PTA総会の開催形式や議決方法
PTA総会の開催方法や議決方法も、時代にあわせたアップデートが必要です!
PTA総会はPTA会員が集まって行う会議で、最高決議機関です。総会での書面総会利用も増えてきました。時代の変化にあわせ、書面表決やオンラインツール活用など、PTA総会や規約について考えます。
PTA総会
PTA総会とは
総会とは特定の組織や団体に所属する者が集まって行う会議のことで、PTA総会はPTA会員が集まって行う会議で、最高決議機関です。
定期総会と臨時総会
PTA総会は、年度初めに行われる定期総会とPTA運営上必要な場合に行われる臨時総会の2つの開催形態があります。
臨時総会はその名のとおり、特別な問題や議題になることが起こった際に開催されます。
一般的には、特別な事案がなければ定期総会のみ開催されます。
定期総会での議事
PTA定期総会資料には、PTA本部と各委員会の事業報告、決算報告、予算案、事業計画、PTA規約や各種細則などが記載されています。一般的な総会での議事は、前年度の事業報告と新年度の事業案の承認が一般的です。
- 前年度の事業報告
- 前年度の決算報告
- 新年度の役員の承認
- 新年度の事業計画(案)の承認
- 新年度の会計予算(案)の承認
- PTA規約や細則の改定
- 新旧役員・校長の挨拶、新任教職員の紹介
- そのほか意見の交換
PTA総会の開催形式
出席総会
PTA総会はPTAの最高決議機関なので、本来は全ての会員が出席して行われることが理想的ですが、現実的には平日に行われることの多い総会に全ての会員が出席することはできません。一般的には、学校の教室や体育館に会員である保護者と教職員が集まってPTA総会が開催され、出席できない方には委任状を出してもらう形式が多いと思います。
出席総会以外の開催形式
下記のような方法を組み合わせて採用することで、総会の運営上必要な役員のみが出席して行う形式を採用するPTAもあります。- 会員に議決権行使書を配り、各議案への賛否を答えてもらう書面総会
- ホームページに定期総会資料を掲示、期間を設けての議案に対する質問対応
- Googleフォームなどを利用した電磁的な議決
- 出席会議に変わる方法としてのオンライン会議の利用
委任状や書面表決
欠席の方への対応としての委任状や書面表決の方法も学校によって異なり、いくつかの要素があります。- 議決権の委任先 … PTA会長、議長、総会出席する特定者
- 各議事について賛・否の記入
- 各議事について賛・否の未記入の場合の対応
- 質問事項の記入や回答の方法
PTA総会に、より多くの会員の方が出席いただくよう工夫をされているPTAも多いと思います。
議事だけでなく、校長による学校運営方針説明や各分掌教員からの説明、授業参観、更には児童や生徒による発表を盛り込むなどのPTAもあります。
また、多くの保護者が参加しやすい土曜日に日程をずらすと共に、当日都合により参加できない保護者のために、欠席者集会という形で再度の参加機会を用意するケースもあります。 多くの保護者が参加するPTA総会は、保護者と学校のコミュニケーションを高めるよい機会です。
PTAに適切な議決方法は?
PTA総会は、学校の教室や体育館に会員である保護者と教職員が集まって開催されるのが一般的ですが、コロナ対策として2020年春以降は、PTA総会などの議決(議決権行使)において、会場の集まらず書面で表決を行う書面総会を採用するPTAも増えてきました。
書面総会とは、会員に議決権行使書を配り、各議案への賛否を答えてもらう形式(書面表決)で、大勢が一堂に会することなく議決が可能な方法です。
書面表決は、委任状利用に比べ、会員の意思が明確に反映されます。
書面表決
書面表決とは、書面で議案に対して「賛否」の意思表示や意見を伝える方法で、全会員のうち一部の人、又は会員全員で実施することもできます。書面表決の場合でも、会議は開催扱いとなり、議長及び議事録署名人2名は出席し、議事録などを適切に作成することが一般的です。
- 「総会の開催について」「議案」「書面表決書」を会員へ配布
- 会員による「書面表決書」提出または会員からの回収
- 参集可能な人数で総会を開催
- 出席者の中から、議長及び議事録署名人を指名
- 提出された「書面表決書」を役員等で集計
- 提出された書面表決書数を出席者数、議案の表決に加えて集計
- 「総会議事録」を作成
- 「総会報告書」を作成し、ホームページや書面回覧などの方法より会員に結果を報告
書面表決書(例)
第1号議案 〇〇〇〇〇〇 賛 ・ 否
第2号議案 〇〇〇〇〇〇 賛 ・ 否
- 各議案について「賛」「否」いずれかに〇を付けてください。
委任状
総会に出席する人から自分の代理人を定め、権限を委任する方法で、仕事などの理由で出席できない場合には、委任状を利用する学校が一般的です。委任状の内容も学校によって異なります。- 総会の議長とPTA会長が異なる規約の場合は、適切な使い分けが必要です。
委任状形式
- 議長委任 … 私は、議長に総会の議決権を委任します。
- 個人委任 … 私は、〇〇〇(所属等と会員氏名)に総会の議決権を委任します。
