PTA会長職を引き受けたたものの・・・ どうすれば良いかよくわからない
新任PTA会長 ハンドブック
PTA会長として知っておくべき情報
PTAが関係する年間行事(例)
学校や単位PTAによって、活動内容は異なります。行事や事業の内容により異なりますが、PTA会長が出席する場合には、保護者代表または単位PTA会長しての挨拶や見解を求められる機会もあります。
区分 | 年1回 | 随時または不定期 |
---|---|---|
学校行事 | 入学式* 運動会 学芸会 卒業式* 交通安全教室 |
学校関係者評価委員会 自校周年行事* 近隣校周年式典* |
単位PTA 主催事業 |
定期総会 年度末総会 歓送迎会 |
役員会 委員会(専門委員会) 運営委員会(実行委員会) 広報活動(広報紙、ホームページ、配信など) 子ども向けのイベント 保護者向け研修会や教養講座 バザーや資源回収、ベルマークなど 次年度役員の選出や引き継ぎ |
市区町村郡など 上部団体 主催事業 |
定期総会 | 定例会議 行政との意見交換(教育委員会など) イベント(スポーツ大会など) 研修会や教養講座 |
地域との 連携や協力 |
子ども110番 登下校時の安全パトロール 地域や町会の会議や行事 青少年健全育成関係団体の会議や行事 ラジオ体操 防災キャンプ 地域のイベント(お祭りなど) |
- 礼服やスーツの着用が一般的
前年度と今年度のPTA
入学式、PTA説明会
入学式に来賓として出席、祝辞を述べます。また、入学式後などに行われる新入生の保護者に対するPTA説明会では、新入生の保護者に対しPTA活動の内容を説明します。
入学式、PTA入会式は、前年度のPTA会長の担当です。
PTA定期総会
前年度のPTA活動報告や決算報告を行い、承認を得ます。
また、新年度の活動計画や新年度の会計予算の説明も行い、承認を得ます。
総会の運営・進行は、前年度のPTA会長や役員の担当です
PTA総会の議題「新年度の役員」において承認されると、今年度のPTA会長や本部役員が誕生します。 今年度のPTA会長としての最初の仕事は「PTA会長就任のあいさつ」です。
- 本年度のPTA活動報告
- 新年度のPTA役員の承認
- 前年度の決算報告
- 新年度の活動計画(案)の承認
- 新年度の会計予算(案)の承認
単位PTAの組織
PTAは、会員の中から選出されたPTA役員が中心となって運営を行っています。役員以外の運営のメンバーとして、保護者の懇談会や広報、安全パトロールなど、実際の活動を担う各種委員会に所属する委員がいます。
PTA会長・副会長
PTA会長は、保護者の代表であり、単位PTAの総責任者となります。PTA副会長は、PTA会長のサポート役であり、会長不在時の職務代行者です。副会長は複数名選出される学校が一般的です。書記・会計
書記は、会議の際に議事録を作成し、PTAからの配布物の印刷や配布、情報の配信、記録やデータ管理などを行います。学校により「庶務」とも呼ばれることもあります。会計は、PTA会費の集金など会計事務全般、管理などを行います。
書記も会計も複数名が選出される学校が一般的です。
監査(会計監査)
PTAの全ての会員を代表して、予算の執行状況の調査・確認を行い、会員に報告する義務があります。公正で透明性の高い運営を担保する重要な役割です。
監査の言葉通りであれば、役員会から独立して監査活動を行うべきですが、役員会のメンバーとして事業の執行も担うケースが一般的です。
監事を設ける場合もありますが、職務の範囲は各PTA規約に依存します。
学年委員(学級委員/全学年委員)
学級単位、学年単位の行事のサポートや、保護者の懇談会などの企画、運営などを行います。クラス担任と保護者のパイプ役としての役割もあります。
文化委員
教育課題などをテーマとした保護者向け・親子向けの研修会やイベントなどの企画、運営などを行います。広報委員
PTAとしての広報に関する企画、取材、制作、発行を行います。広報紙の場合、年に2、3回発行する学校が多いようですが、最近では、ホームページや専用ブログ、配信などICTを活用した広報活動に切り替える学校が増えています。
地区委員(校外委員)
子どもたちが登下校の安全確保、地域と情報交換、行事での連携などを行います。その他の委員
委員は、各学校により、種類も活動内容もさまざまです。- ベルマークを集め、必要な備品購入を行うベルマーク委員
- 地域での清掃活動や花壇整備などを行う美化委員・整備委員
- 卒業式や謝恩会を企画・運営を行う卒対・謝恩会実行委員
- 運動会の運営やプール利用をサポートを行う保健体育委員
- 校内の次年度人事を行う選考委員・役員推薦委員
単位PTAの会議体
会議体の形式や開催回数は各学校により様々です。役員会を単体の開催を減らし、運営委員会として開催する学校も多くあります。
