会など地域との積極的な連携の場の構築

  • スクールガード・リーダーはもともと教育委員であったこともあって教育委員会や学校現場とのネットワークができており、普段から密な連携を行っている。
  • 「道志村児童生徒の登下校時見守り活動隊」でも、関係者が集まって相互に意見交換や情報共有を行うなど、地域の関係者と積極的に連携する場を構築し、地域全体で防犯意識を底上げして、地域全体で見守る取組を進めている。

住民の自発的な取組による、地域一体となった通学路の安全確保の取組事例

京都府長岡京市

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
80,991人 19.2km2 4,218人/km2 10校

“通学路安全対策調査” による危険箇所の情報収集と対策の実施

  • 地元住民等から寄せられた通学路上の危険箇所への対策要望を各小学校が取りまとめて教育委員会に報告し、教育委員会や関連部署・機関が対応している。
  • 対策要望は毎年100件程度寄せられ、草刈の実施といった小さなものから、信号機の新設など大きなものまで様々である。
  • あわせて、青パトの巡回やシルバー人材センターによる登下校時の見守り活動も行っており、通学路の交通安全の確保についてきめ細やかな対策を取ることができている。
開始時期
経緯等
古くから地元住民による自発的な見守り活動が
行われており、その延長として開始
活動者数 地域委員、PTA等の保護者:毎年2,000名超
活動学校 市内全小学校
活動の内容
  • 通学路の交通安全を確保するために対策が必要と思われる箇所やその方策についての意見を地域委員、PTA等から収集し、教育委員会と所管課・関連機関等が連携して対応に当たっている。
  • 地域委員やPTAには、対策の可否・方向性を共有する中間報告と、最終的な対応状況・方針を共有する最終報告を通じて結果を伝達している。なお、簡単な処置で済むものはすぐに対応している。
  • 日々の見守り活動はシルバー人材センターに委託しているほか、青パトによる見回りや、市長、副市長、市、教育委員会による朝の見守り挨拶活動を定期的に行っている。
  • 通学路安全対策調査により、見守り活動だけではカバーしきれない細やかな点について対応することができている。
活動の工夫

関係者間の協力・分担により、きめ細やかな対策を実現

  • 対策要望は毎年100件程度寄せられるが、教育委員会ですべてを引き受けるのではなく、市の道路・河川課や交通政策課等の関連部署や、警察、府道路管理者等の関連機関と協力して対応に当たっているため、様々な要望に対応が可能である。
  • また、大々的な対策が必要なものについては、長岡京市子どもの移動経路・通学路等の交通安全プログラム等の別事業を活用して対応するようにしている。規模や内容に応じて適切に分担していくことが手厚い対応を可能にしている。

近隣自治体と気軽に相談しあえる関係が円滑な対応に繋がる

通学路の安全対策を行うにあたり、困りごとが発生した場合には、近隣自治体に電話で相談している。反対に、近隣自治体からの問い合わせに応じることもあり、持ちつ持たれつの良い関係が築けている。こうした関係性は円滑な対応を行う上で非常に重要である。

埼玉県嵐山町

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
17,777人 29.9km2 595人/km2 3校

住民主体による、地域一体での見守り活動

  • スクールガード・リーダーだけでなく、町内行政区(町内会)、PTA、ボランティア団体、交通指導員、行政職員等による見守り活動が行われている。
  • 日ごろからのコミュニケーションにより見守り活動者同士の横の連携も自然と構築された。
  • 登校時は児童への付き添いを実施しているが、行政区をまたぐ際に、次の行政区の見守り活動者へバトンタッチするなど、役割分担を明確にし、登下校時の空白地帯の減少や、活動負担の軽減を実現している。
開始時期
経緯等
地域ぐるみ事業を2012年度から開始
活動者数 スクールガード・リーダー:3名
(うち、元警察官1名)
活動学校 町内全小学校3校
行政から
の支援
スクールガード・リーダー:県からビブスを提供
地域ボランティア団体:帽子、ベスト等を提供
(地域ぐるみ事業外で支援)
活動の内容
  • 活動内容は各区、各活動によって様々であるが、主な活動は、登校時の児童付き添い、下校時の見守り活動、交差点等での立哨指導である。
  • 登校時の児童の付き添いにあたって、通学路が複数区をまたぐ場合には、付き添いの引継ぎをしている。
  • 見守り講習会には、各区住民やPTA、教職員等が参加し、スクールガード・リーダーが講習会の企画及び講師を担っている。
  • 各区では、月1回(概ね17時から19時頃に)ナイトパトロールを実施しており、毎回ほぼ全員が参加する区もあるなど、防犯だけでなく、区内住民のコミュニケーション手段としても効果的である。
  • 見守り活動の役割分担や方法など、町として指導・提案等は特段実施しておらず、見守り活動者の横のつながりによって、地域ぐるみの見守り活動が実施されている。
  • 町では、町役場職員による青色防犯パトロール車での巡回や、交通指導員の確保、パトロールセンターを中心とした防犯活動を実施している。
活動の工夫

