時代にあったPTA運営に向けて、PTA改革を進めるには?
PTA改革を進めるには
PTA運営のアップデートが必要な背景
従来の活動スタイルを見直し、時代にあったPTAとして、参加したくなるPTAを目指しましょう。
- PTA活動の担い手である保護者の社会環境の変化
- インターネット接続機器の普及
- PTAも個人情報保護法の適用対象
- PTA組織としてのコンプライアンス(法令遵守)
- PTA組織としてのアカウンタビリティ(説明責任)
- 子どもたちや学校現場へのICT導入
共働きの比率は71.0%に
インターネット接続機器の普及
インターネット接続機器の保有率
下表は、子どものいる世帯における大人の人数別の保有率です。大人2人以下 | 大人3人以上 | |
---|---|---|
パソコン | 75.6% | 77.3% |
モバイル端末 | 98.7% | 95.2% |
携帯電話 | 14.4% | 22.0% |
スマートフォン | 97.0% | 91.9% |
タブレット型端末 | 59.6% | 49.5% |
集計世帯数* | 3,451人 | 784人 |
- 集計世帯数は比重調整後の数値、調整前の集計世帯数2,718人、944世帯
PTAも個人情報保護法の適用対象
個人情報の取り扱いについて定めている「個人情報保護法」は2017年に改正、2019年より施行されました。
改正前の個人情報保護法は、5,000人以下の個人情報を取り扱う事業者は法の対象外とされていましたが、改正に伴って人数制限がなくなり、PTAも個人情報保護法の適用対象となりました。
個人情報を取得・利用、保管・管理はもちろんですが、個人データを第三者に提供するときなどの配慮、事故対策などにも対応が必要な時代となっています。
PTA組織としてのコンプライアンス(法令遵守)
法律の改正や、PTAの在り方への理解が進む中、子どものためにと良い理念を持っていたとしても、コンプライアンス上問題のある運営では、PTAの存続は難しいものがあります。
コンプライアンスとは、狭い意味では、法令遵守ですが、法令だけにとどまらず、社会規範やルールまで含めて遵守しながら、PTA活動を行っていくことが求められています。
- PTA任意加入の説明、PTA加入の意思確認
- 個人情報の適切な取り扱い
- 学校への寄付や寄贈の適切な手続き
- 活動の強制、免除理由の開示強要
PTA組織としてのアカウンタビリティ(説明責任)
学校、全児童・生徒、保護者は、直接的&間接的な利害関係者で、いわゆるはステークスホルダーともいえます。
PTAは、任意の社会教育団体ですが、公共施設を利用し、全ての子どもたちを対象とした事業を行っているため、関係者である学校や、全ての保護者に対して、事業の目的や内容、会費の使途などについての説明責任が求められています。
また、地域との連携がある場合には、地域に対する対応も必要となります。
子どもたちや学校現場へのICT導入
GIGAスクール構想とは、2019年から5年間の計画で、義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する文部科学省の取り組みです。
その目的は、子どもたち一人一人の個性に合わせた教育の実現にあります。さらに、教職員の業務を支援する「統合系校務支援システム」の導入で、教員の働き方改革につなげる狙いもあります。
GIGAスクール構想に沿った対応は、校内LANの整備、学習者用PC、学習と校務のクラウド化、ICTの活用の4点です。
PTA改革にあたっての課題
ネガティヴイメージの根底には?
よく指摘される課題
PTA改革を進めるには
課題の整理
PTAの活動事例集などには、「組織運営の透明化、スリム化、円滑化、活性化をめざして」と謳われているものが多くあります。担い手の環境が大きく変わる中で、PTA活動のスリム化は必須だと思います。
一方で、スリム化のため、事業を削減することばかりに注力すると、必要な要素まで失ってしまうリスクがあります。事業の見直しには、目的、負担、成果などを考え、丁寧な話し合いを重ねることが重要です。
失ってはいけないことは、「合意形成のためにかける労力」です。
コンプライアンスが絡む課題 | 組織の運営や事業 |
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PTA改革をどこから進める?
