スマホはいつから持たせる?

小学生・中学生のスマホ所有率
小学校高学年のスマホ所有率は4割超に
NTTドコモの社会科学系の研究所であるモバイル社会研究所の2018年から2023年の時系列調査によると、どの学年層においてもスマホの所有率が上昇しています。
小学生高学年(4〜6年生)では、キッズケータイの所有率は前年とあまり変わりがありませんが、スマホの所有率が初めて4割を超えるなど、低学年(1〜3年生)の含め、利用の低年齢化が進んでいます。
スマートフォン・キッズケータイ所有率
小学校低学年(1〜3年生)


小学校高学年(4〜6年生)

中学校1〜3年生

小学校6年生のスマホ所有率は65%
スマホ所有率は、小学6年生が65%.7%、中学1年生と2年生が77.0%、中学3年生では82.0%となっています。キッズケータイの所有率は、小学4年生が21.2%で最も多く、小学5年91.0%、6年生9.1%となっており、小学5年生を境にキッズケータイからスマホへの切り替えが多くなる結果となっています。
スマートフォン・キッズケータイの所有率

GIGA端末(学校から配布・指定された パソコンやタブレット等)の利用率は、小学生(10歳以上)が73.6%、中学生が72.0%、高校生が64.7%となっています。
機器を問わずに見たインターネットの利用率は、小学生が98.2%、中学生が98.6%、高校生が99.6%となっています。
インターネット利用率

スマホについては、高校生が94.5%、中学生が90.4%、小学校低学年(1〜3年生)でも27.2%が所有しています。
スマホ等の所有について

子どもにスマホはいつから持たせていいの?
2023年度こども家庭庁の調査結果によると、子ども専用のスマホを持たせている割合は、- 小学校3~4年生にあたる9歳で、36.6%、10歳になると65.2%まで増加
- 中学校3年生にあたる15歳で、97%の子どもが自分用のスマホを所持
- はじめてのスマホは、小学校高学年から中学生までに持つケースが多い
- 中学在学中にほとんどの生徒がスマホを所有
- 小学校高学年になると過半数がスマホを所有
就学前の子どもは保護者のスマホを共用
0〜9歳の子どものスマホ専有率は15.9%、6〜9歳の小学生は26.4%、通園中の園児(0〜6歳)は4.9%となっています。
スマホを共有するのは73.8%が親で、兄弟・姉妹との共有は3.4%となっています。
低年層のスマホの専用率

未就学児にスマホなどを使わせるメリットは?
総務省の「上手にネットと付き合おう」には、幼児期は就学前の準備期間、スマホなどを使わせるメリットとして将来役立つ使わせ方もたくさんありますと記されています。興味がいっぱいの時期だから
- 好きな・興味のある動植物を動画でチェック!
動物の生態や植物の成長が映像で学べます。 - 旅行先のことを調べればワクワク感がアップ!
- 知育アプリなどで“学ぶことの楽しさ”を体験!
コミュニケーションに最適
- 離れて暮らす祖父母とビデオ通話を!
気軽に交流でき、顔も忘れません。 - 同時に、折り紙を教わる、絵本を読んでもらうなど “リモートで遊んでもらう”道具としても!
- 友だち親子とのオンライン茶話会に!
- 緊急連絡や電話の練習に!
10歳で専用と共用の割合が逆転、子ども専用が65%を超え
スマホの専用率

