子どもの見守りシステム 地域での導入検討にあたって
地域で導入 子どもの見守りシステム
見守りシステムとは
定義と目的
家族単位で契約する子どもの見守りサービスもあり、児童見守りシステムのには様々なバリエーションがあります。
2024年現在、ミマモルメ、Ottade!など、学校単位でも利用しやすいサービスや、各種のGPSサービスも普及し利用も増えています。
ここで言う「見守りシステム」とは、地域において地方自治体と学校、保護者、地域住民、NPO等が連携協力して行う子どもの安心・安全確保の取り組みを支援する情報システムです
総務省情報流通経済局の「児童見守りシステム導入の手引書(2009年)」をもとに、児童見守りシステムについて、必要な知識や情報をまとめています。
見守りシステムの目的
- 保護者、学校、地方自治体、NPO、地域ボランティア等の関係者間で子どもの安心・安全に関わる連絡や情報共有、情報提供をスムーズに行えるようにする。
- 子どもの位置や行動をリアルタイムに把握・通知して、関係者が確実に確認し必要な行動を起こせるようにする。
見守りシステムの必要性
見守りシステムの役割と機能
児童見守りシステムの各機能によって検知された子どもの安全に係る各種情報は、保護者をはじめとした関係者にメール等で提供され、必要に応じて迅速な対応を促します。1.連絡・情報提供
- メールやWebサイト等を活用
- 不審者情報等、子どもの安心・安全に関わる様々な情報を収集・整理して、保護者等の関係者に分かりやすく提供
2.登下校確認
- 子どもが所持する電子タグ等を活用
- 子どもの登下校時の校門等を通過したことを検知し、通過時刻等の情報を関係者に通知
3.通過確認
- 子どもが所持する電子タグ等を活用
- 通学路のチェックポイントを子どもが通過したことを自動的に検知し、通過時刻等の情報を関係者に通知
4.状態把握
- GPS機能付き通信端末等を活用
- 子どもが今どこにいるのかをリアルタイムに把握
5.危険通報
- 緊急通報発信機能付き防犯ブザー等を活用
- 子どもが緊急通報ボタンを押すと、保護者、学校、指定ボランティア等の関係者にリアルタイムに通報
児童見守りシステムの5つの役割と機能
児童見守りシステムのしくみ
主な構成要素一覧
電子タグ (ICタグ) |
電波を利用して、電子タグ読取装置との間で非接触により メモリ内のデータを送受信するタイプのデバイス | ||
パッシブ タグ |
電子タグ読取装置から電波を受けて反応を返す電子タグ 電池を有さず、電子タグ読取装置との読取可能距離は 数cmから数十cm |
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アクティブ タグ |
電子タグ読取装置に電波を発信し続ける電子タグ 電池を有し、電子タグ読取装置との読取可能距離は 数mから数十m |
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GPS機能付 通信端末 |
内蔵のGPS機能により、端末(携帯者)の位置を特定し、 指定した通知先へ位置を知らせることができる GPS機能付き携帯電話も含まれる |
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緊急通報機能付 防犯ブザー |
紐を引くかボタンを押すと、ブザー音が鳴ると同時に 登録済み連絡先に通報する通信端末 発信先限定での通話機能を有する場合もある なお、携帯電話等にブザー機能が内蔵されている場合もある |
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電子タグ読取装置 (リーダー) |
学校や通学路上に設置される装置であり、 通過した電子タグの情報を読み取り伝送する装置 |
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防犯カメラ | 電子タグ読取装置との連動により、 通過した児童の写真(静止画)を撮像する装置。 また、常時撮影を行うものや電子タグを携行しない人が 通過した際に撮像する機能のものもある |
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管理装置 | 電子タグのID情報、児童の情報、保護者連絡先等の各種情報を 蓄積・管理し、各種サービスを提供する装置 | ||