会議 | 出席者など | 年間回数 |
---|---|---|
役員会 | 出席者は役員 | 4〜10回 |
専門委員会 | 各委員会別に会議体があり、出席者は各専門委員 | 2〜10回 |
運営委員会 (実行委員会) |
出席者は役員、各専門委員の委員長、副委員長、校長、副校長 | 3〜6回 |
単位PTAと上部団体
市区町村郡のPTA連合会
単位PTAが、各自治体(市区町村郡)単位で、単位PTAが集まって作られた組織で、一般的には、○○市PTA連合会(市P、P連、地区PTA、地区P)などと呼ばれています。都道府県のPTA連合会
市区町村郡PTA連合会が、各都道府県単位で集まって作られた組織が、都道府県のPTA連合会です。都道府県のPTA連合会の構成単位は、市区町村郡のPTA連合会となり、一般的には、○○県PTA連絡協議会(県P/P協)などと呼ばれています。
全国組織のPTA団体
都道府県のPTA連合会には、さらに上位の全国組織があり、小中学校の場合は、公益社団法人日本PTA全国協議会、高校の場合は、一般社団法人全国高等学校PTA連合会などがあります。上部団体での活動
上部団体に依存しない形で、単位PTAの運営を行う事例もありますが、多くの場合、地域のPTA連合会に加入し、連合会費を納めているPTAが一般的です。
市区町村郡のPTA連合会に加入している場合、その上部団体である都道府県のPTA連合会、全国組織のPTA団体にも加入している形となるのが一般的です。
各上部団体は、独自の活動を行なっており、会議や事業への参加が必要な場合があります。また、各上部団体の運営側としての役職を引き受ける場合もあります。
ブロック(地区)
市区町村郡のPTA連合会の規模が大きい(単位PTA数が多い)場合、地域を複数のブロックに分けて地域のまとまりを作る、ブロック制度を設ける場合があります。ブロック制度がある場合、ブロック単位での会議体や活動があるのが一般的です。
委員会
PTA連合会の行う事業別に、委員会制度を設ける場合があります。委員会の例としては、厚生委員会、広報委員会、教育問題対策委員会などがあります。委員会制度がある場合、委員会単位での会議体や活動があるのが一般的です。
PTA関連の補償制度
PTA総合補償制度とは、単位PTAおよびPTAの役員が、団体として管理上の過失などにより、法律上の損害賠償責任を負担した場合に被る賠償金支払等のリスクに対する補償です。
安心できるPTA活動に必要な補償制度として多くのPTAが利用しています。
地域より、同種の補償制度として、安全互助会、親子安全会、安全振興会などの共済制度もあります。 個人情報漏えい補償制度は、比較的新しい制度ですが、PTA総合補償制度同様、単位PTAおよびPTAの役員が被る賠償金支払等に対するリスク対策として、利用するPTAが毎年、増えています。
園児・児童・生徒総合補償制度とは、学校以外での子どもや同居の家族に生じるリスク対応として、保護者が任意で加入する補償制度です。
個人で同種の保険に加入するのに比べ、団体割引が利用できるため、一定のニーズがあり、特に、最近では自転車などで生じる個人賠償リスクを考え、制度を利用する保護者も増えています。
入学説明会や新学期などに、保険会社からのパンフレットをPTAが配布する学校が一般的です。
補償制度の種類
補償制度 | 契約の 手続き |
補償制度の内容や特徴 |
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PTA総合 補償制度 |
PTA |
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個人情報漏えい 補償制度 |
PTA |
|
園児・児童・生徒 総合補償制度 |
保護者 |
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災害共済 給付制度 |
学校 |
|
- 表内の掛け金は、補償内容により異なるため、あくまでも目安としての金額です。
上記の「PTA総合補償制度」は、保険会社と団体保険契約等を結んだ補償制度ですが、地域によっては、安全互助会、親子安全会、安全振興会などの共済事業もあります。
PTAなどが運営していた共済事業は、2006年の保険業法改正に伴い、保険会社の免許を受ける等の措置をとらなければ、無認可事業となり、自ら共済事業を運営することは原則として不可能となりました。
一方で、従前の共済事業を実施したいとの要望もあり、2010年にPTA等共済法が成立し、PTAでの共済事業の継続が可能となりました。
2018年4月現在、全国で27団体が同法に基づき、共済事業を継続しています。
会長職にあたって
PTA会長とは
会長として
