一般社団法人 全国PTA連絡協議会

若者に多いこころの病気について知る 病気の特徴や治療、サポート方法

ここでは、厚生労働省の「こころの病気について知る」の掲載内容を中心に、若者に多いこころの病気の特徴や治療法、サポートするときのポイントをご紹介しています。
作成:2024/05/10  更新:2024/08/21
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若者に多いこころの病気

こころの病気とは

こころの病気 こころの病気といえば、うつ病をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、こころの病気にも様々な種類や症状があります。たとえば、気持ちの変化よりも、体のほうに症状が出てくる場合もあります。
治療法もそれぞれ同じではありません。

こころの病気の例

うつ病、解離性障害、アルコール依存症、ギャンブル依存症、強迫性障害、ゲーム行動症、社交不安症(社交不安障害)、身体表現性障害、睡眠障害、摂食障害、全般不安症(GAD)、せん妄、双極性障害、てんかん、統合失調症(全般)、認知症、パーソナリティ障害、パニック障害/パニック症、薬物依存症、ADHD、ASD(自閉スペクトラム症)

若者に多いこころの病気

10代、20代の若者でもこころの病気はあります。
同じ病名でも、子どもや若者の場合と大人とでは、症状の出方やケア・治療の方法が異なることもあります。
ここでは、次の病気についての特徴や治療法、サポートするときのポイントをご紹介しています。

摂食障害 ≫

摂食障害では、必要な量の食事を食べられない、自分ではコントロールできずに食べ過ぎる、いったん飲み込んだ食べ物を意図的に吐いてしまうなど、さまざまな症状があります。症状の内容によって細かく分類され、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害などがあります。

うつ病 ≫

うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気で、気分障害の一つです。気分障害は大きく「うつ病性障害」と「双極性障害(躁うつ病)」に分けられていまうす。
うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるという非常にありふれた病気です。

不安障害 ≫

不安というものは、本来自分自身に警戒を促すために備わっている機能のひとつです。この信号によって危険や危機に備えたり、回避をします。
この機能は誰にでもあるものですが、不安障害では、その信号が過剰になったりすることで、危険や危機でないものにまで不安や恐怖を感じ、日常生活に支障が出てしまいます。
その他に人前での発表や意見を言う場面で不安を感じることは誰にでもあることですが、このような状況で普通の人より強い不安を感じてしまい、毎日の生活や仕事に支障をきたしてしまうことも不安障害のひとつです。

統合失調症 ≫

統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられています。約100人に1人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気で、薬や精神科リハビリテーションなどの治療によって回復することができます。

薬物乱用 ≫

薬物乱用とは、薬物や薬品を本来の医療目的からはずれて使ったり、医療目的でない薬物を不正に使ったりすることです。 覚醒剤や大麻、コカインといった違法な薬物は、それぞれ法律によって厳しく規制されており、持っているだけでも犯罪になります。
コラム
困った時の相談先(公的サポート機関など)
子どもSOS 気づきと対応 ≫
厚生労働省のパンフレット つらいときを乗りこえた人のエピソードや、こころの病気の解説などの各パンフレット
  • 私の場合、僕の場合こころの病気についての体験談
  • こころの病気について知る(こころの病気についての特徴や治療法について)
厚生労働省 ダウンロードセンター ≫
出典:厚生労働省 子どものメンタルヘルス こころの病気について知る ≫

摂食障害

摂食障害とは

摂食障害

体重を気にして食事をたまに減らしたり抜いたりする、ストレス解消のためについ食べすぎてしまうのは珍しいことではありません。

でもそれが過剰になって、まったく食べられなくなる、逆にむちゃ食いをしてしまうということが続いているなら摂食障害かもしれません。
摂食障害には、神経性無食欲症(拒食症)と神経性過食症(過食症)があります。

拒食症とは

拒食症とは太ることへの恐怖があり、十分にやせているのにやせていると思わず、もっとやせようとします。標準体重の85%以下の状態が続いているとしたら、拒食症への注意が必要です。

拒食症には食べる量が極端に少ないだけの場合もありますが、むちゃ食いをしたあと激しい後悔に襲われて、のどに指を入れる等の方法により自分で吐く場合があります。
手には吐きダコができ、胃酸で歯を傷めることもあります。嘔吐以外にも、下剤や利尿剤を使って体重を減らそうとする場合もあります。食べていないのに行動は活動的、積極的です。

栄養が不十分な状態が続くことで体にも影響が出てきます。
女性の場合は生理がこなくなったり、むくみが出たり、低体温になったりします。さらに進行すると、栄養失調から、腎不全や低血糖、不整脈や感染症といった重大な合併症を起こすこともあります。

