不登校児童生徒数は、小・中学校で約30万人
不登校の要因や兆候など、知っておくべきこと
不登校の状況
長期欠席の状況
小・中学校における長期欠席の状況
小・中学校における長期欠席者は年々増加しています。2020年度の長期欠席者数は287,747人(前年度252,825人)で、登校によるものは196,127人(前年度181,272人)となっています。
長期欠席者数の推移
- 令和元年度調査までは、年度間に30日以上欠席した児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては、「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては、長期欠席の理由に「新型コロナウイルスの感染回避」を追加。
高等学校における長期欠席の状況
高等学校における2020年度の長期欠席者数は80,527人(前年度76,775人)で、このうち不登校によるものは43,051人(前年度50,100人)となっています。長期欠席者数の推移
- 令和元年度調査までは、年度間に30日以上欠席した児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては、「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては、長期欠席の理由に「新型コロナウイルスの感染回避」を追加。
学年別不登校児童数
中学3年生を除き、全ての学年において、2020年は前年より増加しています。学年別不登校児童数の推移
不登校の要因
小学生の46.3%、中学生の47.1%が、「無気力、不安」を不登校の要因としています。
小学生のうち、10%を超える要因は、「親子の関わり方」14.6%、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」14.0%
中学生では「いじめを除く友人関係をめぐる問題」12.5%、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」11.0%
小・中学生を比較して差異が目立つの項目は「いじめを除く友人関係をめぐる問題」は、小学生に比べ中学生は、約1.9倍、 「親子の関わり方」は、中学生に比べ小学生は、約2.4倍となっています。
小・中学生別の不登校の要因
小学校 | 中学校 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
不登校児童生徒数 | 63,350人 | 132,777人 | 196,127人 | ||||
学 校 に 係 る 状 況 |
いじめ | 171 | 0.3% | 228 | 0.2% | 399 | 0.2% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 4,259 | 6.7% | 16,571 | 12.5% | 20,830 | 10.6% | |
教職員との関係をめぐる問題 | 1,187 | 1.9% | 1,226 | 0.9% | 2,413 | 1.2% | |
学業の不振 | 2,049 | 3.2% | 8,626 | 6.5% | 10,675 | 5.4% | |
進路に係る不安 | 153 | 0.2% | 1,428 | 1.1% | 1,581 | 0.8% | |
クラブ活動、部活動等への不適応 | 11 | 0.0% | 772 | 0.6% | 783 | 0.4% | |
学校のきまり等をめぐる問題 | 453 | 0.7% | 1,061 | 0.8% | 1,514 | 0.8% | |
入学、転編入学、進級時の不適応 | 1,121 | 1.8% | 5,412 | 4.1% | 6,533 | 3.3% | |
家 庭 〃 |
家庭の生活環境の急激な変化 | 2,408 | 3.8% | 3,259 | 2.5% | 5,667 | 2.9% |
親子の関わり方 | 9,227 | 14.6% | 8,168 | 6.2% | 17,395 | 8.9% | |
家庭内の不和 | 1,027 | 1.6% | 2,456 | 1.8% | 3,483 | 1.8% | |
本 人 〃 |
生活リズムの乱れ、あそび、非行 | 8,863 | 14.0% | 14,576 | 11.0% | 23,439 | 12.0% |
