2022度の登録数は約147万軒、11年間で25%近く減少
子供110番の家
子供110番の家とは
子どもたちが身の危険を感じたときや、犯罪等の被害に遭遇又は遭いそうになったときに、緊急避難できる場所がいわゆる子供110番の家です。店舗や車両などにオリジナルのステッカー等が掲示されており、子供たちが緊急時に駆け込んで助けを求めることができます。
警察は、設置主体と連携しながら「子供110番の家」の実態を把握しつつ、継続的な支援に努めています。
主な活動内容
- 犯罪の被害に遭い又は遭いそうになって助けを求めてきた子ども等の保護
- 事件・事故の発生を認知したときの110番通報、学校、家庭への連絡
- 日常生活の中で、近所に子どもたちが被害に遭いそうな危険箇所などを発見した場合の連絡
こんな場合も・・・
子どもが、「トイレを貸して」「雨がやむまで待たせて」などと駆け込んでくる場合もあります。
事件でない場合も思いやりを持った対応をいただければと思います。
ステッカーやプレートの例
子供110番の家であることを掲示するステッカーやプレートは地域によってさまざまで、オリジナルデザインや地域のご当地キャラクターが採用されている区市町村などもあり、地元の子供たちに親しまれています。
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企業の協力も
「子供110番の家」の活動を実施しているのは、小学校、PTA、市町村教育委員会などのほか、一般企業、事業者や団体の協力もあり、オリジナルでのステッカーやプレートを作成し、自社の各営業所に貼っているケースもあります。
東京都の例
- 一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会
- 一般社団法人東京都個人タクシー協会
- 一般社団法人 日本損害保険代理業協会
- 東京都石油業協同組合
- アルフレッサ株式会社
- トヨタモビリティ東京株式会社
- 日本マクドナルド株式会社
- JU東京(東京都中古自動車販売協会・東京都中古自動車販売商工組合)
千葉県の例
- 千葉県石油商業組合 … かけこみ110番
- 日本フランチャイズチェーン協会 … セーフティーステーション
- 鉄道事業者 … 子ども110番の駅
- 千葉県高齢者福祉施設協会 … みんなの110番の家
子供110番の家 マニュアル
「子ども110番の家」に登録した店舗や民家に対しては、ステッカーやポスターの掲出だけでなく、駆け込んできた子どもを落ち着かせて状況を聞き、通報するなどの一連の行動についての対応マニュアルを作成している自治体も多くあります。
以下は、京都府警察本部「こども110番のいえ」マニュアルからの引用です。お住まい地域によって、異なる部分もありますので各警察本部の情報もご覧ください。
保護
子どもたちが、登下校時や児童公園、広場などで不審者に襲われたり、声かけ・ちかん・つきまとい行為の被害等を受け、避難してきたときに保護してください。
- 避難してきた子どもたちを警察官等が到着するまで一時的に保護する。
- 110番通報をしたり、子どもたちに電話を貸してあげる。
通報
子どもたちをめぐる犯罪等の早期解決を図るため、避難してきた子どもたちから次の要領で話を聞いてください。
何があったのか?
- 声をかけられた
- チカンにあった
- 連れ去られそうになった 等
いつ?
- 何分前のことか
- 何時何分のことか
どこで?
- 町名、通り名
- 目標となる建物等
どんな状況?
- 連れ去られたり、怪我をしている人はいないか
相手の特徴は?
