スマホ利用のルール

子どもにスマホを持たせるか検討する方も多いでしょう。その際、何かしらのスマホ利用のルールを設定すべきか、迷う方も少なくないのではないでしょうか。ここでは、ルール作りのポイント、ルールの例、ルールに関する調査結果、保護者の責務などをまとめています。
スマホ利用ルールのポイント
スマホの利用ルールは、子どもに安全にスマホを使ってもらうために大切です。決めたルールが機能させるためのポイントをまとめています。1.事前にルールの必要性を説明
ルールを決める前に、「なぜスマホの利用ルールを決める必要があるのか」を子どもにしっかり説明しておきましょう。子どもがルールの必要性を理解していない状態でのルール決めは、子どもにとってのやらせれ感、強制感につながります。2.子どもと話し合ってルールを設定
子どもがルールの必要性を理解したら、具体的なルールを話し合いながら決めていきましょう。子どもの生活スタイルにあわせて、負担にならないようなルールを考えていくことが大切です。保護者側の要求と「スマホをどう使いたいか」といった子どもの要望にもしっかり耳を傾け、双方が納得できるルール作りに向けた話し合いのプロセスも大切です。
3.ルール違反時のペナルティも設定
子どもとの利用ルールを決める以上、万が一、ルールを守れなかった時のペナルティも用意しておくべきでしょう。具体的には「利用時間の制限」「利用の一時停止」などが考えられます。ルール違反の内容にもよりますが、非常時の連絡はもちろん、子どもの人間関係などに影響がでないようにペナルティを考える必要があります。ペナルティもルール作りの一つとして設定しましょう。
4.定期的なルールの見直し
スマホの利用ルールが必要とされる子どもたちは、成長とともに生活環境や人間関係が急速に変化していきます。最初に決めたルールに対応していくのが難しくなる場合もあり、定期的に見直しが必要です。例えば、進学時のタイミング、または毎年、ルールの内容について子どもと話し合うことを事前に決めておきましょう。
5.保護者も一緒にルールを遵守
ルールは子どもだけでなく、保護者も一緒に守るべきことも考えられます。例えば、- 食事中、就寝前の寝具の中での理由
- 長時間の連続使用や不適切な姿勢での利用 など
スマホデビュー前のルール設定は重要です!
詳細なルールの例
スマホ利用ルールは、利用時間、利用場所、利用シーン、そしてSNSの使い方の3つの観点から設定することが大切です。以下のルールはあくまで一例であり、ご家庭の状況にあわせて検討することが大切です。利用時間
- 1日の利用時間を制限する(例えば、1時間、3時間など)
- 22時以降は利用しない
- 就寝前2時間前からスマホを触らない
- 勉強中や食事中は利用しない
利用場所
- 寝室への持ち込み禁止
- バスや電車内での通話禁止
- ながらスマホ(歩きスマホ、自転車乗りスマホ)禁止
- 更衣室や公衆浴場での使用禁止
SNS利用
- 個人情報や顔写真をSNSに登録しない
- 不適切な書き込みや発言をしない
- 他人や有名人の悪口を書き込まない
- フィルタリング機能を利用する
- 怖いものや興味のないものをSNSで閲覧しない
インターネット上の危険性
- 知らない人とやり取りしたり、会ったりしない
- 架空請求メールやチェーンメール、心当たりのないメールは無視する
- 不審なアプリやリンクに注意する
- OSやアプリを定期的にアップデートする
- 自分や友達、家族とわかる内容や写真・動画などを投稿しない
- 勝手に課金したり、サブスク契約をしない
利用シーン
- 周囲に迷惑をかけない音量で利用する
- 店内の注意書きやスタッフの指示に従う
- 人物、店舗や施設などを許可なく撮影しない
- 撮影する際は周囲に注意を払い迷惑かけない
ルールを決める上でのポイント
- 困ったときはすぐに保護者に相談する
- 子どもと話し合い、ルールを決めること
- 子どもがルールを守る理由を説明すること
- 保護者が模範となるような行動を見せること
- ルールを守れない場合は、保護者がスマホを預かるなどの措置を取ること
- スマホ依存を防ぐため、利用時間や利用場所を制限するなど、具体的なルールを定めること
参考:家庭内ルールに関する調査結果
以下の記事は、東京都生活文化スポーツ局「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査報告書」(2025年)からの調査結果をもとにした内容です。家庭内ルールを「作っている」が67.9%
子どもがスマホを使うことについての家庭内でルールについて、小中高生の全体では、「作っている」が67.9%、「作っていない」が32.1%となっています。学年別の「作っている」比率は、小学校低学年(1〜3年生)76.5%、小学校高学年(4〜6年生)80.8%は、中学生が73.8%となっています。
一方で、高校生では「作っていない」が53.0%と高くなっています。
家庭内におけるルールの有無

ルールは「時間や場所を制限する」65.8%、
次いで「すぐ保護者へ相談する」52.9%
小中高生の全体では、「利用する時間や場所を制限する」の比率が最も高く65.8%、次いで「困ったときはすぐ保護者へ相談する」が52.9%、「利用する際のマナー(誹謗中傷することは書かない等)を決める」が46.8%、「利用・閲覧するアプリやWebサイトを決める」が42.1%と、「メール・SNSなどの相手と勝手に連絡しないようにする」が41.3%となっています。いずれの層も「利用する時間や場所を制限する」とした比率が最も高くなっています。
小学校低学年は「利用料金の上限を決める」が38.5%で、小学校高学年以上に比べて高くなっています。
高校生は「利用・閲覧するアプリやWebサイトを決める」の割合が23.9%で、中学生以下に比べて低くなっています。
家庭内におけるルールの内容

