事例から見る 闇バイト対策

警察庁によるメッセージ
以下は、「犯罪実行者募集情報」に応募している方に向けた警察庁生活安全企画課によるメッセージ(2024年11月)です。犯罪者グループは、約束の報酬を元から支払うつもりはなく、応募者は「使い捨て」要員です。
最初は簡単な案件から
最初は簡単な案件を紹介されて報酬が支払われたとしても、それは「あなた」を信用させるための「餌」です。その後、凶悪な犯罪に加担するよう求めてきます。要求を断ったり、離脱しようとしたりすると、入手した個人情報を基に執拗に脅迫し、恐怖心を植え付けて離脱を阻止し、「あなた」が警察に逮捕されるまで利用し続けます。
少しでも怪しいと思う募集情報には一切応募しないでください。
犯罪と分かっていてやっている人へ
中には、犯罪かもしれないと思いながら応募する人もいます。
「ホワイト案件」「荷物運び」などといった募集の言葉を理由に、犯罪行為ではないと「あなた」は「あなた」自身に言い訳をしていませんか。
知らなかったという言い訳は警察には通用しません。警察は必ず捕まえます。逃げることはできません。
強盗を指示されて、人を負傷させたときは「無期又は6年以上の懲役」(強盗致傷罪)、人を死亡させたときは「死刑又は無期懲役」(強盗致死罪)となります。
また、「銀行口座を開設して売り渡す」「スマートフォンを契約して売り渡す」行為も犯罪です。
その後、預貯金口座などを利用できなくなるなど、これまでの日常生活が一変します。
警察へ相談した事例
指示に従わなかったとして相手から脅された事例
- 「Instagram」で知り合った相手から「シグナル」に誘導され「受け子・出し子」の指示を受けるも、指示に従わなかったことで、指示役から電話で脅され、親族にも着信があり怖くなった。
- 地元の先輩から「Instagram」を通じて高額バイトを紹介され、「シグナル」のインストールを求められた。
- シグナルで紹介された相手方から個人情報の送付を求められたので断ったところ、「探しに行くぞ」などと言われた。
個人情報を握られたことで相手から脅された事例
- 「X」で「高額収入」と書かれた投稿を見て「シグナル」に誘導され、氏名や住所、生年月日、携帯電話番号、免許証の写真等を送信。相手から仕事の誘いがあったが、仕事の内容から犯罪になると思い、断り続け、「シグナル」等のアプリをアンインストールしたところ、「LINE」で「お前、逃がさないからな」といったメッセージと自分の個人情報が全て送られてきたことから怖くなった。
- インターネット上の副業サイトに応募し、「LINE」でやりとりしている中で「テレグラム」に誘導された。その後、相手方とのテレグラムのやりとりを削除したところ、「個人情報は分かっている」などとメッセージが送られてきた。
相手から現金を要求された事例
- 「Instagram」で紹介を受けた相手から「荷物運び」をあっせんされたが、闇バイトではないかと怖くなり、辞めたいと伝えたところ、相手から現金を支払えと脅された。
犯罪ではないかと思い相談した事例
- 「Instagram」で「高額バイト」を検索し、相手方から接触があったため、その後のやりとりは「テレグラム」に移行した。その後、闇バイトのニュースを見て「自分も犯罪者になるかもしれない」と思った。
- 「Instagram」で「小遣い稼ぎ」の仕事に応募し、仕事内容の説明を受けたところ、犯罪ではないかと不安になった。
いつの段階であっても、警察に相談することが「あなた」や家族を救うことになります。
警察は相談を受けた「あなた」や「あなたの家族」を確実に保護します。
一刻も早く#9110に電話して警察に相談してください。
「海外で儲かる仕事」は危険です!
