PTA連合会のあり方は? 単位PTAの活動をサポートする上部団体
昨今では、全国組織から東京都、県組織から市区町村、市区町村組織から単位PTAなど、上部団体を退会し独立して活動するPTA団体が少しずつですが増えています。上部団体から退会する理由とは何があるのでしょう。
必要とされる上部団体の活動目的や事業内容について、当協議会の視点で考えます。
必要とされる上部団体の活動目的や事業内容について、当協議会の視点で考えます。
作成:2023/12/16 更新:2024/01/27
上部団体から独立して活動するPTA団体
市のPTA連合会が県のPTA連合会を退会
東京都PTA協議会が日Pを退会
東京都PTA協議会では、2023年4月より上部団体に依存しない独立した形での活動をスタートしています。
日Pを退会するにあたっては、大きく二つの理由があり、
日Pを退会するにあたっては、大きく二つの理由があり、
- 上部団体として、会員の声を吸い上げようという意図がそれほど感じられないこと
- 会費(分担金)を支払っているが、それが都内小学校のPTA活動に還元されているとは考えにくく、会員に納得できる説明ができないこと
東京都PTA協議会では、
2020年のコロナ禍到来を機に、私たち都Pは組織や事業の見直しを進めました。
既存の活動や枠組みについて意義や必要性をひとつひとつ検証し、優先すべきものを決めました。
その結果「PTA活動の担い手である単位PTA役員の支援」を活動方針とし、今に至ります。
既存の活動や枠組みについて意義や必要性をひとつひとつ検証し、優先すべきものを決めました。
その結果「PTA活動の担い手である単位PTA役員の支援」を活動方針とし、今に至ります。
2023年度からは、従来の会員制度を見直し、都内全小学校のPTAと小中一貫校の中学校PTAがユーザー登録だけで都Pのサービスを利用できる体制をスタートいたします。
皆さんのPTAでお役に立つことを何かをひとつでも提供できれば、大変うれしく思います。
東京都PTA協議会の 都Pについて ≫ から抜粋
皆さんのPTAでお役に立つことを何かをひとつでも提供できれば、大変うれしく思います。
さいたま市PTA協議会が日Pからの退会を発表
埼玉県さいたま市PTA協議会(市P)では、上部団体の日本PTA全国協議会(日P)から2023年度末に脱退するとしています。
公式サイトでは、市Pは日Pの不明瞭な会計処理などを指摘し、公開質問状を複数回提出。適切な対応が行われないことから、「日Pは正常なガバナンスが機能していない」と認定して、脱退するとています。
市Pは「日P脱退による会員への不利益がないように配慮し、そのための施策を速やかに検討、実施していく」「日Pが正常なガバナンスを取り戻した際は、再度加盟を検討する」としています。
さいたま市PTA協議会では、
さいたま市PTA協議会は、日Pを脱退することによる当協議会会員への不利益などが無いように配慮し、そのための施策を速やかに検討・実施していくことを理事会において決定いたしました。
そして、当協議会会員はもとより、全国の志を共にする地方協議会、単会、 すべての保護者との信頼を第一に、さいたま市だけでなく、埼玉県や、全国の保護者や子どもたちの、安心・安全な地域社会の維持発展に資する活動を続けていくことを、あらためてここに表明いたします。
埼玉県さいたま市PTA協議会の お知らせ ≫ から抜粋
当協議会が考える上部団体の必要性
上部団体がなぜ必要性か
地域の課題や情報の共有、話し合いや取り組みができるのは、地域の連合会であり、市区町村郡のPTA連合会には、単位PTAにはない重要な役割があると考えます。
市区町村郡での課題や取り組み、都道府県での課題や取り組みは異なるものがあり、連携すべき行政組織も異なり、市区町村郡のPTA連合会の役割と共に、都道府県のPTA連合会にも大きな役割があると考えています。
市区町村郡と都道府県のPTA連合会が事業や役割を補完し合う機能が働けば、双方の負担軽減につながり、より良い取り組みへの余裕が生まれるのではないでしょうか。
相乗効果、補完機能がうまく機能していない場合の原因ひとつは、組織の活動の見直し、アップデート状況の差、取り組み実行へのスピード感の差にあるのではないかと考えています。
単位PTAにおける大きな意識改革の流れは、PTA連合会にとっても同じ状況であると思います。
市区町村郡、上部団体である都道府県、各PTA連合会が今一度のあり方を見直し、役割分担を明確化する事で、学校、市区町村郡、都道府県のそれぞれのPTA連合会の価値を再定義できると考えます。
本来、上部団体としてPTAは、保護者から意見を吸い上げて活動するボトムアップ型組織としての役割も重要です。戦後まもない時代には、トップダウン型の仕組みは必要だったかもしれませんが、現在では、内容により上意下達の仕組みを見直す必要があると考えます。
上意下達の仕組みを機能させるのであれば、上部団体として、「任意加入」「選択の自由」「強制は最小限に」「個人情報の適切な取り扱い」などを、下部組織へと伝えていくことなどが求められています。
全国PTA連絡協議会の役割の一つは、PTA連合会のサポート
