いじめ しない・させない・見逃さない

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子どもと周囲の大人ができることを考える

「いじめ」しない・させない・見逃さない

全国PTA連絡協議会

いじめは、一人ひとりが生まれながらに持つ「人権」を侵害する行為です。

いま「いじめ」への子どものかかわりかたは、様々です。いじめをする子ども、いじめを受ける子ども、いじめを面白がってはやしたてる子どもや、ただ傍観するだけの子ども ……。

以下の内容は、政府広報:ここにもあります!相談できる窓口が。「いじめ」しない・させない・見逃さないからの引用を含みます。

様々な「いじめ」

「いじめ」は、相手の体を殴ったり、蹴ったりして身体的に苦痛を与える行為だけではありません。悪口を言ったり、無視したり、相手が嫌がることをしたりして、心に苦痛を与えることも「いじめ」です。

仲間はずれ・無視(シカト、ハブる)

口をきかない、一緒に遊ばない、いじめの標的にされた子が教室に入ってくると急に話をやめて離れたりするなど、「仲間はずれ」にしていることを強く印象づけるような態度をとることで、心理的なダメージを与えようとする。

身体への直接攻撃

校舎の裏やトイレなどの人目につかない場所で殴ったり蹴ったりする、髪の毛を引っ張る、頭から土や水をかける、掃除用具などでたたく、鉛筆やコンパスの針で突く、濡れた雑巾や黒板消しを投げつけるなど、身体的な苦痛を与える。

相手が嫌がることをする、させる

持ち物を取り上げる、無理やり服を脱がせる、靴やカバンなどを隠す、教科書やノート、机などに落書きしたり汚したりする、お金をたかる、根も葉もないウワサや悪口を言いふらす、しつこく冷やかしたりからかったりする、万引きを強要する、他人の荷物を持たせる、他人をいじめさせる など。

いじめの様子をみると、最も多いのは「冷やかしや悪口を言われる」、次いで「遊ぶふりをして軽く叩かれる」「仲間はずれ、集団による無視」が多くなっています。
これらは、ケガを負うほどの傷をつけるものではありませんが、心を大きく傷つけることがあります。
こうした精神的ないじめが原因で、いじめられた子どもが自殺する事件も発生しています。

このように、不当に人の身体や心を傷つけ、時には死に追いやることは、誰もが生まれながらに持っている「人間が人間らしく生きる権利」つまり「人権」を損なう行為です。
いじめを「しない」「させない」ためには、まず、「いじめは人権侵害である」ということを、子どもも大人も認識することが必要です。
すなわち、お互いの人権を尊重し合い、認め合うことが人権意識につながり、いじめを減らすことにつながるのです。

いじめの認知件数

2023年度に確認された小・中・高等学校や特別支援学校におけるいじめの認知件数は73万2,568件に上り、過去最高を更新する状況です
その件数を学年別にみると、一番多かったのは小学2年生で、小学3年生、小学1年生と続き、高学年になるにつれて減っていきます。近年、いじめは低年齢化しており注意が必要です。

いじめの認知件数の推移

いじめの認知件数の推移

学年別 いじめの認知件数

学年別 いじめの認知件数

最近の「いじめ」の特徴は?

子どものいじめは昔もありました。現在いじめが問題となっている世代の子どもを持つ保護者の皆様も、かつていじめを経験したり見聞きしたりした人は少なくないでしょう。最近のいじめには、次のような特徴があるといわれています。

あらゆる子どもが「いじめ」の対象になる可能性が

昔のいじめは、「運動が苦手」「性格がおとなしい」など、"弱そうな子"が標的にされる傾向がありましたが、最近のいじめは、「優等生」や「活発で目立つ子」なども対象になっています。最近のいじめは、「気に障ることを言った(した)」など、ささいなきっかけで始まり、あらゆる子どもがその対象となる可能性があります。

いじめの方法や手段が巧妙で陰湿に

他人からは「遊び」や「ゲーム」のように見えても、実はいじめが行われている場合があります。例えば、「プロレスごっこ」や「ふざけっこ」などと称して暴力を振るったり、「いじり」や「シャレ」などと称して悪口を繰り返したりすることがあります。

