学校運営協議会制度と関連制度

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コミュニティ・スクールについて、今一度を確認してみよう!

学校運営協議会制度と関連制度

コミュニティ・スクール
地域と学校が共によりよい学校をつくるための「コミュニティ・スクール」を導入する学校の割合が、全国の公立学校の5割以上を占めるようになりました。学校評議員制度、地域学校協働本部、スクール・コミュニティなどとの違いなどをまとめいています

学校運営協議会制度(CS)とは

学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)とは、学校運営協議会を設置している公立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・義務教育学校・中等教育学校のことを意味します。

コミュニティ・スクールは、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。

コミュニティ・スクールでは、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことができます。

コミュニティ・スクールは、「地域とともにある学校づくり」を進める法律(地教行法第47条の5)に基づいた仕組みで、教育委員会が学校に設置します。

  • 地方教育行政の組織及び運営に関する法律

コミュニティ・スクールの主な役割

  • 校長が作成する学校運営の基本方針を承認する
  • 学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる
  • 教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる

コミュニティ・スクールの経緯

コミュニティ・スクールは、2004年に制度として導入されましたが、当初は、制度を活用する学校は多くありませんでした。また、すでに学校と強い連携のある地域にとっては、制度利用による新たなメリットを感じにくい側面もありました。

その後、人口減少などが進み、地域の中心的存在である学校の存続も危ぶまれる状況が各地で見られるようになりました。こうした状況もあり、コミュニティ・スクール制度は、「社会とともにある学校」をキーワードに、教育を通してまちづくり・ひとづくりに力を入れようとする施策として、2017年の法律改正により、コミュニティ・スクール設置が教育委員会の努力義務化となりました。

コミュニティ・スクールの仕組み

コミュニティ・スクール
出典:文部科学省 コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

CSと地域学校協働本部の実施状況

コミュニティ・スクール導入の自治体数

導入自治体数は、38都道府県、1,347自治体(74.3%)となっています。

コミュニティ・スクール導入校数

公立学校
全体
うち、小・中
義務教育学校
コミュニティ
スクール
18,135校(52.3%) 16,131校(58.3%)
地域学校
協働本部
21,144校(61.0%) 19,812校(71.7%)

コミュニティ・スクールと地域学校協働本部の一体的な実施状況

コミュニティ・スクールのみ 4,649校(13.4%)
地域学校協働本部のみ 7,658校(22.1%)
両方あり 13,486校(38.9%)
いずれもなし (25.6%)

文部科学省の方針

文部科学省では、コミュニティ・スクールの更なる導入の加速化、地域学校協働活動との一体的な取組の推進など取組の質の向上を図るとして、次の様な方針を掲げています。
  • 導入が進んでいない自治体に対するCSマイスターの重点的な派遣
  • 地域学校協働活動推進員の配置充実、常駐的な活動、資質向上等への支援
  • 全国フォーラムや自治体向け説明会・協議会、文部科学大臣表彰の実施
CSマイスター CSマイスター(コミュニティ・スクール推進員)は、文部科学省等からの依頼を受けて、コミュニティ・スクールの導入及び拡充を推進する教育委員会や学校関係者等に対する継続的な助言及び支援、その他地域とともにある学校づくりの促進に向けて必要なことを行います。
推進員には、コミュニティ・スクールの導入や実践経験を有する元校長や教育長、学校運営協議会会長等が委嘱されています。文部科学省からの派遣の場合、旅費及び謝金を支給されます。
出典:文部科学省 2023年度 コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査

CSの導入状況[3ヵ年の推移]

都道府県・指定都市別/全校種

コミュニティ・スクール導入率

自治体別導入率 都道府県別/全校種

コミュニティ・スクール導入率
※各都道府県には、指定都市を含みます。
出典:文部科学省 2023年度 コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査(2023年11月28日)

CS以外の組織や制度

CSとの比較

コミュニティ・スクール(学校運営協議会)については、「PTAがあるので、同様の組織は不要」「既に他の組織で学校に参画している」「保護者も地域の負担が増える」などの声もあります。

