不登校は年々増加の傾向
お子さん本人の心理的な理由により、登校したくてもできない状態にあるときが不登校です。
文部科学省による不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方、不登校の児童生徒数や比率などの現状、調査結果による不登校がはじまったきっかけなど、不登校についてまとめています。
文部科学省による不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方、不登校の児童生徒数や比率などの現状、調査結果による不登校がはじまったきっかけなど、不登校についてまとめています。
作成:2024/05/10 更新:2024/05/14
不登校とは
不登校の定義
不登校(登校拒否)については、学校不適応対策調査研究協力者会議(1992年)において、 以下のように定義され、学校基本調査でもこの定義が用いられてます。
その後「不登校」という用語が一般的に使用されるようになり、1998年度 から、上記区分のうち「学校ぎらい」を「不登校」に名称変更した。
何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由に よるものを除く)をいう。
お子さん本人の心理的な理由により、登校したくてもできない状態にあるときが不登校です。
学校基本調査における「不登校」の調査対象の変化
不登校については、学校基本調査において、年度内に30日以上欠席した児童生徒を長期の欠席者として、その欠席理由を「病気」「経済的理由」「学校ぎらい」「その他」に区分して調査していました。その後「不登校」という用語が一般的に使用されるようになり、1998年度 から、上記区分のうち「学校ぎらい」を「不登校」に名称変更した。
年代区分 | 調査の対象 |
---|---|
1966〜1990年 | 「学校ぎらい」で、50日以上欠席した児童生徒 |
1991〜1997年 | 「学校ぎらい」で、50、30日以上欠席した児童生徒 |
1997年〜 | 「不登校」で、30日以上欠席した児童生徒 |
不登校と引きこもりの違い
不登校と引きこもりと混同されがちですが、定義には、次の違いがあります。
不登校の場合は、塾に通っていたり、仲の良い友人とはのつきあいがある場合もあります。
一方、引きこもりは一切外出せず、家族以外の人とは関わりのない状況です。
不登校が長期化することにより、引きこもりになってしまう場合もあります。
不登校の場合は、塾に通っていたり、仲の良い友人とはのつきあいがある場合もあります。
一方、引きこもりは一切外出せず、家族以外の人とは関わりのない状況です。
不登校が長期化することにより、引きこもりになってしまう場合もあります。
不登校 | 引きこもり | |
---|---|---|
期間 | 30日以上 | 6ヶ月以上 |
人との交流 | 家族以外と交流している場合もあり | 家族以外との交流なし |
状況 | 就学者が通学できていない状況 | 家から外出せず他人との関わりが一切ない状況 |
小・中学校における長期欠席の状況
小・中学校における長期欠席者は年々増加しています。
長期欠席者数は287,747人(前年度252,825人)で、登校によるものは196,127人(前年度181,272人)となっています。
小・中学校における長期欠席者数の推移
- 令和元年度調査までは,年度間に30日以上欠席した児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては,「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により,年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について調査
- 令和2年度調査においては,長期欠席の理由に「新型コロナウイルスの感染回避」を追加。
不登校児童生徒への支援に対する行政の基本的な考え方
不登校が生じないような学校づくり
文部科学省では、学校等の取組の充実を求める中でで、「児童生徒理解・支援シート」を活用した組織的・計画的支援、不登校児童生徒に対する効果的な支援の充実のほか、不登校が生じないような学校づくりとして以下をあげています。
1.魅力あるよりよい学校づくり
児童生徒が不登校になってからの事後的な取組に先立ち、児童生徒が不登校にならない、魅力ある学校づくりを目指すことが重要であること。2.いじめ、暴力行為等問題行動を許さない学校づくり
いじめや暴力行為を許さない学校づくり、問題行動へのき然とした対応が大切であること。また教職員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導は許されず、教職員の不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は、懲戒処分も含めた厳正な対応が必要であること。3.児童生徒の学習状況等に応じた指導・配慮の実施
学業のつまずきから学校へ通うことが苦痛になる等、学業の不振が不登校のきっかけの一つとなっていることから、児童生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう、指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ることが望まれること。4.保護者・地域住民等の連携・協働体制の構築
社会総掛かりで児童生徒を育んでいくため、学校、家庭及び地域等との連携・協働体制を構築することが重要であること。5.将来の社会的自立に向けた生活習慣づくり
児童生徒が将来の社会的自立に向けて、主体的に生活をコントロールする力を身に付けることができるよう、学校や地域における取組を推進することが重要であること。
参考:文部科学省 不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)2019年 ≫
不登校の状況
小・中学校における不登校児童生徒数
小・中学校における不登校児童生徒数は、181,272人(前年度164,528人)