PTA連合会のアップデート
PTA連合会のあり方
PTA連合会における現状や課題は地域により様々ですが、当協議会では、市区町村郡のPTA連合会の重要な役割の一つは、単位PTAの上部団体ではなく 地域の単位PTAの集まりとして、単位PTAの運営上の相談に乗ったりなど、情報共有、情報交換の機会を提供すること考えています。
また、単位PTAに、会費(分担金)が発生しているのであれば、単位PTAの活動や運営に対しての直接的なサポートが行える組織である事も必要ではないかと考えます。
一方、都道府県のPTA連合会の重要な役割は、市区町村郡の代表者が集まることだけでなく、より専門性のある情報発信や支援、規模のメリットを活かした各種事業を行うことと考えています。
市区町村郡のPTA連合会の皆様が、情報発信や支援、事業によりサポートされている、メリットがあったと実感できることが、上部団体への加入理由になると考えています。
市区町村郡のPTA連合会は、地域で横につながることで、情報共有、課題共有の機会を提供し、単位PTA活動の負担軽減や、単位PTAや地域の活性化につながるサポートを行うこと、
より上部の団体である都道府県のPTA連合会は、今の時代に求めらている事業内容や運営方法へのアップデートを行い、下部の団体のサポートをしっかりと行うことが求められていると考えています。
より上部の団体である都道府県のPTA連合会は、今の時代に求めらている事業内容や運営方法へのアップデートを行い、下部の団体のサポートをしっかりと行うことが求められていると考えています。
前例踏襲的な仕組みや事業に対する取り組み例
地域により様々ですが「これまで行ってきたから」という理由だけで続く、前例踏襲的な仕組みや事業について、話し合いの機会を設けるべきと考えます。
続けてきた仕組みや事業を継続することも重要ですが、あり方のアップデートを検討する機会は必要です。
- 子どもの健全な成長をはかるための活動につながることか?
- 単位PTAまたはその会員である保護者・教員が、求めている事業なのか?
- 費用対効果はどうなのか、他の方法はないのか?
- 保護者と学校、保護者同士、地域、学校と地域への影響はどうなのか?
- 行政への要望書(実現された事業を精査)
- 懇親会、研修旅行は今後も必要か?
- 充て職と呼ばれる会議出席のあり方
是正すべき課題への取り組み例
現在進行形で取り組み中であったり、既に解決済みのPTA連合会もありますが、PTA連合会として是正すべき課題の確認も必要です。
単位PTAとの直接的な接点がある市区町村郡のPTA連合会が取り組むべき課題ですが、事前に都道府県のPTA連合会が指針を取りまとめる、マニュアルを提供するなどの支援も重要です。
- PTA加入意思確認を行う任意加入制の導入
- 個人情報の「取得・利用」「保管・管理」「提供」「開示等」の適正化の推進
- PTA会費の適切な使途(前例踏襲的な学校への寄付・寄贈の見直し)
- 任意団体としてのPTA連合会の規則や運営方法
求められる活動に対する取り組み例
単位PTAの負担軽減につながる仕組みとして、参加したくなる単位PTA組織作りへのサポートは、PTA連合会が単位PTAから求められている役割の一つだと考えています。
既に、実施済みの事例もあると思いますが、市区町村郡と都道府県の連合会で、事前に役割や事業の分担をして実施する方がスマートな取り組みになると思います。
- 単位PTAへのメール配信システム導入(単位PTAにアカウント提供)
- 保護者へのメール配信システム導入(行政との連携)
- 子どもたちの通学路など地域安全確保(人的対応やシステム導入)
- 単位PTAにおける保護者間コミュニケーションツールの導入支援
- PTA室におけるインターネット環境の整備
- 単位PTAにおけるオンライン会議の導入支援
- 単位PTAの実態集約と広報(単位PTA対象のアンケート実施)
- 保護者の意見集約と広報(保護者や教職員対象のアンケート実施)
- 意見集約の活用(行政との連携、地域への広報)
- PTA連合会が行う研修会などへのオンライン会議システムの利活用
- 給食費の公会計化に関する対応(行政との連携)
- PTA会費集金の負担軽減
- 保護者への課題共有セミナー(給食費の無償化、教育費の負担軽減など)
- 他の単位PTAでの事例共有、ノウハウ提供
- 地域の方に向けた広報活動(地域向けの連合会公式LINEアカウントなど)
市区町村郡と都道府県の連合会による役割や事業の分担以外にも、当協議会が提供する情報共有やサービスを活用いただくことも、負担軽減につながる選択肢の一つです。
PTA連合会による取り組み例
IT活用
イベント運営
スポーツ大会
意見集約と行政への要望
充て職
PTA連合会の役職輪番制
市区町村郡のPTA連合会の役員任期は1〜2年の場合が多く、役職が輪番制で割り当てられるケースもあります。
輪番制のリスクは、輪番という理由で、単位PTAの会長がPTA連合会の役員を兼任しているケースなどが生じることにあります。
