学校給食費の無償化を考える
学校給食費無償化の経緯
背景
給食費無償化とは、学校給食の費用を生徒の保護者から徴収せず、自治体や国が公費を用いて賄う制度のことです。
そもそも、学校給食のはじまりは、1889年、山形県の日本海沿岸の南部に位置する鶴岡町(現・鶴岡市)の忠愛小学校で、貧困児童を対象に無償で行われたことに端を発しています。
経済的問題では、まず家計で切り詰められるのは食費と言われてます。
貧困が原因で朝ごはんぬきで学校に登校、両親が働いているため家で1人きりのコンビニ弁当、食事難や孤食と称される子どもの貧困が社会問題になるなかで、無償で食事を提供する「子ども食堂」が活発化しています。
学校給食は、「子ども食堂」以上に重要な役割を果たしていますが、公立の小中学校の学校関連の費用のなかで大きな割合を占めているのが学校給食費となっているのが現状です。
2023年に公表された文部科学省の学校給食実施状況等調査では、平均月額小学校で4,477円、中学校で5,121円となっています。
学校給食費無償化のはじまり
山梨県早川町の取り組み
給食費の無償化の現状
文部科学省が2022年7月末に行った調査によると、給食費の負担軽減策を「実施している」又は「実施を予定している」と答えた自治体は、合わせて1,491で、これは全体の83.2%に上ります。東京23区の例
2023年4月時点では、給食費の無償化を実施しているのは8つの区(中央区、台東区、品川区、世田谷区、荒川区、北区、葛飾区、足立区※です。
2023年4月に行われた統一地方選でも学校給食費の無償化は、争点のひとつになりました。2023年9月からは港区、文京区、墨田区、板橋区、江戸川区が、10月からは江東区、目黒区、杉並区もも無償化が予定されています。(2023年9月30日時点)
- 小学校は10月から
文部科学大臣の記者会見から
2023年5年3月22の日永岡桂子文部科学大臣記者会見からの抜粋です。記者:今の給食費の問題に関連して伺いたいんですが、給食費はこれまで基本的に自治体がやるもので国は直接関わってこなかったと思うんですけど、国がそこの支援にコミットしていくということについてはどのようにお考えですか。
大臣:今おっしゃいますように、やはり自治体と学校設置者と、それからあとは親御さん・PTAの話し合いでですね、決めていくものと承知はしております。
しかしながら、給食費の話になりますとやはりしっかりと給食が提供されているお子さんもいれば、全く提供されていないお子さん、つまりお弁当を持ってきなさいと、そういう地域もあるんですね。
ですから日本を挙げてですね、給食費を無償化するということにつきましてはやはり相当綿密な議論が必要だと、そういうふうに考えております。
給食費無償化のメリットとデメリット
給食費無償化のメリット
給食費の集金事務や滞納対応の解消
給食費が無償化されると、給食費を集金する手間や時間が大幅に削減されます。給食費の請求や集金、さらには滞納があった場合の催促といったプロセスは、教職員の時間や精神的負担をもたらしていますが、給食費無償化によって、これらの時間やエネルギーを教育や勉強に向けることができます。
給食費の公会計化とPTA会費集金 ≫
貧困世帯の経済的負担の軽減
低所得世帯にとって給食費の家計負担は大きく、多子世帯ではその負担感はさらに増します一部の家庭では、給食費が家計への影響を及ぼすことで、子どもたちに必要な学びの機会を奪うこともあります。
こうした負担がなくなることで、子どもたちに学びの機会や成長に必要な費用を割り当てることが可能となります。
給食費無償化のデメリット
自治体の財政負担
給食費の無償化が子どもたちに与える恩恵は、確かに多大なものです。しかし、同時に大きな財政的負担が伴います。無償化を実現するには、限られた予算から費用を捻出が必要があります。 新たな財源を確保するには、他の公共サービスを削減するか、新たな税制を導入するなどの対策が必要となります。その結果、わたしたち保護者の負担が増える可能性があるということも考慮しなければなりません。資源の配分