- 人数、性別、年齢、身長、体格
- 髪型、乗り物(自転車?車?色?番号)
通報時は
- 「こども110番のいえ」から通報していること
- 何があったのか
避難してきた場合の心得
まず、自分が落ち着くこと
子どもたちが避難してきた場合に、話を聞く皆さんがあわてたり、興奮したりすると、子どもたちは更に興奮し、話ができなくなります。まず、皆さんが落ち着いて、何があったのか聞いてください。
次に、子どもを落ち着かせること
子どもたちは、危険な思いから怖くなり避難してきて、興奮しています。まずはじめに、「もう大丈夫。安心して」等と、優しく声をかけて落ち着かせてください。
そして、何があったのかを聞く
具体的に事件かどうかわからない場合でも子どもが何かに不安を感じて飛び込んできています。一見事件でなさそうであってもゆっくりと話を聞いてください。
- 声をかけられた
- 車に乗せられそうになった
- 追いかけられた
- チカンにあった
- 友達が被害にあった等
警察官が到着するまでしていただくこと
子どもを安心させて保護してください。
- 子どもの保護
- 家庭・学校への連絡
- 状況によっては救急車の手配等等
活動をしていただくうえでの留意事項
子どもを安心させて保護してください。
- 子どもを保護した場合は、事案の内容や子どもの住所、名前、学校などについて、安易に他人に話さないように注意してください。
- 携帯電話をお持ちの方は、ぜひ防犯・犯罪情報メールに登録していただき、地域での不審者情報に関心を持ち、子どもたちが助けを求めてきた場合に備えてください。
- ご協力いただく中で、活動を始めた当初と事情が変わり、自宅を不在にすることが多くなった、転居することになった等の理由により、子どもが避難してきても対応できないようになった場合は、最寄りの警察署にその旨を申し出てプレートを返納してください。
警察白書では
警察庁の警察白書2022年版では、以下の様な記載がりあります。防犯ネットワークの整備と活用促進
警察では、地方公共団体、地域住民、事業者等との重層的な防犯ネットワークを整備し、これを有効活用した積極的な情報交換や、地域住民による防犯パトロール等の防犯ボランティア活動及び事業者による防犯に関するCSR*活動に対する支援等を行うことで、地域社会が一体となった犯罪対策の推進を図っている。
- Corporate Social Responsibilityの略。企業の社会的責任と訳される。法令遵守、環境保護、地域貢献等、純粋に財務的な活動以外の分野において、企業が持続的な発展を目的として行う自主的取組
防犯ボランティア団体は、全国で4万5,910団体
2021年末現在、警察が把握している防犯ボランティア団体は全国で4万5,910団体*であり、その構成員数は250万3,106人となってる。
多くの団体で防犯パトロールや通学路等における子供の見守り活動を行っているほか、最近の犯罪情勢を踏まえ、特殊詐欺の被害防止のため、警察と連携したATM利用者への注意喚起や高齢者の居宅の訪問を通じた防犯指導等を実施している団体もみられる。
- 平均月1回以上の活動実績(単に意見交換や情報交換のみを行う会議を除く。)があり、かつ、構成員が5人以上の団体
自主防犯活動に対する支援
警察では、防犯ボランティア団体に対し、犯罪情報の提供や合同パトロールの実施等の活動支援を行っているほか、自主防犯パトロールに使用する自動車に青色回転灯等を装備することができる仕組みづくりを行い、2021年末現在、全国で9,766団体、4万3,601台の青色回転灯等装備車が活動している。 また、警察庁ウェブサイト上に自主防犯ボランティア活動支援サイトを開設し、防犯ボランティア団体相互のネットワークづくりを推進している。
防犯ボランティア団体の活動状況等について
団体数の推移
構成人数の推移
「子ども110番の家」を考える
子ども110番の家は 11年間で25%近く減少
警察庁が把握している全国の「子ども110番の家」の登録数は、2012年3月末時点で約197万箇所、2022度には約147万軒とされています。
「子ども110番の家」については、PTAが、単に登録を依頼しているだけでなく、定期的に礼状や花などを持って挨拶と再依頼を行っているケースもあります。