子どもにスマホを持たせるメリット
緊急連絡手段の確保
スマホを持たせていれば常日頃の連絡ができるのはもちろん、不測の事態での緊急連絡手段としても活用できます。特に地震などの災害時には、家族同士で連絡、位置情報の共有、災害用伝言板サービスの利用などに便利です。
家庭内でのコミュニケーションが増える
小中学生の子どもがいる家庭で、保護者が働いている場合、子どもとのコミュニケーションが減る場合も考えられます。スマホがあれば、いつでもどこでもすぐに連絡が取れるため、子どもが一人で行動する際、いつどんな予定があるか、帰宅時間などさまざまな情報を家族間で共有できます。居場所が確認ができる
スマホに搭載されているGPS機能やアプリによって、子どもの現在位置や行動を把握できます。現在地を確認するほかに、過去の位置情報の履歴をたどることも可能です。万が一連れ去りなどがあった場合、スマホは捨てられるかGPS機能をオフにされることが多いものの、最後にいた場所が事件解決の手がかりになります
- iPhone … 位置情報を家族と共有する機能があり、子どもが所定の場所から出発、目的地に到着したことや、所定の場所にいないことの通知が可能
- Android … ファミリーリンクアプリがで、正確な位置の把握や位置情報に関する通知などが可能
防犯対策になる
防犯ブザーを鳴らせるアプリや警察の緊急通報センターに通報できる「緊急SOS」「緊急通報」といった機能もあるため、万が一登下校中などで犯罪に巻き込まれそうになったときにも活用できます。コミュニケーション能力がつく
家族間だけでなく、子ども同士でもスマホで連絡を取りあうことが一般的となる中、子ども同士のコミュニケーションが円滑化するというメリットもあります。直接、顔を合わせてのコミュニケーションももちろん大切ですが、現在ではネットを介したコミュニケーションも重要度が増しています。メールやLINEなどのコミュニケーションアプリ、XなどのSNSを通じたコミュニケーションの方法やマナーを学べるのもスマホを持たせるメリットと言えます。
ITリテラシーが高められる
スマホの利活用はIT社会に順応するための入口となります。スマホを使って利用できるサービスは急増しており、これらを通じて、ITの上手な使い方はもちろん、セキュリティ問題やトラブルなどのリスクについての認識も高められます。
早いうちから保護者による指導のもとでスマホに触れていれば、その分早くスマホを正しく使いこなせるようになります。
情報収集能力がつく
スマホがあればネットを使って情報を検索し、収集することができるようになります。わからないことがあれば自分で調べるという習慣も身につけられるでしょう。こうした情報収集能力は勉強に活かすこともできます。
子どもの勉強に役立つ
子どもにスマホを持たせることで、次のようなシーンで勉強の役に立つ場合があります。- 動画で英語の発音を学ぶ
- 自由研究の資料を探す
- わからない単語や数式を調べる
- 問題を解説付きで学べる
- プログラミングアプリ
ITリテラシーとは、情報技術(IT)を理解し、適切に活用する能力のことです。具体的には、パソコンやスマートフォンなどのIT機器の操作、インターネットの利用、情報セキュリティに関する知識などが含まれます。ITリテラシーが高いと、業務効率の向上や新しいビジネスチャンスの創出につながる可能性があります。
ITリテラシーは、以下の3つの要素に分類できます。
- 情報基礎リテラシー:情報の収集、整理、分析、評価、活用に関する能力
- コンピューターリテラシー:パソコンやソフトウェアの基本的な操作、アプリケーションの活用に関する能力
- インターネットリテラシー:インターネットの検索、情報発信、コミュニケーション、セキュリティに関する能力
スマホの主な利用目的は
「SNS」74.7%、「動画視聴」62.6%、「ゲーム」49.7%の順
小学校低学年(1〜3年生)では「電話」が61.4%と、最も高い利用目的となっています。
小学校高学年(4〜6年生)以上では、「SNS」が最も高い利用目的となり、高学年が71.5%、中学生が83.0%、高校生が83.1%、となっています。
「動画視聴」「学習・調べもの」は学年が上がるにつれて、利用が増加しています。
- SNSとは、LINE 通話を含むLINE、X、 Facebook、Instagram 、TikTok等
スマホの主な利用目的