さらに近年はいじめの方法や手段が巧妙さや陰湿さを増しており、また、そうした行為を遊び感覚で行っていることも特徴です。

インターネットでのいじめ(ネットいじめ)

パソコンや携帯電話、スマートフォンの普及に伴って、インターネットの掲示板やブログ、プロフィールサイト(プロフ)などの場で、匿名性を利用し、特定の個人の誹謗中傷ひぼうちゅうしょうを書き込む、本人に無断で写真や名前・住所などの個人情報を掲載する、誹謗中傷のメールを繰り返し送付する、といった「ネットいじめ」が広がっています。

集団で一人をいじめる

複数の子どもが、集団で一人をいじめるケースが多く見受けられます。
いじめる側は、多数の中の一人であることから、良くないことをしているという意識を感じていないことが多くあります。
また、いじめを行った側は、教師や親から問い詰められても、口裏を合わせて、いじめの事実を否定したりします。

いじめを止めない「観衆」と「傍観者」が存在

いじめは、「いじめる子ども」と「いじめられる子ども」の対立構造だけではなく、それらを取り巻く「観衆」や「傍観者」という子どもの集団が存在します。

観衆

観衆とは、いじめを面白がって見ていたり、はやしたてたりする子どもたちです。
観衆の存在によって、いじめをする子どもは自分の行為を支持されていると感じ、いじめをエスカレートさせます。

傍観者

傍観者とは、それらを見て見ぬふりをする子どもたちです。
多くは「口出しすると今度は自分がいじめのターゲットにされるかもしれない」「かかわりたくない」といった気持ちから無関心な態度をとります。
傍観者の行為は、いじめに直接的に加担することではありませんが、いじめをする子どもにとっては暗黙の支持と受け取られ、結果的にいじめを悪化させることにつながります。

被害者の観点から「子どもをいじめから守る」だけでは、いじめをなくすことはできません。
いじめをなくすためには、「子どもがいじめる側にならないようにする」こと、
さらには「観衆や傍観者にならないようにする」ことが重要です。

「いじめ」を見逃さないためには

いじめを受けている子どもは、保護者や教師にも相談できず、一人で思い悩んでいることが少なくありません。
そのため、いじめの発見が遅れてしまうことがあります。
しかし、周囲の人が子どもの変化を敏感にとらえれば、いじめを察知できることも多いのです。

いじめを受けている子どもには、無口になったり、学校に行きたがらなくなったりするなど、何らかのサインが現れるものです。また、いじめをする子どもにも、言葉遣いが荒くなるなどのサインが現れることがあります。

以下は、政府広報にある、いじめ被害者、いじめ加害者のサインを見つけるためのチェックシートです。いじめ発見のために活用してください。

なお、子どもの性格や環境などによってはこちらに挙げた例と異なるサインを示すことがあります。
ふだんから子どもと学校での出来事などを話す時間をつくるよう心がけて、いじめのサインを早めにキャッチし、いじめを見逃さないようにしましょう。

いじめ被害サイン 発見チェックシート

登校前

  • 朝起きてこない。布団からなかなか出てこない。
  • 朝になると体の具合が悪いと言い、学校を休みたがる。
  • 遅刻や早退が増えた。
  • 食欲がなくなったり、だまって食べるようになる。

下校後

  • スマホの着信音におびえる。
  • 勉強しなくなる。集中力がない。
  • 家からお金を持ち出したり、必要以上のお金をほしがる。
  • 遊びのなかで、笑われたり、からかわれたり、命令されている。
  • 親しい友達が遊びに来ない、遊びに行かない。

  • 表情が暗く、家族との会話も少なくなった。
  • ささいなことでイライラしたり、物にあたったりする。
  • 学校や友達の話題が減った。
  • 自分の部屋に閉じこもる時間が増えた。
  • スマホをいつも気にしている。
  • 理由をはっきり言わないアザや傷あとがある。
  • 寝つきが悪かったり、夜眠れなかったりする日が続く。
  • 学校で使う物や持ち物がなくなったり、こわれている。
  • 教科書やノートにいやがらせのラクガキをされたり、やぶられたりしている。
  • 服がよごれていたりやぶれていたりする。