データ収集 サーバ |
児童の携行する電子タグの通過情報(ID、時間、場所等)を収集する装置 | ||
Webメール サーバ |
不審者情報や児童の登下校情報、学校行事等を保護者の携帯電話やパソコン等への 通知するサービスや情報を閲覧させるための掲載サービスを提供する装置 | ||
データベース サーバ |
児童に関する情報や保護者連絡先等の個人情報を含むデータを管理する装置 |
システムの運営
利用するサービス形態に応じて、必要となる構成要素が異なります。システム構築の際には、以下の何れかのサービス形態を選択する必要があります。
ASPサービス
特定及び不特定ユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス。WEBブラウザから利用する。サービス提供のための管理装置やネットワーク機器を整備する必要がない。
個人情報をベンダーが管理するサーバ上に置く必要があるが、自主開発・運用方式に比べて初年度の経費を平準化することができる。
自主運営
自治体自らがシステムの整備・維持・管理とサービス提供を実施するサービス形態。システム構築費は比較的高額となるが、自ら運用するシステム内で児童等の個人情報を管理できる。
基本的なシステムの構成
児童見守りシステムは様々なバリエーションがありますが、基本的なシステムの構成は、次のようになります。機能別の必要な構成要素
○:機能を実現するために必要な構成要素△:機能を実現するために用いられることがある構成要素
構成要素 | 1.連絡 情報提供 |
2.登下校 確認 |
3.通過 確認 |
4.状態 把握 |
5.危険 通報 |
---|---|---|---|---|---|
電子タグ |
○ | ○ | |||
GPS機能付 |
○ | △ | |||
緊急通報機能付 |
○ | ||||
電子タグ読取装 |
○ | ○ | |||
防犯カメラ | △ | △ | |||
管理装置 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
システムの機能と構築パターン
児童見守りシステムには、前述の5つの主な機能がありますが、どの機能を選択して組み合わせるか、地域の課題やニーズ、協力体制等を考慮して選択する必要があります。ここでは、5つの代表的なシステム構築パターン(機能の組合せ)とその導入例を紹介します。
各事例とも、ASP等民間のWebサービスを利用することで自前の設備導入が不要になる場合もあります。また、ネットワークの敷設、活用、その他関連工事費用等は考慮していません。
1.見守り情報共有タイプ
機能
連絡・情報提供機能期待効果
- 学校から保護者等への迅速かつ確実な情報提供
- 地域、学校、クラス単位での情報の周知
- 地域における見守り活動のための情報共有
主な構成要素
Web/メールサーバ、DBサーバ事業費の目安
導入費
情報入力用パソコン等:数十万円/校サーバ類:数百万円/校
- ただし、情報入力用パソコンとサーバ類の統合も可能。また、ASPの場合はサーバ類導入費不要
運用費
ASPの場合、数十円〜数百円/月(1人あたり)- 自主運営の場合、サーバ類の台数、設置場所等により異なる
三島市の人口は約11万人、人口密度は約2千人/km2です。戦後多くの学校が開校したため、文教都市としての特色を帯び、昭和44年に東海道新幹線三島駅が開業し、文字通り伊豆の玄関口となりました。首都の通勤圏ということもあり、在住期間の長い家庭と首都圏で働く家庭が混在しております。
児童を巻き込む犯罪が増加する中、これまで学校からの緊急連絡は、時間がかかる学級の連絡網を利用するか、学校の少ない電話を利用し、各教員が保護者1人ずつに電話をかけるか、教員自身の携帯電話で連絡をするしか方法がありませんでした。
そこで、一斉に短時間で正確な連絡が可能な1見守り情報共有タイプである「FairCast-子ども安全連絡網」の導入が図られました。
多メディアへの一斉連絡と送達確認のイメージ
静岡県三島市 FairCast® 子ども安全連絡網
2.登下校確認タイプ
機能
連絡・情報提供機能 + 登下校確認機能期待効果
- 保護者等の出迎えや通学路のパトロール等の適時化
- 子どもの学校内存在確認による帰宅遅延等の予想
主な構成要素
電子タグ、電子タグ読取装置、データ収集サーバ、Web/メールサーバ、DBサーバ事業費の目安
導入費