できる人が、できる時に、 できる事を、集まった人数で
3.コンプライアンス上の優先課題の解決
「個人情報の適切な取り扱い」「学校への寄付や寄贈の適切な手続き」「免除理由の開示強要、」「未加入者の子どもへ対応」などは早急な対策が必要です。
一方で、「任意加入の説明」「加入の意思確認」「役員や委員の選出方法」などは、規約の改正など様々な準備が必要となり、時間をかけた対応が求められます。
4.組織の運営や事業における課題の解決
本部だけに限りば、比較的取り組みやすい「ITツール導入と積極的な利活用」「事務的作業の見直し」「個人情報の扱い」など、対応できる部分から着手しましょう。
給食費の公会計化に伴い、PTAが独自で会費の徴収を行うケースも増えています。負担の大きい現金集金の代替方法を検討するには良い機会かもしれません。
コンビニ払いやクレジットカードの導入を検討される場合には、決済会社の審査や手続きなどの時間を考え、早めの対応をお勧めします。
PTA改革を行う場合は、事業内容の変更を伴うケースも多いと思います。
PTAのOBからは「私たちがやってきた活動の全否定だ」、校長や他の役員からは「面倒なことはしたくない、前例踏襲でいきましょう」などの場面もあるかもしれません。
OBや地域の皆様への説明には、歴代のPTA皆様が行ってきた過去の活動について、感謝と敬意をもっての対応が重要です。その上で、PTAの担い手である保護者の社会環境の変化を丁寧説明する必要があります。
- 学校の伝統やしきたりなど学校ならではの特色
- 保護者の人数(学校に在籍の児童・生徒数)
- 学校立地による地域性(古くからの住民が多い地域や、新しく転居された方が多い地域など)
- 町内会との関わり
- 組織運営のアップデート状況(時代にあった運営見直しがされているか)
改革におけるポイント
組織の多様性
組織の多様性とは、今まで、PTAにあまり縁のなかった方を含め、様々な保護者が活動に関われる組織づくりのことです。
具体的には、保護者がスポットで気軽に参加できる活動や、ICTを利用したタイムリーな運営などがあります。また、活動の意義や目的の見直し、新たな活動の開始なども、様々な人を呼び寄せるきっかけになります。
活動の柔軟性を目指す際には、効率性の重視だけではなく「続けたい人がいるかも」の視点も重要です。少数の方からでも必要とされる活動であれば、少ない協力者でも運営できる形式に変えていくなどの工夫も必要です。
できることからスタート
多様性
柔軟性
パトロールなどはエントリー形式に
保護者が都合にあわせて参加可能なエントリー方式に移行。地域の協力も得られるように協議中。PTA規約の改正(人数関連)
- 規約にあった役員や委員の人数を「〇〇名」から「数名」「若干名」などに規約変更、年度により柔軟性のある運営が可能に。
- 学級単位で1名選んでいた委員を、学級にこだわず学年全体からの選出する形式に変更
アンケートを利用して事業アイデア募集
アンケートを利用して「子どもたちのためにこんな活動をやってみたい!」という保護者のアイデアを募集。運営へのアドバイスは本部が行い、サポーターを募集して保護者のアイデアを実現。
ベルマークをWebと併用に
Webベルマークに切り替え、プリンタインクなどのベルマーク集めも、ボランティア前提での存続。効率化
定期総会を書面総会に
出席しなくても意見表明が可能な仕組みをとりいれて、新方式に移行。- 総会の案内状に対する返信は、意思が表明できる形式にした書面総会の実施
- Googleフォームを利用した定期総会の実施
オンライン会議の利用
自宅や勤務先からでも手軽に参加できるので、会議の負担が大幅に減少。資料の画面共有や、録画、文字起こしなどを利用し、会議の省力化・効率化が実現。
情報共有にグループウエア
情報共有や文書管理など、PTA本部でのオンラインツールの利用を進め、学校以外での活動も当たり前に。会費徴収をキャッシュレス化
給食費の公会計化が導入され、PTA会費は、PTAによる独自徴収が必要に。負担の大きい現金集金のではなくコンビニ払いやクレジットカード払いを検討。
銀行・デビットカード
可視化
PTAの手引き改訂で、活動をわかりやすく見える化
PTAはどんな活動をしているのかわからないという声に対応して、活動内容を具体的に分かりやすくなるようPTAの手引きを全面改訂し配布。アンケートによるの保護者意見の収集
Googleフォームを利用した保護者アンケートを実施。PTAとして取り組みが必要な課題の発見、PTAが考える行事のあり方に対する是非などに活用。
スケジュールシートやマニュアル
年間の行事日程はもちろん、行事の具体的な内容や、必要な時間や人数などマニュアル的書類を、デジタルで記録。関係者が情報共有しやすい環境になり、役員や委員候補者の不安解消にも一役。
業務量が見える化されたことで、業務の棚卸しや改善点などの検討にも寄与。
負担情報共有や文書管理など、PTA本部でのオンラインツールの利用を進め、学校以外での活動も当たり前に。
広報活動を紙からデジタルに
フォーマットがあるホームページサービスやブログを利用した情報発信に切り替え。ホームページや広報紙など、PTAの広報紙コンクールに入賞するようなPTAもありますが、プロ顔負けの制作が誰もができるわけではありません。 担い手の継続性を考え、担当者が変わった場合の負担軽減ルールなどが必要です。
スキルがある担当者の場合には、工夫凝らすなども良いと思います。
受信型の情報発信に切り替え
保護者がアクセスする必要がある情報発信ではなく、保護者が受信する形式の情報発信に切り替えたことで、活動の様子を、リアルタイムで伝えること可能に。
学校配信メールの利用が難しいPTAでは、コドモン、がくぷり、マチコミなどの有料アプリを導入するPTAもあります。
コンプライアンス
公費・私費の負担区分の改善
教育委員会や行政などとも相談し、PTAによるカーテンクリーニングなどの慣習を整理。個人情報の適切な取り扱い
学校→PTA、PTA→学校への個人情報提供、本人の同意など実態には問題があったが、ネット上には数多くの事例があり、規約改正や書類作成は思ったより、スムーズ。教育課題の共有と取り組み
学校との対話の場
校長、副校長と役員のみが参加していた月例会議を、委員からの出席者を募り、教育課題を共有や話し合いの機会を設定し、教育課題を共有。行政との対話の場
- 全ての単P会長と自治体の首長が、教育課題を共有や意見交換をできる会議を年1回の定期的開催に。
- 全ての単P会長と自治体の教育長が、教育課題を共有や意見交換をできる会議を年1回の定期的開催に。