仕事時間は世界最長、自己効力感や満足度にも課題
OECD国際教員指導環境調査 2024
教えることにはやりがいはある、働く環境・条件が問題 教職員を大切にする政策を!
文部科学省は2025年10月7日に公表された、OECDが実施する国際教員指導環境調査(TALIS)2024の調査結果は、今後、教員の働き方改革や教育環境整備の政策検討に活用される見込みです。なおTALISの次回調査は2030年に予されています。
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調査結果から
2024年の「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)」の結果によると、日本の教員は引き続き世界で最も長い勤務時間であり、事務作業の多さが主なストレス要因となっています。また、AI(人工知能)の活用は国際的に大きく遅れていることが明らかになりました。調査の結果は、教員の負担軽減、給与や労働条件の改善、そしてデジタル技術や多様な生徒への対応に関する研修・支援の必要性を強く示しています。
依然として世界最長の勤務時間
日本の教員の勤務時間は、今回調査された55の国・地域の中で依然として最長レベルでした。2018年の前回調査と比べると総勤務時間は減少していますが、依然として長時間労働の状況に変わりはありません。
勤務時間
小学校は、週当たり52.1時間(国際平均は約40時間)、中学校は、週当たり55.1時間(国際平均は約40時間)勤務の特徴
授業時間は国際平均よりも短い傾向にありが、「事務業務」(63%がストレス要因と回答)、「授業準備」「課外活動(部活動など)の指導」に費やす時間が国際平均より大幅に長くなっています。教員の職務満足度は国際平均を下回る
満足度
「職務全体に満足」している教員の割合は79%で、OECD平均(89%)を下回りました。2018年調査からは3ポイント低下しています。給与に満足している教員の割合は29%で、OECD平均(39%)を下回っており、2018年調査から13ポイントも低下しました。ストレスの主な原因
ストレス要因として「事務作業が多すぎる」(63%)が最も多く挙げられ、次いで「保護者や保護者の懸念への対応」(56%)、「当局からの要求の変化に追いつくこと」(43%)となっています。なお、保護者対応や授業にかける時間は国際平均より短い傾向となっています。前回調査と比較では、授業準備、多すぎる授業数や採点業務、事務的業務、保護者対応についての日本の教員のストレスは、小中学校ともに増加しています。
AI活用における国際的な遅れ
デジタル環境の活用は定着へ
コロナ禍以降はICT環境の整備が進み、教員の多くはデジタル環境を活用する授業経験があるとされ、調査直前1カ月に「オンラインまたはハイブリッド授業を一部でも実施した」と答えた教員は日本では43.4%で、OECD平均の16.4%を大きく上回り、教育現場に定着が示されました。
AI活用
授業等以外でのAI活用については「事務業務の自動化に役立つ」(小学校79.1%、中学校73.1%)、「個別サポートを支援する」(小学校71.1%、中学校66.5%)と期待感は極めて高く、国際平均をいずれも大きく上回っています。
出所:OECD Results from TALIS 2024 ≫
教員の社会的評価
社会的評価
教員が社会的に評価されていると感じる割合は30%で、OECD平均(22%)より高いものの、2018年からは減少傾向にあります。日本の教員は、教えることの面白さややりがいに満足している割合が小中学校とも、国際平均より高く、かつ各項目において9割程度の水準となりました。なお、自分の成果に満足している教員は国際平均よりも低いものの前回調査よりも微増しています。
離職意向
30歳未満の若手教員の20%が、5年以内に離職する意向を示しており、これはOECD平均と同程度です。若手教員は経験の浅い段階で複雑な課題に直面しやすいことが背景にあると考えられます。特別支援教育
特別支援のニーズを持つ生徒への対応について、日本の教員の「うまく対応できる」と感じる自信は29%と、OECD平均(62%)を大きく下回っています。
ECD国際教員指導環境調査(TALIS)調査とは
OECD国際教員指導環境調査(TALIS:Teaching and Learning International Survey)は、学校の学習環境と教員及び校長の勤務環境に焦点を当てた国際調査です。ECD国際教員指導環境調査(TALIS)調査とは