過食症とは

過食症には、次のような特徴があります。
  • 短時間に大量に食べる(おもに家族のいないときや夜中など)
  • 食べ始めるとやめられない
  • むちゃ食いしては自分で吐く、あるいは下剤・利尿剤などで排出する
  • 食べすぎたことを後悔して落ち込む
拒食症のようにやせているわけではなく、体重は標準くらいのことが多いようです。
また活動性が低下し、人と会いたくなくなって、ひきこもりのようになることもあります。

治療について

やせていたいと思うあまり病気を認めたくない、あるいは病気のままでいたいという気持ちがあり、病院に行きたがらないケースがよくあります。

摂食障害は命の危険もある病気ですから、専門家のサポートが必要です。
あまりにもやせ方が極端な場合は入院も必要になります。抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬などの薬と合わせて、カウンセリングや栄養指導が行われます。

摂食障害の場合は、自分の体型に対する認識(ボディイメージ)のゆがみ、極端な完璧主義、自己評価の低さ等、考え方に偏りを強くもっている場合も多くみられます。カウンセリングでは、そのような考え方を修正する認知療法や、正しい食事習慣を身につける行動療法などが行われます。

サポートをするとき

摂食障害は本人に病気であるという意識があまりないので、治療がスムーズにいかないことが多く、回復には長い時間がかかるため家族のサポートが欠かせません。

一方で、摂食障害の方は食事の問題だけでなく、病気そのもののつらさ、自己評価の低さ等から、自傷行為や自殺企図が認められることが多く、実際の対応だけでなく精神面においても家族の負担が大きくなりがちです。そのため、家族が病気について理解して接することが大切になるので、家族療法というカウンセリングが行われることがあります。

心配になるのは当然ですが、焦らず、本人のつらい気持ちをしっかりと受け止めながら、気長に支えていくことが大切です

うつ病

失恋したり、友達とケンカしたり、試験で失敗したり …… 毎日の生活の中でショックな出来事は、誰にでもあること。そんなときは誰だってつらく、悲しい気持ちになりますが、普通は数日もしたら、少しずつ前向きな気持ちを取り戻せるもの。

ところが何週間も、しかも一日中ずっと、そのような状態が続いているとしたら、それはもしかしたら「うつ病」なのかもしれません。気になる症状が続くときは、専門家に相談することが必要です。

うつ病とは

うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気だと考えられています。
これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気力で憂うつな状態になってしまいます。

ですから、うつ病は決して怠けているわけでも、気の持ちようで何とかなるものでもありません。
しかも、うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるという非常にありふれた病気です。
早めに適切な治療を受けることが必要です。

うつ病の特徴

次のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めします。
  1. 悲しく憂うつな気分が一日中続く
  2. これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
  3. 食欲が減る、あるいは増す
  4. 眠れない、あるいは寝すぎる
  5. イライラする、怒りっぽくなる
  6. 疲れやすく、何もやる気になれない
  7. 自分に価値がないように思える
  8. 集中力がなくなる、物事が決断できない
  9. 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う

うつ病の症状は、始めのうち、こころの不調ではなく体の不調や行動の問題として現れることがほとんどです。
とくに思春期にはそうした傾向がより強いといわれます。
食欲や睡眠に現れるだけでなく、体がだるい、生気がない、頭痛・めまい・吐き気といった体の症状、ひきこもりやリストカット、暴力や攻撃的な行動などとして表現されることもあります。

また、うつ病の症状は、朝の調子がいちばん悪く、午後から夕方にかけて改善してくることがよくあります。
朝なかなか起きられず学校を休んだものの、午後からは具合がよさそうに見えると、周囲からはちょっとサボっているだけに見えるかもしれません。

治療法について

うつ病の治療には、落ち込んだ気分を和らげ、睡眠リズムを改善する効果をもつ抗うつ薬を中心に、必要に応じて不安感を和らげる抗不安薬なども使われます。
ストレスを和らげたり、自分を責める考え方を変化させたりするカウンセリングも行われます。

「自分はいないほうがよい」「消えてしまいたい」といった気持ちになることがありますが、そんな気持ちになるのも病気が原因。しっかり治療することで症状は改善します。

サポートするとき

うつ病だからといって、いつも落ち込んでいるとは限りません。
とくにご家族に対しては、つらい気持ちを理解してほしくて、「怒り」が出てくる場合もあるでしょう。
そんなときも、時間をゆっくりとって「つらい気持ち」を聞いてあげましょう。

また、自分が価値のない人間に思えて、「死にたい」「消えたてしまいたい」といった気持ちになることがあります。そんな気持ちになるのは病気が原因です。

「死にたい」ほど、「消えてしまいたい」ほどつらく苦しい気持ちを理解し、受け止めながら、「あなたはとても大切な人である」こと、「治療でよくなる」ことをくりかえし伝えましょう。