PTA会長は。Parent(保護者)の代表であり、単位PTAの総責任者となります。
PTA会長としての仕事や役割は、「公人」としての地位に関連して発生しています。
PTA会長は保護者代表ですので、校長や教員、地域との円滑な連携が求められます。
特に、Teacher(先生)の代表である校長との連携はとても大切です。
会長一人で組織を動かすこと、全ての職務を遂行することは困難です。副会長などと担当を分担するなど、無理のない範囲での組織づくりが、組織の継続性としても重要です。
会長不在時の職務代行副会長を制度化することなども選択肢です。
役員や委員との連携
役員や委員は、年度の活動を支え合う平等なパートナーです。お互いに協力し、仲間意識をもって事業を遂行できるようにしましょう。情報交換や課題共有を積極的に行い、課題解決に向けた丁寧話し合いが重要です。役員や委員間で、積極的に交流の場をもち、時代の流れに対応した、子どもの育つ良い環境を構築していくことが大切です。保護者との連携
私たちの子どもをPTA活動の中心とする考え方は重要であり、子どものために、保護者の意見を学校運営に反映し、学校の活動を支援します。
また、PTA活動を通して、保護者同士がつながり、学びあい、保護者としての成長を実感することができます。
各保護者の立場や境遇、考え方は様々です。相手を思いやり、一人ひとりが自分のできる範囲で、自分の能力を活かし、子どものためになる行動を進んで行うことの集積がPTA活動の原動力となります。
「できる人が、できる時に、できる事を、集まった人数で」というPTA活動の原点を考え、自校のサポーターである保護者との連携を強化しましょう。
学校との連携
学校の教育方針や指導方法を理解しながら活動を進めることが大切です。まず児童・生徒数、教員数などの学校概要、年次推移、学校の歴史、伝統的な活動など確認しましょう。
PTA活動においては、保護者と教職員が信頼し協力して、教育の責任を分担し、対等な関係をつくり、教育課題を共有し、解決に向けて取り組む必要があります。校長との連絡を密にとり、学校の現状を理解し共有しましょう。
学校側の課題を聞き取り、保護者の要望事項を伝え、学校と連携しながら対応しましょう。
マスコミでも話題になりますが、PTA会費は、PTA活動のため利用し、学校運営費にあてるものではありません。
地域との連携
地域とのつながり、連携は大切です。個々の家庭だけでは子育てが困難な時代に、同地域に住む人同士の豊かな人間関係を、地域でのPTA活動の中で培いましょう。
保護者も地域の一員であり、子どもの卒業後もコミュニティを支える重要なメンバーです。
まず、地域や町内会などとの近年における連携状況を確認しましょう。
教育委員会、警察署や消防署などの業績間、民生委員(民生委員児童委員)などとの情報交換も有意義です。
導入が進むコミュニティ・スクール(以下、CS)については、単位PTAが果たす役割を、CS組織を俯瞰的に把握し認識することが必要です。
PTAは、あくまでもCSを一部を担う組織であり、横の連携を深めることがまず必要と考えます。
- できる人が、できる時に、できる事を、集まった人数で
- 活動の明瞭化、活動の柔軟性、組織の多様性
- 3Gから3Dへ(義務、犠牲、我慢から、できる人が、できる時に、できる事をへ)
PTA運営上の課題
任意加入の説明と入会意思確認
保護者に入会の意思を確認することなく、子どもの入学と同時に自動的に会員となる運営は、見直しの必要があります。PTAが任意加入であることを周知し、書面などでの入会意思の確認が必要です。個人情報の適切な取り扱い
2017年の個人情報保護法改正により、PTAも個人情報保護法の適用対象です。PTA規約や規則などの整備、運営体制の整備、万一の事故への対策など必要とされる対応を進めましょう。
入会案内書類での「個人情報取扱規則」の配布や提示、入会時の個人情報取り扱い同意書、個人情報の第三者(学校など)への提供などの対応が必要です。
会費徴収
PTA会費の徴収を学校に委託している場合は、個人情報の第三者提供、会費の徴収・引き落としの同意、学校との業務委託契約などの対応が必要です。
また、学校とPTAは別団体ですので、PTA独自の会費徴収の検討や、現金徴収を行なっている場合は、手数料が必要ですが、負担の少ないPTA会費もコンビニ払やクレジットカード払への切り替えを検討することも選択肢です。
未加入世帯の児童や生徒への対応
PTAは保護者と教職員による会員で構成される団体で、子どもは会員ではありません。その学校・園に通う子どもたちのために活動するPTAは、保護者がPTAに加入・未加入に関わらず、全ての子どもに平等な対応が必要です。
義務的・強制的な参加の課題