オンラインゲームやインターネット等で知り合った面識もない知人から海外で儲かる仕事を誘われ、海外渡航した結果、脅迫・監禁され、犯罪に加担させられる事案が発生しています。
海外の仕事を紹介され、警察へ相談した事例
渡航してしまった事例
- オンラインゲーム上で知り合った人から海外の仕事を紹介され、タイへ渡航後、ミャンマーへ密入国させられた。そして、マシンガンで武装した者が監視する建物に連れて行かれ、詐欺をさせられた。
- インターネット上で知り合った人から海外での仕事を紹介され、タイへ渡航後、ミャンマーへ密入国させられた。ノルマを課され、出来なければスタンガンで暴行される環境下で詐欺をさせられた。
- 知人への借金返済に窮していたところ、知人の関係者から、借金返済のために海外の仕事を紹介された。カンボジアへ渡航後、詐欺をさせられた上、軟禁された。
- 知人から海外の仕事を紹介され、中国へ渡航すると、詐欺をするように言われた。帰国したいと言うと、暴力団の名前を使って脅された。領事館へ助けを求め、保護された。
- 知人から海外の仕事を紹介され、はじめはカンボジアに渡航し、偽の仕事について説明を受けた。そして、ベトナムに行くよう指示され、渡航後、詐欺をするよう言われたため、逃げてきた。
渡航しなかった事例
- 海外在住の知人に、海外で仕事をしないかと誘われ、個人情報を教えてしまったが、マレーシア行きのチケットの写真が送られてきたことで怖くなり、警察に相談した。
いつの段階であっても、警察に相談することが「あなた」や家族を救うことになります。
警察は相談を受けた「あなた」や「あなたの家族」を確実に保護します。
一刻も早く#9110に電話して警察に相談してください。
事例に見る「応募から検挙されるまで」
1. 募集情報への応募
子どもたちは、自ら一般的なSNS、コミュニティサイトなどで「高額報酬」「闇バイト」などと検索し応募します。また、少年の場合、自ら応募する以外にも「先輩・友人に誘われた」といったものが一定数あり、少年が「闇バイト」に応募するきっかけの特徴の1つとして挙げられます。
子どもたち自らが応募
- Twitterに「お金に困っている」旨の書き込みをしたら、犯行グループから「働いてみないか。大金を稼げる仕事がある」などのメッセージが届いた。
- Instagramで「仕事を探している」旨の書き込みをしたら、地元の先輩から連絡があり、その後、知り合いのヤクザを紹介された。
- パパ活をするためにTwitterを利用していたら、犯行グループから「パパ活ではないが、荷物を受け取るだけの仕事をしないか」旨の連絡が届いた。
- Twitterで副業募集専用のアカウントを作ったら、犯行グループから海外の荷物の受け取りなどに関する仕事を紹介するメッセージが届いた。
先輩・友人・知人に誘われた
- 仕事を探していたら、先輩・知人等から「闇バイト」を紹介された。
- 先輩がSNSで見つけてきた「闇バイト」に誘われて一緒に加担した。
- 先輩から金銭トラブルをふっかけられ、借金返済のため「受け子」の役目を強要された。
- 職場の社長が知人から紹介された「高収入」の仕事を請け負い、社長からの指示で「受け子」として犯行に加担した。
SNSで知り合った相手から誘われた
- 遊興費欲しさにSNSで知り合った者に「金を貸して欲しい」旨の相談をしたら、「銀行協会の委託の仕事を紹介する」などと言われ、犯行グループを紹介された。
- InstagramなどのSNSで知り合った者から仕事を持ちかけられたり、女性を紹介してもらったりした後、美人局のようなかたちで「受け子」を強要された。
2. 犯行グループとのやりとり
応募が完了すると、犯行グループから応募者である子どもたちへ連絡が入ります。犯行グループは子どもたちに、一定時間が経過すると通信履歴が消去されるなどの機能を有する匿名性の高いアプリ(Telegram、Signalなど)を強制的にインストールさせた上、以降のやりとりについてはこのアプリを使って行うよう指示をしてきます。
匿名性の高いアプリをインストールするよう指示
アルバイト求人サイトに正規のハンドキャリーの仕事(日給15,000円程度)として人材募集広告が掲載されていた。履歴書を送らせるなど一見、正当な仕事だと思ったが- 会社との面接は通話のみで実際に会うことはない。
