一般社団法人 全国PTA連絡協議会

PTAは任意団体であり、権利能力なき社団ともいわれています。
PTAを法的側面から考えてみました。

PTA団体としての契約にあたっては、PTA団体としての権利能力なき社団(人格なき社団)要件と契約先の指定する必要な書類を整えていることが前提です
作成:2023/09/17  更新:2023/10/07
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本サイトの一部には法律的な根拠を求めることが難しい内容も含まれております。このような内容については全国PTA連絡協議会としての見解となります。
PTAは任意団体であり「人格なき社団」と考えられ、個々の自治が重視され規約や慣例など、個別に判断しなければならないこともあります。ただし、PTA活動の前提は、保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもたちが安全で健やかに成長するためのより良い教育環境を整えることです。
当協議会では「当協議会が考えるPTAのあるべき姿」を伝えるために発信を続けてまいります。

PTAを法的な側面から見ると

PTAとは

PTAとは「Parent Teacher Association、父母と先生の会」の略で、保護者と教師が協力して子どもの教育環境をより良いものに整えることを目的とした団体で、「社会教育関係団体」として位置付けられています。
社会教育法
第10条 (社会教育関係団体の定義)
この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。
第11条 (文部科学大臣及び教育委員会との関係)
文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、専門的技術的指導又は助言を与えることができる。
2 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う。
第12条(国及び地方公共団体との関係)
国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。
学校教育法
第137条第1項
学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。

法律定義での「PTAとは」

PTA PTAとは、各学校で組織された、保護者と教職員による社会教育関係団体のひとつです。
PTAは任意加入の団体であり、結成や加入を義務付ける法的根拠はありません。
PTA及び青少年教育団体の相互扶助の精神に基づき、その主催する活動における災害等についてこれらの団体による共済制度を確立し、もって青少年の健全な育成と福祉の増進に資することを目的とする「PTA・青少年教育団体共済法」では、PTAについて以下の様に定義をされています。
任意団体であるPTAについて、しっかりと規定している法律はありません。
「PTA」とは、学校に在籍する幼児、児童、生徒若しくは学生び当該学校の教職員で構成される団体又はその連合体をいう。 (PTA・青少年教育団体共済法 第2条)

PTAは権利能力なき社団

私法(市民相互の関係を規律付けるもの)上では、権利や義務の主体になれる「資格」のことを「権利能力」といいます。 この「権利能力」を持たない者は契約を締結するなどの権利や義務を持つことができません。
権利能力をもつのは自然人と法人であり、PTAは法人格を持たない任意団体として「権利能力なき社団」や「人格なき社団」とされています。
  • 一部の連合会や協議会では「社団法人」などの法人格のあるPTAもあります。
権利能力を持っている者は
自然人:
生まれながらにして権利能力を持つ
法 人:
登記手続きなどルールに基づき一定の範囲内で権利能力を持つ
自治会とPTA 自治会については、1991年の地方自治法改正により、一定の要件を満たせば,、認可を受けて法人格を取得することができる制度(認可地縁団体制度)ができました。この結果、法人格を取得している自治体は、自治会名義での契約や登記なども可能となりました。
PTAについては、組織結成の裏付けとなる根拠法がないため、法人登記はできません。従って、PTA名で財産を取得することも、登記することもできません。

PTAが任意団体として成立するには

PTAは法人格を持たない任意団体です。
権利能力なき社団(人格なき社団)が成立するためには、いくつかの要件があります。

団体としての組織をそなえられていること

構成員であるPTA会員の中から代表者としてPTA会長が選任され、PTA会員とは独立した存在とされる組織が必要です。

会議では多数決の原則が適用されていること

総会や役員会、常任委員会(本部委員会)などの各種会議において、多数決の原則が実施されていることが必要です。出席者の2/3や全会一致なども意思決定も多数決の原則に含まれます。

構成員の変更にかかわらず団体が存続すること

構成員であるPTA会員の変更とは、児童や生徒の卒業によりPTA会員が退会しても、新入生の保護者が新たにPTA会員として入会することです。この様に団体の構成員であるPTA会員が変わっても団体が存続していることが必要です。

代表の選出方法、会議の運営方法、財産の管理の方法などを定めていること

PTA規約や細則があり、総会や役員会などの合議体で議決すべき事項などを成文化するのが一般的です。
また、総会で会長など役員が選出され、各役職に応じて業務が決めておくことも必要です。