- 個人委任の形式では、受任者(委任する人である〇〇〇)は、総会に出席する方が前提です。総会への欠席がわかってる方を受任者にすると、欠席がわかってる方が選んだ受任者に再度委任される形となり、集計が煩雑になります。欠席者を受任者することは避けましょう。
- 「総会の開催について」「議案」「委任状」を会員へ配布
- 会員による「委任状」提出または会員から回収
- 総会を開催
- 出席者の中から、議長及び議事録署名人を指名
- 提出された「委任状」を役員等で集計
- 提出された委任状数を出席者数、議案の表決に加えて集計
- 「総会議事録」を作成
- 「総会報告書」を作成し、ホームページや書面回覧などの方法より会員に結果を報告
- 議案や結果を会員へ報告しない場合もあります。
委任状(例)
- 代理人が空欄の場合は、議長に一任したものとして取り扱います。
PTA総会の開催方法
開催形式の検討
総会の開催形式
出席者 | 委任状 | 書面表決 | |
---|---|---|---|
1.出席総会+委状状 | 全ての会員 | 欠席者が利用 | ー |
2.書面表決 | 最小3名* | ー | 全ての会員 |
3.出席総会+書面表決 | 全ての会員 | ー | 欠席者が利用 |
- 書面表決の場合でも、会議は開催扱いとなり、議長及び議事録署名人2名は出席し、議事録などを適切に作成することが一般的です。
今後に向けた総会開催形式の検討
PTAでの出席総会における欠席の方への対応としては、委任状利用に比べ、会員の意思が明確に反映される書面表決の利用が理想的です。書面表決の形式は、議案を一括で議決する形式ではなく、各議案ごとに、賛成、反対を記入する形式が望まれます。
総会の開催形式の変更は、本来は規約上にそれを可能とする根拠規定が必要です。感染症対策の緊急措置として書面総会などを行い、そのなかで規約の改正を実施されたPTAも多いと思います。
今後のPTA総会のあり方を考え、開催形式の多様化や見直し、必要な規約整備をすすめましょう。
書面表決の利用
会社法での書面表決
会社法では、議決権行使書面には、議案ごとに、賛否を記載する欄を設けなければならないこととされ、実務上は、各議案について「賛」「否」の文字が印刷された欄が設けられ、いずれか一方に○で囲む形式が用いられています。議決権行使書面に「賛」「否」とは別に「棄権」の欄を設けるかは任意とされています。棄権」の欄が設けられていない場合でも、賛否ではなく「棄権」と記載された場合には、出席数議決権数(定足数)に算入しつつ、賛成には含めない(すなわち「反対」と同様の効果)こととされています。
なお、賛・否・棄権のいずれの記載もない書面が提出された場合、各議案について賛成・反対・棄権いずれかの意思表示があったものとして取り扱う旨、議決権行使書面に記載することが認められています。
PTA総会の議決権行使書
PTA総会で利用する書類には、賛・否・棄権のいずれの記載のない場合の対応について、明記する方がわかりやすいでしょう。具体的には、議決権行使書に「議案について、賛・否・棄権のいずれの記載もない時は、○○として取り扱う」と記載します。
書面総会 … 書面表決のみ開催
出席総会と書面総会
PTA総会の事前準備
下記の1〜8が、PTA総会を会場出席の形式で行う場合に必要となる、一般的な事前準備です。書面表決のみで開催する書面総会を行う場合には、少なくとも「5、7、8」は省略が可能と考えられます。
- 前年度役員による事業報告書や決算書の作成
- 新年度役員による事業計画案や予算案の作成
- 会員配布用の書類印刷や綴じ作業
- 会員への書類配布
- 総会の進行台本やリハーサル
- 想定問答や説明資料作成
- 総会リハーサル
- 会場作り
メリットデメリット
メリット
本部側のメリットは、
- 総会開催に伴う負担の軽減
- 質問対応は文書回答が可能となり、会員への周知もホームページやメールなど利用が可能
会員側のメリットは、
- 集まらなくても、質問をしたり議決権の行使が可能となり、仕事などへの影響が軽減
- 運営方法次第で、意見表面の機会増加や質問に対する丁寧な回答や資料を受領可能
デメリット
- PTA会員である保護者や学校の教職員がリアルに集まることで生まれるコミニュケーション機会の喪失
- 運営方法次第では、議事に対する議論が活性化しない懸念
- 運営側の不正リスクに対する監査機能の必要性(議決集計や適正な質問対応など)
実施時の注意点
PTA総会を書面表決のみで行う場合は、開催方法次第で、人が集まる総会より会員の権利が制約されることも考えられます。開催にあたっては、以下の2点は重要です。- 全ての会員に総会を開催することを伝えること
- 全ての会員に質問の機会と議決をする機会を与えること
総会運営のアップデート
書面表決の積極的利用
感染症対策として書面総会が行われたPTAも多かったと思います。人が集まれるようになったから、当然のように出席総会の形に戻すのではなくて、書面総会で問題点などを議論するなどして、書面総会の実施経験を良い経験として捉え、各PTAの実情にあった総会運営の方法を検討が望まれます。
書面表決の利用にあたっては、デメリット対策や注意点への配慮も必要です。
オンラインツールと利用
書面表決でGoogleフォームを活用しよう!