広域な通学路は見守りの引継ぎによって安全を確保する

  • 通学路が広域であるため、付き添い登校や見守り活動への負担が大きいことが課題の一つである。
  • そこで、各区それぞれが区内の見守り活動を実施し、区をまたぐ場合には引継ぎを実施することで、活動者の負担軽減だけでなく、登下校の空白地帯の減少につながっている。
  • また、各校PTAや交通指導員等が活動を補完し、地域全体での安全な通学路と見守り体制が構築されている。

子どもたちの一礼が、横断歩道前で停止する自動車の増加に繋がる

  • 町内は交通量が多いうえ、信号機のない横断歩道も多くあるため、一時停止しない自動車も少なくない。
  • しかし、横断歩道前で停止した自動車に対して、児童生徒が横断後に一礼することが定着し、横断歩道前で停止する自動車が増加した。

小学校単位での登下校時の見守り活動の取組事例

京都府京都市

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
政令市1,400,720人 827.8km2 1,692人/km2 161校

大学生も活躍する、御室こども見守り隊の活動

  • 京都市右京区の自主防犯ボランティア団体(右京防犯推進委員会連絡協議会)と連携し、御室小学校学区内の見守り活動を行っている。
  • 毎週木曜日の下校時の見守り活動を行う「御室こども見守り隊」と、自転車による定期的な見回りを行う「御室青色自転車パトロール隊」の活動の2つを主な活動としている。
  • また、御室こども見守り隊の中には、毎日の登下校時に見守り活動を行う人もいる。
開始時期
経緯等
2013年ごろに結成。学校、地域のおやじの会、
自治連合会による「声かけ隊」を前身とし、高齢化の進展に
伴う活動の衰退を契機に右京区自主防犯ボランティア団体の
傘下として「御室こども見守り隊」の活動を開始。
活動者数 民生委員、PTA、防犯推進委員、元会社員、大学生など71名
活動学校 京都市立御室小学校
行政から
の支援
装備品購入に対する補助
※備品購入には自主防犯ボランティアによる補助も活用
活動の内容
  • 学区内の3箇所で登下校の見守り活動を実施している。また、毎週木曜日の下校時間帯には、特に危険な8箇所を対象に加え、各所2~3名のボランティアが見守りをしている。
  • 見守り活動中に通学路上の危険箇所を見つけた場合には、小学校に情報を提供し、対応してもらっている。
  • 見守り隊参加者のうち、3割以上が75歳以上である一方、2名の学生ボランティアが所属していることが特徴である。
  • 2018年6月からは、見守り隊に加え、下校時間帯に自転車で通学路を見回る「御室青色自転車パトロール隊」を発足し、定期的なパトロールを実施している。これは、先駆的な取組として全国ネットのテレビ番組等で紹介された。
  • 以前は学区内に痴漢が多数発生していたが、近年は減少傾向にある。また、2020年度の学区内における不審者は0人と見守り隊の成果が表れている。
活動の工夫

見守り隊・隊員の認知度向上により地域への定着を図る

  • 見守り活動を地域に根付かせるためには、活動そのものはもちろんのこと、見守り隊員の人となりを知ってもらうことが重要である。
  • 御室小学校では、PTA広報誌に顔写真付きの活動紹介を掲載し、保護者への周知を図っている。
  • 学生の隊員が活動を開始した当初は、通学路に見慣れない若者がいることを訝しげに思う保護者も少なくなかったが、人となりを理解してもらうにつれ、徐々に地域に受け入れられていき、今では地域に欠かせない人物の一人となった。

無理なく活動できることが継続性に繋がる

  • 負担軽減のため、日々の参集は行わず、隊員は自宅から持ち場に直接出向く。また、活動が難しいときには遠慮なく欠席してよく、隊員同士で補いあっている。
  • 個々人が「子どもたちのために」と気負いすぎず、「子どもたちの笑顔が見たい」「健康維持のため」等、自分なりの活動意義を持つことが大切である。

石川県金沢市

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
中核市450,542人 468.79km2 961人/km2 54校