ルール作りは「購入前に話し合い」49.6%
また「購入前に保護者が決めた」は19.1%
小中高生の全体では、「購入前に保護者と子供で話し合って決めた」の比率が最も高く49.6%、次いで「購入後に保護者と子供で話し合って決めた」が22.5%、「購入前に保護者が決めた」が 19.1%となっています。高校生は「購入後に保護者と子供で話し合って決めた」が57.7%と他の学年に比べ高くなっています。
家庭内でのルールの作り方

ルールを守れなかった時のルール「あり」62.8%
小中高生の全体では、「作っている」が62.8%、「作っていない」が37.2%となっています。「作っている」を学年別にみると、小学校低学年70.9%、小学校高学年67.7%と、中学生55.7%、高校生59.4%に比べ高い数値になっている。
守れなかった時のルールの有無
(「ルールを作っている」の回答者のみ)

ルールは「守られている」27.7%
「だいたい守られている」53.7%、あわせて81.4%
小中高生の全体では、「だいたい守られている」の比率が最も高く53.7%と最も高く、次いで「守られている」が27.7%、「あまり守られていない」が12.0%となっています。小学校低学年では、「守られている」38.9%、「だいたい守られている」56.0%、あわせて94.9%と高い数値となっています。
ルールは守られているか
(「ルールを作っている」の回答者のみ)

ルールが守られていない理由のトップは
「夢中になってルールを忘れてしまう」44.3%、
小中高生の全体では、「子供がすぐ夢中になってルールを忘れてしまうから」の比率が最も高く44.3%、次いで「友達 や家族の誰かが使用していると、つられて使用してしまうから」が37.1%、「保護者が子供を見張るようなことができない(したくない)から」が32.5%、「ルールを守れなかったとき(破った際)のペナルティを決めていなかったから」が26.8%、「子供が納得しないまま、保護者がルールを決めたから」20.6%となっています。比率の高い項目を学年別に見ると、小学校低学年は「保護者が子供を見張るようなことができないから」と「子供がすぐ夢中になってルールを忘れてしまうから」が共に33.3%、小学校高学年別は「子供が納得しないまま、保護者がルールを決めたから」41.9%、中学生は「友達が使用していると、つられて使用してしまうから」55.6%、高校生は「子供がすぐ夢中になってルールを忘れてしまうから」41.7%となっています
ルールが守られていない理由
(「ルールを作っている」の回答者のみ/複数回答)

ルールを作っていない理由
(「ルールを作っていない」の回答者のみ/複数回答)

保護者としての責務
ルールの設定も含め、具体的なルールの内容はは各家庭の判断によります。当協議会では、トラブルや事件に巻き込まれないためにも、一定の年齢まではスマホ利用のルールが必要であると考えています。
スマホにかかる費用を保護者が支払っているケースでは、あくまで「保護者が契約しているスマホを子どもに貸している」という前提でルールを決めることも一つの選択肢です。購入前に子どもとよく話し合いルールを決め、定期的に見直すことが大切です。
関連する法律
18歳に満たない青少年のインターネット利用に関しては、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(青少年インターネット環境整備法)」という法律にも記載があります。以下は条文の抜粋です。(保護者の責務)
第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。
2 保護者は、携帯電話端末等からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。
条文では、保護者には、インターネット上の有害情報等のリスクを理解し、子どもの発達や教育方針に合わせて適切に管理する責任があると述べられています。
万が一、不適切な利用があれば、子どもがさまざまな問題に巻き込まれる可能性もあるので、ルールやツール、サービスなどを利用することで、インターネット利用を適切に管理しましょう。
具体的な保護者つぃての対応方法は、以下が考えられます。
- 子供のインターネット利用状況を適切に把握する。
- フィルタリング等の利用により、子供のインターネットの利用を適切に管理する。
- 子供がインターネットを適切に活用する能力の 習得の促進に努める。
- 不適切な利用により、売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに留意する。
子どもに「スマホが欲しい」と 言われたら、
スマホを利用する目的や必要な理由を聞きましょう。
スマホを利用する目的や必要な理由を聞きましょう。
スマホの利用について家族で話し合い、家庭のルール」を決めましょう。
保護者のスマホ利用に関する取組 経年比較
2019(令和元)〜2024(令和5)年度

「ネット利用の管理は行っていない」15.8%、3年連続で微増
- 子供が「スマートフォン」でインターネットを利用していると回答した青少年の保護者をベースに集計。
- 令和3年度から「機器の設定で時間管理している」と「OS事業者提供サービスを利用してコンテンツ制限をしている」を新規追加。令和2年度までは、「目の前(画面が見える距離)で使わせている」は 「大人の目の届く範囲で使わせている」、「利用してもよい時間や場所を決めて使わせている」は「利用する際に時間や場所を指定している」、「対象年齢にあったサービスやアプリを使わせている」は 「成長段階に合わせて、子供向けの機器やサービスを使わせている」、「何を(内容)どれくらい(時間)使っているのか把握している」は「普段の会話やコミュニケーションの中で、子供のインターネッ ト利用状況を把握している」、「課金管理等その他の目的で管理を行っている」は「その他の方法で管理を行っている」としていた。
- 「無回答」は、令和2年度までは「わからない・無回答」としていた。
出所:こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(2023年度)」
子どもとデジタル機器
