PTAは、全ての子どものためにある団体です。子どもは会員ではなく支援対象です。
PTAへの任意加入が広く周知・認知されてくる中で「PTAに入会しない」「PTAを退会したい」というケースも増えています。
ここでは、PTA未加入世帯の保護者や子どもたちへの対応について考えています。
PTAは保護者と教職員による会員で構成される団体で、子どもは会員ではありません。その学校・園に通う子どもたちのために活動するPTAは、保護者がPTAに加入・未加入に関わらず、全ての子どもに平等な対応が必要です。
PTAは保護者と教職員による会員で構成される団体で、子どもは会員ではありません。その学校・園に通う子どもたちのために活動するPTAは、保護者がPTAに加入・未加入に関わらず、全ての子どもに平等な対応が必要です。
作成:2023/11/12 更新:2024/04/16
PTA未加入世帯の対応
任意加入の時代、未加入世帯への対応は前提
未加入世帯への対応
未加入世帯への対応は、保護者と子どもたち(園児・児童・生徒)に分けて考えることが必要です。子どもは会員ではなく支援すべき対象です。
入会しないを選択された保護者や教職員
入会しないを選択された保護者や教職員に対しては、その意思を尊重することが必要です。あらためて、入会を勧める場合でも、その意思を尊重した上で「入会されませんか?」と程度のアプローチが良いのではないでしょうか。未加入世帯の保護者への対応
個人情報保護法にあるように、PTAが個人情報取扱の同意を得ていない人の個人情報をもつことはできません。
PTAが学校から名簿の提供を受け、PTA名簿と全世帯名簿の比較をしない限り、「どの世帯が未加入世帯か」を把握することができません。もちろん、同意を得られていない人の個人情報が含まれている場合、学校から全世帯の名簿を受け取ることは法的に問題があります。
PTAでは、会員世帯は把握できますが、未加入世帯の把握ができないため、現実的には、未加入世帯に絞った対応は困難です。
一般的には、PTAとして、未加入世帯へ「入会のお誘い」する場合、全ての保護者・教職員に対しての案内する形になります。
広報紙を未加入世帯に配布しないというケースもあるようですが、広報紙の役割の一つには「入会のお誘い」であると考え、広報紙の全世帯配布をおすすめします。
広報紙以外にも、学校行事のお手伝い依頼、PTAイベントへのお誘い、保険の案内など全世帯に声をかける機会をうまく利用して「入会のお誘い」をしていくことも重要だと思います。
子どもたちへの対応
全ての子どもに平等な対応を!
有志の会で共同購入
記念品制度を維持する一つの方法として、実費を集めて共同購入のような形もありますが、当協議会では、PTA活動として、有志の会で共同購入したものを、全ての子どもたちで前で購入者のみに配布することは、「全ての子どもたちへの平等な対応」「子どもにとってマイナスの記憶」などの側面から、適切でないと考えます。
有志の会で共同購入したものを配布する場合には、学校の行事内やPTA活動ではなく、学校と関わりのない形の有志の方だけの集まりで配布する配慮や、郵送利用などでの対応が必要である考えます。
記念品を受け取ったら不当利得?
保護者からは「PTA未加入なのに記念品の受け取りは、不当利得*にあたるのではないか」といった声もあります。
このケースは「PTAが任意に渡したものを子どもたちが任意に受け取るだけ」です。
PTA加入・未加入に関わらず、全ての子どもたちに全記念品を配ることがPTA活動の目的であるため、未加入家庭の子どもが記念品を受け取ることは「法律上の正当な理由がない」にはあたりません。
- 不当利得とは、法律上の正当な理由なく利益を受け、それにより他人に損失を与えた者は、不当利得を返還しなければならない。
未加入の保護者による記念品代の支払
全ての子どもたちに記念品を配ることをPTA活動の目的としている場合には、お断りすべきです。
もし、未加入の方から受領した場合には、記念品代の支払でなくPTAへの寄付として処理すべきでしょう。
もし、未加入の方から受領した場合には、記念品代の支払でなくPTAへの寄付として処理すべきでしょう。
配布物
PTAからのお知らせなどは、PTA加入・未加入に関わらず全ての子どもと教職員に配布することをおすすめします。仕分けの省力化、個人情報保護、さらには子どもの間での差別防止につながります。
配布にあたっては、入会意思確認などを利用して、未加入世帯への配布理由の事前説明が必要です。
登校班
PTAが登校班の編成をしている場合に、未加入世帯の子どもを登校班に参加させないという例もありますが、児童の登下校の安全を守る取り組みとしてのPTA活動自体を否定することになります。PTA規約
「本会の活動において、全ての子ども(園児・児童・生徒)は平等に扱われ、子ども及びその保護者の属性によるあらゆる形態の差別をしてはならない」と、規約入れているPTAもあります。活動のアップデート
各地のPTA協議会や連合会の皆様からの運営情報
日々のPTA活動を担う都道府県協議会や市区町村連合会の皆様から運営ノウハウの提供をいただきました。
PTAを取り巻く環境は地域より様々です。 また、時代に要請にあった運営方法も複数あるはずです。
他県ではどうなろだろう? どんな対応をしているのだろう?