実際、コミュニティ・スクール以外にも、地域と学校をつなげる仕組みは、PTAや学校評議員制度、地域学校協働本部などさまざまな組織があり、各組織の目的や設置者が異なります。

今後は、各組織がコミュニティ・スクールと連動性を高める動きがより強まり、地域の資源を生かした教育活動がよりスムーズに行われるようになると思われます。

各組織や制度の形態やメンバー

組織名称 開始時期 組織形態 活動のメンバー
コミュニティ
スクール
2004年 教育委員会
設置の機関
教育に対して知識や経験を持つ
保護者や地域住民などと校長
学校
評議員制度
2000年
校長設置の
任意団体
校長が推薦し、学校の設置者が委嘱
基本的に地域外の人物でも可
地域学校
協働本部
2007年 任意団体 PTA、NPO、民間企業など
複数の団体や組織、個人
PTA 1946年以降 任意団体 学校の保護者と教職員

学校評議員制度

学校評議員制度とは

学校評議員制度は、地域住民の学校運営への参画の仕組みを新たに制度的に位置付けるものとして、2000年より制度化されています。

学校評議員の設置は、設置者判断で、学校評議員の人数や任期など具体の在り方も、設置者が定めことなっています。学校評議員の委嘱は、当該学校の職員以外で、教育に関する識見と理解のある者から校長の推薦により、設置者が委嘱します。

学校評議員は、学校や地域の実情に応じて、学校運営に関し、次のことがができるとされています。

  • 保護者や地域住民等の意向を把握し反映すること
  • 保護者や地域住民等の協力を得ること
  • 学校運営の状況等を周知するなど学校としての説明責任を果たしていくこと
制度形骸化の意見も 学校運営に関し,地域住民や保護者等の意向を把握し反映することができる仕組みですが、実質的な制度の形骸化等について指摘もありました。
具体的には、「会合開催数が少なく,学校評議員が学校の実態を十分に把握しておらず,議論が活発化しない」「地域の名誉職が評議員となるため、地域のご意見番という性格が強く、組織的ではなく個人的な動きになりやすい」「建設的な意見がなく、形式的で学校が一方的に報告する会議となっている」「様々な助言はもらえるものの,課題解決のアクションを起こすのが学校だけではオーバーワークで機能しない」といった内容です。

学校運営協議会制度と学校評議員制度の比較

コミュニティ・スクールのメンバーである学校運営協議会委員は、学校評議員と異なり、単に意見を言うだけでなく、学校運営に参画し、校長が作成した学校方針を承認したり、意見を述べることで、共に学校を作っていくという役割を担っています。

学校運営協議会委員の権限は、学校評議員に比べて強く、委員による意見は、校長や、教育委員会に対して一定の拘束力があります。学校運営協議会での意見には一定の責任があり、共に学校を創っていくという意識を持った取り組みが必要とされます。

学校運営協議会制度

目的

保護者や地域の住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画することにより、その ニーズを迅速かつ的確に学校運営に反映させ、よりよい教育の実現に取り組む。

位置付け

学校の運営について、一定の範囲で法的な効果を持つ意思決定を行う合議制の機関で、校長は学校運営協議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を実施する。

具体的な権限

  • 学校の運営に関する教育課程の編成に関する事項、予算執行に関する事項、組織編制に関する事項、施設・設備等の整備及び管理に関する事項の基本的な方針について承認する。
  • 学校の運営に関して教育委員会又は校長に対し意見を述べることができる。
  • 教職員の採用等に関して任命権者に意見を述べることができ、任命権者はこれを尊重する。
  • 保護者等の意見・要望の把握、学校運営状況に係る点検・評価及び保護者等への情報提供などを行う。

学校評議員制度

目的

開かれた学校づくりを一層推進していくため、保護者や地域住民等の意向を反映 し、その協力を得るとともに、学校としての責任を果たす。

位置付け

  • 校長が必要に応じて学校運営に関する保護者や地域の方々の意見を聞くための制度
  • 学校評議員が個人としての立場で意見を述べるもので、校長や教育委員会の学校運営に関して直接関与したり、拘束力のある決定をするものではない。