無気力、不安 | 29,331 | 46.3% | 62,555 | 47.1% | 91,886 | 46.9% | |
上記に該当なし | 3,090 | 4.9% | 6,439 | 4.8% | 9,529 | 4.9% |
不登校を未然に防ぐには
ひきこもりや不登校のサイン
子どもが自室に閉じこもって外に出たがらない、学校に行きたがらないといったとき、家族として「ひきこもり」や「不登校」がとても心配になるでしょう。
どちらも「ひきこもっている状態」「学校に行っていない状態」を指す言葉で、病気を意味する言葉ではありません。しかし、様々な心身の症状を訴えることがあります。
ひきこもりや不登校の中に、こころの病気が隠れていたり、こころの病気の原因になったりすることもあります。
ひきこもり・不登校でよく見られる症状
体の症状 … 発熱、頭痛、腹痛、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、めまいなど精神症状 … 不眠、無気力、イライラ、集中力低下、憂うつ感など
ひきこもり・不登校の経過
体の症状 … まずいろいろな体の症状が現れ、元気がなくなります。精神症状 … 学校に行けないことへの葛藤や周りからのプレッシャーでイライラしたり、落ち込んだりして、ときには乱暴になることもあります。
無気力状態 … 次第に情緒的には落ち着いてきますが、その後無気力に過ごす時期が続きます。
ひきこもりとは、様々な要因の結果、就学、就労、家庭外での交遊などの社会的参加をせず、6カ月以上家庭に留まっている状態とされています。
少なくとも全国の約26万世帯にひきこもり状態の子どもがいると推定されています。
不登校とは、病気などを除いた理由で学校を年に30日以上休んでいることと定義されています。
ひきこもりや不登校は病気ではありません。
でも中には、こころの病が隠れているケースもあります。
とくに、統合失調症の陰性症状(感情の平板化、意欲の欠如、思考の貧困)によって、ひきこもっている場合や、様々な不安障害、うつ病などで外に出られないという場合もあります。
子どもの様子を見守りながら、タイミングを見て、体やこころの状態について話す機会をもちましょう。
不登校の場合は適応指導教室やフリースクール、あるいはスクールカウンセラーや教育相談所などの社会資源があります。
本人が相談に行きたがらなくても、不登校児やひきこもりの親の会などに参加し、家族が社会とつながっていることが大切です。
こころのSOSサインに気づく
悩みやストレスが大きくなって、こころがダウンしそうなとき、様々なサインが現れます。とくに、こころのSOSは睡眠、食欲、体調、行動の4つの面に出てくることが多いでしょう。
「今まではこんなことなかった」「どうも普段の様子と違う」になど、いつもと違うことへの気づきが大切です。
次のようなサインが続いているようなら、子どもから話を聞いてみましょう。
そして、つらい症状が続いている場合は、専門家に相談してみることをお勧めします。
睡眠:よく眠れること、十分な睡眠はこころの健康にとって大切です。
- 布団に入っても、なかなか寝つけないようだ。
- 遅くまで夜更かししている。
- 朝、起きるのがつらそう、なかなか起きられない。
- 睡眠のリズムがくずれている。
- 眠れないと言う。
- 寝すぎる。
食欲:ストレスやこころの病から食欲に影響が及ぶことがあります。
- 食欲がない、食べる量が減った。
- 逆に食べすぎる。
- とくにパンやご飯、お菓子などの炭水化物を欲しがる。
- 急にやせた、あるいは太った。
- 体重をとても気にしている。
体調:こころの病気も、最初は体調に出てくることがよくあります。
- 体がだるそう。
- 疲れている。
- 元気がない。
- 顔色が悪い。
- 腹痛や頭痛、めまい、吐き気などを訴える。
行動:本人よりも周囲が気づきやすいのが行動面のサインです。
- 学校に行きたがらない。
- 家から出ないでひきこもりがちになった。
- 友達と遊ばなくなった。
- 身だしなみにかまわなくなった。
- 無口になった。
- 挨拶をしなくなった。
- 何度も同じ動作や行動をくりかえす。
- 気持ちが抑えられなくなり暴力をふるう。
- 何もしないで長い間ぼんやりしている。
- 表情が変わらず、感情面での反応が少なくなった。
- 話が支離滅裂になった、通じなくなった。
- 独り言を言うようになった。
不登校の6段階
一般社団法人 不登校支援センターでは、不登校の6段階について、以下のように述べています。詳しい情報は、公式サイト ≫をご覧ください。