全国PTA連絡協議会では、ご協力をいただいた後半部分の掲載内容について、各協議会や連合会の皆様が、時代にあったPTAのあり方について検討された結果の着地点であり、見解だと考えています。PTA活動をより良くしたいと考えての提案ですが、各協議会や連合会に加入するPTAの皆様に、運営方法を強制しているものではないと考えます。
単位PTA、連合会ともに長期に渡り培われたそれぞれ文化がありますが、PTA活動を取り巻く環境は大きく変わってきました。
PTAの担い手である保護者たちが、自らの力でPTAの運営を変えていくことが理想的です。
PTAにより事情は様々ですが、できることから取り組むことで、より信頼されるPTAを目指しましょう。
当協議会では、本サイト内の掲載内容が、PTAの皆様が運営方針や活動内容について話し合うきっかけとなり、時代にあったPTAのあり方についての合意形成につながることを願っています。
PTAにより事情は様々ですが、できることから取り組むことで、より信頼されるPTAを目指しましょう。
千葉市PTA連絡協議会
PTA未入会に関する考え方(例)
- PTAは〈任意加入団体〉であるので、入会を強制しない。
- 保護者が会員かどうかによって生徒を差別・区別することはしない。
- ○○学校PTAはPTA会員の子どものための組織ではなく、○○学校の子どもたちみんなへの支援をおこなうものであるから。でなければ、学校の場所を使用したり、Tの協力を得たりすることはできない。
- 会員に対して活動を強制しない。
- 役員選出に関しても意思を尊重する。
- 会員だけでなく、役員の活動も強制しない。(できるときにできることを)
- 会員と役員が参加しやすい活動にすることを心がける。
※前例踏襲でなく、見直しをしていくことも必要。
入会について
- 入会にあたっては、原則として入会申込書を提出してもらう。
- 入会申込書は、保護者は役員希望アンケートも兼ねているので、生徒1人につき1枚提出してもらう。
- 入会申込書の提出がなくても会費の納入があった場合は会員として扱う。
- 非入会家庭からは個人情報利用同意書を提出してもらう。
- 入会か非入会かという点については個人情報にあたるため、非入会家庭の情報の取り扱いには注意すること。学校関係者と本部役員以外には伝えない。
配布物について
- PTAからのお知らせ等は、会員かどうかによらず全ての生徒・教職員に配布する。分ける手間を省くためでもあり、個人情報を守るためでもあり、生徒間での区別・差別を防ぐためでもある。(非入会家庭には以上の趣旨で配布物が届くことを伝えておく)
- バザーの食券は保護者が会員かどうかにかかわらず全員が購入できるようにする。
- 卒業記念品(現在は卒業証書ホルダー)は卒業生全員に配布する。非入会家庭からの実費徴収は行わない。
- PTAから卒業生全員へのお祝いと考える。非入会家庭も様々あり、不登校や日本語が通じないなどの場合は実費徴収を徹底するのが難しいので、本部役員の負担が増えるのも避けたい
今後非入会家庭が増えてバランスが崩れたときには、会費からの記念品をやめて、共同購入の斡旋をするか卒対費に含めてもらうなどとする方法がある。会員家庭の生徒だけに配布するのはやめたほうがよい。(差別とされる判例が出ている)
奈良市PTA連合会
PTA未加入者の子どもへの教育的配慮
改善策
PTAは会員限定のサービスを行う会ではないということを、会員全員でしっかりと認識しましょう。
支援対象は、その学校園に通う全ての子どもで、保護者の加入、未加入による子どもへの区別は許されません。
PTAから贈られるお祝い等は、会費の還元ではありません。
子どもたちのために結成された会から贈るお祝いやご褒美ですので全ての子どもに贈呈します。
現在は、実費を徴収しているPTAも多いと思いますが、実費を払わなければ渡さないということ自体が区別となります。
全ての子どもに配付することが会員に受け入れられないのだとすれば、個々に渡すお祝い・ご褒美等は廃止して、必要なものは個人徴収することを考えましょう。
子どもたちのために結成された会から贈るお祝いやご褒美ですので全ての子どもに贈呈します。
PTA主催の活動についても同様です。非会員の子どもを参加させないことは許されません。
親子で参加する活動やイベント等には十分な配慮が必要です。
親子で参加する活動やイベント等には十分な配慮が必要です。
Q&A
- Q.