2008年に第1回調査(参加24か国・地域、日本は不参加)、2013年に第2回調査(日本を含む34か国・地域が参加)、2018年に第3回調査(日本を含む48か国・地域が参加)、 2024年に第4回調査(日本を含む55か国・地域が参加)が実施されています。
調査概要・目的
- 教員及び校長の勤務環境や学校の学習環境に焦点を当てた国際調査。専門的な学習などの教員及び校長の環境、学校での指導状況などについて、国際比較可能なデータを収集し、教育に関する分析や教育政策の検討に資する。
- 2008年に第1回、2013年に第2回、2018年に第3回、2024年に第4回調査(今回)を実施。
- 日本は第2回から参加し、小学校は第3回から参加。
調査対象
- 中学校(以下、中等教育学校前期課程及び義務教育学校後期課程を含む)及び小学校(以下、義務教育学校前期課程を含む)の教員及び校長(日本)
- 原則として、1か国につき、前期中等教育段階200校、初等教育段階200校、1校当たり教員(非常勤を含む)20名を抽出。
- 前期中等教育段階は55か国・地域が参加。初等教育段階は16か国・地域が参加。
- 日本の参加(回答)状況:
中学校:全国201校、校長200名、教員3,558名
小学校:全国202校、校長202名、教員3,356名 - 国公私立の内訳 … 参加(回答)教員数の割合
中学校:国公立校 約90%、私立校 約10% 小学校:国公立校 約99%、私立校 約1%
調査時期2024年2月中旬〜3月中旬(日本)調査方法調査対象者が質問調査(教員用/校長用)に回答(所要各45〜60分)調査項目学校や学級の環境、教員の仕事時間、指導実践、専門的な学習、教職の充実度 等参加国OECD加盟国等55か国・地域(前回は48か国・地域)
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出所:OECD Results from TALIS 2024 (PDF)≫
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以下の情報は、国立教育政策研究所 OECD国際教員指導環境調査(TALIS) ≫からの引用を含みます。
教員の仕事時間
教員の仕事時間
- 前回2018年調査と比べて、教員(常勤)の仕事時間は、小中学校とも1週間当たり約4時間減少。
- 課外活動(小:約0.4時間減、中:約2時間減)、事務業務(小中:約1時間減)等の時間が小中学校とも減少した一方で、専門的な学習を行う時間が小中学校とも増加(小:約1時間増、中:約2時間増)。
- 他方、日本の小中学校教員の1週間当たりの仕事時間は、前回に引き続き参加国中で最長。
- 前回2018年調査と比べて、授業準備等の時間は減少。
- 日本は、授業時間が国際平均より少ない一方、授業準備等の時間が国際平均より長い特徴がある。
常勤教員の仕事時間(合計)
「直近の通常の一週間において、この学校で求められている仕事に、合計でおよそ何時間(1時間=60分換算)従事しましたか。」という質問に回答した時間数(週末や夜間など就業時間外に行った仕事を含む)。… 教員調査
- 中学校調査は、OECD報告書に合わせてOECD平均(27か国・地域)を提示。小学校調査は、参加国が少なく、OECD平均が報告書で示されていないため、OECD報告書に合わせて参加国平均(12か国・地域)を提示。
- 点線及び( )内の数値は前回2018年調査。
常勤教員の仕事時間(内訳)
「直近の通常の一週間において、あなたは、この学校での以下の仕事に合計でおよそ何時間(1時間=60分換算)従事しましたか。」という質問に対して、「指導(授業)」「学校内外で個人で行う授業の計画や準備」「学校内での同僚との共同作業や話合い」「児童/生徒の課題の採点や添削」「児童/生徒に対する教育相談(例:児童/生徒の監督指導、インターネットによるカウンセリング、進路指導、非行防止指導)」「学校運営業務への参画」「一般的な事務業務(教員として行う連絡事務、書類作成その他の事務業務を含む)」「専門的な学習活動」「保護者との連絡や連携」「課外活動の指導(例:放課後のスポーツ活動や文化活動)」「その他の業務」の各項目に回答した時間数。… 教員調査
- 仕事時間の内訳は、仕事時間の合計とは別の問において、各項目についておおよその時間を四捨五入して回答したものであり、 その合計は、必ずしも仕事時間の合計と一致するものでない。
1週間当たりの仕事時間(常勤)
小学校 … 教員調査
中学校 … 教員調査
学校における教育資源の不足感
- 前回2018年調査と比べて、質の高い指導を行う上で、教員の不足を感じる割合が小学校で増加。