1.予備期
前兆傾向は、見過ごされることが非常に多く、子どもは学校には登校していますが・・・2.初期
心因性の身体症状が表れ、安定した登校が困難になる。3.本格期
身動きがとれず、ほとんど学校に行っていない段階で、子どもはもうほとんど学校に行っていません。4.安定期
不登校の6段階において最もよくない段階で、安定期は本格期と同様に、子どもはほとんど学校に行っていません。5.登校刺激時期
復学に向けた練習を開始6.経過観察期
登校再開後の経過を見ながら、再発防止に取り組む不登校のサポート
不登校になった子どもには親の支援も必要
子どもにとって最も長い時間接するのは保護者です。
特に不登校になれば家にいる時間も長くなるため、子どもによっては親と接する機会しかなくなることもあります。
そのため子どもが再び学校に行けるようになるかは、保護者による支援も重要です。
ただし、保護者にすべての責任がのしかかるわけではありません。1人で抱え込めば大きな負担になり、焦りや不安から子どもに強く当たるなど、事態を悪化させることもあります。
保護者ができる主な支援としては、子どもと向き合い意思を尊重しながら一緒に考えること、そして子どもが学校に再び行けるような環境や状態を整えてあげることです。
学校に不登校の相談をするにしても、原因や理由が分からないと対応が後手に回ることもあります。
そのため、まずは子どもと向き合って冷静に、原因や理由を聞き取るようにしましょう。
しかし子どもが話したがらない場合は、無理に聞きだそうとする必要はありません。
自分では難しい際には、教育相談センターや不登校相談センターを頼ることも一つの手です。
どのような頻度で休むか、不登校になってどれくらいの期間が経っているかにもよりますが、まずは休むことに罪悪感を抱くことなく、必要なら休んでもいいことを伝えていきましょう。
その上で、学校や家庭での居場所をつくり、役割を与えて家族の一員として安心して生活できる環境を整えてあげてください。
休んでしまった日の1日の生活も、過ごし方を子どもと相談しておくことも大切です。
学習の遅れは、フリースクールや学校からの支援などに頼る形で、焦らず行っていくようにしましょう。
不登校になることは弱さではなく個性によるものだと受け入れ、子どもが元気に活き活き生活できるように支援してあげることが保護者の役割です。
不登校対応にあたっての5つの視点
NPOなど民間のサポート団体
一般社団法人 不登校支援センター 公式サイト ≫
小学生から高校生まで、幅広い学年、さまざまなお悩みに対応可能で、17万件の圧倒的なカウンセリング実績と8万人に及ぶ、日本最大規模の臨床データを保有しています。 不登校に悩む子どもや親に対して、カウンセリングや様々な支援を提供しています。不登校の克服(進級や進学、復学など)を徹底的にサポートしています。
認定NPO法人 カタリバ 公式サイト ≫
NPOカタリバは、どんな環境に生まれ育った10代も未来をつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動している教育NPOです。 カタリバは、自身ではどうすることもできない家庭環境などの課題を抱える子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を地域と連携しながら届ける活動などを行っています。不登校状態の子どもたちに対しても、学習や体験活動の機会を提供しています。
活動を通じて「すべての10代が意欲と創造性を育める未来」の実現を目指しています。
認定NPO法人 フリースペースたまりば 公式サイト ≫
「フリースペースたまりば」は1991年、学校や家庭・地域の中に自分の「居場所」を見いだせない子どもや若者たちが集う「学校外の育ちと学びの場」としてはじまりました。不登校・ひきこもりなどの相談活動や各種講座、自然体験活動などを行っています。
学校や家庭・地域の中に居場所を見出せない子どもや若者およびその保護者とともに一人ひとりが安心して過ごせる居場所を提供しています。
認定NPO法人 D×P(ディーピー) 公式サイト ≫
D×Pは、10代の孤立を解決するNPOです。若者が困った時に頼れる人とのつながりを得られるように。"人とのつながり"を通して、社会のなかにセーフティネットをつくります。孤立している10代に対して、「安心できる人とのつながり」「生活費が得られるつながり」「安心して暮らせるつながり」を提供しています。
ひとりひとりの若者が、自分の未来に希望を持てる社会を目指して活動しています。