PTA会長や本部役員に初任者が多い場合、まずは自校のPTAを理解し自校のPTA活動と向き合うことが最優先となります。単位PTAの活動に手いっぱいの状況で、PTA連合会の活動にまで手が回らない、PTA連合会なんかに関われないなど切羽詰まった状況から、PTA連合会の退会を検討するというケースも生じているのが実情です。
本人の意思とは関係なく、連合会の役職を引き受けている場合、本人が意図しなくてもPTA連合会のネガティヴなイメージが単位PTA内で広がる可能性もあります。
市区町村郡のPTA連合会のリーダーを輪番制とはせずに、PTA経験や知見が豊富な適任者とするなどして、前例踏襲的に続いた課題や新しい取り組みに、時間をかけて対応しているPTA連合会も存在しています。
市区町村郡のPTA連合会の役割を、課題や情報の共有の機会の提供だけでなく、積極的に単位PTAをサポートすることも含める場合、大規模な組織は別として、PTA連合会を担えるPTA経験や知見が豊富な適任者は、そう多くはないと思います。
役職輪番制自体を否定するわけではなく、組織体や目的で、輪番制が適切な場合も多数あります。
ポイントは、組織の共通認識として、役職輪番制の採用が適切な運用であるとされていることです。
輪番制を見直す場合には、規約の改正などで役員任期の延長の他、課題解決に向けた中長期のプロジェクトチームの立ち上げなども選択肢となります。
ポイントは、組織の共通認識として、役職輪番制の採用が適切な運用であるとされていることです。
PTA連合会による各種の事業例
単位PTAだけでは実現が難しいPTA連合会が担うべき事業は多数あります。既に実施されている事業も多数ありますが、限られた予算と人的資源の中で、地域の状況に応じた助成制度や還元方法などを含め、どの事業を優先すべきかの選択も必要です。
- 子どもたちを対象とした地域イベント開催
- 保護者を対象にしたセミナー開催
- 単位PTA単位で参加するイベント開催(スポーツ大会など)
- 子どもたちに対する表彰事業(各種コンクールなど)
- 単位PTAの活動に対する表彰事業(広報活動など)
- 保護者や教員、単位PTAを対象としたアンケートの実施
- 単位PTAへのIT導入支援(一括契約や導入時の講習会開催や費用負担軽減策など)
- 単位PTAで共有できる備品の購入や管理(イベント用のトランシーバーなど)
- 地域のPTA連合会として推奨すべき事業(例えば、先進的な取り組みで他の単位PTAへの波及が見込まれる事業など)を行う単位PTAへの助成
市区町村郡のPTA連合会のあり方
当協議会が考える活動形態の方向性
地域の単位PTAの集まりとして、市区町村郡のPTA連合会が果たす役割は、非常に重要と考えます。
その中で、PTA連合会の活動形態として、二つの方向性があるのではと考えます。
もちろん、二つの中間的な活動形態も選択肢となります。
もちろん、二つの中間的な活動形態も選択肢となります。
情報共有機能の特化型
- 会長会、副会長会など定期的な会議を行い、地域課題の共有や情報交換を行う機会を提供する。
- 外部への連絡窓口など事務局的なサポートは教育委員会が行う。
- 連合会の役職などは、輪番制対応も選択肢とする。
- 交通費などは、単Pの予算で対応するなど、単位PTAから会費(分担金)を見直す。
連合会機能の強化型
- 単位PTAから会費(分担金)は従来通り
- 単位PTA同様、PTA連合会への任意加入などコンプラアンス遵守に努める。
- 地域のPTA連合会として、是正すべき課題への継続した取り組みを行う。
- 単位PTAでは実現困難な活動や事業を、PTA連合会として行う。
- PTA連合会として実施可能な範囲で、単位PTAへのサポート活動を強化する。
活動の形態は地域により様々な考え方がありますが、ポイントは、市区町村郡のPTA連合会の目的や活動が、時代に求められるものとして定義され、PTA活動を支える保護者の皆様に説明できることにあると考えます。
上部団体への加入意義
上部団体である都道府県のPTA連合会への加入意義は、大きく二つあると考えます。
- 都道府県単位での情報共有、情報交換の機会の提供を得られること
- 市区町村郡のPTA連合会で解決が難しい課題や事業を、都道府県のPTA連合会がサポートしてくれること
また、上部団体に収める会費(分担金)の負担いただいてる単位PTAの保護者の皆様に、上部団体への加入意義について、しっかりとした説明ができることも大事なポイントであると考えます。
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公益社団法人日本PTA全国協議会(略称:日P)に関する事件の報道があり、当協議会へのお問合せなどが増えておりますが、当協議会の正式な名称は「一般社団法人全国PTA連絡協議会(略称:全P)」で、日Pとの関係性はございません。
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また、本サイトの一部には法律的な根拠を求めることが難しい内容も含まれております。このような内容については全国PTA連絡協議会としての見解となります。
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