電子タグ:数百円/人(パッシブタグ)〜数千円/人(アクティブタグ)、電子タグ読取装置:数万円~10万円程度/箇所、サーバ類:数百万円/校- ただし、サーバ類は統合可能。また、ASPの場合はサーバ類導入費不要
運用費
ASPの場合、約300円/月(1人あたり)- 自主運営の場合、サーバ類の台数、設置場所等により異なる
配慮事項
- 電子タグ読取装置の検知漏れ等により登下校が確認できない場合の人的確認対処
- 下校時に保護者が自宅に居ない場合、帰宅の確認までに至らないこと
- 関連機器は設置場所に応じて、風雨等に影響を受けるため、必要に応じたメンテナンスが必要
小平市の人口は約18万人、人口密度は約9千人/km2です。戦後、東京のベッドタウンとして人口が急増し、最近では大学キャンパスの誘致により若者も比較的多く在住する、大都市近郊の住宅地として位置づけられます。
地域には子どもを見守る地域ボランティアやNPOも既にありますが、在住期間の長い家庭と転入間もない家庭の混在が進む中で、徐々に児童と地域の接点や、コミュニケーションの希薄化が課題となってきています。
そこで、児童自身の安全意識の向上を図りつつ、児童と地域の接点やコミュニケーションを増加・活性化させることで、地域全体で児童を見守る目を増やし、より安全・安心な街づくりを目指すために、「登下校確認タイプの児童見守りシステム」の導入が図られました。
事例:こだいら児童見守りモデル事業
3.通学見守りタイプ
機能
連絡・情報提供機能 + 登下校確認機能 + 通過確認機能期待効果
- 保護者等の出迎えや通学路のパトロール等のより一層の適時化
- 子どもの大まかな所在確認による帰宅遅延理由等の予想
- 通学路からの逸脱や指定エリア以外への出入り等の確認
主な構成要素
電子タグ、電子タグ読取装置、データ収集サーバ、Web/メールサーバ、DBサーバ事業費の目安
導入費
電子タグ:数百円/人(パッシブタグ)〜数千円/人(アクティブタグ)、電子タグ読取装置:数万円〜10万円程度/箇所、電子タグ読取装置(カメラ付):数十万/箇所、サーバ類:数百万円/校- ただし、情報入力用パソコンとサーバ類の統合も可能。また、ASPの場合はサーバ類導入費不要
運用費
ASPの場合、500円/月(1人あたり)- 自主運営の場合、サーバ類の台数、設置場所等により異なる
配慮事項
- 電子タグ読取装置を効果的な場所に配備するために、地域の協力とインフラが不可欠
- 冬季の積雪による電子タグ読取装置の検知漏れ
- 屋外の機器設置が必須となるため、関係者の設置協力が必要
- 関連機器は設置場所に応じて、風雨等に影響を受けるため、必要に応じたメンテナンスが必要
横浜市南区の人口は約20万人、横浜市の区の中ではそれほど大きくありませんが、人口密度は市内平均の2倍近い15,581人/km2もあり、2位以下を引き離して最も高く、また高齢化率も市内で最も高くなっています。さらに区内には、子どもが立ち入ることは好ましくないと保護者が感じている繁華街もあります。
これまで地域の人的ネットワークによる見守りが地域ボランティアやNPOの手で行われてきましたが、これに携わる人々の高齢化に伴い、体力的な負担も増大する一方であるという懸念が生じています。
そこで、子どもの行動をより詳細に把握できる3通学見守りタイプである「地域と創る街なか児童見守りシステム」の導入が図られました。
神奈川県横浜市南区 地域と創る街なか児童見守りシステム
4.子ども位置常時把握タイプ
機能
連絡・情報提供機能 + 状態把握機能期待効果
- 保護者等の出迎えや通学路のパトロール等の最適化
- 子どもの所在地周辺情報との組合せによる帰宅遅延理由等の把握
主な構成要素
GPS機能付き通信端末(及び電子タグ)、データ収集サーバ、Web/メールサーバ、DBサーバ事業費の目安
位置情報の確認のみを実施する場合は、自前の設備導入が不要になります。導入費
「1.見守り情報共有タイプ」の導入費のほか、数万円/人(GPS機能付き通信端末代等)
運用費
「1.見守り情報共有タイプ」の運用費のほか、数百円〜数千円/月(1人あたり)
配慮事項
- 地域内にGPS機能付き通信端末のサービスエリア圏外や弱電波地域が無いこと
子どものバス停での待ち時間が長くなると、不審者による被害や交通事故の危険性が高まるほか、下校時には自宅から離れたバス停までの人気の無い山道を心配して児童の祖父母がバス停まで迎えに出ることも多いのですが、バスの遅れによる待ち時間の増大は高齢者にとって大きな負担となっています。
