PTA活動のアップデート

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PTAは任意団体であり、加入も任意です!

PTA活動のアップデート

活動のアップデート
子どもたちが安全で健やかに成長するためには、学校と保護者の連携は不可欠であり、PTAは子どもたちに必要な組織であると考えています。
PTAの担い手である保護者たちが、自らの力でPTAの運営を変えていくことが理想的です。地域により事情は様々ですが、できることから取り組むことで、より信頼されるPTAを目指しましょう。

PTA活動を考えてみよう!

PTAとは「Parent Teacher Association、父母と先生の会」の略で、保護者と教師が協力して子どもの教育環境をより良いものに整えることを目的とした団体で、「社会教育関係団体」として位置付けられています。

PTAに関する政府の見解

岸田文雄首相は2023年3月3日の参院予算委員会で「PTAは任意団体であり入退会は保護者の自由」と答弁しています。
卒業記念品の配布などを巡り、未加入保護者の児童・生徒が「嫌な思いをしないように対応してほしい」などとも付言しています。

永岡桂子文部科学相は「報道などで入退会を巡るトラブルがあることは承知している。学校や保護者による任意団体であり、それぞれの判断で解決してほしい」と答弁しています。PTAの存在意義については「児童・生徒の健やかな育成のために構成され学校、家庭、地域の連携を強化する重要な役割を担う」とも付言しています。

岸田首相は文科相の見解を踏まえ「PTAの運営について国が一定の判断を示すのではなく、それぞれの団体において、子どもが嫌な思いをしないように関係者で話し合ってほしい」と説明しています。

首相や文科大臣の答弁は、議員の質問に対してのものですが、ネットで話題になりやすい「〇〇をぶっこわせ」などと煽るような対立方向への議論ではないと考えます。
議員の発言にも「常に子どもたちのことを第一に考えることが重要だ」とあり、「PTAが自らの判断で改革できる絶好の機会」をいただけたのだと感じています。

一部のネットなどでは、煽り記事の様な議論もありますが、PTA活動が子どもたちや保護者から必要されるためには、何を見直し、何にチャレンジすべきかの建設的な議論がなされることを期待します。

PTA活動のアップデートで参加したくなるPTAに!

政府の見解にあった3点は、すでに周知されていることと考えられます。
  • PTAは任意団体
  • PTA入会は個人の意思
  • 活動は各学校のPTAが自主的に判断する
今後のPTA活動をより良い方向にするためには、各PTAが活動を自主的に判断し、地域実情を反映した活動のアップデートを行うことが重要です。
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「これまでやってきたことは、これからもやる」ではなく、子どもたちの笑顔につながる活動かどうかの判断をしてみる。
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「今の時代にそぐわないな」と思われるルールや慣習は見直し、参加しやすい、参加したくなるような運営をする。
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「PTAは任意団体」であることを踏まえたPTA規約の見直しを行う。
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子どもたちが安全で健やかに成長するためには、学校と保護者の連携は不可欠であることも再認識し、必要な組織はどうあるべきかを再定義する。
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PTA活動が、自校の児童・生徒のために、保護者と学校が自主的・協働的に進める活動となっているかどうかを今一度確認してみる。

PTAが整えるべき環境

一部の自治体の例ですが、教育長や教育委員会が学校管理者向けに下記の様な内容の通知を出したケースもあります。

通知の有無にかかわらず、PTAの担い手である保護者たちが、自らの力でPTAの運営を変えていくことが理想的です。
地域により事情は様々ですが、できることから取り組むことで、より信頼されるPTAを目指しましょう。

  • 入会は任意であること及び入退会の方法について周知されている。
  • 学校において、PTAへの個人情報の提供について、保護者の同意を得ている。
  • 学校とPTAの会計の管理が明確に区分され、PTA会費の徴収方法について周知されている。
  • 学校において、PTA会員でない保護者の児童生徒が不利益を被ることや差別を受けることのないよう教育的配慮をしている。
  • 役員等の選出について事前に説明がなされ、各保護者の事情に十分配慮した上で選出されている。

公平性のあるPTA運営と関連のある法令

PTAは、公共性ある社会教育関係団体と考えられおり、学校施設を優先的に使って活動したり、社会教育(研修会やセミナーなど)を行ったりすることができます。
今一度、PTAが公共性を有する社会教育関係団体であることを再認識し、PTA加入や非加入による問題が生じない様な運営を心がけましょう。