いじめをしている側のサイン

  • 言葉づかいが荒くなる。言うことをきかない。人のことをばかにする。
  • 買ったおぼえのない物を持っている。
  • 与えたお金以上のものを持っている。おこづかいでは買えないものを持っている。

いじめに気づいたら

子どもが学校でいじめにあっていたり、子どものクラスでいじめが起こったりしていることが分かったとき、保護者は子どもの意見を十分に聞いた上で、まず教師などに相談しましょう。
いじめの問題を解決するためには、学校と連携を密にして取り組む必要があります。

また、学校の対応などによっては、教育委員会に相談したり、法務省の人権擁護機関に相談したりすることが考えられます。
法務省の人権相談窓口の相談は無料で(一部電話代などを除く。)、個人の秘密は厳守されます。

いじめの解決に親が積極的にかかわることは大事ですが、かといって親だけですべてのいじめに対応できるとは限りません。 迅速に適切な解決を図るために、相談窓口を活用することをお奨めします。

みんなの人権110番

0570-003-110(平日08:30〜17:15)
全国の法務局で開設している、電話による相談

こどもの人権110番

0120-007-110(平日08:30〜17:15)
いじめ、虐待など、子どもの人権問題に関する専用相談電話で、保護者など大人が利用することもできます。

こどもの人権SOS eメール

小学生以上の方が、メールや電話で、相談を行うことができます。電話の場合は、子どもの人権110番と同じです。

LINEじんけん相談(チャット人権相談)

SNS(LINE)から相談を⾏うことができます。

いじめを「しない」「させない」ために

いじめをする側は、なぜいじめを行うのでしょうか。いじめをする側の問題は、次のように整理できると考えられます。
例えば、一人の子どもを「運動が苦手」ということを理由にいじめている場合、いじめを行う子どもには、相手の立場や気持ちを思いやるという意識がありません。
また、いじめは「運動が苦手」「口下手」「背が低い」など、他の多くの子どもと異なるささいな点を捉えてそれに勝手な理由を付けて行われることが多くあります。
それは、そのまま放置すれば、差別の芽となる危険をはらんでいます。

このように、いじめをする子どもには、他人への思いやりや弱者に対するいたわりが欠けており、一人ひとりが人間として尊重されるべきなどといった人権意識について、未熟さや希薄さが見られる傾向があります。

また、いじめをする子どもの多くは、家庭や学校などでの自分の様々な不安や不満、劣等感を抱えています。彼らはそうした問題に対する欲求不満のはけ口として他の子どもを攻撃・支配しようとしていることがあります。

いじめをする子どもの特徴

  • 多数派に安易に同調するなど、自主的な責任のある行動がとれない。
  • 不満に耐える力が弱く、欲求不満を抑制する精神力が弱い。
  • 集団の中で自己顕示欲が強い。
  • 自己中心的な行動をとり、他人に迷惑をかけることなどについて無関心である傾向が強い。
  • 相手の立場や気持ちを思いやる意識がない。

「人権」とは、誰もが生まれながらに持っている「人間が人間らしく生きる権利」です。みんなが持っている人権を尊重し合い、認め合うことが人権意識につながります。それは難しいものではなく、「思いやり」や「いたわり」など、心で感じ、理解できるものです。

いじめを「しない」「させない」ために子どもの人権意識を養っていくには、認められたい、尊重されたいという子どもの欲求を満たすようにコミュニケーションを深め、子どもの悩みを解消していくことも必要です。

子どもの人権意識を養うために

  • 子どもと話す時間をもち、子どもの悩みを解消する。
  • お互いの異なる点を個性として尊重することの大切さを伝える。
  • 他人に対する思いやり、いたわりの心を育む。
  • いじめを受けた子の心の痛みを考えさせる。
  • いじめをした場合には、子どもでも法的・社会的責任を負うことを自覚させる。

子どものメンタルヘルス

保護者と地域
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