子どもにスマホを持たせるデメリット
子どもにスマホを持たせることは、多くのメリットがありますが、デメリットもあります。いつから子どもにスマホを持たせるか考える前に、子どもにスマホを持たせるデメリットも確認しておきましょう。視力低下の原因
小学校高学年から中学生の子どもは発達途中の身体のため、スマホを長時間利用したり、目に近づけすぎたりすると悪影響を受ける可能性が指摘されています。スマホ使用と視力低下の相関関係については複数の異なる意見がありますが、ブルーライトなどが視力に影響する可能性、スマホの連続利用時間が長い、瞬きが少ない、極端に近い距離でスマホを見てしまうなどの行動は目の負担になることが指摘されています。
保護者としては、子どもに対して、身体への悪影響を及ぼすリスクと適切な利用方法を説明し、長時間の連続利用を避けるよう指導が必要です。
睡眠不足の原因
深夜までゲームや動画視聴をすると、脳が興奮状態になり、眠れなくなってしまいます。また、ゲーム以外でもSNSやメッセージアプリのやりとりが楽しくて、夜更かしとなる場合もあります。就寝時間が遅くなることによる生活リズムの乱れは、発達途中の身体である小学校高学年から中学生の子どもにとって、大きな問題点として指摘されています。
スマホ依存・ネット依存
子どもにとって、「動画を見続ける」「ゲームをやり続ける」「アプリで長時間会話する」などは、生活がスマホ中心となってしまうことがあります。特に危惧されているのは、X、Instagram、FacebookなどのSNSで、複数のアカウントを利用するケースです。常にSNS上の投稿をチェックしたり、発信することで、スマホ依存症に陥りやすい傾向があります。
食事中や就寝前の寝具の中でもスマホを利用するようになり、睡眠不足に陥るケースも見られます。
中学生くらいの年齢の場合、大人に比べて自制心が効きづらく、依存症になるリスクが高いと指摘されています。
勉強に支障が出る可能性
スマホの利用時間が増えると、常に「ながら」生活になります。いつでも友達と連絡が取れるうえ、ゲームやSNSなどを手軽に利用できるため、常にメッセージや投稿、ゲーム内容が気になり、チェックしてしまうなど集中力を欠いてしまう子どもいます。
スマホの利用時間が長くなりスマホ依存のような状態になれば、勉強をする時間が削られて成績にも影響が出てくる可能性があります。
対人コミュニケーション能力の低下
スマホでのコミュニケーションは、人と向き合う機会が少なくなります。このような習慣がつくと、家族間のコミュニケーションも減ってしまうリスクも考えられます。また、リアル会話とは異なるネット特有のメッセージでの会話に慣れてしまうのも問題です。リアルコミュニケーションにおける相手の声や表情にあわせて会話したり、自分の意志を主張したりするのが、苦手になる恐れがあります。
サブスクや有料オプションサービス
基本料金が無料のゲームサイトで遊んでいる最中に高額な課金に誘導されるケースなども報告されています。スマホによる支払方法の設定を管理していないと、動画やゲームに夢中になりすぎた結果、子どもが課金を承諾し、あとで高額な請求をされるなどのトラブルが発生する可能性もあります。
保護者が知らない間に子どもが勝手にクレジットカードを使って課金するケースもあります。このような場合でも、保護者が責任をもって対応する必要が生じます。
通信量無制限プラン以外での契約における注意
Wi-Fi環境を利用せずモバイル通信による長時間の動画視聴などでは、通信速度制限がかかる場合もあります。SNSなどでトラブルに遭う可能性
スマホでSNSを利用する場合、対人トラブル・犯罪に巻き込まれるリスクがあります。SNS上では面識のない不特定多数の人とコミュニケーションが可能であり、悪意のある人物とつながったりする可能性や、意図せずに相手を傷つける投稿の可能性もあります。
いじめ、個人情報の流出、自分の投稿が炎上、他者への誹謗中傷、著作権侵害、だまされて裸の写真を送らされるなどの自画撮り被害、アカウントの乗っ取りなど、さまざまなトラブルが発生しています。スマホによる対人トラブルは周囲の人が介入しにくいため、保護者に相談しやすい環境を作っておくことが大切です。
有害サイトへのアクセス
スマホを持たせることで、子どもは保護者の目が届かない空間を得られます。スマホは簡単に多彩なインターネットサイトを閲覧できる分、子どもが有害サイトへアクセスしてしまうリスクがあります。なかには、アクセスさせることでワンクリック詐欺やコンピューターウイルスなどの被害に遭う場合もあります。
- メールや書き込みなどでの誹謗中傷やいじめ
- SNSを通じて知り合った人からの誘い出し
- SNSなどに掲載している写真や文章に含まれた個人情報の流出
- 基本料金が無料のゲームサイトにおける意図しない課金
インターネットには有害なサイトも多数あり、子どもがスマホを利用中に有害サイトにアクセスしても、保護者が気付くのが遅れてしまう可能性は少なくありません。
個人情報の流出
子どもが不正・違法アプリに登録してしまいは電話番号やメールアドレス、IDパスワード、行動履歴などの個人情報が流出し、悪用される可能性があります。また、深く考えずに、顔や住所がわかる写真や動画を、SNSに投稿してしまう危険性もあるなど、個人情報流出リスクについて、子どもにしっかり教えなければなりません。
「2時間未満」の利用とした割合は、小学校低学年(1〜3年生)が81.1%、高校生では29.5%となっている。高校生については、1日の使用時間が「わからない」とした層が25.5%と高い比率となっている。
スマホの1日の使用時間