給食費無償化の制度が導入されると、一定規模の予算や資源を給食費無償化に集中させる必要があります。 その結果、他の教育施策や施設の改善など、教育全体の質に対する投資が不足する可能性があります。給食の質や量の低下リスク
給食費無償化に伴う財政負担の増加は、食材費や調理費の削減を引き起こす可能性があり、新鮮で高品質な食材の使用制限、安価な食材の使用など、給食の質や量の低下が懸念されます。学校給食の費用を家庭が担うことは、家庭が食材や内容についてしっかりとコミットし、監視する役割も担ってくれます。無償化により家庭の関与が薄まるリスクがあります。
- 「意識の低下」に関する内容は、「保護者の責任感や自立心が失われる可能性」欄と一体としました。
一部の人々からは、給食費が無償化されると、保護者の子育てに対する責任感や自立心が薄れる可能性があるという見解や、給食に対する意識低下により、十分な感謝や責任感を持てなくなる可能性があり、給食を無価値なものと見なし、食べ残しや無駄な行動が増えるという声も聞きます。
こうした声は、給食の公費負担によって子どもに対する生活費の負担が減り、保護者自身が子どもを育てるという自立的な立場が損なわれる可能性があるという観点からと考えます。
こうした見解は、家庭の教育方針や保護者の価値観によって大きく異なり、給食費の無償化の影響とは異なる問題と考えます。
無償化の制度を考えよう
政策の持続可能性
就学援助は給食費無償化制度を代替できるか?
就学援助とは、経済的な理由によって就学困難と認められる、就学予定者または在籍する児童生徒に対し、義務教育の円滑な実施に役立てるための就学奨励対策として、生活保護法に基づく教育扶助費(福祉事務所所管)の支給のほか、学校教育法に基づく就学援助費の支給を行う制度のことです。
実施主体となる市町区村が行う就学援助によって、学校給食費をはじめ、学校で必要な文房具・楽器などの学用品代や、クラブ活動費などが支給されています。
就学援助の支援を受けている小中学生(要保護児童および準要保護児童)は、2021年度では全国で129.6万人、就学援助率は14.2%で、約7人に1人が就学援助の支援を受けてます。
児童扶養手当(厚生労働省所管)は、ひとり親家庭を対象とした支援制度ですが、就学援助制度(文部科学省の所管)はひとり親家庭に限らず、小学校または中学校への就学が困難な児童・生徒の保護者を対象した支援制度です。
就学援助制度の審査基準は、住民税が非課税の世帯、児童扶養手当を受給されている世帯など自治体により異なりますので、迷ったら申請してみることをお勧めします。また、児童扶養手当と就学援助制度は、条件を満たす場合、同時に支援が受けられます。
申込手続、援助内容等は各区市町村により異なりますので、詳細はお住まいの自治体にお問合せください。
社会全体が検討すべき問題
給食費の無償化は、社会的、経済的、教育的な観点から見ても多岐にわたる影響を及ぼす複雑な問題です。無償化に伴うメリットとデメリットを十分に理解し、検討することが重要です。
これは国や自治体だけでなく、社会全体が共に検討すべき問題であると言えるでしょう。
子どもの教育費
子どもの教育費 ≫
学校外活動費の負担は少なくない ≫
学習塾に使える助成制度やヒント ≫
子どもの教育
AIを活用した教育費の節約とは? ≫
家庭学習・家庭教師 AIチューター ≫
子ども・子育て分野への資源投入
行政による教育費の支援制度 ≫
学校給食費の無償化を考える ≫
教育費 国際比較 ≫
昨今、PTAのあり方も大きく変わり、多くのPTAの皆様から会員登録についてのお問合せをいただく状況を踏まえ、会員登録いただけるPTA団体の 条件を変更 ≫することといたしました。
連合会に加入したままで、当協議会の事業やサービスをご利用いただけます。
会員登録についてのお問合せを数多くいただいており、ご要望に応じてPTA連合会などの皆様を対象としたオンラインでの当協議会説明会を開催しています。