- ICT等が不十分であると考える割合は小中学校とも約20%ポイント減少。
学校における教育資源の不足感
学校で、現在、質の高い指導を行う上で妨げになっていることについて、「資格をもつ教員の不足」「特別な教育支援を要する児童/生徒への指導能力をもつ教員の不足」「支援職員の不足」「物理的な施設設備が不足している、あるいは適切でない(例:学校家具、校舎、空調機、照明器具)」「指導のための場所が不足している、あるいは適切でない(例:教室)」「指導のためのICT等(デジタルリソースやツール)が不足している、あるいは適切でない」ことが「かなり妨げになっている」又は「非常に妨げになっている」と校長が回答した学校の教員の割合。… 校長調査
学級での指導実践
主体的・対話的で深い学び、探究的な学習等
- 日本は、他の児童/生徒の主張についての質問や意見を言うよう児童/生徒を促す実践の割合が、小中学校ともに、国際平均より高い。
- 前回2018年調査と比べて、日本は、小中学校ともに、批判的に考える必要がある課題を提示する割合や現在と過去の学習内容の関連を説明する割合、日常生活等での問題を引き合いに出す割合など多くの項目において増加したものの、国際平均より低い。
学級で頻繁に行う指導実践
学級における指導について、「複雑な課題を解く際に、その手順を各自で選択するよう児童/生徒に指示する」「他の児童/生徒の主張に対して、質問や意見を言うよう児童/生徒を促す」「児童/生徒を少人数のグループに分け、問題や課題に対する合同の解決法を出させる」「新しい学習内容と過去の学習内容がどのように関連しているか説明する」「批判的に考える必要がある課題を与える」「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」「新しい知識が役立つことを示すため、日常生活や仕事での問題を引き合いに出す」「完成までに少なくとも一週間を必要とする課題を生徒に与える」ことを「しばしば」又は「常に」行っていると回答した教員の割合。… 教員調査
個に応じた指導、反復学習等
- 日本は、児童/生徒の理解や必要性に応じて説明等を変える割合は高いものの、国際平均より低い。
- 日本は、難易度が徐々に上がる課題を演習させる割合は比較的高いものの、国際平均より低い。
- 前回2018年調査と比べて、日本は、発問を工夫する教員の割合が増加。
個に応じた指導、反復学習等
学級における指導について、「授業計画を立てるときには、児童/生徒のこれまでの知識と必要なことを考える」「個に応じた学習ができるよう、児童/生徒に異なる教材を紹介する」「児童/生徒がある学習内容や課題の理解が難しかった場合、説明の仕方を変更する」「児童/生徒の必要性に合わせて指導法を変える」「児童/生徒が内容を理解しているか確認するために、難易度が異なる質問をする」という質問に「しばしば」又は「常に」行っていると回答した教員の割合。… 教員調査
学級における指導について、「ある手順や技能の一連の流れを演習させるために児童/生徒に複数の例を振り返らせる」「難易度が徐々に上がっていくように演習課題を選んでいる」「ある手順や技能を演習する際に起こり得る問題に対して児童/生徒を備えさせる」「全児童/生徒が内容を理解していることが確認されるまで、類似の課題を児童/生徒に演習させる」という質問に「しばしば」又は「常に」行っていると回答した教員の割合。… 教員調査
指導実践実施度の自己評価 授業
学級での授業について、「内容をわかりやすく示す」「児童/生徒にとって少し難しい課題に挑ませる」「児童/生徒の学習を支援するようなフィードバックを行う」「学習したことを演習する機会を児童/生徒に与える」「児童/生徒の異なる必要性に合わせて指導を変える」「児童/生徒が自分の感情、考え、行動を管理(マネジメント)できるように支援する」ことが「かなりできた」又は「非常によくできた」と回答した教員の割合。… 教員調査
指導実践実施度の自己評価 指導
指導において、「児童/生徒に勉強ができると自信をもたせる」「児童/生徒が学習の価値を見いだせるよう手助けする」「児童/生徒のために発問を工夫する」「勉強にあまり関心を示さない児童/生徒に動機付けをする」「自分が児 童/生徒にどのような態度・行動を期待しているか明確に示す」「児童/生徒の批判的思考を促す」ことが「かなりできている」又は「非常によくできている」 と回答した教員の割合。… 教員調査
ICT等やAI(人工知能)について
ICT等について
- ICT等が不足又は不適切と回答した割合は、前回2018年調査と比べて、小中学校とも約20%ポイント減少し、国際平均よりもよい状況にある。