具体的な権限

学校評議員には、具体的な権限は特になく、校長の求めに応じて又は必要と認めるときは、学校運営に関する意見を述べることができる。

学校運営協議会制度を設置した後の学校評議員制度

教育に対する考え方により異なりますが、2つのパターンがあると思います。
  • 学校評議員を学校運営協議会委員に選出するなどして、学校評議員制度を廃止する。
  • 学校評議員制度は残し、1〜2人に数を絞って校長の相談役(コンサルタント)とする。
文部科学省では、学校評議員制度をステップアップして、学校運営協議会への移行を推奨しています。
なぜなら、学校評議員制度より学校運営協議会制度は、保護者・地域住民等の学校運営等への参画が保障された仕組みであり、また、内容と人選も重複する部分があるためと考えられます。

CSの類似の仕組み

○○型コミュニティ・スクールといった名称で、法律に基づかないものの、独自に学校運営協議会類似の仕組みを取り入れ、地域住民や保護者等が活発に学校運営に参画している地域もあります。

そうした地域においては、学校と地域の連携・協働関係,信頼関係の土台ができている面もあり、教育長・校長の声として、類似の仕組みも含めた多様なコミュニティ・スクールの在り方を求める声もあります。

文部科学省の2023年の実施状況調査によると、学校運営協議会類似の仕組みを設置している学校は、4,818校で、前年度から1,334校減少しています。一方、学校運営協議会制度を新たに導入した公立学校は、前年度に比べ2,914校増となっています。

ここでいう、類似の仕組みとは、地域の人々や保護者等が学校運営や教育活動について協議し意見を述べる会議体のことで、学校評議委員や学校関係者評価のみを行うことを目的とした委員会は含みません。

類似の仕組み実施状況[3ヵ年の推移]

都道府県・指定都市別/全校種

類似の仕組み導入率
出典:文部科学省 2023年度 コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査(2023年11月28日)

CSとスクール・コミュニティ

コミュニティ・スクールと似ている仕組みとして、単語の順番が異なる「スクール・コミュニティ」というものがあります。

コミュニティ・スクールは学校の課題などを共有し、共に解決を考えるミクロな視点であるのに対して、スクール・コミュニティは、学校と地域を取り巻く繋がりそのもの、教職員との繋がりや、家庭・地域住民との関係性向上の推進を考えるマクロな視点のものです。

コミュニティ・スクールは、子どもの育成、スクール・コミュニティは、社会全体の育成や生涯学習とも言えます。

コミュニティ・スクールは、学校運営協議会制度ですが。スクール・コミュニティは制度ではなく、あくまでもビジョンとして存在するものです。
学校や地域の中で、コミュニティ・スクールや、地域学校協働本部、PTA、地域イベントなどを実践していく中で、スクール・コミュニティが実現していくと考えられます。

コミュニティ・スクールは、具体的にやることとメリットが明確であることに対して、スクール・コミュニティは抽象的です。スクール・コミュニティは、「地域目線の活動により、人々の結びつきが強化され、地域が豊かになっていくもの」で、まちづくり的な目標として理解しておきましょう。

両者の違い

コミュニティ・スクール スクール・コミュニティ
設置 文部科学省 初等中等教育局
… 幼小中高の教育
文部科学省 社会教育課
… 社会教育、公民館、図書館等
目的 「開かれた学校」から更に一歩踏み込んだ
「地域とともにある学校」への転換
学校を核とした、また学校という場や関係を
利用した人々の結びつきを形成
制度
背景
・学校の人材不足
・子どもたちを取り巻く環境や
 学校が抱える課題が複雑化・困難化
・学校という存在の希薄化
・教員、子どもたちと地域住民の縁が希薄化

活動
内容
・学校運営協議会の設置
・地域の学校運営への参画
・地域の当事者意識の向上
・地域ボランティアの居場所、体験活動の促進
 (放課後子ども教室、地域学校協働本部など)
・学校と地域の交流機会の増加

