自殺者数、小中高生は過去最多 2024年

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家庭だけでなく学校や関係機関としっかりと連携して、子どのSOSに向き合うことが必要です!

自殺者数、小中高生は過去最多 2024年

全国PTA連絡協議会
出所:厚生労働省自殺対策推進室警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等のまとめ

小中高生の自殺者

警察庁の自殺統計をもとにまとめた2024年の自殺者数(暫定値)が、厚生労働省により2025年1月29日に公表されました。
全体の自殺者数は2万268人(同1,569人減)で、統計を取り始めた1980年以降で2番目に少なかったにも関わらず、小中高生は527人(前年比14人増)と過去最多となっています。

悩みを抱える子どもたちをどう支えていくか、国や自治体、NPO法人などで、今、さまざまな取り組みが進められています。
文部科学省では、教育現場で使えるIT大手や民間団体のサービス周知や、教員らが自らオンラインのアンケートを作る手順などの例示、コロナ禍を経て小中学生に1人1台行き渡ったタブレット端末の活用により、子どもたちに気持ちの変化やいじめの有無を定期的に入力してもらうことで、なるべく早くリスクを把握するなどの対策を講じています。

自殺のリスクをつかんだ後の保護者の対応として、家庭だけでなく学校や関係機関としっかりと連携して、子どのSOSに向き合うことが必要だと思います。勇気を持ってSOSを発した子どもたちに対して中途半端な対応は避け、専門家らの助言を受けるなど真摯な取り組みが必要とされています。

2023年 R5
(確定値)
2024年 R6
(暫定値)
前年差
小中高生 513人 527人 +14人
小学生 12人 14人 +2人
中学生 153人 163人 +10人
高校生 347人 349人 +2人

小中高生の自殺者数の年次推移

小中高生の自殺者は2020年(R2)に前年比100人増の499人と大幅に増加し、以降は、500人前後で高止まりしています。

小中高生の自殺者数の年次推移

小中高生の自殺者数の年次推移(性別)

男女別では、男子が239人と前年より20人減った一方、女子は34人増の288人となっています。
女子は、2009年(R1)以降では最も多くなり、初めて女子が男子を上回る状況となりました。特に、中学生と高校生の女子の増加が目立ち
・中学生の女子は前の年より19人増えて99人
・高校生の女子は前の年より17人増えて183人となりました。

男子

小中高生の自殺者数(男性)

女子

小中高生の自殺者数(女性)

原因や動機を年代別に見ると19歳以下における複数回答の上位は以下のようになっています。

  • 学業不振や進路に関する悩みなどの学校問題 … 349件
  • うつ病などの健康問題 … 284件
  • 親子関係の不和など家庭問題 … 148件
子どもの数は年々減っているのにも関わらず自殺する子が増えています。自殺者数の年次推移グラフを見れば見るほど「何かおかしな状況」と感じます。未来ある子どもたちのためにも、保護者として今の教育や社会について、今一度考えてみる必要があると考えます。
出所:厚生労働省自殺対策推進室警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等のまとめ

自殺者全体の状況

過去5年間の月別自殺者数の推移(総数)

2024年(R6)12月の自殺者数(1,359人:暫定値)は、対前年同月比202人(約12.9%)減少、2024年1月〜12月の累計自殺者数(20,268人:暫定値)は、対前年同月比1,569人(約7.2%)減となりました。

月別自殺者数の推移

2023年(R5)及び2024年(R6)12月の比較(都道府県別)

自殺者数(単位:人)

対前年自殺者数の増減率を見ると、
増加率の上位5県は、山口県:21.7%、徳島:12.0%%、高知:8.4%%、青森:7.6%、新潟:2.7%、
減少率の上位5県は、和歌山:-29.0%、石川:-28.4%、山梨:-19.1%、茨城:-16.3%、兵庫:-15.3%となっている。

自殺者数等の比較

年率換算した自殺死亡率(単位:人)

  • 自殺死亡率は、人口10万人当たりの自殺者、人口は、総務省「人口推計」の「各年10月1日現在人口」(2023年)
  • 年率換算した自殺死亡率とは、各月の自殺者数を年間の自殺者数に換算して算出した自殺死亡率である。
年率換算した自殺死亡率