- お断りをしても、非会員の方が、子どもに配布するものに関しては実費を払うと言われます。受け取ってもいいものでしょうか?
- A.
- PTAは全ての子どもを対象とした会だということを説明しても、実費を支払うとおっしゃる場合は、PTAへの寄附として受け取ります。収入の費目は雑収入に入れます。
横須賀市PTA協議会
Q&A
- Q.
- 児童・生徒に対して記念品の類を贈呈する場合、非会員の子どもには記念品をあげなくても良いですか?
または実費対応する、とかでもいいですか? - A.
- PTAの活動は「会員の子どものため」に行うものではなく、「その学校の児童・生徒のため」に行うのが原則と考えます。
よって会員、非会員の子どもに差をつけてはいけない、というのが市P協の指針になります。
もしに不公平感を持つ保護者が多いなら、会費を使って記念品を贈呈することはやめるのも一つです。PTAからの記念品は、あくまでも子どもたち全体へのプレゼントとし、親が会員かどうかは問わないのが大前提です。 子どもに差をつけることはあってはなりません。もし、そこで会員と非会員の負担のバランスが悪いようであれば、PTAの活動としての位置づけを見直して、卒業記念品などは実費を集めて共同購入のような形にするなどの方法もあります。
- Q.
- PTAに参加しない人との関わり方はどうすればいいですか?
- A.
- PTAには団体として二つの性質があります。一つは、親睦や学習のための団体としての性質で、もう一つは、保護者として子どもたちの教育環境の整備に協力する団体としての性質です。
そこを考えると、親睦のための活動は会員を中心に声をかけるにしても、子どもたちの教育環境のための活動には、会員ではない人たちにも参加してもらえるように声をかけても良いのではないでしょうか。
つまり、保護者として子どもたちの教育環境整備のために行う活動、例えば運動会のお手伝いやパトロール、草刈りなどについては、会員、非会員を問わず参加を呼びかけるなど。ただしこちらも強制ではなく、自発的な参加を求めましょう。
- Q.
- 役員やクラス委員を決める際に、非会員の方との関わり方はどうすればいいですか?
- A.
- 多分、非会員の人が増えてきた場合、ここが一番のポイントになってくると思われます。『役員やクラス委員ができないから会員にならない』、『役員、委員をやりたくないから会員にならない』、という方がいる場合には、それを習って非会員の方が増えることも考えられます。
そうならないためにも、- ぜひ入会したいと思ってもらえるような活動をする
- あの人一度もやっていないからずるい、というような言葉が出ないような活動を
- なぜ、役員やクラス委員をやりたくない方が多いのか、の理由を考えて、PTAを改革していく
- Q.
- 非会員の保護者と子どもは保険の対象になりますか?
- A.
- PTA活動参加者名簿(PTA会長の承認が必要)にお名前が載っていれば補償対象になります。
所沢市PTA連合会
Q&A
- Q.
- PTA会員ではない家庭の子どもは、PTA行事に参加できるのですか?
PTAによって組織されている登校班に、非会員の家庭の子どもは入れるのですか?
PTA会費を払っていない家庭の子どもに、PTAから卒業記念品を渡してもいいのですか? - A.
- 結論:PTA活動は、原則として、すべての児童生徒を対象とします。親がPTAに加入しないことで、児童生徒がPTA活動で不利益をこうむることは許されません。
また、入学式や卒業式での記念品を、親のPTAの未加入によって授与しないことは、教育上不適切と言えるでしょう。学校の教育活動に寄与するための社会教育団体であるPTAが、保護者のPTAの加入の有無によって児童生徒に不利益を与えることは、明らかに公共性を欠き、不適切と判断できます。学校教育法第137条「学校の施設を、社会教育その他公共のために使用させることができる」という条文があります。
かりに、PTA会員の子どもの利益のためにしか活動しないならば、組織の「公共性」に反することとなり、学校長は学校施設(PTA会議室など)をPTAに使わせることができません。PTAは、任意性と公共性、当事者性という3つの側面を持っています。100人の児童、80世帯の学校の場合、PTA加入率が50%ならば、40人の会員で、100人の児童のために活動をすることになります。加入率80%の学校に比べれば、当然一人当たりの仕事量は増えますので、負担感は大きくなります。
まして、PTAに加入しない児童のためのボランティア活動ですから、かなりの自発性が求められるでしょう。
しかしながら、本来、すべての児童生徒を対象とする活動を、一部の保護者に委託するというのは、親であるという当事者性を放棄することでもあります。また、そうした姿勢は、児童生徒の教育方針ともかみ合わないと言えます。
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更新:2024年2月7日