1998度以降では、過去最多の人数となっています。 1,000人当たりの不登校児童生徒数は、小学生:8.3人(前年度7.0人)、中学生:39.4人(前年度38.5人)
1998度以降では、過去最多の人数となっています。 1,000人当たりの不登校児童生徒数は、小学生:8.3人(前年度7.0人)、中学生:39.4人(前年度38.5人)
不登校児童生徒の人数
不登校児童生徒の比率
資料:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議資料(2021年)≫をもとに執筆者作成
小・中学校における不登校の日数
小・中学校で不登校児童生徒のうち、90日以上欠席した児童生徒数の割合は、小学生:42.4%、中学生:61.2%となっており、長期間及ぶ不登校児童生徒数が多いのが現状です。
日数区分 | 小学校 | 中学校 |
---|---|---|
欠席日数が30〜89日の者 | 30,718人 57.6% |
49,697人 38.8% |
欠席日数が90日以上 出席日数が11日以上の者 |
18,383人 34.5% |
60,188人 47.1% |
欠席日数が90日以上 出席日数が1〜10日の者 |
2,648人 5.0% |
12,280人 9.6% |
出席日数が0日の者 | 1,601人 3.0% |
5,757人 4.5% |
資料:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議資料(2021年)≫をもとに執筆者作成
高等学校における不登校の状況
高等学校における不登校生徒数は50,100人(前年度52,723人)で、1,000人当たりの不登校生徒数は、15.8人(前年度16.3人)となっています。
不登校児童生徒の人数と比率
資料:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議資料(2021年)≫をもとに執筆者作成
小学生、中学生の不登校生徒は増加傾向にあるものの、高校生の不登校は横ばいの理由としては、以下を推測することができます。
- 高校の進学を断念する
- 不登校の子どもへ対応したオンライン式通信制高校の増加
不登校児童生徒の実態調査
2020年度不登校児童生徒の実態調査の概要
調査は、2020年12月に実施され、調査対象は、調査時点において、調査への協力が可能と回答のあった対象学校に通う小学校6年生又は中学校2年生で、前年度(2019年度)に不登校であった者のうち、調査対象期間に、学校に登校又は教育支援センターに通所 の実績がある者
児童生徒 | 保護者 | |
---|---|---|
小学6年生 | 713件 回収率11.7% |
754件 回収率12.4% |
中学2年生 | 1,303件 回収率8.2% |
1,374件 回収率8.6% |
出典:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議資料(2021年)≫
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ(小学生)
行きづらいと感じ始めたきっかけは、「先生のこと」30%、「身体の不調」27%、「生活リズムの乱れ」26%の順で高い割合です。 一方、2割強の小学生は「きっかけが何か自分でもよくわからない」と回答しています。最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ(中学生)
行きづらいと感じ始めたきっかけは、「身体の不調」33%、「勉強が分からない」28%、「先生のこと」28%の順で高い割合です 小学生同様、2割強の中学生が「きっかけが何か自分でもよくわからない」と回答しています。学校を多く休んだことに対する感想
比率が高いのは、「もっと登校すればよかったと思っている」で、小学生で25%、中学生で30%となっている。
学校を多く休んだことに対する感想(小学生)
学校を多く休んだことに対する感想(中学生)
相談しやすい方法
小学生は、「直接会って話す」を選んだ割合が高く、中学生は、「直接会って話す」と「メール・SNS(LINEなど)」の割合が高くなっています。
小・中学生共に複数選択可であるにもかかわらず「直接会って話す」「メール・SNS(LINEなど)」のどちら両方ともを選択した割合は1割未満であり低く、相談しやすい手段はばらつきが見られます。
小・中学生共に複数選択可であるにもかかわらず「直接会って話す」「メール・SNS(LINEなど)」のどちら両方ともを選択した割合は1割未満であり低く、相談しやすい手段はばらつきが見られます。
相談しやすい方法(小学生)
相談しやすい方法(中学生)
学校に戻りやすいと思う対応
小・中学生ともに「特になし」が最も多く、小学生では57.1%、中学生では54.4%となっています。
比較的高い項目は、小学生では「友達からの声がけ」17.1%、中学生でも「友達からの声がけ」20.7%、次いで「個別に勉強を教えてもらえること(学校以外も含む)」13.4%となっています。
比較的高い項目は、小学生では「友達からの声がけ」17.1%、中学生でも「友達からの声がけ」20.7%、次いで「個別に勉強を教えてもらえること(学校以外も含む)」13.4%となっています。
学校に戻りやすいと思う対応(小学生)
学校に戻りやすいと思う対応(中学生)
相談した相手
小学生は「家族」53.44%、「誰にも相談しなかった」35.9%、中学生も「家族」45%.0%、「誰にも相談しなかった」41.7%と、同じ傾向はとなっています。複数回答のため、「誰にも相談しなかった」との回答以外では、多く児童生徒が「家族」に相談していることが伺えます。
一方で、「学校の先生」との回答は、小学生で13.3%、中学生で15.0%となっています。
一方で、「学校の先生」との回答は、小学生で13.3%、中学生で15.0%となっています。
相談した相手(小学生)
相談した相手(中学生)
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更新:2024年2月7日