社会教育法 第10条

(社会教育関係団体の定義)
この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。

学校教育法 第137条第1項

学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。

PTAにおける実態調査の結果から

任意加入説明と加入意思確認の実施状況、PTAの加入率の状況、任意加入説明と加入意思確認の実施状状況とPTAの加入率の関係、PTA未加入世帯への対応、個人情報保護対策の実施状況などについてまとめたものです。調査の結果は、東京都PTA協議会が2022年9月実施(回答:都内公立小学校PTA159校)からの引用です。

説明や確認の実施状況

任意加入の説明、加入意思の確認

「PTAが任意加入であることの説明」を行なっているPTAは79.9%、また「加入意思の確認」を行なっているPTAは72.3%という結果になりした。

任意加入の説明

任意加入の説明

加入意思の確認

加入意思の確認

任意加入の説明と加入意思の確認

この二つの設問の回答結果から159校のPTAを4つのグループに分けると、「任意加入の説明」「加入意思の確認」を両方行なっているPTAが63.5%、一方で「任意加入の説明」「加入意思の確認」のどちらも行なっていないPTAが11.3%となりました。
説明と確認

任意加入の説明」×「加入意思の確認」の推移

東京都PTA協議会の調査は、この数年継続して実施されていおり、2016〜2022年における「任意加入の説明」×「加入意思の確認」の実施状況の推移を見てみると、「任意加入の説明」「加入意思の確認」を両方行なっているPTA(グラフ右上の部分)は徐々に増えてきています。
一方「任意加入の説明」「加入意思の確認」のどちらも行なっていないPTA(グラフ左上の部分)は、年々少なくなってます。
説明と確認

PTAの加入率の状況

PTAの加入率

加入率「100%」のPTAは30.2%、
「95%超100%未満」51.6%、
「90%超95%未満」9.4%と、
加入率が「90%」を超えるPTAが91.2%という結果となりました。
PTAの加入率

任意加入の説明×加入意思の確認とPTAの加入率

加入率を「任意加入の説明」「加入意思の確認」の実施状況から4つグループに分けてみると、「任意加入の説明」「加入意思の確認」を両方行なっているPTA101校(グラフ2行目)では、加入率が「90%を超える」PTAが88.8%。

一方「任意加入の説明」「加入意思の確認」のどちらも行なっていないPTA18校(グラフ5行目)では、全てのPTAで加入率が「95%超」となりました。
「説明なし」「確認なし」より、「説明あり」「確認あり」の方が、加入率が低くなるのは至極当然のことと言えます

PTAの加入率

加入率の低下を恐れない!

調査の結果から、「任意加入の説明」「加入意思の確認」を両方行なっていても、多くの保護者が加入しているPTAが多いことがわかります。

一方で「任意加入の周知を徹底したら、会員が激減した」というケースもあります。
一定の加入率を維持していくためには、一般の団体と同様、「参加しやすい活動」「魅力的な組織」を模索し、変えるべきことは変え、それらを保護者に説明し、理解や賛同を得ていくことが必要だと考えます。

「加入意思確認をしたら、未加入の人が出てしまうのではないか」という不安の声もよく耳にしますが、今や加入率が100%ではないPTAは珍しいことではありません。
加入したくないという人が出てくることを恐れることはありません。

もし仮に、加入率が下がっても、それは、PTAのあり方を考え直すチャンスと前向きにとらえ、PTA活動の目的は何のか、本当に必要な活動は何のかを、役員で考える時間を持ったり、保護者に意見を聞いたりしてみてはいかがでしょう。Google formなど便利なアンケートツールも色々ありますので、うまく活用してみましょう。

未加入世帯への対応

都内公立小学校PTA159校の回答結果による未加入世帯への対応です。
調査に回答した東京都のPTA159校のうちPTAに「未加入の世帯がある」とした111校に、「未加入世帯への対応」について聞いてみました。
結果は「区別なく対応が」61.3%、「実費負担にて対応」19.8%、「対象外の場合あり」18.9%となりました。

未加入世帯への対応状況

未加入世帯への対応認

未加入世帯への対応

このように、PTAのイベントや卒業記念品などの取り扱いについて、PTAに加入しているかどうで区別がある学校も少なくありません。
仮に、PTAが未加入世帯の子どもたちに記念品を渡さなかったからといって、違法とは言えないと思われますが、PTA活動が「会員の子どものため」に行うものではなく、「その学校に在籍している子どものため」に行うのが原則と考えるのであれば、入会による区別は適切であるかを考えてみる必要もあるでしょう。

