一般社団法人 全国PTA連絡協議会

公費と私費の負担区分 PTA会費を本来の目的のために適切に活用しましょう!

公費と私費のわけ方については、法律で定められているものではないため全国統一の基準はありません。全国の自治体によって様々というのが現状です。
公費と私費の負担区分を考え、PTA会費を本来の目的のために適切に活用しましょう。
作成:2023/09/17  更新:2024/02/01
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公費と私費の負担区分

公費と私費

公費 公立学校は公の機関ですから、公費による運営が基本です。
学校現場でいう公費とは、一言で説明するなら市区町村の予算で、財源は税金です。多くの自治体では、教育委員会からの連絡(予算の令達)によって学校予算が決定します。
私費は、保護者が支払っているお金で、公費に対する名称です。学校現場ではあまり私費という用語使われず、補助教材費や制服代などの具体的な使途、または学校徴収金、保護者負担金などと呼ばれています。
公費と私費のわけ方については、法律で定められているものではないため全国統一の基準はありません。
全国の自治体によって様々というのが現状です。
公費と私費のわけ方は、公費私費負担区分と呼ばれ様々な研究がなされており、公費私費負担区分を制定している自治体も増えています。
学校給食について 学校給食に関しては、学校給食法などでその経費負担の区分が示されており、食材料費=私費、人件費+施設設備費=公費とされています。一方で、学校給食法の経費負担区分には、禁止条項がないため、自治体の予算化により公費負担が可能です。昨今では食材料費を公費負担としている自治体も増えています。

公費と私費の負担区分

公費と私費の負担区分については、1974年に都道府県教育長協議会がまとめた「学校教育に係る公費負担の適正化について」では、下記の様な、経費事例別負担区分が示されています。






公費
負担と
すべき
経費
  1. 学級、学年、学校単位で共用または備え付けとするものの経費
  2. その他管理、指導のために要する経費
私費
負担と
すべき
経費
  1. 児童・生徒個人の所有物に係る経費で、
    第一に学校、家庭のいずれにおいても使用できるもの
    第二に学級、学年特定の集団の全員が個人用の教材・教具として使用するもの
    (例)教科書以外の個人用図書、ノート、文房具、補助教材、学習用具など
  2. 教育活動の結果として、その教材・教具そのもの、またはそれから生ずる直接的利益が児童・生徒個人に還元されるものに係る経費
    (例)学習教材、校外施設学習の食費、遠足・修学旅行費等






間接教育活動費は原則として公費負担とすべきである。
ただし、教育研究団体等の負担金や分担金の扱いについては、特別な配慮が必要であると思われるので、次のような基準を設ける。
  1. 学校が構成単位となっている研究団体については、その負担金・分担金(学校割となる分)は公費負担を原則とする。
  2. 特定の個人で構成される研究団体についてはその負担金.分担金(個人割となる分)は個人負担を原則とする。(公費による援助は事業費に対する補助とする。)
  3. その他の研究団体等については、その性格を検討の上、1,2の原則に照らして負担区分を判断するものとする。

公費と私費(個人とPTA会費)の負担区分例

会計 公費と私費の負担区分を制定している自治体も増えていますので、一度自治体のホームページを確認してみましょう。
PTA会費は、組織を維持し運営のための運営費と活動費に区分され、PTAの運営と活動のために使われるべきお金です。
一方で、公費で賄うべき学校の施設設備の修繕や備品の整備、教育活動として行われる学校行事などにかかる経費をPTA会費から支出している事例もあります。
自治体の規程や負担区分例を参考いただき、PTA会費を本来の目的のために適切に活用しましょう。
また、児童や生徒のより良い教育環境を整えるために善意の寄附をする場合には、総会等で承認をとり、寄附採納の手続きを行いましょう。
下記の負担区分は、特定の自治体ものではなく参考としての資料です。

公費負担を原則とする経費

学校の管理運営・教育活動に要する経費で、学校共通の教育水準維持に必要な経費は公費負担とし、学校徴収金より支出してはならない経費です。

職員の人件費・旅費

  • 職員の給与・各種手当、非常勤職員等の報酬・賃金
  • 教育活動や学校管理運営に要する教職員の旅費
具体例
  • 非常勤講師の報酬、代行員、介助員等の賃金
  • 職員の公務に係る手当
  • 公務に係る旅費

教育活動費

  • 学習指導要領に基づく教育を行うために必要な経費
  • 生徒指導、進路指導等に必要な経費(学校として体制整備のための経費)
  • 生徒の心身の健康、安全に必要な経費・教務活動や学校運営・維持活動に必要な経費
  • 授業に位置付けた生徒会、文化祭、体育祭の開催のための必要最低限の経費
具体例
  • 授業、実習等の教科活動、学校行事等特別活動のために職員に必要な教具、教材等
  • 授業、実習等の運営に係る共用的なもの、または不特定多数の生徒に必要なものに係る経費
  • 進路指導や生徒指導に係る共用スペース等整備、成績管理等に係る情報管理等事務に必要な物品や消耗品費等
  • 保健室に常備する救急医療薬等
  • 学校の施設や設備等の範囲内

学校施設整備・維持管理

学校施設の建設や、維持修繕、保守管理に必要な経費
具体例
  • 校舎や体育館、グラウンドやプール等の学校施設の整備に係る経費や維持修繕経費
  • 校内や敷地内の環境整備に係る経費