氷見市 スクールバス通学児童見守り事業
5.子ども緊急時駆けつけ対応タイプ
機能
連絡・情報提供機能、通過確認機能*、状態把握機能*、危険通報機能- 通過確認機能、状態把握機能については、どちらか一方を選択
期待効果
「3.通学見守りタイプ」または「4.子ども位置常時把握タイプ」の効果及び- 子ども一人ひとりの緊急事態に対する即時対応
- 地域の防犯力、防犯意識の向上
主な構成要素
「3.通学見守りタイプ」または「4.子ども位置常時把握タイプ」の構成要素及び防犯ブザー*
- GPS機能付き通信端末に防犯ブザー機能が付加されている場合もある
事業費の目安
導入費
電子タグ:数百円/人)パッシブタグ)〜数千円/人(アクティブタグ)緊急通報機能付き防犯ブザー:数万円/個
電子タグ読取装置:数万円〜10万円程度/箇所 電子タグ読取装置(カメラ付)〜数十万/箇所
サーバ類:数百万円/校
- ただし、サーバ類は統合可能。また、ASPの場合はサーバ類導入費不要
運用費
ASPの場合、電子タグ情報:約500円/月(1人あたり) GPS情報:約千円〜数千円/月((1人あたり)- 自主運営の場合、サーバ類の台数、設置場所等により異なる
配慮事項
- 駆けつけを行ってもらう協力者(地域ボランティア等)の確保
- 地域における緊急時の協力体制の構築、日常的な駆けつけ訓練等の実施
- 関連機器は設置場所に応じて、風雨等に影響を受けるため、必要に応じたメンテナンスが必要
品川区は、東京都の南東部に位置し、人口約34万人の区です。
東海道品川宿が設置された歴史的な地域、大井町、五反田、大崎、天王洲などの繁華街、京浜工業地帯の発祥の地として古くからの工場の多い地域、住宅街などが隣接・混在している地域です。区立小学校は38校あり、約1万3千人の児童が、区立中学校は17校で約4千3百人の生徒がそれぞれ在籍しています。
昨今の子どもに対する凶悪犯罪の増加、ここ数年での区内におけるさまざまな不審者の情報から、品川区ではこのような事態を憂慮し、平成15年より開発、平成17年6月から3小学校によるモデル実施を開始、17年12月から区立小学校に正式導入しました。平成18年2月からは区内在住の私・国立小学生の希望者も対象としています。
東京都品川区 近隣セキュリティシステム (まもるっち)
地域ぐるみの見守り活動
見守り活動と効果
- 登下校時の見守り活動は、学校を中心に、保護者やPTA、地域住民、行政、警察、民間企業、地域団体等が一致団結して連携・協働し、地域全体で取り組むことが重要です。
- 一人一人ができる範囲で、子どもたちや地域へ目を向け、見守り活動を実施することで、犯罪や事故が起きにくい環境をつくることができます。
- なお、見守り活動は無理なく行いましょう。小さな取組の積み重ねによって、地域全体で子どもたちの安全を守る環境が生まれるとともに、地域コミュニティの活性化も期待できます。
各関係者の基本的な役割
児童見守りシステムは様々な関係者の連携・協力により実現するため、教育委員会、自治体、学校、PTA、地域ボランティア、ベンダーといった関係者が集まって協議会を組織し、児童見守りシステム導入に向けて中心的役割を果たす例も見られます。教育委員会
児童見守りシステム導入の検討段階では、地域のニーズ等を踏まえ、全体のプランニングについて検討することとなります。児童見守りシステムは学校が拠点となりますので、教育委員会が中心的役割を果たすことが期待されます。
また、準備段階以降では、各学校への説明を行うとともに、必要に応じて学校の取り組みを支援します。
自治体
児童見守りシステム導入の検討段階については、市町村が主体となって取り組みを進めるケースも見られます。取り組みの主体としての役割は教育委員会の場合と同様ですが、児童見守りシステムは学校が拠点となりますので、教育委員会と協力して進めることが求められます。
学校
児童見守りシステムの準備段階以降は、運用の拠点である学校が主体となって保護者への説明や意見調整等を行うこととなります。その際、校務分掌により、導入・運用に当たって学校側の実務の責任者や担当者を決めておく必要があります。
運用段階では、保護者への情報提供者としての役割が求められます。
保護者