スマホ利用におけるリスク対策
いつから子どもにスマホを持たせるかを考える際にはメリットやデメリットだけでなく、あらかじめ保護者が注意点を踏まえておくことも大切です。ここでは、子どもにスマホを持たせる時のリスク対策についてまとめています。
ペアレンタルコントロールやフィルタリング機能は、子どもの成長にあわせ段階的な解除が必要となります。
また、子どもにスマホを持たせる前に、子どもと相談しながらスマホ利用のルールを設定することが大切です。また、成長にあわせた見直しも必要です。
ペアレンタルコントロールの活用
ペアレンタルコントロールは、子どものスマホの利用状況を把握し、管理できる仕組みです。例えば、iPhoneには不適切なコンテンツを制限したり、通信・アプリの使用時間を制限したりできる「スクリーンタイム」という機能があります。親子両方のスマホの位置情報機能を使い、家族の現在地をチェックすることも可能です。
またAndroidスマホにも近い機能があり、「Digital Wellbeing」を使えば、アプリの使用時間を制限できたり、スマホの使用時間のチェックも可能です。
ペアレンタルコントロールの設定手順は、スマホの種類によって異なります。
iPhoneの場合
- ファミリー共有機能で、iPhoneを子ども用に設定
- 子どものiPhoneで「設定」をタップ
- 「スクリーンタイム」をタップ
- 「ファミリー」で子どもの名前を選択
- 「コンテンツとプライバシーの制限」をオン
… 特定のペアレンタルコントロールを設定できるので試してみましょう。
Android(子どもが13歳未満)の場合
- 子どものGoogleアカウントを保護者が作成
- 保護者ご自身のアカウントとリンク
- ファミリーリンクアプリでペアレンタルコントロールを設定
Android(子どもが13歳以上)の場合
- 子どものスマホの「設定」を開く
- 「Digital Wellbeing と保護者による使用制限」をタップ
- 「保護者による使用制限を設定する」をタップ
- 画面の表示に従って設定を進めてから、子どものGoogleアカウントでログイン
※アカウント未作成の場合は、ログイン画面から作成も可能 - 子どもの管理に利用する保護者のGoogleアカウントを入力し、「次へ」をタップ
- 保護者のパスワードを入力し、「次へ」をタップ
- 管理機能の説明を子どもと一緒に確認
- 子どものパスワードを入力し、「同意する」をタップ
- 「管理を許可しますか」のポップアップで「許可」をタップ
有害サイト対策にはフィルタリング
フィルタリング機能とは、有害なコンテンツや詐欺サイトへの接続を遮断する機能です。子どもがスマホで危険な情報にアクセスしないように制限がかけられます。スマホによってフィルタリングをかける方法は異なりますので、初期設定には注意が必要です。一括でフィルタリングをかけたいときは携帯電話会社のフィルタリングサービスも選択肢です。
また、専用アプリによるフィルタリングサービスもあります。専用アプリには、一般的なフィルタリングサービス以外に、歩きスマホの注意や自撮りブロック、危険メッセージのAI監視などさまざまな機能が付帯しています。
インターネットリテラシー
インターネットには危険があることも、子どもにしっかり教えておくことが必要です。有害サイトやワンクリック詐欺、フィッシング詐欺などの危険性や個人情報流出による被害の大きさなどを、スマホを持たせる前にしっかり説明しておきましょう。
家庭内での利用ルール
フィルタリングの強さをはじめ、家庭内でしっかりスマホの利用ルールを決めておくことも大切です。スマホの利用時間や使ってよいアプリの種類などをあらかじめ決めてからスマホを持たせることで、子どもが正しくスマホを使いこなせる環境の準備が大切です。
子どもとデジタル機器