当協議会の事業やサービスなどについてお気軽にご相談ください。
ご訪問しての対応も行っております。ご訪問の場合は、訪問者の交通費のみご負担ください。
当協議会では、PTA活動におけるコンプライアンス面からの適正化に対する取り組みをすすめています。
アンケートにご協力いただいた皆様ありがとうございます。中間集計の結果は、学校別の情報として共有しています。
ユーザー名:@zenp_alljapan https://x.com/zenp_alljapan ≫
会員対象の制度
また、本サイトの一部には法律的な根拠を求めることが難しい内容も含まれております。このような内容については全国PTA連絡協議会としての見解となります。
全国PTA連絡協議会が提供している事業やサービスは、予告なく変更または中止する場合があります。
カテゴリー別 掲載記事一覧
+ Click後、記事名 ≫ Click … 別ページの記事へ移動します。
+ Click後、記事名 ≫ … 別ページの記事へ移動
運営チェックリスト
PTA会費の使途や寄付
PTAに関わる事務
PTA会費集金の負担軽減
適切な個人情報保護とその対策
セミナーや相談室、情報交換や情報共有
上部団体としてのPTA連合会
PTA連合会でも活用できる情報
PTAと地域
Wi-Fi利用環境の支援
ITライセンス支援(会員対象)
PTA運営・個人情報
ICT活用
各種サービス・協議会
ICT 導入事例
PTAアンケート…学校別集計
PTA団体補償制度(会員対象)
団体補償制度 知っておくべき事
犯罪から子どもを守る
学校や教師に関する課題
会員登録のあるPTAの皆様
会員規約など
お問い合わせ
求められるPTAを目指して
PTA運営チェックリスト
PTA活動のスマート化
任意加入説明と未加入者対応
適切な個人情報保護とその対策
法律面からPTAを考える
セミナーや相談室、情報交換や情報共有
上部団体としてのPTA協議会や連合会
PTA協議会や連合会関連の情報
PTA活動と地域
PTAの備品
PTA会費の適切な使途
PTA活動に関わる事務
PTA会費集金の負担軽減
Wi-Fi利用環境の支援
ITライセンス支援(会員対象)
IT導入支援
Googleアプリの活用
オンライン会議の活用
Zoomの活用
よくあるご質問
PTA活動
個人情報保護
ICTの利活用
PTA 事例紹介
ICT 導入事例
PTAアンケート…学校別集計 現在、回答受付中!
PTA団体補償制度(会員対象)
補償制度 知っておくべき事
子どもの教育費
子どもの教育や教育環境
子どものメンタルヘルス
子どもの安全
子どもの見守りシステム
犯罪から子どもを守る
学校や教師に関する課題
保護者として
安心してインターネットを使うために
会員登録いただけるPTA連合会や単位PTA
当協議会の会員は、以下の2条件を満たす団体が対象です。- 国公私立を問わず、保育園を含めた学校園を代表するPTA団体
- 規約や会則を定めているPTA団体(名称は問いません)
会員登録にあたって
当協議会へのご登録にあたり、会員団体に対する人的、金銭的なご負担はありません。
各都道府県、市区町村のPTAがフラットにつながることで、情報共有やサービス利用、助成制度など、PTA団体や保護者の皆様が直接メリットを享受いただける組織を目指しています。
会員の皆様に対する事務負担や、研修会・イベントなどへの強制動員などは想定していません。
セミナーやサービス、アンケートなども、皆様のニーズや関心に応じてご利用いただけます。
また、情報交換会や各種セミナーは、オンライン開催が主体ですので、お気軽に参加いただけます。
各種サービスをより多くのPTA団体や保護者の皆様にご利用いただけるよう心がけておりますが、助成制度や補償制度のご利用には、サービス性質上、当協議会へのご登録が必要です。
会員の皆様は、必要とされる事業やサービスを選択の上、ご利用ください。