月別年率換算した自殺死亡率の推移

自殺死亡率の推移

自殺者数の年次推移

2024年1年間に自殺した人は暫定値で2万268人で、前の年から1,569人減少しています。また、1978年の統計開始以降、2019年(R1)の2万169人に次ぐ少ない人数となりました。2020年以降の新型コロナウイルス禍で増加傾向がみられましたが。コロナ禍以前の水準に戻っています。
性別でみると男性が1万3763人、女性が6505人となっています。

自殺者数の年次推移

自殺死亡率の年次推移

政府が2026年までに人口10万人あたり13人以下にすると目標に掲げる自殺死亡率は、2024年度の暫定値で22.8人となっています。
男女別では、自殺者数、自殺死亡率共に男性が高い傾向が続いています。

自殺死亡率の年次推移

ウェルテル効果

ウェルテル効果については、2024年5月の男性タレントの自殺をめぐる報道後2~3週間における自殺者数が、予測値よりも上ぶれし、ウェルテル効果の可能性があることが示唆されています。当時、厚生労働省では、自宅前などからの中継といった一部メディアの報道に対し注意喚起をしていました。


ウェルテル効果は、著名人の報道後に自殺者数が増える現象の要因とされ、世界保健機関(WHO)が「自殺報道に関するガイドライン」を作成しています。
以下は、世界保健機関(WHO)が2023年9月に公開したメディア関係者向けガイドライン「自殺予防を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識 2023年版」です。 WHO ≫ 

するべきこと

  • 自殺を考えたり自殺の危機が高まったりしたときに、どこに、どのようにして助けを求めればよいか、正しい情報を提供する。
  • 自殺や自殺予防に関して、正確な情報に基づいた事実を周知する。
  • 生活の中でストレスを抱えたり、自殺を考えたりしたときの対処法や助けを求めることの大切さについて報道する。
  • 有名人の自殺を報じる際には、特に注意を払う。
  • 家族や友人などを自殺で亡くした方、自殺を考えたことがある方や自殺未遂をしたことがある方に取材をする際には、慎重に行う。
  • 自殺について報道するときに、メディア関係者自身がその影響を受けてしまう可能性がある。

してはいけないこと

  • 自殺に関する内容をトップニュースとして扱ったり、報道を漫然と繰り返したりしない。
  • 自殺の手段を描写しない。
  • 場所に関する名称や詳細な情報を伝えない。
  • 自殺をセンセーショナルに扱ったり、美化したり、よくある普通のこととして扱ったり、あるいは問題を解決する有効な方法のように紹介したりする言葉やコンテンツは使用しない。
  • 自殺の原因を単純化したり、一つの要因に決めつけたりしない。
  • 見出しにセンセーショナルな言葉を使わない。
  • 自殺関連の写真、ビデオ映像、録音した音声、デジタルメディアやソーシャルメディアへのリンクを使用しない。
  • 遺書の詳細を報じない。
出所:一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター WHO自殺報道ガイドライン 2023年版(日本語訳を公開)
ウェルテル効果とパパゲーノ効果

ウェルテル効果

ウェルテル効果とは、マスメディアの自殺報道に影響を受け、自殺が増える事象のことでアメリカの社会学者ディビッド・フィリップスがその存在を広めました。

ウェルテル効果の名称は、ゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」に由来しています。この作品は、1774年の出版当時、ヨーロッパでベストセラーとなっています。作品お一部に、青年ウェルテルが婚約者のいるシャルロッテに恋をし、叶わぬ思いに絶望して自殺する記述があり、主人公ウェルテルに影響を受けた自殺者が急増するなどの社会現象を引き起こしました。このため同書は「精神的インフルエンザの病原体」とまで呼ばれ、一部の国での販売禁止もありました。

パパゲーノ効果

パパゲーノ効果とは、自殺を踏みとどまったエピソードなどに触れることにより、自殺死亡率が低下するという2010年に発表された学説です。

具体的にはオーストリアで半年の間に報道された自殺関連の記事497本と自殺死亡率の関係を調べたところ、自殺を考えていた人がその危機を乗り越えた報道記事と自殺死亡率には負の相関があることがわかり、死にたいような厳しい状況下でも前向きな対処法を紹介する報道には、自殺を思いとどまらせる可能性があると結論づけられています。