PTA規約に必要な項目

PTA規約には、権利能力なき社団(人格なき社団)として成立要件(1〜4)と、PTA組織の運営上必要と考えられる規約(5〜8)が最低限必要な項目と考えられます。
  1. PTA会員の定義
  2. 役員構成(会長、副会長、書記など)や任期
  3. PTA総会における議決方法
  4. 会長や副会長などの役員の選出方法、会計の方法
  5. 組織の名称
  6. 組織の目的・活動内容
  7. 総会の運営方法、役員会の運営方法
  8. 規約の改定方法

PTAの財産や債務、訴訟

PTAの財産は誰のもの

最高裁判所判例では「社団の資産は、その構成員に総有的に帰属」とされています。
PTAで考えると、次の様になります。
総有とは、ある財産がPTAの所有となっており、その財産がPTAによって強く拘束されている状態のことです。
PTAの財産が総有であるときは、各構成員であるPTA会員はその財産についての持分がない状態です。
従って、各構成員であるPTA会員は、PTAの財産に対して持分の分割請求をすることはできません。
また、各構成員が団体から退会する際には、各構成員は持分の払い戻しを受けることもできません。
このように、権利能力なき社団であるPTAの財産は、構成員であるPTA会員全員に総有的に帰属し、潜在的持分はなく、財産の使用・収益のみが認められると考えられます。
法人に非ざる社団の資産の帰属 法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。 (最高裁判例:1964年10月15日)

PTAの債務は

最高裁判所判例でば「債務は社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属」「社団の総有財産だけがその責任財産」とされています。
PTAで考えると、次の様になります。
PTA会長や役員が、対外的な取引(物品購入や印刷など)で、個人的に債務を負うことはありません。
PTA団体の債務については、PTA財産だけから弁済を行なえばよく、債権者は個々の構成員であるPTA会員の個人財産から弁済を受けることはできないとされています。
社団の取引上の債務と社団構成員の責任 権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。 (最高裁判例:1973年10月9日)

訴訟(裁判)の当事者としてのPTA

民事訴訟においては権利能力なき社団(人格なき社団)であるPTAは、当事者となり、その名において訴え、又は訴えられ、民事訴訟が提訴された場合、被告の代表者としてPTA会長が対応する形となります。
このように、PTAは民事訴訟において「原告」「被告」どちらにもなることができるます。
法人でない社団等の当事者能力 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。 (民事訴訟法 第29条)

PTAによる契約行為

契約当事者としてのPTA

契約など権利・義務の帰属主体となるには、資格として「権利能力」が必要です。
一方で、権利能力なき社団(人格なき社団)であるPTAは、人格がないため権利能力を持っていません。
このため、団体としてのPTAは、契約の当事者にはなれません。
権利能力 権利能力があるのは、人(自然人)と法人です。一方で、組合、権利能力なき社団、人間以外の動物、故人などは権利能力がないとされています。

PTAで契約するには

PTA団体としての契約にあたっては、PTA団体としての権利能力なき社団(人格なき社団)要件と契約先の指定する必要な書類を整えていることが前提です。参考例:ゆうちょ銀行 ≫ 
一方で、要件や書類を整えていても契約そのものを受け付けない企業やサービスなども少なからずあります。
PTA団体が、外部との契約を締結する必要がある場合には、団体の代表者として、自然人であるPTA会長が「PTA会長」という肩書き付きで契約当事者になります。
PTA団体としての契約は、通常、団体の代表者である会長が変わる都度、各社所定の手続きが必要となります。
団体としての契約は個人に依存しないため、手続きさえすれば会長が変わった場合でも、アカウントや設定の変更などの必要性がなく、継続してのサービス利用が可能なため大きなメリットがあります。
銀行口座の開設(例) 権利能力なき社団(人格なき社団)であるPTA団体としての口座開設は、PTA会長の肩書き付きで会長個人名(例:○○学校PTA 会長 ○○○○)で開設するのが一般的です。
通帳の表書きには団体名(○○学校PTA)が記載されていますが、表紙裏には代表者名が記載されてることが多いと思います。
一般的には、PTA会長が代わるたび、通帳名義の変更手続きが必要となります。
  • PTA団体として権利能力なき社団(人格なき社団)要件を整えていても、口座開設ができない金融機関もあります。

