子どもの医療保険は必要? 加入状況や加入メリットは
子どもの医療保険の必要性
必要ないと考えられている理由
1.公的な保障制度が充実しているため
日本では公的な保障制度が充実しているため、子どもにかかる医療費の自己負担割合は、小学校入学までは2割、小学校入学以降から69歳までは3割です。
また、多くの自治体で、子どもにかかる医療費の自己負担額の一部または全部を助成する制度が用意されています。助成内容は自治体によって異なり、年齢制限や保護者の所得制限などが設けられていることも少なくありません。
助成制度ほか、公的医療保険には、医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた部分を払い戻す高額療養費制度などがあります。
そのため、実際に負担する金額は制度の利用の有無などケースにより異なります。
このほか、次のような医療費助成制度があります。
- 乳幼児医療費助成制度(マル乳)
- 義務教育就学児医療費助成制度(マル子)
- 高校生等医療費助成制度(マル青)
- 未熟児の養育医療
- 小児慢性特定疾病医療費助成制度
- 身体障害児の自立支援医療(育成医療)
- 結核児童の療育給付
- 大気汚染医療費助成制度
2.子どもの入院リスクは他の年代と比べて少ない
子どもは他の年代に比べて入院リスクが少ないことも、子どもの医療保険が不要といわれる理由のひとつです。厚生労働省によれば、5~9歳の平均入院日数は2020年で7.9日となっています。
なお、0歳児の入院での受療率はやや高いものの、年齢が高くなればなるほど入院日数は増える傾向にあり、35~39歳では16.0日です。
3.学校がとりまとる災害共済給付制度やPTAの団体保険などに加入済
子どもが幼稚園や保育園、学校に通うようになると、園や学校を通して災害共済給付制度などに加入することがあります。このような制度などに加入していれば、園や学校内で子どもがケガなどをしたときに給付金が受け取れます。 また、園や学校と関わりのない場面での病気やケガなどを含めた保障として、PTAの団体保険で、疾病補償(病気)や傷害補償(ケガ)などに加入していることもあります。子どもの保険の実態
子どもの保険加入率
3年に1度行われる生命保険に関する全国実態調査(2021年度)によると、子ども(未婚で就学前または就学中)の保険加入率(個人年金保険を含む)は、全生保(下表の機関別の合計)で46.7%となっています。
加入する保険内容は医療保険に限りませんが、半数近くの方が子どもの保険に加入していることがわかります。
全生保の機関別の保険加入率
全生保 | 46.7% |
---|---|
民保 | 19.3% |
かんぽ生命 | 4.7% |
簡保 | 1.8% |
JA | 2.9% |
県民共済・生協など | 18.1% |
子どものために加入意向のある保障内容
なお、子ども(未婚で就学前または就学中)のために加入意向のある保障内容として、「病気やケガの治療や入院にそなえるもの」という回答が58.1%と最も高くなっています。実際には6割近くの人が、子どもに医療保険は必要と考えています。
加入意向のある保障内容 | 2021年 | 2018年 |
---|---|---|
病気やケガの治療や入院にそなえるもの | 58.1% | 63.2% |
子どもの教育資金や結婚資金の準備に重点をおいたもの | 54.5% | 49.1% |
病気や災害、事故による万一の場合の補償に重点をおいたもの | 43.1% | 49.1% |
保障と貯蓄をかねたもの | 30.5% | 31.6% |
貯蓄に重点をおいたもの | 17.5% | 17.5% |
- 複数回答、15%以下の選択肢については表示を省略
子どもの保険を考える
医療保険に加入させるメリットとは?
調査の結果では、6割近くの人が、子どもの病気やケガに医療保険で備えたいと考えていますが、どのような目的で備えたいと考えているのでしょうか。一般に子どもの医療保険には、以下のような目的がありますが、必要性を検討することが大切です。
医療費以外の負担を軽減できる
子どもが入院したときにかかる費用は、医療費だけではなく、例えば、差額ベッド代や交通費などは、公的医療保険や自治体の助成の対象外です。また、働き方によっては付き添いなどでの収入減なども考慮しなければなりません。
将来、医療保険に加入できないリスクへの備え
一般的に、医療保険の加入時には既往症や持病の有無を確認されます。もし、持病が見つかった場合、医療保険に加入しにくくなったり、保障内容が限定されたりすることがあるかもしれません。子どもの時に最適な保障内容の医療保険に加入することで、将来の保険加入リスクを避けることができます。
医療費助成制度が終了した後の備え
子どもを対象とした医療費助成制度は、自治体により、就学前まで、小学校卒業まで、中学校卒業まで、18歳までといった年齢制限や保護者の所得制限があり、条件はさまざまです。医療費助成制度が終了するタイミングで子どもの医療保険を検討するケースも多く見られます。
子どもの病気やケガのリスクに備えるには
子どもの病気やケガのリスクに備える方法は様々あります。子どもを被保険者とするPTAなどによる団体保険以外にも、医療保険の加入方法は複数あります。
- 生命保険などの医療保険に加入する
- 学資保険に医療特約を付加する
- 共済などの医療保険に加入する
- 保護者のの医療保険に特約を付加する
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