パパゲーノ効果の名称は、モーツァルトのオペラ「魔笛」の登場人物名が由来といわれています。
愉快な鳥刺し男、パパゲーノは恋人を連れ去られ自殺を考えますが、三人の童子から魔法の鈴を使うよう勧められます。その鈴を鳴らすと女性が現れ、自殺をやめるというエピソードにちなんだものです。

2024年2月11日調べ

困った時の相談先

電話で相談

24時間子どもSOSダイヤル(文部科学省)

子どもたちが全国どこからでも、夜間・休日を含めて、いつでもいじめやその他のSOSをより簡単に相談することができるよう、全都道府県及び指定都市教育委員会で実施しています。
下記のダイヤルに電話すれば、原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関に接続します。

Tel. 0120-078310(年中無休24時間受付)

子どもの人権110番(法務省)

「いじめ」や虐待など子どもの人権問題に関する専用相談電話です。

友達から「いじめ」にあって学校に行きたくない、家の人にいやなことをされる、部活動で暴言・暴力を受けているなど、先生や親やは話はなしにくいけど、このままではどうしていいか分わからない、誰も気づいてくれない・・・。
このような悩みがあったら、迷わず電話してください。
「まわりでこんなことで困っている人がいる」という相談でもいいです。

Tel. 0120-007-110(平日8:30〜17:15)

いのちSOS(NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク)

いのちが限界だと感じたら、どうかSOSを聴かせてください。「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」。あなたのそんな気持ちを、専門の相談員が受け止めます。
チャットで相談も可能です。詳しくは ≫

Tel. 0120-061-338(年中無休24時間受付)

チャイルドライン(NPO法人 チャイルドライン支援センター)

チャイルドラインは子どものための相談先(18歳までの子どものための電話)です。
ちょっとしたことでも、おしゃべりしたいだけでも大丈夫。どんなことでも話してね。
アプリなどでも相談も可能です。詳しくは ≫
チャットでの相談は、こちら ≫

Tel. 0120-99-7777(毎⽇16:00〜21:00)

BONDプロジェクト(NPO法人 BONDプロジェクト)

10代20代の生きづらさを抱える女の子のための女性による支援を行っています。
LINE相談など詳しい情報は、こちら ≫

Tel. 080-9501-5520(火曜日13:00〜17:00、木/土曜日18:00〜22:00)

SNSで相談

生きづらびっと(NPO法人 ライフリンク)

「生きづらびっと」は、「死にたい」「消えたい」といった、あなたのつらい気持ちを安心して話していただくことのできるSNS相談です。 私たちは、お気持ちを受け止めつつ、必要があれば様々な分野の実務的支援へとつなぐ「生きることの包括的な支援」を行っています。詳しくは ≫

生きづらびっとでのご相談は、(毎⽇08:00〜22:00)

こころのほっとチャット(NPO法人 東京メンタルヘルス・スクエア)

誰かに話したいことがあるけど、話せる人がいない。一人で抱えているのはつらいけど、口に出すのもつらい。そんなとき、「こころのほっとチャット」にアクセスしてみてください。あなたは一人ではありません。私たちとつながっています。
お互いに顔も見えない、声も聞こえないチャットだからこそ、話せることもあるのではないでしょうか。
抱えているものを誰かに話すことは、離すことにもつながります。あなたの気持ち、思い切って話してみませんか。
相談時間帯など詳しい情報は、詳しくは ≫

こころのほっとチャットのご相談は、(事前に時間帯をご確認ください)

あなたのいばしょ(NPO法人 あなたのいばしょ)

24時間365日、誰でも無料・匿名で相談 詳しくは ≫
あなたのいばしょでのチャット相談は、こちら ≫

2024年2月11日調べ

こんな時はここへ相談

緊急の場合は

警察(110番)消防(119番)

Tel. #9110警察に対する相談は、警察相談専用電話へ 詳しくは ≫ 

Tel. #7119救急車を呼ぶか迷った時は、救急安心センター事業へ相談 詳しくは ≫ 

望まない性行為

性犯罪・性暴力に関する相談窓口です。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携しています。
内閣府男女共同参画局 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 連絡先一覧 ≫ 

一つでもあてはまると感じた時は

Tel. 189児童相談所虐待対応ダイヤル 詳しくは ≫ 

  • 通話料無料です。通告・相談は、匿名で行うこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は守られます。
身体的
虐待
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的
虐待
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグ
レクト
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的
虐待
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

子どものメンタルヘルス

保護者と地域
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