- 会社の者からSignalを入れるように言われ、以後の指示等はSignalのみで実施。
- 報酬の支払い方法は指定された場所に現金が置いてある。
3. 犯行グループへ個人情報を送信
子どもたちは犯行グループとのやりとりの中で、「アルバイトをするための登録情報として必要」などと言葉巧みに個人情報を要求され、言われるがまま、身分証明書などの写真をアプリで送信してしまいます。身分証明書と一緒に自分の顔写真を送信
- Signalを使って写真と身分証明書を送るように言われ、保険証と一緒に顔写真を送信してしまった。
- Telegramで個人情報を送るように言われ、住民票と自撮りの顔写真を送信してしまった。
家族や交際相手の個人情報を送信
- 犯行グループから住所だけでなく、家族構成や名前、勤務先等まで聞かれて伝えてしまった。
- 犯行グループから交際相手のことを聞かれ、彼女の名前や生年月日、顔写真を送信してしまった。
動画等を送信
- 犯行グループとの面接の際、スマホの中身(電話帳、写真、SNSの履歴等)を長時間かけくまなく動画撮影された。
- 自分が住んでいるマンションの入口から部屋までの道のりを動画撮影するよう指示され、送信させられた。
- 報酬を振り込むために必要と言われ、銀行名、名義、口座番号を伝えてしまった。
- 自分の名前や住所、連絡先等と一緒に上半身裸の写真を送信させられた。
4. 犯行グループによる脅迫行為
個人情報の送信が完了すれば犯行グループから仕事の内容(詳細)が伝達され、犯罪行為であることが明らかになります。子どもたちが犯罪行為への加担を拒否しようとすれば、犯行グ本人や家族に対する脅迫
- 警察に捕まるリスクが大きいと思い断ると「自宅に押しかける。母親から狙う」と脅され、仕方なく「受け子」をやった。
- 「受け子」の仕事だと分かったが犯行グループから「逃げたらこうなるよ」と男が殴られる動画が送信されてきて怖くなった。
- 途中で詐欺だと気付き「辞めたい」と言ったら「家族全員殺すぞ」などと脅迫されて「受け子」をやらざるを得なかった。
- 犯行グループからの2回目の仕事を断ったところ、「この前の荷物はおばあさんからだまし取ったお金だ。詐欺の運び屋に加担したな。あなたの顔写真や住所を知っているので逃げられない」と脅され、以降も「受け子」として加担せざるを得なくなった。
実家への押し掛け
- 「受け子」をして得た現金を別の犯行グループに横流ししたら、自身や実父へ架電された後、実家に押し掛けられた。
5. 犯行グループの末端として犯罪行為に加担
犯行グループによる脅迫等の結果、子どもたちは犯罪行為に加担せざるを得ない状況となり、「受け子」などの役割を繰り返した結果、必ず検挙されることとなります。脅し等により、逮捕されるまで使い続けられることが特徴です。- 「受け子」などの犯行グループの末端として仕方なく犯罪行為に加担。
- たった一度でも犯罪行為に加担すれば犯行グループからの離脱は困難。
… 犯行グループは個人情報を基に少年たちを何度でも脅迫 - 何度も犯罪行為をやらされ、逮捕されるまで使われ、逮捕されれば見捨てられる。 … 犯行グループは自分たちが逮捕されないよう少年たちを「捨て駒」として利用
「使い捨て」にされる応募者たち
検挙された少年たちの大半が「遊ぶための金がほしい」といった理由で、「闇バイト」に応募し、犯罪に加担させられています。目先の遊興費を得るため、「1回だけなら大丈夫」「嫌になったらすぐに辞めたらいい」といった安易な考えで応募した結果、取り返しのつかない結果を招いています。
また、犯行グループによって顔写真等の身分証明書がSNS上に投稿されてしまえばインターネットを利用する不特定多数の者が少年たちの個人情報を閲覧できることとなってしまい、新たな犯罪等に巻き込まれる危険性があります。
犯行グループにだまされ報酬を得ることができなかった
- SNSで「闇バイト」に応募した先輩に誘われ「受け子」をすることとなったが、犯行グループから「金が必要になった」「振り込みをしてくれ」などと言われた。言われるがまま指定された口座に「受け子」をして得た報酬を全て振り込まされ、結局、一円も手にすることができなかった。