- ICT等を利用した学習支援がかなり/非常にできていると回答した日本の教員の割合は、前回2018年調査と比べて、小中学校とも約10%ポイント増加。
- ICT等を授業に取り入れる教育スキル及びICT等を使用する技術スキルに関する専門的な学習の必要性_を感じている教員の割合は、小中学校とも国際平均よりも約20%ポイント高い。
- ICT等を児童/生徒の学習等へ使用することは有用であると考える割合も、小中学校とも国際平均より高い。
学校における教育資源の不足感
学校で、現在、質の高い指導を行う上で妨げになっていることについて、「指導のためのICT等(デジタルリソースやツール)が不足している、あるいは適切でない」ことが「かなり妨げになっている」又は「非常に妨げになっている」と校長が回答した学校の教員の割合。… 校長調査
指導実践実施度の自己評価
指導において、「ICT等(デジタルリソースやツール)の利用によって児童/生徒の学習を支援する」ことが「かなりできている」又は「非常によくできている」と回答した教員の割合。… 教員調査
専門的な学習の必要性
「授業にICT等(デジタルリソースやツール)を取り入れるための教育スキル」「ICT等(デジタルリソースやツール)を使用するための技術的スキル」についての専門的な学習の必要性が「高い」と回答した教員の割合。… 教員調査
児童/生徒の学習へのICT等の使用に関する考え方
「ICT等(デジタルリソースやツールの使用」について、「ICT等(デジタルリソースやツール)の使用は、学習に対する児童/生徒の関心を高めるのに役立つ」「ICT等(デジタルリソースやツール)の使用は、児童/生徒が自身の課題の計画を立て、進捗管理をする力をつけるのに役立つ」「ICT等(デジタルリソースやツール)の使用は、児童/生徒の学業成績向上に役立つ」「ICT等(デジタルリソースやツール)の使用は、児童/生徒が課題について効率的に協力するのに役立つ」という質問に「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
AI(人工知能)について
- 授業等におけるAIの使用状況は、日本は、小中学校とも国際平均より低い。
- 日本の教員は、児童/生徒の個別サポートや事務的業務の自動化等にAIが役立つと考えている割合が小中学校とも国際平均より高い。
- 他方、AIが児童/生徒の偏った見方を増大させると考える日本の教員の割合が小中学校ともに国際平均より高いなど、AIに関するリスクを認識している教員の割合も高い。
AIの授業等での使用(過去12か月)
「過去12か月の間に、AI(人工知能)を授業で、又は児童/生徒が学習しやすくするために使いましたか。」という質問に「はい」と回答した教員の 割合。… 教員調査
AIの使用についての考え方
「児童/生徒の学習のためにAI(人工知能)を使うこと」について「AI(人工知能)は、教員が授業計画を作成したり、改善したりするのに役立つ」「AI(人工知能)により、教員は教科書・教材を児童/生徒の能力に合わせて調整できるようになる」「AI(人工知能)は、教員が児童/生徒を個別にサポートするのを支援する」「AI(人工知能)は、特定の支援を必要とする児童/生徒(多言語学習者や特別な支援を要する生徒など)を支援する」「AI(人工知能)は、教員が事務的業務を自動化するのに役立つ」「AI(人工知能)により、児童/生徒は他人の成果物を自分のものと偽ることができるようになる」「AI(人工知能)は、不適切又は正しくないかもしれない提案をする」「AI(人工知能)は、児童/生徒の誤った認識を強める偏った見方を増大させる」「AI(人工知能)は、児童/生徒のデータのプライバシーとセキュリティを危険にさらす」「AI(人工知能)は、教員が児童/生徒に用いる指導法として不適切なものを提案 る」の各項目に「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。
教員について
教職志望と教員の他職種経験
- 日本は、国際平均に比べ、教職を第一志望と考え、実際に教職に就いている教員の割合が高い。
- 日本は、国際平均に比べ、教職以外を経験している教員の割合は低い。
教職を第一志望としていた教員
「教職は、あなたの第一志望の職業でしたか。」という質問に「はい」と回答した教員の割合。… 教員調査
教職以外の職を経験した教員
勤務経験のうち「教員以外の他の教育関係の仕事(例:教育委員会の指導主事、大学教員、保育士)」又は「その他の教育関係以外の仕事」を経験したと回答した教員の割合。… 教員調査