地域学校協働活動

地域学校協働活動とは

「地域学校協働活動」とは、地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動です。

子どもの成長を軸として、地域と学校がパートナーとして連携・協働し、意見を出し合い学び合う中で、地域の将来を担う人材の育成を図るとともに、地域住民のつながりを深め、自立した地域社会の基盤の構築・活性化を図る「学校を核とした地域づくり」を推進し、地域の創生につながっていくことが期待されます。

例えば、子どもたちが地域に出て行って郷土学習を行ったり、地域住民と共に地域課題を解決したり、地域の行事に参画して共に地域づくりに関わるといった活動が挙げられます。

地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支える仕組み

地域学校協働活動
出典:文部科学省 地域学校協働活動

地域学校協働本部とは

地域学校協働本部とは、多くの幅広い層の地域住民、団体等が参画し、緩やかなネットワークを形成することにより、地域学校協働活動を推進する体制として、平成27年の中央教育審議会の答申で提言されたものです。

連携の体制は様々な形態があり得るため、地域学校協働本部について法律上の規定はありませんが、改正後の社会教育法の第5条及び第6条の規定では、教育委員会が地域学校協働活動の機会を提供するに当たって、地域住民等と学校の連携協力体制の整備が求められており、地域学校協働本部の整備のための支援もその取組の一つです。

地域学校協働本部の整備にあたっては、地域と学校のパートナーシップに基づく双方向の「連携・協働」を推進し、「総合化・ネットワーク化」へと発展させていくことを前提とした上で、次のの3要素を必須とすることが重要とされています。

  1. コーディネート機能
  2. 多様な活動(より多くの地域住民等の参画による多様な地域学校協働活動の実施)
  3. 継続的な活動(地域学校協働活動の継続的・安定的実施)

今後の地域における学校と体制(地域学校協働本部の在り方)目指すべきイメージ

地域学校協働本部の在り方
出典:文部科学省 地域学校協働活動)

地域学校協働本部の整備状況

都道府県・指定都市別/全校種

地域学校協働本部の整備率
出典:文部科学省 2023年度 コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査(2023年11月28日)

CSと地域学校協働本部の一体的な整備状況

全国の公立学校のうち38.9%が、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部を一体的に整備しています。

都道府県・指定都市別/全校種

地域学校協働本部の整備率
出典:文部科学省 2023年度 コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査(2023年11月28日)

地域の住民として

文部科学省「地域学校協働活動ハンドブック」の中で「教育委員会、地域、学校は何をすればいいのでしょう」として、以下の様に述べています。

これまで学校支援地域本部のような活動が十分に行われていない地域では、まずは、話すことから始めましょう。
大切なのはコミュニケーションです。
地域の方々と学校が顔を合わせて話合い、学校には今どんな課題があるのかを知り、地域はそれに対して何ができるのかを一緒に考え、また学校も、地域が抱える課題を知り、学校としての役割を考えます。

とはいえ、地域と学校がお互いの課題を共有する段階にすぐに到達できるわけではありません。
お互いを知ることから始めて、無理のない活動から徐々にその幅を広げる中で、地域住民の参画を促し、学校との連携を強化し、地域学校協働本部として発展していくことが期待されます。
登下校の見守り、学校周辺環境整備等、放課後や土曜日等の学校支援活動など、それぞれの地域の特性に応じた実行可能な活動からスタートしてみましょう。

学校については

地域学校協働活動の実施に当たっては、学校内に地域との連携・協働の窓口となる教職員が必要です。
学校によっては、これまで以上に校務分掌が増えることに躊躇することがあるかもしれません。ですが、前述のとおり、学校と地域が連携・協働することで得られるメリットが極めて大きいことは明らかです。

学校が積極的に地域と連携・協働することは、授業内容の質を高め、生活指導等の面での充実などプラスに作用します。校内の担当者と地域学校協働活動推進員等との定期的で密な連絡調整により、学校の支援ニーズ把握や地域情報の収集が可能になり、企画の提案や実施に向けた取組が円滑に行われるようになります。

出典:文部科学省 生涯学習政策局 文部科学省 地域学校協働活動ハンドブック(2018年)
PTA
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