NPO法人 フリースクールみなも 公式サイト ≫
フリースクールみなもは、大阪市北区南森町で活動する不登校のこどもたちの居場所と学びの場です。不登校の子どもたちに、居場所と学びの場を提供しています。
学校に行けない子どもたちが不利益を被ることなく育っていける社会を目指しています。
公的なサポート
校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)
学校には行けるけれど、自分のクラスには入れない時や、少し気持ちを落ち着かせてリラックスしたい時に利用できる、学校内の空き教室等を活用した部屋。児童生徒のペースに合わせて相談に乗ったり学習のサポートを行っています。
教育支援センター
各地域の教育委員会が開設していて、児童生徒一人一人に合わせた個別学習や相談などを行う場所。市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は基本的に無料です。相談・指導等を受けた状況
学校内外の機関等で相談・指導等を受けた不登校児童生徒は約128,833人(前年度約127,679人)で、不登校児童生徒に占める割合は65.7%(前年度70.4%)となっています。学校内外の機関で相談・指導を受けた人数は増加していますが、分母となる人数が増えているため、その割合は減っています。
不登校児童生徒が学校内外で相談・指導等を受けた状況
相談・指導等を受けた場所
- 学校内外の複数の機関で相談・指導等を受けた児童生徒がいるので、内数と合計は一致しない。
不登校に関する行政の施策
文部科学省の主な施策
不登校児童生徒に対する柔軟な対応
教育支援センター(適応指導教室)の整備
教育委貝会が設置・運営する不登校児童生徒の学校復帰に向けた支援を行う「教育支援センター(適応指導教室)」の設置を推進。スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)
不登校児甑生徒の早期発見・早期対応をはじめ、より一層きめ細やかな支援を行うため、教員や指導員の研修、家庭への訪問指導など不登校対策に関する中核的機能(スクーリング・サポート・センター)を充実し、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムやを整備する。出席扱いについての措置
不登校児窺生徒が教育支援センター(適応指導教室)や民間施設など学校外の機関で指導等を受ける楊合について、一定要件を満たすときには校長は指導要録上「出席扱い」にできることとする。また、この場合、通学定期乗車券制度(いわゆる「学割」)の適用を受けることができることとする。
中卒認定試験における受験資格の拡大及び高校入試における配慮
- 不登校のため、中学校を卒業できない生徒が、同年齢の生徒に遅れることなく高校受験が可能となるよう中学校卒業程度認定試験における受験資格を拡大。
- 高等学校入学者選抜に当たって、不登校生徒については、調査書以外の選抜資料の活用を図る等、適切な評価に配慮。
自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数
2023年度補正予算額(案)の事例
不登校児童生徒等の学び対する行政の施策は継続に行われています。 最近の例として、2023年度補正予算額(案)には、地方公共団体(国が1/3の補助)を実施主体する、以下のような継続事業がありました。校内教育支援センターの設置促進(29億円)
公立の小・中学校校内教育支援センターを設置できていない学校のうち、不登校児童生徒数が多い学校(6,000校)に対して、設置に必要な経費を支援することにより、不登校の未然防止・登校復帰支援を加速度的に進める。教育支援センターのICT環境の整備(2億円)
在籍校とつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、成績反映を可能にする教育支援センターのIC頂器境を加速度的に整備する。スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実(7億円)
不登校児童生徒及び未解消のいじめ事案に対して、SCのカウンセリング等による心理的ケアやSSWによる関係機関との連携などを通じた福祉的支援等、学校におけるチームでの支援体制を更に強力に促進する。※2009年以前の登録情報です。
よくある質問と回答について(文部科学省)
不登校への対応について
- Q.