こうした活動は、地域コミュニケーションの活性化の一助となっている面もあります。
地域外から勤務している企業や店舗の従業員にとっては、校区を認知することで、地域で見かける子どもたちへの理解してもらえるきっかけとなります。
実際に子どもが駆け込んで犯罪の未然回避につながったという報道は多くないようですが、子どもたちトイレや雨宿りをなどで協力先にお世話になることは、地域の安心と活性化にメリットがあるのではないでしょうか。
意義や目的の周知
「子ども110番の家」の目的は、「子どもたちを守る防犯意識の啓蒙」「万が一の時の対応」と考えます。現状では、緊急時対応が強調されき気味で、防犯意識の啓蒙という役割が理解少ないように思われます。協力先への意義や目的の説明、定期的な研修だけでなく、地域での周知がも足りていない事も考えられます。
住宅地では、不在の家も
「子ども110番の家」は、そこに人がいることを前提とした制度ですが、共働き世帯が増える中、住宅地では、不在の家も多くなってるのが現状です。
子どもたちに防犯ブザーや携帯電話があったとしても、警察の対応までにはそれなりの時間が必要で、その場に、信頼できる地域の大人がいるといないでは、大きな差があります。
協力先の認知と機能の周知
お子様がいる世帯以外では「子ども110番の家」について、認知度があまり高くないことも懸念されます。
また、ステッカーやポスターが掲出されていても気づかないケースや、認知していても、「子ども110番の家」が具体的にどのような役割を担っているかをよく知らない人もいます。
協力先としてのシルバー人材世帯
シルバー人材によって組織されたパトロール活動が積極的に行われている地域もあります。平日の昼間は地域に一番多いのは、シルバー人材と小学生です。 協力先の減少が続く中、シルバー人材世帯に協力先として関与いただくことは、高めの在宅率、人材の活躍の場、子どもたちと高齢者の交流などさまざま面でメリットがあると思います。
ICT技術などの活用も視野に
地域防犯においては、高齢化、メンバー減少、後継者不足など課題はありますが、多くの人々によって見守り・助け合いのきずなが育まれ、地域の皆様や保護者世代の皆様にも熱心に取り組みを行っている方が大勢おられると思います。
一方で犯罪行為の変化もあり、家庭での防犯システム、地域でのICT技術活用など安心安全の街づくり向けた対策のアップデートも必要です。
PTAと子ども110番の家
関係機関との協働
子ども110番の主体となる団体は、小学校やPTA、教育委員会など地域によってさまざまです。
PTA活動して、子ども110番の家の依頼などに関与している場合は、教育委員会、自治体や警察、防犯協会等などと連携し、より依頼やすい方法、広報活動などを検討することも負担軽減につながります。
また、子ども110番の家の名称は、駆け込み先の印象が前面になりがちですが、見守り・助け合いの制度であることを地域住民にも理解いただくことも大切です。
子ども110番の家は、子どものためだけでなく、安心安全の地域づくりに必要な活動です。
依頼方法
子ども110番の家の依頼には、PTAの担当者が個別に設置宅を訪問して確認をしている場合が一般的でしたが、コロナ禍をきっかけに、郵送やメールなどの利用も出ています。協力者と対面でのコミュケーションは重要ですが、可能な協力者から負担軽減につながる依頼方法の検討も必要と考えます。
こども110番の家見舞金
地域によっては、PTA連合会が運営する「こども110番の家」活動において、PTA連合会が窓口となり団体保険に加入する制度があります。当協議会でも、2025年度のPTA総合補償制度のオプションとして、子ども110番 (災害等補償費用保険)を利用いただけるよう準備を進めています。単位PTAの皆様がご利用できる補償制度です。
子どもには、こわいことや不審なことがあれば、「まよわず子ども110番を頼っていい」と伝えましょう。
危険を感じたら、自分の身を守る行動を最優先させることが重要です。
また、子どもと一緒に、交番や子ども110番の家、人が集まりやすいコンビニエンスストアなどの場所を確認しておくことが大切です。いざというときに備え、通学路だけでなく、家の近所、塾、よく遊びに行く場所なども確認しておくきましょう。