児童見守りシステムの運用段階において、見守りシステムが正しく機能するために、子どもに電子タグの扱い方等を教えるほか、保護者に通知等される各種情報を確認する、緊急連絡等に対応する、といった役割が求められます。また、日頃から地域の活動へも積極的に参加することが望まれます。
PTA
PTAは保護者からの意見を吸い上げ、学校との窓口としての役割を担います。また地域での子どもの安全を確保する活動を行っており、見守りシステムの導入に向けた検討等において、PTAの協力は不可欠です。
地域ボランティア
児童見守りシステムは、地域における人的見守りを支援するものであり、自治会やNPO等を含め、地域ボランティアにおいては、システムにより提供される情報を有効活用した活動をすることが望まれます。また、地域に活発な活動をしているボランティアグループがある場合には、児童見守り活動に積極的に参加してもらうことが有効です。
ベンダー
児童見守りシステムの検討・準備段階において、ベンダーは自治体、教育委員会、学校等と協力して、情報システムの設計・構築を行います。また、運用段階においては、ヘルプデスク等の利用サポートも担当します。- ベンダー:システムの開発業者あるいは販売業者のこと
協議会の事例
協議会方式では、各関係者との綿密な議論が可能となる等のメリットがありますが、一方で、各構成員による積極的な貢献が望まれます。大阪市「ユビキタス街角見守りロボット事業」における協議会
協議会名 | ユビキタス街角見守りロボット事業推進協議会 |
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自治体関係団体 | 財団法人大阪市都市工学情報センター(代表機関) |
学校 | 大阪市立中央小学校 |
PTA | 中央小学校PTA |
地域ボランティア | 中央小はぐくみネット委員会 |
自治体 | 大阪府、大阪市 |
研究機関 | 立命館大学、京都大学 |
ベンダー | 富士電機システムズ株式会社 |
横浜市「地域と創る街なか児童見守りシステム」モデル事業における協議会
協議会名 | 横浜市南区地域児童見守りシステム事業推進協議会 |
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NPO | 特定非営利活動法人教育支援協会(代表機関) |
自治体 | 横浜市南区役所 |
学校 | 横浜市立南吉田小学校、横浜市立中村小学校 |
PTA | 南吉田小学校PTA、中村小学校PTA |
地域ボランティア | 寿東部地区連合町内会、中村地区連合町内会 |
関係機関 | 神奈川県警南警察署、横浜市南土木事務所、横浜市行政運営調整局 |
民間企業 | 株式会社横浜テレビ局(地元CATV局) |
システム導入の検討
システム導入にあたっては、事前調査、基本検討、利用者の費用負担、利導入後のメンテナンス、学校の負担など、いくつかの検討課題があります。
事前調査
地域の関係者へのニーズ調査
子どもの安全に関して地域にどのような課題があるか、どのような支援が求められているかについて、学校関係者、保護者、地域で見守り活動を行っている地域ボランティア等から広く情報を収集・分析します。- 地域での子どもの安全について、保護者、関係者が不安に思っていることは何か
- 地域の見守り活動の活発さ、広がりのレベルはどうか
- 見守り活動について、学校と保護者の連携に問題はないか
- 情報システムによる見守り支援について、主要関係者の意見はどうか
システム導入事例の調査
児童見守りシステムの導入事例から、どのような機能をどのようなシステム構成要素(電子タグ等機器)により実現しているか、どのような課題があるか等について、既に導入済みの自治体やベンダーから情報を収集、整理します。基本検討
実現したい基本要件の整理
事前調査の結果を踏まえて、児童見守りシステムの導入目的や導入範囲、費用の目安等の基本的な要件・条件を整理します。- 児童見守りシステムにどのような機能、効果を期待するか
- 子どもの安全に関する地域の具体的問題、ニーズは何か
- 対象となる学校や児童の範囲はどこまでか
- 学校におけるシステム導入に当たっての制約条件は何か
- 地域の見守り活動についてどのような体制、内容を前提とするか
- 費用の低減を図る方法はあるか
提案募集と比較検討
整理した基本要件を示して、複数のベンダーに提案を求めます。提案内容をニーズ等をもとに総合的に十分に比較検討し、地域の実情に最も合致する提案を選定します。
- 地域の問題、ニーズに対応した機能を有するシステムの提案となっているか