- 子どもが不登校になった場合、どこに相談したらよいですか?
- A.
子どもが不登校になった場合や不登校の傾向が見られる場合、まずは在籍校と十分に連絡を取ることが重要です。
学校の設置者である教育委員会では、「教育センター」や「教育相談所」などで、児童生徒等に関する教育相談を行うための相談窓口を設けています。また、不登校に関する支援等を行うために教育委員会が設置しているま「教育支援センター(適応指導教室)」では、不登校に関する相談活動を行うと同時に、不登校児童生徒に対する通所指導(カウンセリング、教科指導、体験活動など)を行っています
さらに、厚生労働省が所管する児童相談所、保健所、精神保健福祉センター等においても、相談活動を行っています。
これらの相談窓口については、地域において名称等が異なりますので、詳しくは各都道府県・市区町村でお問い合わせください。
- Q.
- 不登校の子どもが学校外の施設に通っている場合の「出席扱い」とはどのようなものですか?
- A.
不登校児童生徒が学校外の施設において指導等を受けている場合、これらの児童生徒の努力を学校として評価し支援するため、我が国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たす場合に、当該施設において指導等を受けた日数を指導要録上「出席扱い」とすることが可能となっています。
この「出席扱い」は、当該施設への通所または入所が学校への復帰を前提とし、かつ不登校児童生徒の自立を助ける上で有効・適切であると判断される場合に認められます。その際、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていることが重要です。
また、民間施設における指導等に関して「出席扱い」が考慮される場合には、当該民間施設における指導等が適切であるかどうか、学校長と教育委員会が連携して判断することとされています。
- Q.
- 最近、不登校への対応の方針が変わったのですか?
- A.
不登校については、1992年に「登校拒否(不登校)問題について(報告)」が取りまとめられていますが、不登校が増加し続けているという状況を受け、2002年9月に「不登校問題に関する調査研究協力者会議」が設置され、2003年3月、「今後の不登校への対応の在り方について(報告)」が取りまとめられました。
2003年の報告においては、
- 将来の社会的自立に向けた支援
- 連携ネットワークによる支援
- 学校教育の意義・役割
- 働きかけることや関わりを持つことの重要性
- 保護者の役割と家庭への支援
という5つの基本的な視点が示されています。
1992年の報告において、不登校は特定の子どもに特有の問題があることによって起こることではなく「誰にでもおこりうる」、「登校への促しは状況を悪化させてしまう場合もある」と指摘されている点につき、一部で誤った理解をし、必要な関わりを持つことまでも控えてしまう場合があったのではないかということが2003年の報告で指摘されています。
登校への働きかけについては、それを短絡的にとらえ、画一的に「する」とか「しない」といったような対応をすべきではありません。状況への配慮のない強引な登校への促しや機械的な働きかけにより、児童生徒やその保護者を追い詰めるようなことがあってはならないのは当然であり、大切なのは、不登校児童生徒の状態や不登校となった要因・背景等を把握した上で、適時・適切に、かつ個々の状況に応じて対応するという姿勢なのです。
- Q.
- 不登校について、文部科学省としてはどのような取組を行っているのですか?
- A.
今後の不登校への対応の在り方については、2003年3月、協力者会議により報告が取りまとめられ、早期の適切な対応の重要性や連携ネットワークの構築などの提言がなされています。
文部科学省においては、2003年度から「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)」を実施し、早期の対応と不登校児童生徒やその家庭へのきめ細かな支援を行うため、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムを整備しています。
また、これまでも、学ぶ意欲を育み、進んで登校したいと思えるような学校づくりや、スクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の充実などに努めてきたところです。今後も、不登校児童生徒の学校復帰や社会的自立に向けた支援を学校内外で総合的に充実させていくこととしています。なお、国立教育政策研究所生徒指導研究センターにおいて、学校における具体的な指導方法や事例の紹介等を内容とする指導資料を作成し、2004年6月に公表しております。