不安障害

不安障害とは

不安障害

大勢の人の前で話すときや大事な試験のとき、緊張して汗をかいたり、心臓がドキドキしたりするのは当たり前の反応です。

でも心配や不安が過度になりすぎて、日常生活に影響が出ていたら、それは不安障害かもしれません。

不安障害は、精神的な不安から、こころと体に様々な不快な変化が起きるものです。

ひとくちに不安障害といっても様々な病気があるので、代表的なものをご紹介します。

パニック障害

突然理由もなく激しい不安に襲われて、心臓がドキドキする、めまいがしてふらふらする、呼吸が苦しくなるといった状態となり、場合によっては死んでしまうのではないかという恐怖を覚えることもあります。
このような発作的な不安や体の異常な反応は「パニック発作」と呼ばれており、パニック発作がくりかえされる病気をパニック障害と呼んでいます。
パニック発作では、次のような症状が突然表れて、10分以内にピークに達します。
  • 動悸がする、心拍数があがる
  • 汗が出る
  • 体が震える
  • 息切れがする、息苦しい
  • 窒息する感じがする
  • 胸が痛い、胸苦しさがある
  • 吐き気、おなかの苦しさ
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
  • 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
  • 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
  • 死ぬことへの恐怖
  • 感覚まひ、うずき
  • 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がする

パニック障害では、パニック発作になったときの苦しさや怖さから、「また発作が起きたらどうしよう」と心配になることが多く、これを「予期不安」といいます。

予期不安を感じて、電車や人混みを避ける、頼れる人がいない状況や一人で出かけることを避ける、あるいはエレベーターなど逃げられない場所を避けるようになることがあります。

社会不安障害(社会恐怖)

人に注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることが怖くなって、人と話すことだけでなく、人が多くいる場所(電車やバス、繁華街など)に、強い苦痛を感じる病気です。怖さのあまりパニック発作を起こすこともあります。

失敗や恥ずかしい思いがきっかけになることも多いのですが、思春期の頃は、自分で自分の価値を認められなかったり自分に自信がもてなかったりすることから起きてくる場合も多くあります。

社会不安障害では、自分でも、そんなふうに恐怖を感じるのは変だなとわかってはいるけれど、その気持ちを抑えることが難しくなります。 徐々に、恐怖を我慢しながら生活したり、外出や人と会うこと(怖いと感じること)を避けるようになったりします。

強迫性障害

つまらないことだとわかっていてもある行為をやめられず、くりかえし同じことをしていないと不安でたまらなくなります。

たとえば「くりかえし手を洗い続ける」「火の元や戸締りを何度も確認する」「階段や電信柱など気になった数や、頭に浮かんだ数字を数え続ける」といったものがあります。

自分でも不合理だとわかっていても、しないではいられない「強迫行為」をくりかえすことに時間がかかってしまって、学校や日常での生活に影響が出てくることがあります。

全般性不安障害

学校のことや家族・友達のこと、生活上のいろいろなことが気になり、極度に不安や心配になる状態が半年以上続きます。 不安だけでなく、落ち着きがない、疲れやすい、集中できない、イライラする、筋肉が緊張している、眠れないといった症状もみられます

治療について

不安障害の治療は、薬物療法とカウンセリングが中心になります。
薬は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などが使われます。

また認知行動療法といわれるカウンセリングでは、こころと体をリラックスさせる、苦手なモノや場所に少しずつ慣れさせていく、極端な考え方のクセを見直すといったことをやっていきます。
こうした治療を通じてストレスを軽くし、不安や恐怖に対処できるようなサポートを受けながら、苦手なことに段階的にチャレンジして、自信を取り戻すことが回復につながっていきます。

サポートについて

たとえば不安で電車に乗れない場合、まず駅まで行ってみる、改札をくぐってみる、ひと駅だけ電車に乗ってみるなど、少しずつできることを増やしていく行動療法が行われます。
このとき本人が一人で行うのが不安であれば、まずは家族が付き添うケースも多いでしょう。
その場合は本人のペースに合わせ、焦らずに、不安を受け止めながら寄り添っていきましょう。

統合失調症

統合失調症は、こころや考えなどがまとまりを欠いた状態になる病気です。そのため行動や気分、人間関係などに様々な影響が出ます。100人に1人くらいがかかるといわれていて、それほど珍しい病気ではありません。
早めに治療するほど症状が重くなりにくいといわれているので、早期発見と早期治療が大切です。

統合失調症とは

統合失調症には、健康なときにはなかった状態が現れる「陽性症状」と、意欲や感情表現が減るなど、あったものが失われる「陰性症状」があります。

主な陽性症状

幻覚

統合失調症の症状の特徴のひとつに、実際にはないものを知覚する幻覚があります。
なかでもほかの人には聞こえない声が聞こえる「幻聴」が、現れやすい症状です。

妄想

妄想とは、ほかの人にとってはあり得ないと思えることを確信してしまうことです。
周りが違うと説得しても受け入れられません。 たとえば、何でも自分に関係があると思い込む「関係妄想」、周囲の人が自分を陥れようとしていると思い込む「被害妄想」、見張られていると思い込む「注察妄想」など、様々なものがあります。