PTAの意義や目的、事業の意義や目的を丁寧に伝え、会員が主体的に活動に参加できるような工夫が必要です。必要であれば、事業継続の妥当性についての議論も必要です。
PTA会費の適切な使途
公費と私費の負担区分を確認した上で、PTA会費の適切な利用が求めらえwています。 PTA会費による学校へ寄付・寄贈についても、総会での決議や寄付採納の手続きなど、適切な手続きが必要です。充て職(あて職)
広報活動のヒント
広報のあり方
広報のあり方を考えた時、知らせることに重点を置いた広報活動より、考えさせるきかっけを作る広報活動は、現状を変えて行く推進力となるのではないでしょうか。広報の機能を考慮した、広報活動が理想的です。
- 記録性:PTAの活動記録
- 報道性:PTA活動、学校行事、PTAが抱える課題などを伝達
- 解説性:PTAや学校教育や家庭教育の課題などについてわかりやすく解説
- 啓蒙性:広報を通して会員を望ましい方向に導くなど、現状の課題に対する改善への取り組み
広報のポイント
- PTA活動の実態を伝えているか
- 会員が関心をもてる内容か
- 会員の声が反映されているか
- 社会教育としての視点があるか
- 地域との連帯感があるか
- 読みやすさ、見やすさは配慮されているか。
- 企画性やアイディアが見られるか
- 写真の活用は適切か
会長挨拶
挨拶のヒント
祝辞
式典の当日
- 登壇時の履き物は、可能であればスリッパ以外を利用
- 可能なら本番会場で、リハーサル
- 挨拶をされる来賓などと、会話をして緊張をほぐす
- 演台の前に立った時は、一旦ゆっくりと会場を見渡す
- スピーチ中も可能な範囲で、会場を見渡す
祝辞の流れ
学校の式典などにおけるPTA会長の所作の一例です。あくまで事例ですので、学校側とは事前の打ち合わせをするなど、流れを確認した上で、臨んでください。
- 腰から背中、頭まで一枚の板のようにまっすぐのばした状態で、上半身を曲げます。
- 角度は、敬意を表す30度が適切、視線は、自分のつま先の1〜2メートル先に落とします。
- 両手は伸ばし、男性は手を軽く握り、女性は右手が下になるように両手を重ね、太ももの上に置きます。
- 一番深く腰を曲げた状態で、2つ数えてからゆっくり体をおこします。
- 腰を曲げる時は早く、起こす時はゆっくり、が美しいおじぎのコツです。
子どもたちの安全対策
子ども110番の家とは
子ども110番の家とは
子どもが「誘拐や暴力、痴漢」など何らかの被害に遭った、または遭いそうになったと助けを求めてきたとき、その子どもを保護するとともに、警察、学校、家庭などへ連絡するなどして、地域ぐるみで子どもたちの安全を守っていくボランティア活動です。活動の内容
- 犯罪等の被害に遷い、または遭いそうになって救助を求めてきた子ども等の保護
- 事件・事故の発生を認知したときの110番通報、学校、家庭への連絡
- 日常生活のなかで、近所に子どもたちが被害に遭いそうな危険な箇所等を発見した場合の連絡
活動上の留意自校
- 子どものプライバシーを尊重し、秘密を守りましょう。駆け込んできた子どもがたとえ顔見知りであっても、その内容を安易に近所の人に話すことのないよう、注意してください。
- 子どもの立場にたった思いやりのある対応を、心がけましょう。
- 自分で犯人(不審者)に立ち向かおうなどという無理な活動は、決してしないようにしましょう。
子ども110番の家での対応要領
子ともが助けを求めてきたら、まず家の中に入れて保護してください。1.まず自分が落ち着く
話を聞く側があわてたり興奮したりしないよう、ます自分が落ち着いて子どもの話を聞いてあげましょう。2.子どもを落ち着かせる
「もう大丈夫。」などとやさしく声をかけて子どもを落ち着かせてあげることが大切です。3.子どもから話を闘く
- 静かな場所で話を聞く。(落ち眉いた雰囲気をつくる)
- 椅子にかけさせるなどして子どもと同じ目線で話す。
- 子どもの体調に気を配る。(気分が悪くないか、けがをしていないか等)
- 子どもの判断の参考となるような具体的な例を挙げて尋ねる。
- 子どもにわかりやすくゆっくりと話す。(強い口調は控える)
- 無理に答えを聞かない。(わからないことを何度も尋ねない)
- 緊急の場合は、110番通報をしながら話を聞いてください。
- 何があったか(連れ去り、わいせつ、声かけ、つきまといなど)
- いつ(_時_分)
- どこで(場所、目標物)
- 犯人(不審者は)は(性別、年齢、身長、体格、服装、特徴、逃走手段、車種、逃走方向など)
- 子どは(住所、氏名、電話、学校名、学年、組み)
4.110番通報する
「子ども110番の家」であることを告げ、あなたの住所、店名、氏名等を伝えてから聞きとり内容を順序よく話してください。- 本人が落ち着いていて自分で話ができる場合は、直接本人に110番させてください。