PTA規約の確認
PTA総会でのGoogleフォーム活用で、会員側では書面表決や委任状をオンラインで提出、本部側では集計/回収に伴う負担が大きく軽減されます。Googleフォームの活用には、PTA規約に以下のような規定が必要です。求められるPTAを目指して
Googleフォームを併用した書面総会
書面総会のご案内(例)
〇年度〇〇学校PTA総会を、書面総会にて開催いたします。
総会資料をお読みの上、Googleフォームで入力にて「議決権行使」もしくは「委任」を選択のうえ、ご回答お願いします。
議決権行使を選択された場合は、議案についての「賛・否」のいずれかにご回答お願いします。
委任を選択された場合は、採決をPTA会長に委任したものといたします。
〇月〇日までに「議決権行使書 兼 委任状」を、Googleフォームで入力送信いただくか、切り取り線以下にご記入いただき、PTA室前の投票箱へご提出ください。
なお、〇月〇日の学校公開(授業参観)にあわせ〇時〜〇時までの間、PTA室で議案に関するご質問、ご相談会を開催します。お気軽にお越し下さい。
第1号議案 〇〇〇〇〇〇 賛 ・ 否
第2号議案 〇〇〇〇〇〇 賛 ・ 否
- 各議案について「賛」「否」いずれかに〇を付けてください。
書面総会のご案内(例)のポイント
- 全ての会員に総会を開催することを伝えるため、書面で開催案内を配布
- 全ての会員に質問の機会として、議案に関するご質問、ご相談会を開催
- 全ての会員に議決をする機会を与えるため、Googleフォームと書面による対応を実施
- 賛成・反対・棄権のいずれの記載もない時の取り扱いを議決権行使書面に記載
- 議決権行使書 兼 委任状の選択式 … 当協議会では議決権行使書のみを推奨します。
PTA総会でオンラインツールを活用しよう!
必要なPTA規約
PTA総会でオンラインツールを利用する場合には、PTA規約に必要な規定があることが必要です。以下は、必要な規定例です。
オンライン会議利用
PTA総会は、全ての会員が参加可能で、且つ、議案に対する質問、賛否の意思表示ができる方法によるウェブ会議システムを使用して行うことができる。オンライン利用で総会召集
PTA総会の招集は、招集通知を手交、郵送、またはオンラインを利用して送付する方法等による。総会での書面表決の利用
総会の議決は、定期総会・臨時総会共に、招集による決議、または書面(議決権行使書)議決(電磁的記録を含む)によるものとする。地震、津波、戦争、伝染病の蔓延、政府の指示等やむを得ない場合は、招集時に、書面(議決権行使書)議決(電磁的記録を含む)によるPTA総会を開催する旨を宣言し、書面決議によるPTA総会を開催することができる。
この場合、議事に対する質問を行う機会を十分に設けなければならない
ロードマップ
メールなどオンラインでの総会召集、Googleフォームでの書面採決を利用するPTAは増えてきています。まだ、少ない事例ですが、Zoomの大規模ミーティングを活用したPTA総会で出席総会、Googleフォームでの書面採決とそれぞれのメリット部分を享受するPTAもあります。
一方で、「ICTを活用し、PTA活動運営の効率化を進めたいのに、ICTに詳しいメンバーがおらず進め方や相談先がわからない」という課題を抱えるPTAが、数多く存在するのも現状です。
PTA活動へのICT導入には、様々なハードルがあると思います。
時間はかかるかもしれませんが、PTA活動の効率化に向けて、オンラインツールの活用をすすめましょう。
必要なことから少しずつ、導入を検討しましょう。
- PTA室のWi-Fi環境整備
- 役員や委員へのコミュニケーションツールとして、LINE Worksなどを導入
- 役員や委員へのグループウエアとして、Google Workspaceやサイボウズなどを導入
- 保護者への連絡ツールとして、メール配信システムなどを導入
- PTA専用ホームページを運用
- 総会資料はPTA専用ホームページに掲載
- 議決および委任はGoogleフォームを利用
- 議決報告にPTA専用ホームページを利用
- 役員会や委員会にオンライン会議を活用
- PTA総会でもオンライン会議を活用