考えの混乱

考えをまとめることが困難になるため、支離滅裂で、まったく脈絡のないことを言ったり考えたりするようになります。話が途切れたり、とんで脱線したりします。

主な陰性症状

  • 意欲がなくなり無気力になり、身の回りのことにかまわなくなる。
  • 感情が表に出にくくなり、いつも無表情で、喜怒哀楽がなくなる。
  • 友達や家族など人と関わることを避けて、閉じこもる。

治療法について

統合失調症の治療は、薬物療法が基本です。
抗精神病薬を中心に、睡眠薬、抗不安薬などが処方されます。症状が軽くなってきたからといって、勝手に服薬を中断するのは厳禁です。再発の危険が高くなりますから、薬の調節については、お医者さんとよく相談しましょう。

また病院のデイケアなどでは、運動療法、作業療法、社会生活技能訓練(SST)などが行われ、社会生活や対人スキルを練習したり、低下した意欲を高めたりするためのリハビリテーションも行われています。

統合失調症は回復可能な病気です。長い経過で見ても過半数は回復し、重度の障害が残る場合は20%程度といわれています。そうはいっても、実際の苦痛を考えれば、決して楽観的に捉えられる病気ではありませんが、一方で統合失調症の治療技術は日々進歩しています。
なるべく早いうちから、しっかりとした治療を受けていくことは大変重要です。

サポートをするとき

多くは10代後半から20代にかけて発症します。本人に病識(病気であることの認識)が少ないこともあり、ご家族や周囲の方が先に気づくケースが多いでしょう。
家族が病状に対して批判的な発言をしたり、逆に心配しすぎたりすると、かえって回復が遅れる場合があります。ご家族や周囲の方にとって心配になるのは当然ですが、できるだけ平静さを保ちながら、本人のつらさをじっくりと受け止めていくことが大切です。

薬物乱用

覚せい剤、大麻、幻覚剤、シンナーなどの有機溶剤、アヘン類などの違法ドラッグを使うことは、たった一度でも違法行為となり、薬物乱用にあたります。また睡眠薬や鎮痛薬などの薬でも用量を超えて飲むなどは、薬物乱用にあたります。

始めは「一度だけやってみたい」という軽い好奇心からかもしれません。
でも、薬物の多くは耐性があり、体が慣れてしまうので、次第に少しの量では効果が感じられなくなり、使用量が増えてしまいます。

そしてたった一回のつもりが、気がつけば習慣的に使用し始めて、そのうちにクスリがやめられなくなる「薬物依存症」になってしまうのです。

薬物依存症とは

違法ドラッグをはじめ薬物には、身体依存と精神依存という作用があります。
身体依存とは、クスリの効果が抜けると、手足の震えや幻覚、意識障害など離脱症状(禁断症状)が起きることをいいます。精神依存とは、欲しいという欲求が我慢できなくなることです。

クスリを使い始めると脳の一部の働きが変化して、「どうしてもクスリが欲しい」という渇望を抑えられなくなるのです。そのため何が何でも手に入れようと、さらなる犯罪行為にまでつながってしまうこともあります。

治療法について

残念ながら依存症の特効薬といえるような治療法はありません。薬物の長期の使用で脳がクスリの影響を強く受けてしまうと、ほとんど元に戻ることはないといわれています。ですから、薬物を完全に断って、欲求を我慢し続けながら、またクスリに手を出さないように自分でコントロールしていくしかありません。

クスリをやめても、ストレスなどをきっかけに幻覚や妄想などの症状が出てくることがあります(フラッシュバック)。またどんなに少量でも、再び使うと元の依存症状態に戻ってしまいます。一人でコントロールし続けることは不可能です。

そこで認知行動療法などのプログラムを行う専門の医療機関や相談施設、体験者がお互いに支えあう「ダルク」や「NA」などのセルフヘルプグループに通い続けることが必要です。同じ依存症をもつ人同士が、お互いのつらさや悩みを共感し連帯しあいながらで、クスリを断ち続けるのです。

サポートをするとき

薬物の乱用は、家族にも大きなダメージがあることでしょう。
問題を家族だけで抱え込まないで、専門家の協力を得ることが欠かせません。

依存は「否認の病」ともいわれ、本人は問題を認めようとしない傾向がありますから、ときには強引にでも専門機関に連れてゆくことが必要になるかもしれません。

またサポートしているつもりで、逆に家族が依存を助長させる存在=イネイブラーになってしまうこともあります。家族会などのサポートグループでは、依存症者との接し方を知ることができますし、支える家族のつらさを分かちあう場にもなっています。

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