専門的な学習
- 日本は、専門的な学習への参加障壁として、資格要件や費用、雇用者からの支援の不足の割合が減少。また、適した専門的な学習がない割合やスケジュールと合わない割合が減少。
- 他方、時間が割けないため参加できない割合は国際平均より高く、増加。
- TALIS2024年調査では、TALIS2018年調査において「専門的な教員としての技能、知識、専門性、その他の資質を高めるための活動」と定義されていた「職能開発(Professional Development)」が、同一定義で「専門的な学習(Professional Learning)」に用語変更された。
専門的な学習への参加の障壁
「専門的な学習への参加の障壁」について、「参加に必要な要件を満たしていない(例:資格、経験、勤務年数)」「専門的な学習は費用が高すぎる」「雇用者からの支援がない」「専門的な学習の日程が自分の仕事のスケジュールと合わない」「他にやるべきことややらなくてはならないことがあるため、時間が割けない」「自分に適した専門的な学習がない」「専門的な学習への参加に対するインセンティブ(例:奨励金)がない」「専門的な学習は、遠いので利用できない」「専門的な学習は、デジタルリソースが十分でないので利用できない」ことが「妨げになっている」又は「非常に妨げになっている」と回答した教員の割合。… 教員調査
同僚性について
- 前回2018年調査と比べて、教員の相互信頼度が、日本は、小中学校ともに調査参加国中で最も低下。
- 前回2018年調査と比べて、小中学校ともに、児童/生徒の学習の向上について議論する割合は増加している一方、同僚との教材のやりとりの割合が減少している。
学校の雰囲気(同僚性)
学校について、「教員は、互いに信頼しあうことができる」「教職員が、指導や学習についての信念を共有している」「お互いに助け合う協力的な学校文化がある」ことが「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
指導における同僚との協働等
「他の教員の授業を見学し、感想を述べる」「同僚と教材をやりとりする」「特定の児童/生徒の学習の向上について議論する」「専門性を高めるための勉強会に参加する」という質問に「月に1回以上」行っていると回答した教員の割合。… 教員調査
教員のストレス
保護者対応、事務業務、授業等についてのストレス
- 前回2018年調査と比べて、多大な授業準備、多すぎる授業数や採点業務、事務的業務、保護者対応についての日本の教員のストレスは、小中学校ともに増加。
- 他方、前回2018年調査と比べて、授業準備等、授業、採点業務、事務業務、保護者対応の時間は、同様もしくは減少。
- 日本の教員は、保護者対応、事務的業務、授業数についてのストレスが国際平均より高い。
- 他方、日本の教員が保護者対応や授業にかける時間は、国際平均より短い。(授業時間に比べた授業準備の時間は、日本は国際平均より長い傾向がある。)
ストレスの要因
学校での業務に関し、「多大な授業準備があること」「授業の数が多すぎること」「採点業務が多すぎること」「事務的な業務が多すぎること(例:書類の記入)」「保護者の懸念に対処すること」についてのストレスを「かなり感じる」又は「非常によく感じる」と回答した教員の割合。… 教員調査
参考:各項目の仕事時間
「直近の通常の一週間において、あなたは、この学校での以下の仕事に合計でおよそ何時間(1時間=60分換算)従事しましたか。」という質問に対して、「学校内外で個人で行う授業の計画や準備」「指導(授業)」「児童/生徒の課題の採点や添削」「一般的な事務業務(教員として行う連絡事務、書類作成その他の事務業務を含む)」「保護者との連絡や連携」 各項目に回答した時間数。… 教員調査
- 比較のため常勤、非常勤含む
欠勤、カリキュラムの変化、多様性等についてのストレス
- 前回2018年調査と比べて、教員の欠勤による追加的業務についての日本の教員のストレスは、小中学校ともに増加。
- 日本は、多様性や公平性に関する問題や予期せぬ事態についてのストレスが国際平均より高い。
- 日本は、自治体・国の要求に対応することについてのストレスは、前回2018年調査と比べて増加し、国際平均より高い一方、カリキュラムの変化についてのストレスは、国際平均より低い。
- 日本は、小中学校とも、絶えず変化を求められているように感じる割合と変化にうんざりする割合は国際平均より低い一方、安定した期間を求める割合と変化のための必要な資源を求める割合が国際平均より高い。
ストレスの要因