- 遊ぶ金欲しさから「受け子」として詐欺行為に加担し被害者から現金を受け取った。犯行グループからは事前に「被害者から受け取った金は全て回収役に渡せ」「報酬は口座に振り込む」と言われていたので現金を全て渡した。しかし、その後、一向に報酬は振り込まれず、「次もやれば渡す」などと言われていたが、結局、報酬は一度も支払われることなく捕まった。
- 犯行グループから「報酬は後でまとめて払う」などと聞いていたが、結局、報酬が支払われることはないまま逮捕された。
- 「受け子」としてキャリーケースを持って全国を転々とさせられた。逮捕されるまで家にも帰れず、ホテルや漫画喫茶に寝泊まりしながら犯行を続けていた。
犯行グループに密告され逮捕された
- 特殊詐欺の「受け子」として被害者からだまし取った現金を持ち逃げしようとしたら犯行グループにばれてしまい、だまし取った現金を回収された上、密告され逮捕された。
- 遊ぶための金が欲しく、地元の不良グループ仲間と「闇バイト」に手当たり次第応募した。だまし取った現金を全て自分たちのものにしようと企てたが、犯行グループに密告され逮捕された。
- 地元の先輩とキャッシュカードのすり替えを行い、一旦報酬を得たが、その後、犯行グループから呼び出され、理由が分からないままペナルティなどと称して、報酬を上回る金を巻き上げられた。さらに、犯行グループの一 が金を持ち逃げしようとしたため、密告され逮捕された。
詐欺加担者として顔写真等の身分証明書をSNSに投稿された
- 警察官がサイバーパトロール中、「詐欺犯罪者」とコメントの付いた顔写真や身分証明書の画像がツイートされているのを発見した。…「闇バイト」に応募した後、犯行グループから離脱した者に対する制裁行為と思われる。
闇バイト被害に遭わないために
子どもたちへの働き掛けに当たっては、「闇バイト」は犯罪であると子どもの道徳心に語りかけ、少年が自らの判断に基づき、犯罪加担行為を踏み止まれるよう少年等の心に響く広報啓発が必要である言われています。闇バイト防止のための教育は重要です!
闇バイト防止のためには、教育の果たす役割は非常に大きいと考えられています。
学習指導要領の改訂により、2022年4月から小学校・中学校・高校での金融教育が義務化され、高校の家庭科には、資産運用に関する学習が盛り込まれましたが、学校教育だけでなく、ご家庭でも、早い段階から労働や金融に関する知識や権利意識を養う教育を充実させる必要があります。
特に、高校生や大学生に対しては、闇バイトに対抗できる正しい知識た情報を伝えるほか、アルバイトの選び方や労働法規についての教育機会を設けていくことが大切です。また、企業においても、新入社員研修などの機会を通じて、闇バイトの危険性を教育するなど、社会全体での闇バイト防止のための啓蒙活動も必要です。
センターでは、皆様からインターネット上の違法情報や自殺誘引等情報、重要犯罪密接関連情報の通報を受理し、ガイドラインに基づいて警察に情報提供するとともに、サイト管理者等に送信防止措置を依頼します。
- 殺人・爆破予告、自殺予告等の人命に関わる事案は警察に通報(緊急を要するものは110番)してください。
特殊詐欺に関わらないために
- 疑ってみる … 怪しいアルバイトがあったら、まずは疑ってみてください。
そして楽をして大金を稼げるアルバイトは存在しないことを心に刻んでください。 - 調べる … 中には割りの良いアルバイトがあるかもしれません。
しかし少しでも怪しいと思ったら色々とネットで調べてみることです。 - 相談する … 友人や家族、先輩など周りの人に相談してみることをお勧めします。
一人で決めない、悩まないが鉄則です。
特殊詐欺や闇バイトに関する各種の情報が掲載されています。
10代向けの啓発資料
それ「バイト」ではなく、「犯罪」です!!
青少年が、いわゆる「闇バイト」に応募し、強盗などの凶悪な犯罪に加担させられてしまう事例などについて注意喚起しています。(警察庁・文部科学省・こども家庭庁)![]() |
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闇バイト被害に遭わないために