“子どもの視点” を重視する、夕日寺スクールサポート隊の見守り活動

  • 夕日寺小学校では、地域住民や保護者によって構成される「夕日寺スクールサポート隊」が、子どもと一緒に通学路の点検を行い、危険箇所のピックアップや「地域安全マップ」の作成」を行っている。
  • 活動は、防犯委員会、警察、近隣の大学生、町会・自治会、保護者会、社会福祉協議会など、地域の諸団体と人員の面でも資金の面でも連携して進められている。
  • 他の地域学校協働活動と担い手が重複していることによって、サポート隊の参画者にも広がりがみられており、相乗効果を生んでいる。
開始時期
経緯等
2005年に保護者会と老人会のメンバー130名で
「夕日寺スクールサポート隊」を立ち上げ。サポート隊が
主体となって、各種活動を学校側に持ち掛けている。
活動者数 地域住民、保護者等:98名(2020年度)
※各町会が重要な活動単位になっている
活動学校 金沢市立夕日寺小学校
活動の内容
  • 年に2回、警察から講師を呼び、講習会を行う。また、集団下校を行い、サポート隊が子どもと一緒に通学路の安全点検を行っている。集団下校では、1~6年生の全児童が、サポーターと一緒に町別に歩いて、危険箇所のチェックを行い、子どもたちの危険予測能力の向上を図るとともに、「地域安全マップ」を作成更新し学区内の全戸(1,600戸)に配布している。
  • 見守り活動だけではなく、道路の整備について県の土木事務所にかけ合うなど、幅広い視点での安全確保に取り組んでいる。
  • 「タイムリーに動く」ということを意識しており、コロナ禍の学校消毒、熊警戒・強風雪下校などの学校支援体制を作っています。常に活動内容等について、広報配布や隊員内で話し合いを行っている。会合は、通常は夕日寺小学校内のミーティングルーム(地域の人も使用できる場所)で行っている。
  • 防犯委員会、警察、近隣の大学生、町会・自治会、保護者会、社会福祉協議会等と連携している。資金面でも、町会連合会、育友会、社会福祉協議会等から支援金をもらっており、夕日寺スクールサポート隊が身に着ける装備品の費用などをまかなっている。
活動の工夫

「子どもの視点」での危険箇所のチェック

  • 子どもと一緒に安全点検を行うことで、大人だけでは気が付きにくい、子ども目線での危険個所の発見につながる。また、横に広がって歩いてしまうなど、子どもならではの行動も観察できるため、注意喚起につながっている。
  • 子どもとのコミュニケーションが取れるため、挨拶しやすい関係性を築くことができている。

他の地域学校協働活動との連携で、活動者の広がりが生まれる

  • サポート隊において中心的な役割を果たしている植田氏は、夕日寺小学校の学校運営協議会委員でもあり、サポート隊の活動のほかにも、様々な学校支援活動(地域学校協働活動)に関わっている。
  • 土曜授業や地域活動で築いた人脈をきっかけに、近隣の大学生がサポート隊の活動に参加してくれるようになるなど、活動者に広がりが生まれている。

鳥取県湯梨浜町

行政区分 人口 面積 人口密度 小学校数
16,740人 77.9km2 215人/km2 3校

コミュニティ・スクールを活用し、活動が活性化したオレンジベスト隊

  • 湯梨浜町立東郷小学校区で活動する「オレンジベスト隊」は、現在70名が活動している。校区内29の集落すべてにおいて、1名以上の隊員が定点見守り、付き添い登校、下校時の見守りなどの活動を実施している。
  • 当初は地域の老人クラブを中心に活動していたが、高齢化が進み一時は活動の衰退がみられた。しかしながら、コミュニティスクールとの連携により活動が活性化された。
  • v
  • 活動のコンセプトは「そろいそろい、無理をせず、楽しみながら、持続可能な活動をする」こと。※そろいそろい:「のんびり」、「ゆっくり」などの意味を持つ方言
開始時期
経緯等
2005年東郷小学校開校と同時にオレンジベスト隊を結成
2018年からコミュニティスクールの一環としての活動を開始
活動者数 2020年度:70名(2018年度:44名)
地域住民、保護者(なお、隊に登録していなくとも活動に
参加される方が多数
活動学校 町立東郷小学校区内
行政から
の支援
活動時のオレンジベスト
※登校旗についてはPTAが準備
活動の内容
  • 活動のコンセプトは「そろいそろい(のんびり、ゆっくり)、無理をせず、楽しみながら、持続可能な活動をする」こと。
  • 主な活動は、登校時の児童付き添い、登下校時の交差点等での定点見守り、スクールバス停留所までの引率等である。
  • 児童とともに、幼稚園児も一緒に付き添い登校を実施することもある。
  • ただし、活動内容に取り決めはなく、活動者1人1人が危険箇所を考えるとともに、各々の居住地やライフスタイルを踏まえ、無理なく、負担なく、可能な範囲で活動している。
  • 東郷小学校区内29の集落に、1名以上の隊員が活動している。
  • 平成30年、東郷小学校にコミュニティ・スクールが導入されたことを契機に、オレンジベスト隊の見直し及び強化を実施し、隊員数は毎年増加している。
活動の工夫

コミュニティ・スクールの活用が、見守り活動者数の増加に繋がる

  • 活動当初は老人クラブを中心に活動していたが、活動者数は減少していた。
  • コミュニティ・スクールの一環として活動を開始したことにより、高齢者だけでなく、保護者など、若い世代も一緒に活動することとなり、隊員数が増加した。
  • オレンジベスト隊により、児童から保護者世代、高齢者世代まで、幅広い住民の繋がりが生まれたことで、地域コミュニティの活性化にも繋がっている。

活動者のフォローにより、持続可能な活動を実現する

  • 無理なく、負担なく活動してもらうことを意識しているが、責任感の強い隊員も多く、身体の不調等により活動辞退の申出も少なくない。
  • こうした場合、調子のよいときだけオレンジベストを着用し、家の前に座って児童を見守っているだけでもありがたいこと等、活動者に「それだけでもよいのか」と思っていただくことも、地域の見守りの目を維持する上では重要である。

子どもの安全

保護者と地域
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