PTA会長個人による契約が不要なサービス

以下のサービスは、PTA会長が肩書き付きで契約当事者となることで、権利能力なき社団(人格なき社団)であるPTA団体として契約が可能です。PTA会長個人による契約とは異なります。
PTA団体名での契約が可能 全国PTA連絡協議会の会員登録に関わらず、幼小中高全てのPTA団体の皆様がご利用いただけます。
  • 」のサービスは、会員登録のあるPTAの皆様は、対象機種の割引や助成などの制度が適用されます。
PTA団体名での契約や利用が可能 全国PTA連絡協議会に会員登録のあるPTAの皆様のみご利用いただけます。

ゆうちょ銀行の事例

PTA団体名でのゆうちょ銀行の口座開設にあたっては、人格なき社団(権利能力なき社団)の要件を整えること、銀行が指定する書類を用意することが必要です。
ゆうちょ銀行では、「団体(人格なき社団)名義の口座を開設されるお客さまへ」として、以下の情報を掲載しています。 [出典]ゆうちょ銀行 口座を開く ≫
当行では、団体(人格なき社団)名義での口座を開設していただく際は、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の重要性が近年益々高まっていることを受け、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等で求められている確認に加え、下記の書類等をお持ちいただいたうえで、口座開設にかかる審査を実施しております。
お客さまにはお手数をお掛けいたしますが、ご理解くださいますようお願いいたします。
人格なき社団の要件 当行では、預入限度額管理の観点から、人格なき社団のお客さまに限り、団体名義での口座開設を受け付けております。
人格なき社団以外の団体のお客さまについては、団体名義での口座開設のお申し込みを受付いたしかねますのでご了承ください。
  • 団体としての組織を備えていること
  • 多数決の原則が行われていること
  • 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続していること
  • その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していること
必要な書類 下記の必要書類をご提出いただけない場合は、口座開設のお申し込みを受付いたしかねます。
  • 団体の規約(「団体の代表者様の証明」があるもの)
  • 団体の活動実績が分かる資料
  • 団体の総会議事録
  • 団体の収支報告書
  • 口座に設定する代表者様の本人確認書類(運転免許証等、顔写真付きの証明書類)
  • ご来店者様の本人確認書類(運転免許証等、顔写真付きの証明書類)
サイト内の関連情報
ヒント 学校長や教職員が、公務と明確に区分されていない状態でPTA事務を行っている場合は、自治体による事務規程などの整備と運用が必要です。また、当該事務を職務専念義務免除の対象とする必要性についてをPTAと学校で協議するなどの対応が必要と考えます。 PTA総会はPTA会員が集まって行う会議で、最高決議機関です。PTA総会での書面総会利用も増えてきました。時代の変化にあわせ、書面表決やオンラインツール活用など、PTA総会の開催方法のアップデートを検討しましよう。 PTA入会申込書や個人情報取り扱い、会費徴収の学校委託に必要な書類のテンプレートです。
  • 入会案内時の説明書類
  • PTA入会申込書(個人情報取り扱いに関する記載例など)
  • 会費引落委託に関する記載例 ≫(会費徴収を学校に委託している場合 … 業務委任契約書)
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公立学校は公の機関ですから、公費による運営が基本です。学校現場でいう公費とは、一言で説明するなら市区町村の予算で、財源は税金です。公費と私費のわけ方については、法律で定められているものではないため全国統一の基準はありません。 全国の自治体によって様々というのが現状です。PTA会費の適切な使途についてまとめています。 PTAには保護者からの会費や寄付など、運営していくための何らかの収入があるのが一般的です。資源回収、ベルマーク運動、バザーなどの活動をしているPTAもあります。ここでは、PTA予算での学校への寄付・寄贈に関するポイントをまとめています。 学校給食費等の公会計化の流れが進んできました。給食費以外の教材費などの学校徴収金も自治体が収納する事例もでています。 自治体が学校徴収金にPTA会費を含めて収納するシステムを導入すれば、PTA会費集金に関わる負担は激減します。複数の自治体での 導入事例 ≫ もあります。 PTA会費集金のキャッシュレス決済導入にあたって、知っておくべきこと、決済フロー、決済代行会社、学校給食費公会計化との連携などの情報です。
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更新:2023年11月2日