PTAは全ての子どもたちに公平な活動をすることが正しいあり方です。
以下に、該当するケースがある場合、今後の対応を検討してみましょう。

  • PTA主催のイベントへの参加や景品配布等における会員の児童・生徒以外に対する制限
  • PTA広報紙の配布は会員の児童・生徒のみ。
  • 卒業生へのPTAからの記念品の配布は会員の児童・生徒のみ。ただし、未加入の場合は実費での購入も可能
  • PTA主催のイベントで無料チケットの配布は会員の児童・生徒のみ。ただし、未加入の場合は実費での購入も可能
地域や学校によって状況は異なりますが、対応の仕方によっては、差別やいじめのきっかけとなったり、未加入世帯からのクレームにつながったりする可能性もあります。
もちろん、対応は、あくまで各PTAの判断に委ねられていますが、PTAが誰のための、何のための組織なのかを考えることが重要です。

未卒業記念品の対応事例

  • 不公平感を持つ保護者が多いなら、会費を使って記念品を贈呈することはやめる。
  • 会費でなく実費を集め、卒業記念品を共同購入するような形にする。

個人情報保護対策の実施状況

個人情報保護対策実施状況は地域や学校によって大きな差があるのが現状ですが、私たちPTAが目指すべきことは、適切な適切な個人情報管理と組織運営を心がけ、PTA活動への信頼を向上していくことで同じ目標です。
地域によって協議会や連合会などが主体となりわかりやすいマニュアルを用意するなどして、各PTAの規程整備や個人情報漏えい補償制度利用などの対策実施比率が高い自治体もあります。
個人情報
対策として多かったのは、
  • 個人情報(紙媒体)は鍵のかかるところに保管が 64.7%
  • プライバシーポリシーなどの規約作成が 59.7%
  • 個人情報(電子媒体)はパスワードなどで保護が 53.7%
となった。
個人情報

PTA業務の一部を学校に委任している場合

PTA会費徴収や預貯金通帳の保管など、PTAに関する業務の一部を学校に委任している場合には、業務委託契任書を作成するなど、PTAから学校へ委任内容を明確にしておく事が重要です。

PTAが取得した個人情報(誰が会員かの情報など)を第三者である学校に提供しない限り、学校によるPTA会費徴収は不可能です。
学校への個人情報(会員情報)提供は、個人情報保護法における第三者提供の例外規定となる業務委託であることを明確にしておくこと必要です。

口頭による確認ではなく、対外的にも分かるようにするために、契約書という書面に残しましょう。
業務委託契約は、PTA総会などで学校に業務を委託することについて保護者の同意を得てから手続きするようにしましょう。

PTA規約などで、PTA団体が権利能力なき社団として要件を満たしていることが前提です。
また。PTAが外部(学校)と契約を締結する場合は、自然人であるPTA会長が「PTA会長」という肩書き付きで契約当事者になります。

学校における個人情報の取扱い

学校側が保護者に対して、学校の保有する個人情報をPTAに提供することについて同意を得る場合、学校側文書に追加記載をお願いする内容の例です。
  1. 個人情報(氏名、写真、作品、生徒・児童の学校の様子・活躍など)については、学校だより等の各種おたより、本校ホームページ等で扱うものとする。
  2. 本校教育活動へのテレビや新聞取材などに対して、本校教育活動に関する写真、映像、音声を提供・公開するものとする。
  3. 学級集合写真(○年生〜○年生)、卒業アルバム(○年生)の写真、映像、音声を利用する。
  4. PTA活動のため(役員選出、広報誌、ホームページ、各種イベントなど)等への情報提供をするものとする。
都道府県や市区町村の「個人情報保護に関する条例」では、教育委員会(学校)は、保有する個人情報を利用目的以外のために第三者に提供してはならないと規定されている場合が一般的です。
こうした条例がある場合、本人の同意を得ずに、学校からPTAに対して児童・生徒や保護者名簿(個人情報)を 提供することは、条例違反となる可能性があります。
学校側に相談するなどして、個人情報の取扱いに関する学校の文書に、「学校の保有する個人情報をPTAに提供することについての同意」に関する項目追加を依頼してください。

PTA活動

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