- 地域の見守り活動との効果的な連携を期待できるか
- 既存のインフラを有効活用できるか
- 過大な機能・費用となっていないか
- メンテナンス対応は十分か
利用者の費用負担
既に児童見守りシステムを導入している事例においては、このシステムが子どもの安全・安心確保に有用であることが利用者側においても認識され、保護者やPTA等の利用者も費用負担している場合もあります。通学見守りタイプ
神奈川県横浜市南区 地域と創る街なか児童見守りシステム(2007年モデル事業)- モデル事業期間は、無償で800人を対象にサービスを実施
- モデル事業終了後に有料化(月額500円)し、任意継続としたところ、利用者は約190人に減少
- しかし、児童見守りシステムの有用性が認識されるようになり、利用者は序々に増加(2008年12月段階で約260人)
見守り情報共有タイプ
静岡県三島市 Fair Cast-子ども安全連絡網(2007年市独自事業)- 1人あたり年間315円を行政が負担。年10回の通常連絡*1の利用が可能な仕組みを全域整備
- 約半数の学校がオプション契約(通信回数の追加及び追掛連絡機能*2の利用が可能)を結び、1人あたり年間315円をPTA会費で負担
- 1 通常連絡:登録された1つのメディアへの連絡
- 2 追掛連絡:緊急時に受信が確認できない場合、登録されている他のメディアに順次連絡
導入後のメンテナンス
電子タグや電子タグ読取装置等は精密な電子機器であるため、不具合の発生や故障は避けられません。
特に児童見守りシステムでは、子どもに電子タグ等を携帯させるため、破損や紛失の頻度も高くなります。
そのような場面への対応として、速やかな代替品の補填や修理については、費用負担も含めて、事前にベンダーと取り決めておく必要があります。
また、電子タグ読取装置のアンテナの位置や向きが、子どもにぶつかる等により変わってしまい、子どもの位置情報等を正しく読み取れなくなってしまうことがあります。
更に電子タグ読取装置を屋外に設置した場合は風雨に晒され故障も発生しやすくなります。このような誤検出や故障を放置すれば、児童見守りシステム導入の信頼性が失われかねません。
そのため、システム導入後のきめ細かなメンテナンス対応も、ベンダーを選択する際の重要なポイントになってきます。
学校の負担
児童見守りシステムの運用においては、児童や保護者等の氏名やメールアドレスといった基本情報の初期登録以外にも、児童の転校や学年移動・卒業、保護者のメールアドレスの変更など、頻繁に登録情報の更新が必要になりますが、基本的にそれを行うのは学校です。
実際にはベンダー等に外注するとしても、保護者等との連絡や確認の窓口は、児童の通っている学校に実施してもらわなければなりません。
また、電子タグ読取装置の検出漏れや誤検出による異常通知があった場合の初期対応も学校が実施しなければなりません。
そのため、児童見守りシステムの運用で一番負担がかかる学校の労力をできるだけ軽減し、安定した運用が可能なシステムの導入と、運用体制の構築が重要です。
システム導入後
本運用開始後の評価のポイント
- システムの利用効果を保護者はどのように評価しているか
- 電子タグの読み取りエラー、天候の影響など、情報の精度に関する問題は発生していないか
- 子どもが電子タグを携帯しない等、運用面での問題は発生していないか
- 見守り地域ボランティアや駆けつけ地域ボランティアのモチベーションや体制は維持されているか
継続した見守り体制の維持
地域ボランティアのモチベーション・体制の維持
緊急通報の頻度が少ない、あるいは誤報が頻発するといった理由から、緊急時に地域ボランティアが駆けつけるモチベーションの維持が難しいという課題が指摘されています。
誤報についてはシステム面、運用面での改善が必要ですが、定期的に駆けつけの訓練を行い表彰する、あるいは、子どもたちからの感謝状を地域ボランティアに渡すこと等により、地域ボランティアのモチベーションを維持し、必要な対応がとれる体制を整える工夫が求められます。
不審者情報等のフォローアップ
不審者情報を提供した後、その不審者がどのようになったかというフォローアップ情報がないため、情報を受け取った保護者がかえって不安になるという意見が多く見られます。
不審者の追跡は実際には難しいですが、危険度、緊急度の高い情報についてはその顛末についてフォローアップを行うなど工夫が望まれます。