学校での業務に関し、「教員の欠勤による追加的な業務があること」「児童/生徒の学力に対して責任を負っていること」「学級の規律を保つこと」「児童/生徒に脅迫されたり生徒から暴言を受けたりすること」「地方自治体・国からの要求の変化に対応すること」「特別な教育支援を要する児童/生徒のために授業を適応 させること」「児童/生徒の社会情緒的ウェルビーイング(幸せ)に責任を負っていること」「この学校のカリキュラムやプログラムの変化についていくこと」「多様性や公平性に関する問題、懸念、揉めごとに関する業務が多すぎること」「自分の職務を予期せぬ事態に適応させなければならないこと(例:自然災害、公衆衛生上の緊急事態・パンデミック、人道危機)」「専門的な学習についていくこと」についてのストレスを「かなり感じる」又は「非常によく感じる」と回答した教員の割合。… 教員調査
学校の変化への対応
「この学校では、変化のための取組が多すぎる」「この学校の変化にはうんざりする」「この学校では、あまりにも多くのことを変えるよう求められる」「絶えず周りの何かを変えることを求められているように感じる」「この学校の何かを変える前に、まず安定した期間が欲しい」「必要な資源がないのに変化のための取組をするよう求められる」ことに「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
- 比較のため常勤、非常勤含む
教職の充実度や教員の満足度
教職の充実度と教員の社会的評価
- 日本の教員は、教えることの面白さややりがいに満足している割合が小中学校とも、国際平均より高く、その他の充実度に関する項目も、9割程度の水準となっている。
- 他方、児童/生徒や保護者、メディア等に高く評価されていると感じている割合は国際平均より低い。
教職の充実度
「自分の教えている教科が好きである」「教えているとき、しばしば幸せだと感じる」「概して、熱意をもって教えている」「教えることの面 さややりがいに満足している」という質問に「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
教員の社会的評価等
「この学校では、教員は児童/生徒に高く評価されている」「この学校では、教員は保護者に高く評価されている」「この国や地域では、教員はメディアに高く評価されている」という質問に「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
教員の満足度
- 前回2018年調査と比べて、教員は良いことが多いと考える日本の小学校教員は、国際平均より高いものの、減少。
- 他方、日本では、小中学校教員の仕事の満足度は、他の職業の同程度の教育を受けた人よりも高い。
教員の満足度
「教員であることは、悪いことより、良いことの方が明らかに多い」「現在の学校での自分の仕事の成果に満足している」「全体としてみれば、この仕事に満足している」「職務に対して支払われる給与に満足している」「給与以外の教員としての雇用条件に満足している(例:福利厚生、勤務時間)」という質問に「当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査
教員の仕事満足度(他の職業との差)
- OECD、成人スキル調査(PIAAC)2023年データベースより。
- 「仕事に満足している」または「非常に満足している」と回答した成人の割合について、「小学校、中学校、職業教育の教師(a)」、「その他(16〜65歳の就業者で、ISCED6(学士相当)または7(修士相当)を修了した者)(b)」を比較し、(a)-(b)を示したグラフ。太字は統計的に有意。
- OECD TALIS2024報告書においても、他の職業の同程度の教育を受けた人よりも教員の仕事の満足度が高い国として日本が言及されている。
学級の規律
- 学級の規律が乱れているなどと回答した教員の割合は、日本は、国際平均に比べて低い。
- また、前回2018年調査と比べて、日本は、とても騒々しく秩序が乱れている、静かになるのに時間がかかる、授業妨害について回答した教員の割合が、小中学校ともに、約半減〜2/3減している。
学級の規律
学級の状況について、「とても騒々しく、秩序が乱れている」「児童/生徒が静かになるまでかなり長い時間待たなければならない」「授業が始まっても、多くの児童/生徒がなかなか取りかかろうとしない」「児童/生徒が授業を妨害するため、多くの時間が失われてしまう」という質問に「かなり当てはまる」又は「非常によく当てはまる」と回答した教員の割合。… 教員調査