設備整備・維持修繕

学校の設備や備品の整備、保守管理や修繕に必要な経費
具体例
  • 学校施設内の給排水設備等設備整備や維持・保守に係る経費
  • 備品の整備や修理に係る経費

管理運営経費

光熱水費等の学校の管理運営に必要な経費
具体例
  • 電気、水道、ガス、灯油等燃料代など学校の管理運営に係る必要な経費

私費(個人)負担を原則とする経費

学校の管理運営・教育活動に要する経費に属するもののうち、児童生徒の個人の所有物に係る経費や教育活動の結果として生じる直接的利益が児童生徒に還元される経費等は受益者負担、個人への還元等の観点から、個人負担によることが適当する経費です。

生徒個人の所有物にかかる経費

生徒が学校や家庭のいずれにおいても個人管理し使用可能な物に係る経費
具体例
  • 生徒個人の制服、体操服、実習服、鞄、名札、校章、生徒手帳
  • 筆記具、ノート類等個人用学習用具、参考書、辞書類等

教育活動に必要なものとして生徒個々に直接的利益として還元されるもの

  • 学校が行う教育活動の一環で必要となる教材、教具
  • 生徒が参加して生ずる利益が生徒個人へ還元されるもの
  • 生徒指導や進路指導上において生徒個々に直接還元される経費
具体例
  • 授業、実習等において必要な教材費等における特定個人生徒に必要なものに係る経費
  • 書道、絵画、調理、手芸等各種実習用教材費
  • 修学旅行、遠足、校外学習、観劇、映画鑑賞等への参加に必要な経費
  • 模擬試験料、資格検定料、個人または特定の複数人数、集団の進路指導に係る資料代等
  • 行事保険料、農業、家庭クラブ関連経費
  • 給食費(自治体により異なる場合もあり)

生徒の自主的活動に係る経費

部活動、生徒会活動、文化祭の開催に係る一定水準を超えた経費
具体例
  • 文化部や運動部など部活動の活動費、遠征費等
  • 生徒の自主活動を行うにあたっての特別な施設や設備の整備とその維持管理経費等

私費(PTA会費)より負担するもの

PTA活動費

PTA主催、または共催の行事や活動に係る経費
具体例
  • PTA総会、講演会、研修会、懇親会、美化作業など各種活動に係る経費
  • 広報紙発行に係る経費

PTA運営費

PTA運営に係る経費
具体例
  • PTA運営に係る資料やコピー代等の事務費、通信費、交通費、保険料などの運営費
  • 備品や備品の保守管理費等

その他の経費

  • 児童、生徒活動奨励費
  • 慶弔費
具体例
  • 卒業記念品や運動会参加賞等
  • 会員への見舞金、香料、祝い金等

私費であるPTA会費による学校への支援

経緯

従来、PTA会費については、運営費、活動費そのものにあてる他に、学校と一体となって児童や生徒を育成していこうという観点から、教育環境の充実・改善等を行うための経費として使われてきた経緯があります。
具体的には、公費負担すべき修繕や維持費など経費が、PTA会費から支出されているなどのケースがあります。
また、教職員や学校が構成員となり、その資質向上等を目的とした教育研究団体等の分担金や負担金、教職員が参加する研修会等の資料代等、公費負担または教職員の個人負担が適当と思われる経費がPTA会費から支出されているケースもあります。
教育委員会など自治体が、その使途や管理方法について統一的な取り扱い基準を策定するなどして、PTA会費の使途見直しやルールの整備、その徴収方法や会計処理なども含めた適正なPTA運営が望まれています。
また、PTA会費による負担区分を明確化することによって、必要となる公費負担分の学校経費は、各自治体による予算措置も必要となります。

支援を受けることが可能であると考えられる経費

学校の管理運営・教育活動に要する経費に属するもののうち、PTAが主催する事業及びPTAからの要望により、部活動の充実や各学校の特色ある教育を実現するため必要な経費は、一定の条件のもとで、PTA会計から支援を受けることが可能であると考えます。
PTA会費から学校が支援を受けるにあたり必要な条件として考えらるのは、
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支援を受ける場合は、PTAからの提案(自発的なものであること)によること。
check
提案された支援が、予算額を含め会員の総意であることを確認すること。
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保護者等に過重な負担を強いることのないよう配慮し、支援は、必要最小限度のものとすること。
check
支援後は、学校側で点検・評価を実施、実績や実施状況等について、PTAに適切な報告を行うこと。

具体的な経費の種類

PTAが主催する事業に要する経費

PTAが各学校の教育活動を支援するために主催する事業に要する経費
具体例
  • 学力向上のための講習会に係る講師等謝礼、講習用教材・教具等
  • 各種講演会、その他の事業

部活動に要する経費

公式大会等の通常活動を除き文化部・体育部活動をより一層充実するために要する経費
具体例
  • 外部指導者に係る経費、技術力・競技力を高めるため設備・用具
  • 強化合宿・練習等のための経費(施設使用料、引率旅費等)

特色ある教育の実現に要する経費

学校の特色化をより一層推進するために要する経費
具体例
  • 国際交流活動に係る講師等の謝礼・旅費、教材等
  • 地域交流・ボランティア活動に係る講師謝礼、備品、消耗品等
  • 幼小、小中、中高、高大連携等校種間連携事業
  • 学校・企業情報管理等に係る賃金、通信運搬費等
  • その他特色ある事業

PTA等学校関係団体

PTAは、保護者と教職員が、児童生徒の教育や指導のあり方、教育環境の充実等を目的に主体的に活動する団体で、学校から独立して設置されています。
地域によっては、PTAとは別に、活動を体育・文化活動等に限定し、それを支援する団体が一部の学校に設置されているケースもあり、一般的には、これらをPTA等学校関係団体と呼びます。
PTA等学校関係団体についても、団体会費から学校への支援を行う場合には、PTAと同様の考え方が適用される事が望まれます。
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